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更新日:2021年10月25日

阪神・淡路大震災 消防職員手記(葺合消防署)

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二者択一の決断(1995年3月号掲載・繁田 政義)

地震直後の9時頃、中央区御幸通6丁目のビルが倒壊し、火災発生の通報を受信、葺合13(化学車)と葺合17(梯子車)の2隊が出動した。葺合17は防火水槽に元ポンプとして部署した後、2隊がホース延長し消火活動に当たった。

ちょうどビルの火災が鎮圧した11時過ぎ、またもや渡邊勤中隊長から、「磯上5丁目の、倒壊寸前のビル7階に要救助者が1名あり、葺合17は救助に向かえ」との指令が入ったため、ホースをその場に残し、急遽救助に向かった。

現場に急行中、脳裏を過ったことは、この地震で葺合消防署の庁舎ガレージの梁が損壊、瓦礫の落下により車の後部ステップが変形しているため、梯子の伸梯に影響は無いだろうかとの、一抹の不安であった。

11時50分頃、現場付近のビル北側に停車した。

ビルは東に傾き、今にも倒壊寸前の状態であった。早速、中隊長とビル周辺の状況を見聞した結果、7階南西角の部屋に取り残されている男性が1名、西側窓から助けを求めているのが確認されたため、梯子伸梯により救出することに決定した。ビル西側の駐車場に部署し、救助隊員の先端誘導により、西側の窓(高さ約20メートル)から救出する方策をとった。

上坂康格消防士とともに、梯子のジャッキ張出用アウトリガーを操作しようとするが、心配していたとおり、後部床鉄板とフェンダーが変形しており、アウトリガーに取り付けられている警告灯が接触し、操作不能となった。

そこで、警告灯を取り外し、電気配線を切断して、アウトリガーとジャッキの操作を完了した。そして、藤井圭介士長を先端誘導員とし、西側7階の窓に向かって梯子を伸梯しようとした。

しかし、ビルは梯子架梯方向とは逃げるように、東向きに傾斜しているため、思うように架梯できない。

藤井士長からは、「もう少し伸梯し、梯子を倒してくれ」との連絡が入るが、梯子先端から窓までの距離は約80センチが精一杯であった。

これが限界と判断した藤井士長は、安全帯からのロープを梯子に縛着し、助けを求めている男性の所へ無事跳び移った。

男性にはケガなどもなく、梯子からの救出を試みたが、男性は地震やビルの傾斜等により、恐怖で体がすくみ、梯子まで乗り移ることができなかった。そこで藤井士長は7階の管理部屋に常備されている縄梯子を使って救出しようと考え、男性に、「80センチメートル離れている梯子へ乗り移るか、縄梯子を使って7階へ下りるか」と、選択を迫ったところ、男性は縄梯子による救出を求めたため、男性の体を救助ロープで確保した。そして、大きく揺れる縄梯子を不安がらないようにと、「いちに、いちに」の掛け声を掛けるなど、確実に1歩1歩安全を確認した。そして、南隣の2階の屋上に待機していた隊員が男性の両脇を抱え、12時45分に無事、救出することができたのである。

要救助者の位置は・・・(1995年3月号掲載・時本 修)

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地震発生後、バイクでたるみの自宅から急いで職場に向かった。途中、東に向かうにつれ、道路は亀裂が走り、交通機関はマヒ状態、あちらこちらで倒壊した建物が見えてきた。しかも、朝だというのに、空はどんよりとした黒い雲のような煙に一面覆われている。この煙はどうやら、長田区の方から上がっているようだった。

こうした光景を見るにつけ、初めて今回の地震の凄さを知った。というのは地震直後、自宅周辺では大きな揺れを感じただけで、家の倒壊や火災等の異常が見受けられなかったため、市内ではあまり大した被害は出ていないと思っていたのである。

何とかして、署に着いたが、望楼が落ちているのを見て、びっくりした。とにかく、一刻も早く現場へと思うが、すでに全車両は現場へ出動しており、急遽私と福島増男司令補、そして1係の隊員2名の計4名で署救助隊を編成し、徒歩で各現場に向かうことにした。

まず、11時頃、「磯上通2丁目の団地の1階に男性が閉じ込められている」との指令が入った。

現場に着くと、鉄筋コンクリート造5階建てのビルの1階が倒壊しており、中に男性1名が取り残されているとのこと。すでに関係者により、2階の窓には梯子が架けられており、そこから進入して1階に降りてみると、途中5メートルの所に頭を上に海老ぞりの状態で男性が両足を挟まれていた。挟まれている両足部分にはスペースはなく、救出活動はかなり困難に思えた。

そこで、広報車で運んできた資機材を用いて、左足の救出にとりかかった。膝より下が厚さ1センチくらいのコンパネに上部から抑えつけられていたために、ストロークでコンパネを切断した。

次に右足であるが、左足同様、膝より下が挟まれているが、挟まれの状態がハッキリと把握できないため、瓦礫を取り除くことにした。コンビツールや電動ソー、トップアントビ、のこぎり等を用途に応じて使い分け、右足付近のスペースを少しずつ開けていき、海老ぞりになっている体位をずらしながら、救出に当たった。そして、約3時間が経過した、午後2時に無事男性を救出した。

しかし、その後もホッとする間もなく、エレベーターでの救出現場や火災現場などに向かった。

そして、翌18日の午後2時頃、署からすぐ近くの、日暮通1丁目のビルが倒壊し、数人が生き埋めになっているとの通報が入った。

直ちに現場に駆けつけると、鉄筋造4階建のビルが全壊しており、すでに救急隊と他都市の救助隊、警察官、自衛隊職員50~60名が救出活動に当たっていた。

外部からの呼び掛けに対し、2箇所から応答があり、うち1名の男性は北西角の比較的浅い所に閉じ込められていた。早速、救急隊や救助隊らと協力し、手で瓦礫を取り除いた後、チェーンソーを用いてコンパネを切断し、無地救出した。

しかし、もう一人の女性は応答はあったものの、かなり遠くからの応答で、場所を確認するのに、かなりの時間を要した。最終的には、声の聞こえる2方向からある程度の位置を決め、上と横からの救出活動に当たった。

しかし、上からの救出はコンクリートや鉄板、木材H型鋼等が重なっており、困難を極めた。また、作業スペースをかなり広くとっていたが、作業が進むにつれて掘り出した瓦礫等によりスペースがかなり狭くなっていた。

一方、横からの救出は最初順調に進んでいたが、途中H型鋼が絡み合うなど作業中止を余儀なくされ、結局断念した。

このような困難な救出活動にもかかわらず、消防隊や警察官、自衛隊等のチームワークにより、翌朝4時に無事女性を救出した。活動を始めてから、まさに14時間もの救出活動であった。

最後に今回のような救出活動では、消防隊や警察官、自衛隊等によるチームワークが有効に発揮され、また人海戦術も役立ったのではないかと思う。

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