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2023年夏の顕著な高温とフェーン現象

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2023年8月28日、気象庁(異常気象分析検討会)は、今夏の天候の特徴と要因を分析した結果を「2023年(令和5年)梅雨期の大雨と7月後半以降の顕著な高温の特徴と要因について」として発表しました。

今回は、異常気象分析検討会の分析結果のうち、「7月後半以降の顕著な高温の特徴とその要因」を解説します。(この記事は、2023年9月22日に掲載しています。)

7月後半以降の顕著な高温の特徴とその要因

この夏を通して、北・東日本を中心に平年と比べて高い状況で推移し、特に7 月後半以降は、北日本から西日本にかけて多くの地点で猛暑日(日最高気温35℃以上)を観測するなど、顕著な高温となりました。

兵庫県内のアメダス観測所(気温観測は20か所)では、8月5日に豊岡で39.4℃を観測し記録を更新したほか、4地点(福崎、和田山、郡家、神戸空港)でこれまでの日最高気温の高い記録を更新し、6地点(豊岡、神戸空港、香住、上郡、和田山、兎和野高原)で月平均気温の高い記録を更新しました。

また、神戸の8月の平均気温は、29.7℃で月平均気温の高い方から3位に入り、猛暑日日数は15日を数え、観測開始(1896年(明治29年))以降2番目の多さとなっています。(2023年9月20日現在)

地域平均気温平年差の経過(5日移動平均)(気象庁ホームページより)
気温経過

7月後半は、フィリピン付近で台風を含む積雲対流活動が活発となった影響で、日本付近の上層を流れる亜熱帯ジェット気流が北に偏り、暖かい高気圧に覆われるとともに、太平洋高気圧の張り出しが日本付近で顕著に強まったことなどにより、持続的な下降気流や晴天による強い日射のため顕著な高温となりました。

8月前半は、亜熱帯ジェット気流の北への偏りが顕著だったことに加え、太平洋高気圧の縁辺や動きが遅かった台風に伴う南からの温かく湿った空気が日本付近に流れ込み続け、フェーン現象の影響も加わり、日本海側を中心に記録的な高温となりました。

今夏の顕著な高温は、これらの要因に加え、持続的な地球温暖化傾向に伴う世界的な高温傾向の影響が加わったことや、北日本の記録的な高温には、周辺海域での海水温の顕著な高温状態が影響した可能性もあります。

7月後半の顕著な高温をもたらした大規模な大気の流れに関する模式図
(気象庁報道発表資料より)

模式図
 

日本海側を中心に高温をもたらしたフェーン現象

湿った空気が山を越えて反対側に吹き下りたとき、風下側のふもとで空気が乾燥し気温が高くなることを「フェーン現象」と呼びます。

下図のように、左方向から吹いてきた25℃の空気が山の斜面に沿って上昇します。水蒸気をふくんだ空気は、山を上るときに冷やされ、空気中の水蒸気が雲(水滴)に変化します。
1,000メートル付近から雲(水滴)が発生すると仮定すると、雲(水滴)が発生するまでは気温は100メートル上るごとに約1℃下がるので、1,000メートルの高さでは15℃になります。

一方、雲が発生すると、100メートル上るごとに約0.5℃と温度の下がり方が小さくなるため、2,000メートルの山頂での気温は1,000メートルより5℃低い10℃になります。

そして、雲になった水滴は、山を越える前にほとんどが雨や雪となるため、空気は乾燥しています。
この乾燥した空気が山の斜面を吹き下りるときは、気温が100mごとに約1℃上がっていくので、風下側のふもとでは山を上る前よりも気温は上昇し30℃となります。

フェーン現象の模式図(気象庁ホームページより)
フェーン模式図

このように、フェーン現象は、乾燥した空気が上昇する時に気温が下がる割合(乾燥断熱減率:100mで約-1℃)と湿った空気が上昇する時に気温が下がる割合(湿潤断熱減率:100mで約-0.5℃)の差により起こります。

フェーン現象は、標高の高い山がある地域であればいつでも発生する可能性がありますが、台風や発達した低気圧が日本海を通過する場合など、南風が強まりやすい気圧配置となった時、日本海側の地域で顕著なフェーン現象が発生しやすいようです。

フェーン現象が発生すると、急激な気温上昇や乾燥した強風が吹くことがあるため、体調管理や火の取り扱いなどに注意が必要となりますので、テレビ等の気象解説で「フェーン現象」という言葉が出てきたときは、予想最高気温や乾燥注意報、強風注意報の発表状況などを確認することが大切です。

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