線状降水帯の予測の開始

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近畿地方は2022年6月14日に梅雨入りし、いよいよ本格的な”雨”シーズンが到来しました。

そのような中、気象庁は2022年6月1日より、「線状降水帯予測」を開始しました。これは、2021年6月から始まった「顕著な大雨に関する情報」の発表基準を満たすような線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から、気象情報において「線状降水帯」というキーワードを用いて呼びかける情報です。(線状降水帯については「気象に関するトピックス 第2回」を参照)

今回は、この「線状降水帯予測」について解説いたします。(この記事は、2022年6月24日に掲載しています。)

線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけとは

2021年から始まった「顕著な大雨に関する情報」は、線状降水帯が発生した後に、線状降水帯によって非常に激しい雨が降り続いていることをお知らせする情報となっていましたが、2022年6月1日からは、線状降水帯による大雨発生の可能性が高い場合に、線状降水帯による大雨となる可能性を半日程度前から気象情報において呼びかける線状降水帯予測の運用が始まりました。
 

線状降水帯の例(左図)と発生メカニズムの模式図(右図)
(気象庁ホームページより)

気象庁は、これまで線状降水帯の発生を事前に予測することは困難としていましたが、線状降水帯による顕著な大雨により、毎年のように甚大な災害が発生していることから、線状降水帯予測精度向上を喫緊の課題と位置づけ、船舶による水蒸気観測の強化や、大学・研究機関と連携した予報モデルの開発を前倒しで進め、一定の精度で予測が可能となったこと、また今後も観測の強化や予測モデルの高度化等により予測精度の向上が見込まれることから、その第一歩として、複数の県にまたがる広域を対象(兵庫県の場合は近畿地方)に、半日前から線状降水帯による大雨の可能性についての呼びかけを開始することとしました。

そして、2024年度からは県単位で、2029年度からは市町村単位で予測して情報発表できるよう、今後も引き続き技術開発等を進め、更なる予測精度向上を図っていくとしています。

線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけの留意点

「線状降水帯」というキーワードを用いた気象情報の留意点は、次のとおりです。

  • 線状降水帯による大雨の正確な予測は難しく、この呼びかけを行っても必ずしも線状降水帯が発生するわけではありませんが、線状降水帯が発生しなくても大雨となる可能性が高い状況といえます。
  • この情報がお住まいの地域に発表されたら、大雨災害に対する危機感を早めに持っていただき、ハザードマップや避難所・避難経路の再確認等を行った上で、急速に危険度が高まる可能性に留意し、心構えを一段高める必要があります。神戸市が発令する避難情報や大雨警報、キキクル(危険度分布)等の防災気象情報と併せて活用し、自ら避難の判断をすることが重要です。
  • なお、線状降水帯だけが大雨災害を引き起こす現象ではないことから、線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけがなくても大雨による災害のおそれがあるときは、段階的に発表される防災気象情報や雨雲レーダーなどを適切に活用することが重要です。
線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼びかけ例

(気象庁ホームページより)

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