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台風並みの暴風となる「春の嵐」

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さわやかな晴天が多くなり、山など屋外でのレジャーに最適な季節となってきました。大型連休もあり、行楽地へ出かける計画を立てている人も多いのではないでしょうか。

しかし、3月から5月にかけては、日本付近で急速に発達する低気圧によって「春の嵐」と呼ばれる激しい現象が発生しやすい季節でもあり、注意が必要です。今回は、この「春の嵐」について解説いたします。(この記事は、2022年4月28日に掲載しています。)

春の嵐とは

春の嵐をもたらすのは低気圧です。低気圧そのものは季節を問わずあり、珍しいものではありません。しかし、3月から5月頃までは、北から入り込んでくる冬の冷たい空気と南から流れ込む初夏の暖かい空気がぶつかり会うことが多くなり、そのために低気圧が急速に発達することがあります。低気圧は台風並みに発達することも珍しくなく、強い風を吹かせたり、激しい雨を降らせることがあります。

春に発生する低気圧のすべてが春の嵐をもたらすわけではありません。低気圧になっても、暖かい空気と冷たい空気の温度差が小さい場合や、暖かい空気と冷たい空気のぶつかり合いが弱い場合は、低気圧はそこまで発達しません。春の嵐をもたらすほどの低気圧に発達するのは、暖かい空気と冷たい空気の温度差が大きい場合や、暖かい空気と冷たい空気のぶつかり合いが強い場合です。

低気圧が急速に発達することによって起こる春の嵐は、暴風雨を伴う急激な天候の悪化があることや、台風と異なり低気圧の中心から離れたところでも強い風が吹くため、広範囲で被害が発生しやすいことが挙げられます。また、低気圧の速度が速いため、低気圧が離れていくと、天候は急速に回復するという特徴もあります。
 
「春の嵐」と「台風」風の吹き方比較図(政府広報ホームページより)

「春の嵐」発生事例(2012年4月3日から5日まで)

2012年4月2日21時に黄海にあった低気圧が急速に発達しながら日本海へ進み、2日21時から3日21時にかけての24時間で、中心気圧は1,006ヘクトパスカルから964ヘクトパスカルへと台風並みに発達しました。

この低気圧の通過に伴う暴風により、和歌山県友ヶ島では、最大瞬間風速41.9メートル/秒を観測するなど、各地で記録的な暴風が観測され、転倒や屋根からの転落、倒木の直撃などにより多数の人的被害が出たほか、トラックなどの横転事故、住宅の破損や停電、交通機関のまひなど様々な被害が発生しました。
2012年4月3日9時の天気図(気象庁ホームページより)
 

春の嵐の脅威に備えるために

台風並みの猛威を振るう春の嵐は、台風と同様、事前に気象情報に注意して、必要な対策をとることが重要です。

春の嵐によって大荒れの天気が予想される場合は、その数日から1日前までに気象庁から気象情報が発表されます。また、週間天気予報を見ると、春の嵐が予想される日は雨予想となり、最低気温や最高気温も前後で大きく変わります。そして、低気圧が接近する段階では、状況に応じて「強風注意報」や「暴風警報」などが発表されます。

このように、気象情報や週間天気予報などから春の嵐の予想が可能となります。気象情報が発表されたら、その後発表される注意報や警報に注意するとともに、風が強くなる前に建物やその周囲を見直し、飛びやすいものは固定するなどの対策を行う必要があります。

また、海や山、川でのレジャーでは、局地的大雨や落雷、突風、強風による高波、上流域の降水による河川水位の急上昇などにも注意が必要です。春の嵐は暴風だけでなく、高波や大雨、雷などを伴う場合がありますので、常に最新の気象情報を収集するなどして、迅速かつ臨機応変に対応し、身の安全を確保することが重要となります。

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危機管理室総務担当