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インド洋ダイポールモード現象

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2023年7月20日に近畿地方の梅雨明けが発表され、いよいよ夏本番を迎えました。今年の夏の気温は、平年より高くなる可能性が高いと、気象庁の1か月予報や3か月予報で予報されています。その要因の一つとして考えられているのが「インド洋ダイポールモード現象」です。
 

今回は、エルニーニョやラニーニャ現象と同様に、世界中の異常気象の発生要因の一つと考えられている「インド洋ダイポールモード現象」を解説します。(この記事は、2023年8月2日に掲載しています。エルニーニョ/ラニーニャ現象は、以下の記事を参照してください。)

インド洋ダイポールモード現象とは

インド洋ダイポールモード(IOD:Indian Ocean Dipolemode)現象とは、インド洋熱帯域の海面水温が、南東部(スマトラ島沖)で平年より低くなり、西部で平年より高くなる現象で、「正のIOD現象」と呼ばれ、逆にスマトラ島沖で平年より高くなり、西部で平年より低くなる場合が「負のIOD現象」と呼ばれています。

スマトラの南西沖では、気候的に4月から10月にかけて南東風が吹いています。何らかの原因でこの南東風が普段より強まると、暖かな海水が西インド洋に移動し、西インド洋ではさらに海面水温が高まりますが、東インド洋では西に流された海水を補うように冷たい海水が湧き上がってくるため、海面水温は低くなります。これが正のIOD現象です。

一方、逆に南東風が弱まると、東から西への海流が滞るため、高温の海水が東側に滞留し、西側の海面水温が低下するのが負のIOD現象です。

正のIOD現象が発生すると、海面水温の変化に伴い、通常は東インド洋で活発な対流活動が西に移動します。逆に負のIOD現象が発生すると、通常時でも東インド洋で活発な対流活動がさらに活発となります。

このようにIOD現象は、熱帯インド洋の空と海がお互いに影響しあって発生する現象で、インド洋の東西で対照的な海面水温の変化が現れることから、双極子という意味の「ダイポール(dipole)モード現象」と呼ばれています。また、この現象は数年に1度、北半球の春ごろから現れ、秋に最盛期を迎え、冬までに急速に終息することが知られており、季節に対応した変化はIOD現象の大きな特徴となっています。

気象庁では、インド洋熱帯域西部(WIN(西極))と南東部(EIN(東極))をIODの監視海域として定め、これらの海域の平均海面水温からダイポールモード指数(DMI)を計算しています。
 

ダイポールモード指数を計算する際に使用する海域(気象庁ホームページより)
ダイポール1

インド洋ダイポールモード現象発生時の日本の天候の統計的特徴

インド洋ダイポールモード現象は、地球上のさまざまな地域に異常気象を引き起こすと言われており、日本の気候にも影響を与えると考えられています。

正のIOD現象が発生すると、インド洋熱帯域南東部上空の対流活動が平常時より不活発になることに対応して、北太平洋西部で積乱雲の活動が活発となります。このため上空のチベット高気圧が北東に張り出し、日本に高温をもたらすと考えられます。

また、インド付近も積乱雲の活動が活発になることから、地中海に下降流を発生させ気温が高くなる方向に働きます。これが偏西風の蛇行を通じて日本に高温をもたらすとも考えられています。
 


正のインド洋ダイポールモード現象が日本の天候に影響を及ぼすメカニズム
(盛夏期から初秋にかけて)
(気象庁ホームページより)
ダイポ2

 

エルニーニョ現象が発生していない場合の、正のIOD現象発生時に現れた日本の天候の特徴は以下のとおりです(気象庁のまとめによる)。

夏(6~8月)の天候の特徴

統計的に有意な傾向は以下のとおりです(7事例)。
平均気温:北日本、沖縄・奄美で並か高い傾向
降水量:北日本太平洋側で並か少ない傾向
日照時間:北・東日本太平洋側で多い傾向。北日本日本海側で並か多い傾向

秋(9~11月)の天候の特徴

統計的に有意な傾向は以下のとおりです(5事例)。
平均気温:東・西日本で高い傾向
降水量:西日本で少ない傾向
日照時間:なし

なお、負のIOD現象発生時の日本の天候の特徴は、明瞭ではないとされています。

2023年7月25日に気象庁から発表された3か月予報によると、冬に終息したラニーニャ現象の影響が残ることと、正のIOD現象の発生により、太平洋高気圧が日本の南で西に張り出しやすい見込みで、8月から10月の平均気温は高い見込みとなっています。

IOD現象やエルニーニョ/ラニーニャ現象など、大規模な海洋・大気の大循環が複雑に絡みあうことにより、日本や世界各地の異常気象が発生すると言われていますが、メカニズムなどについては、解明されていない部分も多くあり、世界の各機関で発生予測や地球温暖化との関連も含めて調査研究が進められています。

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