最終更新日:2025年10月24日
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インタビューの内容は2025年9月時点のものです。

西区の小学校で、5年生を対象に稲作体験の支援を行っています。子どもたちは苗づくりから田植え、稲刈り、そして収穫したお米の実食まで、一連の流れを体験しながら、農業の楽しさや大変さを学びます。また、田んぼの生き物観察なども取り入れ、総合的な学びにつながる授業を実施しています。この取り組みは2022年度に始まり、今年で4年目を迎えました。
次男が小学3年生の時、「お米が好き」と言ったことがきっかけです。うちでは、子どもが一年かけて本人が一番好きなことを自由研究するという方針があって、「じゃあお米を作ってみようか」と。神出の農家さんに相談したところ、最初はバケツ稲でいいと言われたんですが、本人は「田んぼで本格的に作りたい」と言うので、諦めずに何度かお願いしました。最終的には休耕田を貸してくださって、そこから本格的な稲作が始まりました。
稲作が新聞やテレビで紹介されたことで、学校の先生方にも知られるようになりました。当時の校長先生の「子どもたちに米作りをさせたい」という思いに応えて、校内にあった荒れたビオトープを田んぼに再生し、社会科の授業と連動した稲作体験が始まりました。子どもたちの学びがぐっと深まったと思います。
最初は水抜き栓もなく、どこから水を抜けばいいのかも分からない状態でした。ホースを使ってサイフォンの原理で排水したり、土を入れるためにライスセンターに相談したり、手探りで進めました。粘土質ではない「真砂土」というさらさらの土を使ったので、田植えも不安がありましたが、知人や先生方の協力を得てなんとか形にしました。

活動を続ける中で、たくさんの人との出会いがありました。農業の知識を深めたいと思って参加した「楽農アカデミー」で神戸学院大学の菊川 裕幸先生に出会い、助成金の申請や活動継続の仕組みづくりにもつながりました。今では菊川先生とそのゼミ生にも協力してもらいながら活動しています。人とのつながりが、次の一歩を後押ししてくれることを実感しています。
最初から大きなことをしようと思わなくていいんです。私も「子どもがやりたい」と言ったことを一緒にやってみただけ。でも、熱意を持って続けていたら、自然と助けてくれる人が集まってきました。私は「熱意は磁石」だと思っていて、本当にやりたいことを一生懸命やっていれば、不思議と協力してくれる人が現れるんです。
田んぼづくりは大変ですが、子どもたちが楽しそうに泥だらけになって学ぶ姿を見ると、やってよかったと思えます。なので、今後も希望する学校に稲作のプログラムを実施するためのお手伝いができればと考えています。
西区は、住宅地のすぐそばに田畑が広がっていて、自然がとても身近な地域です。でも、農業って「一番近くて一番遠い職業」だと思うんです。すぐそばにあるのに、実際に触れる機会は少ない。だからこそ、子どもたちが実際に田んぼに入って、土や水に触れながら学ぶことには大きな意味があると思っています。地域の魅力を体感できる、そんな場をこれからも広げていきたいです。