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定例会見 2025年9月24日

最終更新日:2025年9月29日

ページID:81408

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会見資料はこちら(PDF:3,874KB)

神戸里山再生戦略の策定 ~里山を未来の世代につなぐために~

司会:

 それでは、9月2回目の市長定例会見を始めさせていただきます。

 市長、よろしくお願いいたします。

久元市長:

 よろしくお願いいたします。今日お話を申し上げたい案件は1件、神戸里山再生戦略を策定いたしましたので、その内容を御説明申し上げます。

 神戸には里山が広がっております。この地図で御覧いただければ分かりますように、神戸は山があり海があるまちということで、神戸の港の風景、あるいは六甲山系ということがよく話題になるんですが、六甲山系の北側、また西側には大変広大な里山が広がっています。これは神戸の大きな財産と言ってもいいと思います。

 里山というのは、主として広葉樹林から構成される森林と、それから農地がある農村で構成をされますが、この里山には同時に由緒のある神社仏閣もたくさんありまして、また、神戸は全国の自治体の中でかやぶきの民家が一番多く保存されているエリアです。言わば自然と文化遺産が一体となった独特の魅力を形成しているエリア、これが里山です。この里山は、古くから人が山の中に入って、資源として使用する、薪を取り、まきを取り、活用するということによって維持されてきたわけです。

 しかし、もう60年、70年ぐらい前から、人々の暮らしが変わる、都市化することによって、里山に入る人が少なくなってきた。ライフスタイルの変化あるいはエネルギーの利用の転換によりまして、里山が次第に放置されるようになってきました。これを、このままでは様々な問題が生じていく、せっかくの神戸の財産が生かされない、これは非常に神戸としては問題ではないかと。里山の可能性というのをもっと生かしていこう、そこで神戸市の若手職員が中心になりまして、いろいろと庁内での議論、里山に関わっているたくさんの皆さん方から意見を聞き、若手の職員の皆さんが中心になって練り上げたのが、今日御説明をいたします神戸里山再生戦略です。現在の里山に新たな価値を生み出す、新たな循環を創出することで、持続可能な里山の姿というものを描いたわけです。

 現在の里山には様々な課題が、人が入らなくなって里山自身が、里山の樹木、これが放置され、大木となって、大変暗いものになっています。それから、放置竹林がどんどん拡大をしてきました。また、農地の中には耕作放棄地も広がっています。里山にはたくさんのため池があるわけですが、この管理も地域ではなかなか目が行き届かなくなって、管理が十分ではないため池も増えてきております。野生生物が出没し、外来生物も今後入ってくるということで、獣害も生じている、こういう課題があるわけです。

 そこで、若手職員が中心になって考えた大きな方向性は、1つは「循環」です。これからの時代を見据えた里山と都市との循環をつくっていく。2つ目は「DIY」。本来はDo It Yourselfという意味でしょうけれども、ここでは「誰でも・1回・やってみる」ということで、里山と市民など人との関わりをつくっていこう、広げていこうという方向性。3つ目は、里山の資源を使って森を若返らせるということです。循環的に利用することで、持続的な里山の管理を可能にしたいということです。

 里山には様々な方々が関わっています。里山の所有者の方、また、里山での様々な事業に従事をされる方、里山に関わり、また関心を持ち、活動しておられるNPO、あるいは地域団体の皆さん、幅広い市民の皆さんも最近は里山に関心を持っていただいていますし、企業も里山に関する関心が高まっています。大学には里山に関する研究者の皆さん、あるいは学生の皆さんもいらっしゃいます。こういう様々な関係者を、神戸市が言わばコーディネーター役になって、これをつなぎ、連携・協力ができるような、そういうようなネットワークをつくり上げていこうというのが、この再生戦略の大きな目的です。

 この里山再生については、4つの柱を据えておりまして、1つは資源循環をつくっていく。単なる啓発ではなくて、里山の資源の循環をしていく、そして、それをなりわいとして成立をさせていくということが1つ。2番目に、様々な主体が関わる人材の育成、確保をしていこうということ。それから、里山に関する技術あるいは機材を導入して、持続可能な里山に関わる支援を行っていくということ。4番目は、里山の問題を自分ごととして考えていただく、里山との関係性というものをつくっていこうと。いろんな主体が協働をして里山の再生に取り組んでいこうと、こういう4つの柱から成っています。

 少しこの4つの柱に沿って、具体的にどのような取組を進めていくのか御説明をいたします。

 1つ目は、里山の資源に新たな価値を見いだし、価値を評価する仕組み、地産地消の循環モデルをつくっていく、そして、それをなりわい、つまり、産業にしていくということです。里山のかなりの部分は広葉樹林で占められていますが、広葉樹林の整備、活用、再生のモデル的実施を行うというシンボルマークのロゴ、「KOBE WOOD」というものを、ロゴを作りました。これを普及させていく。

 それから、上のほうですけれども、里山の樹木を使って木材に加工をいたしまして、様々な神戸産の木材製品というものを開発し、マーケットに流通させていく。右側は神戸備長炭です。神戸の広葉樹林にあるカシ類、幾つかの種類のカシ類があるわけですが、これを炭にする。神戸から備長炭を作る。そのためには炭焼きの窯、施設を整備するという取組をこれから進めていきます。神戸産の備長炭で例えば神戸ビーフを焼いて食べるとか、そういう夢のある取組もこれから考えられるのではないかと思います。

 放置竹林が広がっていますが、竹の収集、加工、保管をする拠点を整備し、竹チップを循環型の農業にも活用する、あるいはアスファルトの舗装材に代わるような竹チップ(を活用した舗装材)、これは既に試験的に神戸の公園でも使われていますけれども、これを広げていくということですね。

 2番目が、里山に関わる人材の確保です。里山の管理には技術を必要といたしますが、そういう事業者の技術研修、あるいは資源活用のコーディネーター、先ほども申し上げましたように、資源が活用されるためにはいろんな方々が連携することが必要ですので、そういうコーディネーターを育成する。こういう形で森林管理の担い手を育成したいと考えております。

 それから、耕作放棄地の解消ということのためにも、やはり新規就農を増やしていくということが必要で、働きながら一定期間の研修を行っていただいて、規模の小さな農地を借りるところからスタートする、神戸ネクストファーマー制度をさらに拡充いたします。里山の地域資源を生かした起業を目指す若者の支援を行う神戸農村スタートアッププログラム、これもさらに進めていきます。

 里山にこういう形で関わっていただいて、里山のことを気に入っていただいて、そして、里山に居住する、里山居住の取組も進めていきたいと考えております。

 3番目が、里山の再生を行っていく上で必要な技術を開発し、そして、技術を活用した機材を導入していくということですね。里山の管理を省力化するために、ラジコン草刈り機などの導入に対する補助などを行いますし、また、ラジコン草刈り機やドローンなど、スマート農機の導入も支援をいたします。農政公社が一定のこういう資機材を保有いたしまして、これを貸し出すと。下の竹チッパーも貸し出して粉砕をすると。こういうレンタル事業も既にスタートしております。

 それから、農業被害を減らすためには野生鳥獣の動きを把握することが必要で、ICTを使った調査などもこれから進めていきますし、狩猟体験をするという機会も増やしていきます。

 最後に、里山との関係性の創出ということです。里山の問題というものを自分自身の問題として捉え、課題を知っていただくために、様々な主体が連携して、協働して取り組む、そういう活動を広げていきたいと考えております。

 既に自然共生サイトにも認定されている小河の山林あるいは周辺の棚田を、言わば里山再生の社会実験の場として、様々な方々に来ていただいて活動していただく。この自然共生サイトには、かなり企業も関心を持っていただいていますので、企業の支援、それから、企業の皆さん、社員の皆さんが活動をしていただくと。そういう取組ですね。

 左下の写真ですけれども、里山には生物多様性が確保されておりますので、これを一層保全していく活動も広げていきたい。それから、右上の写真ですけれども、里山の樹木の伐採を指導する、あるいはこれを活用する、そういう取組のほうを伴走型でサポートする支援を行っていきたいと考えております。また、都市住民がアクセスしやすい近くの里山には、人材交流拠点の整備も進めていきたいと考えております。

 里山は、自然の恵みを感じることができる場所です。こういう里山の再生に取り組んでいただくということは、そういう活動を通じて、改めて人々とのつながりを新たな見地、新たな視点でつくり上げていく、そういう機会を創出してくれる場所ではないかと思います。

 今、特に子供たちのスマホに関わる様々な事象が問題になっていまして、子供たちのスマホを規制すると、時間を区切るとか、様々な規制の議論が行われています。それはそれとして議論が行われているでしょうけれども、このスマホへの対応、特に子供たちへのスマホの対応を考えたときに、大事なことは、ただ単に規制をする、スマホから遠ざけるということではなくて、このスマホで見知らぬ他者とつながっているよりも、もっと面白い世界というのがある、自然の中で体を動かすということが、スマホで長くつながっているよりももっと楽しい経験になる、こちらのほうが気持ちのよい時間と空間の中に自分を置くことができる、そういう経験をするということも大事ではないかなと。神戸はそういう機会を子供たちに提供、幅広い世代の皆さんがこのリアルな世界、自然の中ですてきなひとときを、快適なひとときを送ることができる環境というものを持っているというふうに思います。

 この可能性というものを生かして、里山を再生する、そして再生をする過程に市民や企業やNPO、大学などたくさんの方々に参画をしていただいて、豊かな時間を過ごしていただきたい。そういう豊かな時間を提供する都市として、神戸はこれからも歩み続けていきたいというふうに考えております。そういう基本的な問題意識を持ちながら、この里山再生戦略を神戸市として策定させていただきました。

 私からの説明は以上です。

質疑応答(発表項目)

記者:

 今、市長もいろいろおっしゃっていただいたんですけども、里山をなぜ整備するのかというその必要性なんですけど、都市部で住んでいらっしゃる方には、ちょっとその必要性というのは分かりにくいかもしれないんですけど、なぜ里山を整備しないといけないのかというとこら辺を改めてお願いしたいんですが。

久元市長:

 整備をしなければいけないというよりも、里山には非常に大きな可能性があるということ。課題があると同時に可能性がある。この可能性を引き出して、より開花させるということが、私たちの暮らしを豊かにし、あるいは新しい産業の育成にもつながる、そういうような視点ですね。この里山の再生というのはなかなか、市民の皆さんも御存じじゃない方がいらっしゃるかもしれませんけども、同時に様々に関心を寄せていただく方々も増えていて、企業の関心も高まっています。

 前も申し上げましたけれども、世界的に森林に対して、グローバル企業なども大きな関心を持ち、グローバル社会の中で資金の拠出をするということが行われているわけですけれども、そういう動きを日本に当てはめる、神戸に当てはめたときには里山という。里山というのは、次第に国際用語にも一部では、まだ完全に外で知名度を獲得しているわけではありませんが、この里山という言葉が次第にグローバル社会でも知られるようになって、生物多様性という面でも、あるいは自然と人間との共生という面でも、次第に少しずつ、いわば市民権を獲得しつつあるというふうに考えておりまして、そういうような動きというのをぜひ市民の皆さんにも知っていただき、そして具体的な活動にも参画をしていただくというふうに思っております。

記者:

 あと、例えばインバウンドの里山訪問とか何かそういった、外国人の誘客とかそういう活用とか、そこまではまだ考えていらっしゃらないという感じですかね。

久元市長:

 いや、結果的に、インバウンドの方々は、日本の自然とか文化に関心を持っておられる方々がたくさんいらっしゃいます。今、神戸の現状を見て、すぐにインバウンドの方が神戸の里山を訪れていただくようになっているかどうかというのは、まだ未知数の部分がありますけれども、里山が再生をされていく、そういう道筋が見えてきたときに、この神戸の里山をぜひ訪れたいという、新たな観光資源としての可能性ということも見えてくるのではないかというふうに思っております。

記者:

 この戦略について、2025年度から27年度の中長期のような感じに思えるんですけども、まず、直近としてはどんなアクションから始めていくというのは。

久元市長:

 2025年度から2027年度までで、先ほどこの1番目から4番目まで、次のページから写真で示しましたけれども、これはもう既に、一部はもう既にスタートしているものもありますし、従来からやっているものもありますし、新たにスタートさせるものもあって、2027年度までの期間、取りあえずこの間のアクションプランとしてつくりましたので、この3か年で重点的に進めていきたいというふうに考えております。同時に、これは当然この3か年で終わるものではなくて、3か年で道筋をつけて、息の長い取組として、今後とも続けられるようになると思います。

記者:

 こういった、今、それぞれのプレーヤーをつくったりだとか、実際に人を招いて、何かフィールドワーク的なことをやったりとかされて、それぞれもされていますけど、これを何でしょう、束ねるというか、神戸が里山に力を入れている、資源としようとしているというのを、何かそれぞれが点でやっていてもなかなか見えてこないと思うんですけれども、それを広く、ちょっと規模感を出すような、何かそういった部分のお考えというのは、今後どういうふうにやっていくんでしょうか。

久元市長:

 既に神戸市自身が、まずこれは新しい戦略ですから、これは里山再生戦略というような形で銘打って戦略をつくった自治体は、全ての市町村の中にはあるかもしれませんけれども、指定都市とか大きな市、それから都道府県の中にも多分ないだろうと思うんです。新しい戦略です。新しい視点の戦略です。そういうことを考えたときには、やっぱりこれは神戸市が主体的に、まず関わる必要があるんだと思いますね。神戸市がコーディネーター役になる。もう1つは、こうべ森と木のプラットフォームという、この森林の再生と都心の緑を増やしていくという取組、これは森の未来都市神戸推進本部を別途つくっておりまして、そういう観点からも進めていますけれども、このこうべ森と木のプラットフォームというのも、そういうコーディネーター、つなぐ役割を果たしています。

 もう1つは農政公社ですよね。これは農業振興をメインとした神戸市の外郭団体ですけれども、ここも先ほど申し上げたように、レンタル資機材を保有して、これを貸し出すというような形でも行いますけど、そういう個々の事業だけではなくて、この農政公社も農業者、それから、里山の所有者はもちろんその地域の方々、営農されている方もいらっしゃいますから、そういうような方々とつないでいくという役割、こういうところがそういうつなぐ役割を果たしていくという形で進めていきたいと思います。新たな里山再生だけをやる法人をつくるというのも、これも外郭団体を増やすことになって、ある意味外郭団体改革という面から見て問題ですから、こういう関係者がよく連携をして進めていくということが重要ではないかというふうに思います。

記者:

 最後、もう1点ですけれども、その里山をこのような戦略で、何でしょう、理想的な姿としては、例えば市民が週末に里山に遊び行くだとか、あと、その里山周辺の住む人口が増えるだとか、あと、企業なんかも、さっき何か、最近は里山に対して注目しているというお話ありましたけど、理想的にはどんな関わりが、市内外ですけど、今考えていらっしゃいますか。

久元市長:

 理想的な姿というのは、もう60年前、70年前の里山の姿を復活させるということでは、それは無理だと思いますが、しかし、かつてそこにあった明るい森を復活させていくということ、アプローチは全く違うし、社会情勢も背景も違うけれども、かつてあったように、太陽の光が地面まで届いて明るい森となる。そして、そこでの木材資源が、広葉樹が資源として使われる。かつては農家の薪やまきとして使われたわけですけれども、今回は、次のページにあるようなこういうクラフトだとか、あるいは建材だとか家具だとか、あるいは炭だとか、かつては炭にも使われたかもしれません。あるいは竹チップだとか、こういう資源として使われる。それが新たななりわいとなり、産業、つまり、今、神戸には事実上存在しない林業を育てて、神戸の新しい産業として育成をしていく。明るい森となり、その明るい森にしていく過程にたくさんの人々が関わり、その関わる中で、自然の中に身を置くことの喜びや快感というものを感じていただく。子供たちにもそういう経験をしていただく。そして結果的に、神戸の森が明るい森となり、生物多様性が回復し、そして神戸なりの循環型の社会ということを下支えしている。そういうような姿というものが将来、現出することができるわけです。そしてそれが可能であるということのイメージをたくさんの市民の皆さんが共有することができれば、それは、神戸という都市が神戸の中にある財産を生かして、新たなライフスタイル、あるいは産業モデル、循環社会のモデルということを提示できるのではないかというふうに考えています。

記者:

 先ほど市長に御答弁いただいたところで、指定都市や県では初めての新しい視点の戦略というお話があったんですけれども、新しい視点というところをもう少し具体的にお伺いしたいんですけれども、どういうふうに。

久元市長:

 新しい視点というのは、里山に着目するということ。これも、里山に着目した取組というのは行われているわけですけど、里山ということを冠した戦略というのはまずほとんどないようなんですね。

 同時に、今回の里山再生戦略というのは、先ほども申し上げましたように多面的な目的を持っています。4つの視点なんですよね。資源循環、それから人材の確保、育成、新たな技術・機材の導入支援、そして里山との関係性という複数の視点を持ちながら、先ほども申し上げたような、里山に着目した循環型社会の育成なんか、そこにたくさんの方々が関わることによって、より私たちの暮らしを豊かなものにしていく、快適なものにしていく。そして大都市としての、都市の発展性の中の今までにない視点を導入することによって、神戸というまちの発展可能性というものをより広げ、高めていく、こういうところが新しい視点ではないかというふうに思っています。

記者:

 戦略というお話だったんですけども、この27年度までに何か今の段階で決まっている数値目標みたいなものはあるんでしょうか。

久元市長:

 里山に数値目標を入れるということは多分不可能ではないかなというふうに思います。

記者:

 この4つの柱で進めていくと。

久元市長:

 はい。

記者:

 あと最後に、子供たちへのアプローチというお話も最後少しあったんですけど、何か小学校とか中学校とか、子供たちが里山に触れられるような施策というか事業みたいなものも今後展開されていくという感じでしょうか。

久元市長:

 それは、教育委員会のほうでこの里山再生戦略ということも意識した取組をしていただきたいと思いますが、学校教育の中でというよりも、学校教育現場というのは学ばなければいけないことがたくさんありますから、学校現場というよりは社会全体で、子供たちが里山に親しむ機会を増やしていくという取組をそれぞれの立場で行っていただきたいと考えています。神戸市はコーディネーター的な役割を果たしながら、従来からも子供たちの外遊びの機会を増やすということを、いろんな事業、取組を進めていますが、外遊びをする場所が里山であるということは、可能性としては十分にありますね。神社の境内なども、里山には非常に魅力的な神社がたくさんありますから、そういうところで活動してもらう、子供たちに外遊びをしてもらうということもこの里山再生戦略が意識している1つのシーンと言ってもいいかもしれませんね。光景ですね。

記者:

 2点質問なんですけれども、先ほど市長からのお話にもあったとおり、人が入らなくなってきてから60年、70年という時間がたってきたということで、その間、高齢化だったり人口減少だったりとか里山のエリアでは進んでいるわけですけれども、今、里山の再生に取り組まれるというのは、このタイミングを逃してはやっぱりますます難しくなるとか、そういうようなお考えもあったんでしょうか。

久元市長:

 何もしなければ変わらないし、もっと悪化していくでしょうね。木はもう十分大きくなって、倒木自身は、市街地だとか人命に影響すること、これは絶対避けなければなりません。山の中での倒木というのはそんなに問題がないように見えるけれども、しかし、二酸化炭素の固定ということを考えたときに、木が成長していく過程では二酸化炭素を木の中に固定することになるので、これは脱炭素化につながります。しかし、木の成長が一定のところまでいくと、これ以上炭素は吸収しなくなる。そして倒木してしまうと、樹木の中に蓄えられた炭素が外に放出されることになると。これは、脱炭素化に逆行することになる。つまり、森林が脱炭素化のために貢献するということのためには、木が常に新しく更新され続けていくということが必要ですね。そのためには、適宜間伐をする、伐採をするということによって、常に木が成長していく環境ということをつくっていくことが必要で、かつてはそれが無意識のうちに人々のなりわいの中で行われていた。

 ところが、それがなくなってしまっているので、木はどんどん大きくなり、暗い森になり、老木化し、倒木が起きることによって、脱炭素化にも逆行する。これをもう1回人々が中に入ることによって明るい森にしていくということは、そういう気候変動に対する対応にも貢献をするということになるのではないか。そういう考え方や問題意識というのはかなり広く共有されるようになってきていると思います。

記者:

 あと1点、この戦略を拝見していると、市の部署の中でも複数横断してくるのかなというような感じがしますけれども、そこをまとめる部署というか、新たにつくられたりだとか、そういった考えは、市長、ございますか。

久元市長:

 この戦略は、地域協働局が所管をして、そして、若手職員が中心で戦略を立ててくれました。これはそれぞれの部局で実施することになると思いますし、全体の調整は、そこは地域協働局、企画調整局が中心で調整していくということになると思います。また、神戸の森林の再生ということになると、森の未来都市神戸推進本部があって、そこで年に何回か会合が開かれたり、あるいは頻繁にいろんな情報交換をしていますから、そういう形でも調整が行われることになると思います。

記者:

 先ほどからおっしゃられている若手職員にプロジェクトチームを任せたというところなんですけど、今回、若手というところのアイデアを活用されたというのはどういう意図があってでしょうか。

久元市長:

 これは、私がお願いしたというよりも、地域協働局の幹部のほうでそういう発想に立って進めてもらった。私からは、いろんなことについて、ぜひ若手の皆さんの意見を取り入れて、若手の皆さんに新しい発想、アイデアを出してほしいということは常々申し上げております。この点について特段申し上げたことはなくて、そこは地域協働局の幹部のほうで、若手の皆さんが中心になってつくっていくのがこのテーマについてはふさわしいというふうに考えたものというふうに思います。

記者:

 あと、森の未来都市神戸推進本部は、森林の再生という戦略であって、地域協働局さんのほうで今回の里山戦略について調整を行うという意味の分担ということですかね。

久元市長:

 いや、そこは截然と分かれているのではなくて、両者が緊密に連携してやればいいと思います。森の未来都市は、神戸のまちの中の緑化、木陰を増やす、緑を増やすという、そして、神戸の森林の再生という、これを一体的にやろうということですね。里山の場合には、この里山のエリアの再生ということなので、かなり重なり合っている部分はあります。この里山のほうは、やっぱり農業の振興ということとかなり一体的にやらなければならないので、先ほども申し上げましたように、農政公社も積極的に役割を果たしてもらう、農家の皆さんや、あるいは、農村地域の土地所有者の皆さんにも積極的に参画をしていただきたいというふうに思っています。両者を緊密に連携しながら、同じ方向に向かって緊密に連携しながら仕事を進めることができると思います。

質疑応答(発表項目以外)

記者:

 先日発表があった案件なんですけども、神戸市が10月から終活のトータル相談窓口を設けられるということで、市が、行政が終活相談を受けるという流れが少しずつ来ているのかなと思うんですけども、市長としては何かこれに対して意義とか、何か思うところはありますでしょうか。

久元市長:

 やはり、誰もが人生の終えんを迎えることになる、そういう日を迎えることになるわけですけれども、自分の人生の終えんというものを自分自身で決めるということ、これはとても大事なことだろうと。生前のうちに、例えば葬儀だとか、あるいはお墓だとか、また財産の整理、あるいは遺言を作成して、どう保管をして、これを自分の死後に実行に移していくのか、こういうことを、やはり自分自身の責任で決めたいという、そういうニーズが高まってきていると感じておりました。これは民間のサービスもあるわけですけれども、やはり行政が関わることによって、より安心した支援につながるのではないかと、そういう思いで、この10月から終活の(相談)支援窓口を開設し、それからエンディングプラン・サポートの所得要件を撤廃したんです。所得要件を撤廃して使えるようにいたしました。

 これは、少し話が長くなるかもしれませんが、かなり長い経緯がある話です。いろいろな試行錯誤をしながら、この10月のスタートに至ったわけですけれども、スタートは神戸市が管理している市立墓園の在り方を議論しようということで、これは、当時はまだ保健福祉局だったかもわかりませんし、今の健康局だったかもしれませんが、墓園の在り方を議論しようという提案を私が幹部から受けたんですけれども、そのときの発想は、墓園を、より民間活力を活用するという視点だったんですけども、しかし、単に民間活力を活用するということだけではなくて、やはり墓地に関する、つまり自分の死後の世界になるわけですけれども、お墓というのは、これを考えるときに、家族観だとか、あるいは死生観だとかというのが、やはり変わってきているのではないだろうか、先祖代々のお墓を祭るということはとても、これは必要なことではあるわけですけれども、それにこだわらないでお墓を考えるという、そういう変化というのが出てきている。そういうようなことを考えたときに、このお墓の在り方として、今までの、先祖代々のお墓とは違うお墓の在りようということも考えようということで、そこでの議論を踏まえながら、合葬墓(のニーズが高いこと)、あるいはもっと違う、期限付の墓地というのも、そこでの議論を踏まえながらスタートさせることにしたわけです。

 そこではかなり幅広い議論をしたわけですけれども、やはり終活ということを考えたほうがいいのではないか。つまりお墓ということに関連して葬儀の在りようということを考えたときに、これは横須賀市がモデルになったと思うんですけれども、そういう、非常に限られた自治体ではありますけれども、自分の葬儀の在り方ということを行政が相談に乗るということをやっている自治体がある、これを参考にいたしまして、このエンディングプラン・サポートをスタートさせることにしたわけです。そしてこれは所得要件を設けることにしてたんですけども、これも、所得要件を満たさない方からの相談が大変多いということで、今回これを撤廃することにいたしました。これは、その後は庁内の議論ということになるんですけども、庁内での議論としては、やはりそのように、人々の意識が変わってきている。あるいは身寄りのない高齢者の方も増えている、そういうことを考えたときに、やはりこのエンディングプラン・サポートだけではなく、もう少し幅広く、死後の、自分が人生の終えんを迎えるときに課題となる事柄について幅広く相談に乗るということもあり得るのではないかと。これは庁内で議論をいたしまして、もちろん担当局は関係者に聞いたと思います。そういう経緯で、今回、終活の相談窓口をつくることになりましたということです。

記者:

 もう1点だけ、その件なんですけども、市長もこれまで御指摘されているように空き家問題とか独居、孤独死とかも社会問題になっているところもあって、登記の義務とか、いろいろ、そういった、行政が関わるところの、御高齢の方々の状況を把握するというのはメリットもあるのかなと思うんですけど、そういう点もあるんでしょうか。

久元市長:

 今回の終活相談窓口は、やはり遺産の問題、遺言と遺産がメインです。空き家は間接的にはそれに関わってくるところはあろうかと思いますが、空き家の管理、もちろん独り暮らしで住んでおられる方がお亡くなりになって空き家になるということはありますけれども、それは空き家に対する対策として考えていくということだろうと思います。

記者:

 スタートアップ政策についてお聞きするんですけれども、今、里山の戦略は神戸市が全国に先駆けてというようなお話がありましたけど、スタートアップのほうも市長になられてから全国に先駆け10年近く政策をされていますけれども、現時点での評価とか今後の展望と今のお考えを教えてください。

久元市長:

 今、御指摘いただいたようにスタートアップに対する支援策というのは神戸はかなり早かったと思いますね。これは、私自身、アメリカの西海岸に行きましたときにサンフランシスコ等に拠点がある500Startupsを訪れまして、日本での拠点を探していると。アジアにはかなりの拠点があるけれども、日本にはないので探しているということで、これはぜひ神戸に誘致したいと。その後は関係局が随分交渉してくれました。日本での500Startupsの取組がスタートをしました。これは一定の成果が上がりましたので、そこは終了することにいたしました。ただ、スタートアップの取組というのが各自治体、これは大都市だけではありませんが、都道府県も含めて広がっていく中で、どれだけそのスタートアップが実際にビジネスを起こし、資金を調達し、上場にこぎ着けるということを考えたときに、やっぱり残念ながら神戸市の先を行く自治体が出てきているということは、これは率直に言えるだろうと思います。

 やっぱりスタートアップの集積というのは、経済の自力というのがそこにあるわけです。それから、スタートアップの皆さんというのは、ネットでももちろん頻繁に情報交換をしますけれども、顔を突き合わせて、いろんな夜の懇談も重ねながら、そしてマッチングをするということを考えたときに、やはり、特に東京、渋谷なんかがそういう意味ではスタートアップの集積が非常に盛んになってきているというところがあります。

 そういうことを考えたときに神戸市は、神戸のありようでこのスタートアップの支援ということをやっていかなければいけないということで、バイオメディカル、医療産業都市でのスタートアップ、ベンチャー企業が集積する拠点、ラボビルも数多く建設するということをやってきましたし、それから、最先端のDXやバイオメディカルの分野というのは神戸が進めている産業政策にも合致するわけですけども、同時にもっと生活に根づいたスタートアップということもあるのではないかということで、まだ数は少ないんですけれども、新長田などで下町スタートアップと言いまして、これは空き家の活用とも連動するわけですけど、空き家に生活に根差したスタートアップに入っていただくという取組をする。そういう取組を進めていますので、神戸は神戸なりのありようでスタートアップ支援というのを進めていこうと思います。

記者:

 ということは、神戸といえば医療産業とかがやはり、外から見てそう見える方向を目指していくという感じなんでしょうか。

久元市長:

 いや、それは1つの強みですし、それはそういうことにぜひ進めていきたいと思っています。かなり集積が進んでいます。ただ、それだけではなくて、先ほども申し上げましたように、とにかくスタートアップというのは若い皆さん、あるいは在学中の皆さんも含めて、若い世代の皆さんがとにかくビジネスを始めるということですから、それはより生活に密着した分野ということもあるわけなので、そういう取組も並行して進めていきたいと思っています。

記者:

 あと、最後に1点ですけど、ちょっと関わる話題なんですけれども、新しいビジネスを生むという観点で国家戦略特区という制度がありまして、兵庫県も特区指定はされていますけれども、今年、内閣府が公表した評価では、兵庫県は2年連続、規制緩和などの提案がないというふうに、活用に努めるようにと指摘されていまして、兵庫県ではありますが、神戸市も重要な立場だとは思うんですけれども。ただ、あまり知られていないような声も聞いたりしまして、活用できていないのはもったいないと思うんですけれども、ビジネス創出、国家戦略特区で全て解決できるわけではないと思うんですが、この活用については今どうお考えでしょうか。

久元市長:

 国家戦略特区による規制緩和というのは、やっぱり、実際にビジネスをされている方、大学で研究されている方、大学発のスタートアップも生まれていますから、そういう実際に携わっておられる方から見れば、現状の規制が、言わば足かせになっていることは多分あるだろうと思うんですけれども、その声が、ひょっとしたらなかなか、実際に国家戦略特区で提案するのは(主に)自治体ですから、我々のほうに十分届いていない可能性もありますね。そういうところはちょっと反省点として、非常にいい御指摘をいただいたと思いますから、これを反省点として、改めて、そういう声やニーズというのがあるのかどうか、これはやっぱり確認をして、必要な対応を検討していきたいと思います。

記者:

 今、指定都市市長会で進めている特別市の法制化に関して、9月の初めに久元市長を含めた市長会の方々と、あと、国会議員の方々が石破首相と面会されたというふうに伺っているんですけども、どういった議論が具体的になされたのか、市長会としてどういった要請をしたのかというところを含めて、答えられる範囲で教えていただけますでしょうか。

久元市長:

 まず、石破総理にお会いをしたのは9月の初めだったと思いますが、たしか9月4日だった思います。これは、「指定都市を応援する国会議員の会」の会長の逢沢先生を中心に総理に面会いたしました。その後、村上総務大臣にも面会いたしまして、地方制度調査会で特別市制度の創設を含む多様な大都市の在り方について検討していただきたいというお願いをしたと思います。これに私と川崎市の福田市長と相模原市の本村市長が同席をさせていただき、そういうお願いをしたということです。

 地方制度調査会についての、これも明確なお答えというのはありませんでした。それは、私どもとして、この場で明確なお答えがなされると期待していたわけではありませんが、この特別市制度というものは、指定都市の権限や財源を単に拡大するということだけを目的としているのではなくて、やはり急激に人口が減少している、そして現役世代も減少している。そういう中で、増大し続けるニーズに対して、職員もこれ以上増やすことができない、現実に採用することができないということを考えたときに、今の長年続く一律の都道府県、市町村の制度というものがやはり制度疲労を起こしているということについて私どもは主張したわけです。それについては、総理あるいは村上総務大臣も、今いろんな問題が起きてきているということについては理解を示していただいたというふうに私は感じております。

記者:

 今おっしゃった次の地方制度調査会の諮問事項とするよう求めるという点に関しては、今後、市長会として関係省庁に対して要請していくということは具体的になされていくということになりますか。

久元市長:

 これは内閣総理大臣の諮問機関ですから、直接の所管は内閣府ということになりますが、実質的に事務方をそろえているのは総務省ですので、事務的には総務省に対して要請をするということになるかと思います。

 同時に、これは先ほど申し上げたように単に指定都市の権限や財源の拡大だけを目指しているのではなくて、今、全国の自治体が抱えている人口減少下において、今の制度のままで本当に持続可能なのかどうかということは我々も問題視していて、そこは全国市長会や全国知事会などに対しても情報を共有し、できれば一緒に議論をすることができればありがたいというふうに思っています。

―― 了 ――

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