最終更新日:2025年5月14日
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司会:
それでは、5月1回目の市長定例会見を始めさせていただきます。
市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。今日お話を申し上げたい案件はワシントンの世銀のカンファレンスの出張と、それから地域貢献窓口をつくりまして1年になりますので、2件お話をしたいと思いますが、その前に、ワシントン出張中に阪急阪神ホールディングスの角和夫会長の御逝去についての報に接しました。去年も何回かお会いをいたしまして、いろんな意見交換をさせていただいておりましたので、大変驚きました。改めて哀悼の意を表したいと思います。
角会長は神戸のことを本当に長い間気にかけていただき、また、近年進めている神戸市の重要プロジェクトに様々な形で御支援、御貢献をいただきました。今、三宮が大きく変わりつつありますが、一番最初に姿を現しましたのが、神戸三宮阪急ビルなんです。これが完成をいたしましたときに、角会長自らホテルの部屋の中まで御案内をいただいたり、サンキタ広場がリニューアルオープンしたときも御出席をいただいて、御挨拶をしていただきましたことを思い起こします。
神戸阪急の全面リニューアル、これも本当に神戸全体の経済にとってもありがたいことでした。六甲山上で展開していただいている六甲ミーツ・アートについて、阪急阪神ホールディングスさんにもっと神戸市も参画を強化する形で、もっと大きなものにできないでしょうかという提案をさせていただいたら、もう二つ返事で了解をしていただいて、大阪でかなり規模の大きな共同記者会見をしていただいたことも思い起こします。
そういう中で、大きな出来事だったと思うのは、北神急行の市営化です。これは、北神急行はもう運賃が非常に高いと、沿線人口も減少するということで、このままではもう立ち行かなくなるということは、関係者の共通理解だったわけですけど、それではこれをどうするのかということについては、なかなか難題でした。いろんな途中経過があり、水面下での交渉がありましたけれども、神戸市営地下鉄が北神急行を買収する、市営化するという形で決着をいたしました。神戸市も、今まで運行していなかった北神急行電鉄の部分も自ら運行する。また、198億で買収するということで、神戸市にとっても将来的な面での負担を負うということだったんですけれども、同時にこの北神急行電鉄の債務を神戸市は引き継がないという合意でしたので、阪急電鉄グループさんにとっても痛みを伴うものになったと思います。難しい課題を最終的に角会長の御決断で、これを実現することができました。
もう振り返れば、この運行が始まったのが2020年6月ということで、コロナが始まった非常に難しい時期だったわけです。嵐の中の船出だったと思いますが、あのコロナの時代で、乗客も大幅に減っている。北神地域、神戸市の北区、また、北摂地域の活性化につながる、そういう決断をしていただいたことを改めて思い起こします。
私は、角会長は高校の先輩ということもありまして、神戸に戻ってきていただいたときから、折に触れて、いろんなお話を聞かせていただいています。時々つぶやくようにおっしゃっていたのが、これ鉄道マンのロマンなんですよねというようなことを何回かつぶやいておられたのをお聞きしたことがあります。これから角会長には、天上から、神戸は夢のあるまちづくりをしていますかということを語りかけていただくのではないかというふうに感じています。改めて、神戸市への御貢献に感謝を申し上げたいと思います。
それでは、御報告に入りますが、5月4日から8日まで、ワシントンに出張をいたしましたのは、世界銀行本部からの招待によるものでした。この世界銀行は、土地カンファレンスという会合を主催いたしましたが、その主な動機は、気候変動の中で、土地所有、あるいはその利用の在り方をどうするのか。アクセスの確保をどうするのかということをテーマに、神戸市も含めて富山市の藤井市長が参加をされましたけれども、幾つかの都市の優良事例というのは向こうの表現でおこがましいんですけれども、そういう事例をそれぞれ発表しながら議論をするという場でした。
私からは、人口がどのように変動をしていくのかということ。それに、人口の増加期、そして震災が、この年が神戸の人口のピークになるわけですが、その後、この人口の減少が始まってから、そして特に近年、この人口の減少に応じたどのようなまちづくりをしているのかということをお話しいたしました。
人口がどんどん増えていくときは、とにかく山を削って海を埋めたという、山、海へ行くというテーマで具体的にどんな事業をしたのかということを、写真でお話をいたしましたし、突然の震災に対して、内外からいただいた御支援に感謝を申し上げるとともに、その後のこのレジリエントな、強靱な、この災害に強い都市基盤をつくっていく。一例といたしまして、大容量送水管のお話をいたしました。
人口減少時代においては、神戸では、都心に居住機能を集中させるということをしないで、商業業務機能を重視したにぎわいのあるまちづくりをする。そして、そういう目的のために、高層タワーマンションは、次のページですけれども、タワーマンションは原則としては、これはもう、すぐ駅の近いエリアについては、これはそもそも立地をしない。その周辺についても、誘導策を大幅に見直して、商業業務機能を重視したまちづくりをするということをお話しいたしました。そして、やはりこの持続可能なまちづくりのためには、今ある資産をどう使うのかということが非常に大事で、そういう意味で、この空き家空き地対策、これに力を入れていることを幾つかの事例でお話をしたわけです。
このカンファレンスでは、残念ながら時間的な関係もあって、出席者同士で十分な意見交換はできなかったわけですが、その後のパーティーではおかげさまで世界銀行の職員、出向をしている方もいらっしゃいましたけれども、日本の企業、あるいは世銀にもう籍を移された方、また海外からの方ともいろんな意見交換ができ、大変有益でした。
その中で感じたのは、やはりかなり多くの方々が世銀の中で、ばりばり活躍していただいている皆さんが、この気候変動と、それから災害の頻発ということを結びつけて考えておられる。災害に対してどう立ち向かうのかということ。こういう観点から、この神戸の地震後の、あるいは地震時、そして地震後の取組についてはかなり関心を持っておられるということがよく分かりましたので、今後とも、神戸のそういう災害への取組ということ、これを発信していく努力ということを改めて世界銀行も含めて行っていきたいというふうに思っております。
あわせて、世界の各国、各地域、また自治体のレベルでも、この前、神戸でグローバルカンファレンスをやりまして、海外からは8つの市の市長がお越しになりまして、これは大変有益な意見交換が行われましたけれども、世界各地で起きる、例えば大規模な山火事や水面上昇、また洪水や土砂崩れなど様々な災害に対してどう災害発生時、それから後の復旧復興について、都市自治体がどういう役割を果たすのかということについての議論が行われたわけですけれども、こういう面で、海外の知見も神戸市自身も吸収をして、神戸市の災害対策のレベルというものを上げていくことが必要ではないか。これはこの前の神戸でのカンファレンス、そして今回のワシントンのカンファレンスということを通じて感じたところです。
2番目が、地域貢献応援相談窓口を開設して1年になりましたので、この運用状況について御報告をしたいと思います。
これをなぜつくったのかということですけれども、神戸市内でも、あるいは神戸市の近辺においても、何らかの形で地域のために役に立ちたい、社会のために役に立ちたい、神戸のために役に立ちたいと思っておられる方はたくさんいらっしゃいます。そういう方々が、神戸市の各組織に相談があったときに、どうしてもこれは職員が悪いというわけではなくて、どうしてもそれぞれの部署は役割分担が決まっていますから、所管外のことを言われても、ちょっとうちに相談をされてもということが、かなり多かったと承知をしています。
そうではなくて、地域協働局の地域貢献相談窓口に相談を受けたら、どんなテーマであってもきちんとそのお話を聞いて、そして、その相談を受ける方の役に立ちたいという思いが実現するように、中には実現できないことがあるかもしれないけれども、その思いが少しでもより実現に向けて近づくように、伴走型のサポートをしたい。こういう目的でつくった経緯です。個々の市民の皆さんでももちろんいいし、あるいは企業や大学、地域団体やNPOの皆さんからの相談でも結構ですが、そういうような思いを形にする、そういうことを目的としてこれをつくりました。
約1年ですけれども、255件の相談が寄せられました。この255件の相談については、相談を受けて、寄り添って支援をする、そして、様々なところにアプローチをするわけですけれども、その状況もしっかりフォローをする。1人の職員ではなくて地域協働局の複数の職員が、この対応をチームとして行う、こういう取組です。
幾つかの事例を紹介させていただきたいと思うんですけれども、1つは、これは個人の大学生の方で、大学の近くでつながりをつくりたい、行く行くは交流できるようなモダンなコミュニティースペースをつくりたい、こういうような相談を受けました。西区の大学に通う大学の方でしたけれども、この相談を進めた結果、神戸市の外国語大学のサテライト、この和室を使って、隔週でイベントを定期的に開催するということになりました。
2番目の事例は保育系の専門学校の方ですが、子供の創造性を育むようなアートイベントをしたい、あるいはその活動場所や広報についてのアドバイスが欲しいということでした。もともとこの方は、保育イベントを企画して開催したんですけど、来てくれたのが1組だけしかなかったと。いいことをしたいんだけれども、なかなかこれが伝わらないのでどうしたらいいでしょうかということを相談を受けたので、中央区の社会福祉協議会や中央区の地域協働課なども入って、そして、児童館で開催をしていただいたところ、12組の方々が参加をしていただいたということで、かなり活動を広げることができたということでした。
それから、会社の例ですけれども、キンコーズ・ジャパンさんからですね。神戸の印刷会社さんとして地元に貢献をしたい、子供たちに印刷とか製本、デザイン体験をしたいということでしたので、近くの幼稚園と相談をいたしまして、オリジナルのノートを作っていただいて園児さんに渡す。これをきっかけに、この会社には、トライやる・ウィークの仕事が、ここにトライやる・ウィークの受入事業所としても登録をしていただけることになりました。
次の4番目の事例が北区・須磨区に在住をされている方からですね。竹林整備のボランティア活動、これは神戸市も力を入れている部分なんですが、家の近くの竹林整備に協力をしたいということで、実際に須磨区にはこういう竹林の整備をする活動団体がありましたので、そこで、このマッチングをいたしました。このマッチングの結果、北区の淡河、それから、須磨区の妙法寺、多井畑の西、こういうところで継続的に活動に参加していただけるということになっております。活動していただいている団体も、参加者が増えたということで、喜んでいただいております。
5番目の事例は、これは病院からの相談で、病院の中で健康教室を実施している、もっと多くの方に参加していただきたいということで、これは非常にいいことなので、病院の近くに地域福祉センターがありますから、ここでふれあい喫茶の開催に合わせて来ていただいて、健康教室を定期的に実施していただく、こういうことになりました。
まだまだこれは事例は多いか少ないかというのは議論が分かれるところですけれども、こういうような事例が出てきています。ぜひこれを広げていきたい、神戸市がこういう相談窓口をつくっているということを、ぜひ知っていただきたいというふうに考えています。
一方で、神戸市の職員も、地域で活動する、地域に貢献をするということを通じて市民として活動する、そして、その経験を仕事に生かしていただく、そのために地域貢献応援制度というものをつくって、これは広い意味での副業ということになりますが、任命権者の許可を得た上で、報酬を得て地域貢献を行う。こういう制度をつくりました。
これは最近全国でも広がっているんですけれども、神戸市が多分、これは一番最初にスタートしたのではないかと、始めたのではないかと思います。2017年度にスタートいたしました。いろんな活動が広がっています。灘の中央市場ですね、私も時々行くのですが、これは神戸市の職員が中心になって、この空き地でいろんな野菜や果物を栽培したり、活動をしたりしていますし、また、真ん中の事例では、神戸市の職員が地域団体の事務局のスタッフとして活動をしている。それから、手話通訳、手話の特技を生かした手話通訳をNPOでやる。こういう職員も出てきているわけです。確実に職員の地域貢献の輪も広がっております。
同時に、こういう神戸市の職員の経験を共有しようということで、職員によるオープンミーティングも行いました。これは市役所のロビーですけれどもね。こういうオープンミーティングで、市役所の中でもこういう経験を共有する、また、市役所の中でも議論をする文化、ディスカッションする文化というものを広げていきたいと思っております。
この地域貢献応援窓口には、様々な相談が寄せられます。例えばこういう市バスにもラッピングをしたりしまして、このPRを、活動を広げていきたいと思っております。ぜひまたよろしく御支援をいただきたいと思います。
私からは以上です。
記者:
世界銀行の件なんですけれども、招待された理由のところで、優良事例を共有ということなんですけれども、具体的に神戸のまちづくりについて、どの点が評価されて招待されたのかというところを教えていただければと。
久元市長:
まず、世界銀行と神戸市はあまりつながりがなかったですが、(直近では)神戸市の東京における情報発信といたしまして、神戸市の下水道汚泥からつくる再生リン、こうべハーベスト、この紹介を、これは海外の報道機関の方、あるいは在外公館の方向けに行いました。そのときに世界銀行の方も来ておられまして、世界銀行の東京のラーニングセンターの中でも相当上の方が来ておられまして、神戸のことに注目していただいたんですよね。そこで、神戸のまちづくりを御自身でリサーチされたのかもしれませんが、神戸のこの人口減少時代におけるまちづくりをこの東京で発表してほしいというお話がありまして、これは私がたしか東京の八芳園で行われたセミナー、これは幾つかの自治体、海外からもたくさん来られていましたけれども、それを発表いたしましたところ、その内容を、人口減少時代を含めて、人口の推移に応じてどういうまちづくりをするのかということについて、ぜひワシントンの世界銀行の本部で紹介してほしい、東京でしゃべったのと基本的には同じ内容で結構ですからお話をしてほしいという、そういうようなきっかけでした。
その趣旨は、やはり人口が変動する中での最適なまちづくりということだったと思いますが、招待状には気候変動との関連における土地利用ということでしたので、そこについては、必ずしも神戸における土地利用と気候変動との関連というのは、これまでの経験の中ではちょっとそこは見いだし難かったので、時間の関係もあって触れませんでしたが、今後はこの気候変動に伴って、夏の気温も相当高くなる。まちなかの異常高温対策ということを考えないといけないし、それから、気候変動ということを考えたときには、気候変動に伴って山火事も増えてくる。世界的にも増えてくるということなので、この森林の再生ということはやはり、より一層必要だなということを改めて感じましたが、この説明の中では、それはまだ今、取り組んでいる最中、これからやろうとしている最中なので、そこには触れませんでしたが、出席者の多くは、この気候変動と山火事などの災害との関連を大変強く意識されていたと、そういうふうに感じました。
御質問についてのお答えをはみ出る分もあったかもしれませんが、大体そういうことです。
記者:
あと、基本的なことなんですけど、このカンファレンスの参加者というのは、どういう方々になるんでしょう。
久元市長:
日本からは富山市の藤井市長。藤井市長は、人口減少時代においてはコンパクトなまちづくりが必要で、特にLRTを敷設して、道路公共交通機関を使ってコンパクトなまちづくりをし、移動を確保しようとしているということを中心にお話しをしておられました。あと海外、あとは途上国の都市計画について造詣が深い、また実際に様々なアドバイスなどを行っておられます、世界銀行に対してもアドバイスを行っておられる学識経験者の方、それから、タイの土地、国土土地管理を担当している責任者の方、それからブータン政府の土地利用に関する方が出席をして、それぞれ事例を発表されるとともに、ディスカッションを行うことができました。ただ、ディスカッションの時間が大変短かったので、有益なディスカッション、私も質問したいことがあったんですが、そこまでなかなか至らなかったのは少し残念でした。ただ、さっきも申し上げましたように、その後、その方々も含めて非常に広範な方々とお会いをしてお話が聞けたのは、有益だったと思います。
記者:
地域貢献相談窓口についてお伺いしますが、資料と今の説明でも、実績を幾つか挙げていただいて、幾つか挙げていただいているんですけれども、市長自身1年たたれて、この窓口を設けて、手応えというか、そういったものをどういうふうにお感じになられているかというのと、もし課題みたいなものを感じていらっしゃるところがあれば、お願いします。
久元市長:
やはり、この相談窓口を知っていただきたいというのと、まず手応えからいうと、かなりの相談がある。恐らくこういう相談というのは、今までもあったと思うんですよね。今までもあったけれども、やっぱり役所の所掌というのは決まっていますから、なかなか前に進むことができなかったのではないかというのが、従来ではなかったか。今回はこの1年間、地域協働というこの窓口が、地域協働局の職員が複数で所管をし、情報を共有して、様々にアイデアを出しながら対応するという体制に移って、実際に相談を受けた方々の意向に沿うような形で、活動の開始につながっている、あるいは活動の拡大、拡充につながっているということは、一定の成果が出ているのではというふうに思います。
課題としては、繰り返しになりますが、全体の件数は255件ですから、これ、まだまだ少ないと思います。いかにこの存在を知っていただいて、地域の皆さんが参画をする形で、みんなの力で地域の課題の解決につながっていくような、そういう方向性を見いだしていきたいと思っています。
記者:
改めてですけど、市民とか企業とか団体の方にこういうふうに使ってほしいとか、そういった思いがありましたら。
久元市長:
こういうふうに使ってほしいというのは、とにかくここに相談をしていただければということですね。ここに相談をしていただければ、100点満点ではないかもしれないけれども、実現につながるような対応を職員がグループで共有してやっておりますから、まず相談を、積極的に相談をしていただきたいというふうに思っております。
記者:
ワシントンの件で伺えればと思うんですが、今回の発表をして、パーティーのときに幾つか意見交換もできたというお話ありましたが、神戸市のまちづくりにおいて、新たに取り入れたくなるような新しいビューであるとか、考え方などありましたら。あと、それからこれまでのまちづくりに対しての評価で届いたものなどあれば教えてください。
久元市長:
1つは、世界銀行の活動ということについて、今まであまり知らなかったんです。知らなかったわけですけれども、今、米国が一番拠出割合が高い。2番目が日本のようですね。やはり日本がこの世界銀行に拠出をして、途上国に対する様々な技術的なサポートや、あるいは融資などを通じて活動していると。そこにはかなりの知見が集積をされているということが改めて分かりました。そこで日々、日本部門の最高の責任者の方とも意見交換をしましたけれども、そういう形で、国際貢献の1つの重要な場となっているということが分かりましたので、そこで蓄積された知見というのを、私たちもこれからも、そこからいただいて、神戸のまちづくり、あるいは災害対応に生かしていきたいというふうに思います。
具体的に参考になった事例は、富山市さん、富山市のこのコンパクトなまちづくりも知っていましたけれども、藤井市長ともかなり一緒に2人でお話しする時間とか、周りの方も交えたお話もありまして、やはり公共交通の取組、かなり、まちのありようが違いますけれども、相当工夫してやっておられるなと。例えばAIを使った移動ということも実用化されているということでしたけど、さらにこれを深掘りして、いろいろと聞かせてもらえたというふうに思います。あと、タイの方、これはタイの政府の方ですけれども、タイとして、この国土の管理ということを相当な組織を使って、もちろんいろんな個別分野は、それぞれの、日本でいえば省に対応するところが分かれているんでしょうけれども、まとまった組織、統括する国土管理、国土の利用、管理を一元的に所管する組織をつくって、国土管理についての様々な情報を収集しつつ、適正な国土の開発、あるいは転用、あるいは保全ということにつなげていこう。これは完全に本当にうまくいっているのかどうかというのは検証が要るかもしれませんが、そういう一元的アプローチというのは参考になると思います。
これは、日本の場合には非常に縦割りなんです。国土利用計画法みたいな法律はあるけれども、計画をつくっているだけで、実際はそんなところに相談しても何の役にも立たないから、大体、自治体はそれぞれ個別で法律を所管して、特に補助金をくれるところに相談に行くわけですね。完全に縦割りで、ばらばらになっているわけです。こういうような国土利用についての縦割りばらばら感というのは、やはり、タイの事例というのは完全に参考になるかどうかは分かりませんが、神戸市役所の中でも、より一層この神戸市内における土地利用ということについて、より一元的にアプローチしていくと。そういう発想というのが必要ではないか。そういう気づきをいただいたと感じました。
記者:
連休中に起きたことで最新の状況をお伺いしたいんですけども、長田区で道路のところの崩落と、あと給水管の破損があったかと思います。現在の状況と、もし崩れた原因などが分かっていましたらその状況を、担当課の方でもいいので、よろしくお願いします。
久元市長:
これは発生したのが5月2日の午後11時14分頃ということで、こういう事故や災害が発生したときには私に連絡が来ることになっておりまして、その日中ではなかったんですけれども、翌朝、朝早く、これについて報告を受けました。その後の状況についても逐次把握をしています。
これは長田区の山麓のエリアですけれども、もともと建築住宅局が所管していた市営住宅を、市営住宅がもう必要なくなったので、民間に払い下げるなり借地をしてもらって、そしてこの道路については、道路法上の道路ではなくて、神戸市が所有管理する神戸市の私道という位置づけのようですね。ここが崩落をしたということです。ここには水道管が埋設されて、給水管がありまして、崩落をしたときに、一部破損をしているということが分かりました。現在は、この給水管は復旧をすると。それから、水の流入によるさらなる崩落を防ぐために、アスファルトを撤去いたしましてブルーシートを設置しているということで、今この道路は通れないので、ガードマンによる誘導なども実施をしているということです。
この給水管が大きく破損をしていたわけではなくて、一定の漏水はあったみたいですけれども、このごく微量の漏水によってこの崩落が引き起こされたという可能性は少ないのではないだろうかと。ですから、どういう理由でこの崩落が起きたのかというのは、今のところは、原因は特定できていません。いずれにしても、これを復旧する過程で新たに、実際にこれを復旧する業者さんからの情報をもらいながら、この崩落の原因ということを確認していきたいと思っています。現時点においては、この崩落の原因は分かっていない。ただ、給水管からの漏水の量がごく微量であるということから考えれば、水道管の破損が原因である崩落の可能性は低いのではないか。可能性としてですよ。可能性としては低いのではないかというふうに考えています。
原因が完全に解明できるかどうかという、100%断言できませんが、可能性も含めて、より原因が特定できる、あるいは原因の解明に近づいた時点で、また必要に応じ情報を提供させていただきたいというふうに思います。
記者:
その原因が分かり次第、あるいは解明が分かってから、面的にほかの市内での類似した場所の対策とかは、また別途検討するというようなお考えでよろしいですかね。
久元市長:
いえ、もうこれは、類似のところは、建築局が所管しているところですけれども、12か所ありまして、これは緊急点検を既にスタートしております。
記者:
類似の場所というと、どういったポイントで類似している場所になりますでしょうか。
久元市長:
斜面地で高低差が一定以上ある。この場合には12メートルでしたかね。
職員:
3メートルぐらいです。
久元市長:
3メートル高低差があったので、それに類似するような場所については、既に緊急点検を開始しています。
職員:
失礼しました。今回崩れた箇所の道路面と宅地の高低差が5メートルでございます。建築住宅局所管、緊急点検する箇所につきましては、3メートル以上の高低差のある法面あるいは石積みのところを、過去いろいろ情報が入った危ない箇所というのを優先的に抽出して、まずは12か所点検をしていきたいというふうに考えています。
記者:
市長としては、どのようなお考えでこの点検をして、点検を通じてどのようなことをしていきたいという思いというか、意図というのを説明いただけますか。
久元市長:
これは水道管の漏水が原因かどうか分からないんですよね。ただ、漏水が極めて微量なので、その可能性は低い。ですから、この問題は、断定はできませんが、やはり神戸に多数ある山麓部の、急傾斜危険地域が数多く指定されているんですけれども、そういうところの安全をどう確保するのかという問題。道路がかなり通っていますから、そういう道路の通行の安全ということも含めた急傾斜地ですよね。あるいは指定されていないところも含めた安全をどう確保するのか。これはずっと、神戸はそういうところが大変多くて、これまでも大小様々な崩れるということが起きていますから、そこに対する点検。これは、神戸はそういう長い経験を持っていますから、そういう点検の方法や、あるいは災害予防工事、あるいは復旧工事のノウハウというのが関係部局に蓄積されていますから、それはそれでしっかりやっていくということだと思います。
もう1つの問題は、この長田区で起きた問題というよりも、京都で起きたような大規模な破損ですね。上水道、下水道の破損、そしてそれによる大規模な浸水ですよね。こういうものをいかに防ぐのかということが非常に大事で、これは改めて、これまでも上水道、下水道それぞれ必要な点検、調査、また老朽管の取替えなどを行っていますから、これをより一層計画的に、緊張感を持って行っていくということだと思います。
記者:
神戸空港のことについてお伺いします。
前回も同じような質問があって恐縮なんですけれども、もうすぐ国際化されてチャーター便が就航して1か月を迎えるわけですけれども、改めまして、これまでの運用状況等についてどのようにお感じになられているかというのと、課題等を改めて感じるところがあればお願いしたいと思います。
久元市長:
4月18日に国際チャーター便が運航を開始して3週間が過ぎました。ゴールデンウイークも含めてこれまで問題なく運用がなされている。神戸にとっては初めての経験ですから、緊張感を持ってしっかりと対応するということを心がけていきたいということを申し上げましたが、これまで国際チャーター便の離着陸、当然のことですけれども、安全に行われていますし、空港のオペレーションも円滑に行われていると思います。特に心配をしておりましたポートライナーの混雑も、これも相当準備して臨みましたし、ポートライナーからバスへの振替、それから、空港へのバスの運行、これも確実に利用率が上がっているということで、アクセスについても特に問題は生じていないと思っています。
国際チャーター便の搭乗率ですけれど、全体としては約85%と報告を受けておりまして、これは私自身の受け止めですけれど、平均して80%ですから満席に近い便も恐らくあるだろうと思いますし、神戸空港の国際チャーター便が順調に活動が行われていると感じています。
課題としては、今、課題として特に感じてはおりませんが、やはりポートライナーの混雑状況については新交通と関係部局がしっかり情報共有をして、利用状況を適切に把握して、もしも課題が生ずれば迅速に対応していく、これが課題だろうと思います。
記者:
ちょっと項目内とも若干重なるかもしれないんですけど、まちづくりの中でタワーマンションの規制の件なんですけれども、昨年度末に空室課税を含めた検討というのが報告書で出ていると思うんですけども、空室税の検討の進捗状況について教えていただければと思います。
久元市長:
空室税をより具体的に検討する検討組織、有識者会議というのか検討委員会というのかまだ名前も含めて検討中ですけれども、近々そういう検討組織を立ち上げて具体的に検討をスタートしたいと思っています。
記者:
なので、有識者会議という形で立ち上げて、また年度内をめどに検討を進めるということですか。
久元市長:
有識者会議的な組織というほうが適当かもしれません。利害関係者というよりも知見のある方々、大学の先生、あるいは税の実務に経験がある方などが中心になると思いますが、そういう有識者会議的な組織というものを立ち上げて、早ければ今月中か来月には第1回の会合を開き、年度内には一定の方向性を見いだしていければと思っています。
記者:
部活動の地域移行の件でお伺いしたいんですけど、少し前に教育委員会から第1次募集で参加される団体の発表がありましたけれども、市内のいろんなエリアで手は挙がっているものの若干ばらつき、偏りが見られるかなというところだと思います。市長部局とも連携して今後も調整を進めていくという話だったと思いますけれども、今の段階でどのような取組、今後の見通しも含めて市長のお考えをお聞かせいただけたらと思います。
久元市長:
第1次の募集結果は教育委員会から報告を受けています。私の受け止めとしては、第1次というか、第1弾の応募状況ということから考えたときには、予想以上に順調に応募していただいているのではないかと。コベカツに対する関心、あるいはこれに参画をする、これを支えようという方々が大変たくさんいらっしゃるということをありがたく感じています。これはばらつきがあるということはそのとおりでして、これをどう埋めていくのかということが第2次からの課題で、そこは文化スポーツ局などを中心に市長部局としっかりと連携をして取り組んでいきたいと思います。
また、実際に活動の場を確保するためのいろんな設備や機器などの整備については、令和7年度予算にも計上していますから、これを適切に執行して、コベカツが円滑にスタートできるような環境を教育委員会と市長部局が連携・協力をしてしっかりつくっていくということに力を入れていきたいと思います。
記者:
パンダについて伺います。4月24日でしたか、和歌山アドベンチャーワールドのパンダ4頭が中国へ返還されることが決まりました。東京上野動物園の2頭も来年2月には中国に帰ってしまうと。先日、自民党の森山幹事長が訪中されたときに「パンダを」というような要請をしたというようなニュースも流れています。観測では石破首相がもし訪中されたらパンダの話が出るんじゃないかというようなこともあると思うんですけれども、もし日本にパンダが来るときには、じゃ、どこにとなったときに神戸が選ばれるかどうかという話だと思うんですが、もし現時点でパンダの動向について市長のところに何か情報等、もしくは誘致活動的な行為としてやっているかどうかとかいうような、現時点の動向を教えていただければ。
久元市長:
パンダについての対応は動物園長から適宜報告を受けています。基本はやはり日中間での共同飼育繁殖研究ということを継続してやっていこうということですね。タンタンは28歳で亡くなったんです。24年間神戸で過ごしたんですね。神戸市民あるいは王子動物園に来られる方と神戸でタンタンが時間を過ごしてくれました。同時にパンダの飼育に当たった職員、獣医や飼育員の皆さんと中国側の担当者の皆さんとは、相当これは情報を共有してパンダの飼育に当たってきました。そこの中の特に亡くなるまでのかなりの時間は、心臓病についての治療に当たったんですね。心臓病の治療というのは中国でもあまり経験がない話、ない内容で、そういう意味で、そういう共同研究というのがかなり蓄積されてきたということなので、これを続けていく、共同飼育繁殖研究ということをこれからも続けていきたいというふうには考えています。それをどういう形でこれを続けるのかということについては、市民の皆さんからの様々な声をお聞きしながら、あるいは寄せられる御意見、また議会からもいただくような御意見を踏まえながら考えていきたいと思っています。
記者:
となると、今、王子動物園、王子公園のリニューアルが進んでいますけれども、将来的にパンダがまた戻ってくるのかどうかということを含めて、王子動物園の売りをどうするかという、目玉が何になるかということにも関わってくると思うんです。そのあたりはどんなふうに。パンダが来ても来なくても、目玉、魅力のある王子動物園づくりというようなことをイメージされているのか、それとも欠かせないコンテンツだというふうなお考えでいらっしゃるのか、そのあたりどんなふうに。
久元市長:
今のパンダ舎はタンタンが長年暮らしたパンダ舎で、やはりあの場所に対する思いというのは神戸市民の皆さんもお持ちだというふうに思いますから、あのパンダ舎についてはしばらくそのままにしておくということが、市民の皆さんの思いにも沿うのではないかというふうに考えます。
記者:
ちょっと戻るんですが、先ほど空室税の御質問があった際に、有識者会議的なものをということだったんですけども、それは基本的にその空室税の是非について答申を受けるようなものになるのか、あるいはもう少し広い範囲で課税というレベルで考えるのか、決まっていますでしょうか。
久元市長:
やはり、既にあるタワマンについてどう考えるのかということについては、前に設置いたしました有識者会議でいろんな多角的な提言をいただいております。例えばマンションについての、これはタワマンだけでもないかもしれませんが、管理状況について、届出をやはり義務づけたほうがいいのではないだろうかということ、あるいは防災対策の強化とかいろんな対応をいただいているわけで、そこの中で空室税も含めた視点での課税ということについても提言をいただいたので、これについて検討するということになります。
ですから、対象は税の世界というところをベースに考えると。その際、あの提言の中では、空室ということに着目した税ですから、そういう考え方で税負担を、これは所有者が対象になる可能性が高いと思いますが、税負担を求めることの可否ですよね。あるいは、それを求めるとしたらどういう理由で求めるのか、また、これを神戸市全体で考えるのか、あるいは、今、タワマン規制を行っているエリアをターゲットにメインに考えるのか、あるいは税の性格というものをどうするのか、普通税にするのか目的税にするのか、新税にするのか既存の税に対する上乗せを考えるのかとか、そういう具体的な検討をしてもらうことになると思います。
いずれにしても、空室税を導入することを前提に考えるのではなくて、空室税を仮に考えるとするならば、その目的や理由ということをしっかり議論して根拠を明確にする、合理的な根拠を見いだす、ここがまず議論の出発点になるというふうに思います。
記者:
その点でいうと、市長のお考えとしては、有識者会議の報告の際に、京都の空き家税というものを例に挙げて、調べると京都と非常に似通った部分もあったかと思うんですが、そういう考え方もあり得るというふうにおっしゃっていましたけども、その点についての考え、ある程度前向きな考え方というのは変わっていないでしょうか。
久元市長:
初めから何か対象をどうするとかというのは、まず、税に関する議論をしてもらいたいということなんですね。
ただ、今回はタワマン(有識者会議の報告から)の議論ですから、京都のように非常に幅広く空き家についての税負担を求めるのかどうかということについては、その可能性を排除はしませんが、やはりタワマンということをベースに置きながら、そこをターゲットにするということの是非、あるいはその根拠というようなことが必要になるというふうに思います。つまり、あまり何か前提を置くということではありませんが、タワマンに関する議論から出発した話ですから、その辺から入っていって、対象をどうするのかというふうになるのではないかと思います。
記者:
先ほどの会見項目のほうで、今のタワーマンションの質問と重なってしまって申し訳ないんですけれども、世界銀行のカンファレンスの際に、タワーマンション、建物の規制に関するお話もされたということでしたけれども、何か海外の方から、都心でのタワーマンション、高い建物とかの容積率に関して規制していることに対して、反応とか御意見とか、何かインパクトはあったでしょうか。
久元市長:
海外の方とはそんなに深い議論にはならなかったですね。これはさっきも申し上げましたけれども、時間が限られていて、私自身は、それぞれの発表者はできるだけ短く簡潔にしゃべって、あとはできるだけディスカッションが活発に行われるということを期待していましたけど、国際会議というのはどうしてもそうなりますね、発表者の発表の時間というのは。私は時間をきっちり、多分10秒狂わないぐらい正確にしゃべりましたけど、なかなかそうはいかないですよね。これ仕方がないです。あまり活発な議論にはならなかったですね。
その後のパーティーの後では、やはり神戸の災害対応についての質問とか意見が多かったですね。タワマンについては、世界銀行の一、二名の方からは、「いや、大変この規制については理解できる。人口減少になったらやっぱりこういうことを考えていかないといけませんね」というようなお話はいただきました。これは日本人の方でした。
記者:
比較的、好意的に受け入れ……。
久元市長:
いや、とにかく、しゃべったのは1人か2人の方、2人ぐらい、2人だったと思いますが、好意的と断言する自信はありません。
記者:
先般の会見でも同じことを聞かせていただいたので、改めてで恐縮なんですが、市長選に関して6月中にはお考えを示したいということだったんですが、現段階で市長のお考えをお聞かせください。
久元市長:
今日、5月の9日ですか。まだ6月まで遠いですね。前回と同じ答えをさせていただきたいと思います。
記者:
じゃ、6月までには回答、何らかの考えを示したいということで。
久元市長:
そうです。
記者:
なるほど。それは立候補しないということも含めて検討されるということですか。
久元市長:
検討ですから、それはいろんな可能性はあり得るだろうと思います。
記者:
立候補しないという可能性も排除しないと。
久元市長:
するという可能性も排除しないし、しないという可能性も排除しません。
―― 了 ――
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