最終更新日:2025年10月7日
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司会:
それでは、10月の市長定例会見を始めたいと思います。
市長、よろしくお願いいたします。
久元市長:
よろしくお願いいたします。今日お話を申し上げたい案件は、空き家対策特命チームの取組1件ですが、その前に、芦屋市の髙島崚輔市長が、米国のニュース紙、タイム誌の中で、世界で最も影響力がある次世代の100人に選出をされました。
芦屋市さんと神戸市は、環境面での連携を進めておりますし、また、髙島市長と私も直接コミュニケーションを取らせていただいています。そういう意味で、今回のこの選出は大変これは喜ばしいことで、この場をお借りし、心からお祝いを申し上げたいと思います。
髙島市長は、選出後、御自身のnoteの中で「対話を中心としたまちづくりを進めてきました。民主主義を共に学び、つくるまちづくりを進めていきます」という趣旨のことを書いておられます。世界的に見て民主主義が危機にあるというふうに言われることもありますが、そのような中で、このような取組がタイム紙という世界で流通しているニュース紙で取り上げられて評価されたことは意義があることだと考えております。
髙島市長におかれましては、芦屋市という地方自治の現場において民主主義を実践され、今後とも強力に世界に向けて発信をしていかれますことを御期待申し上げたいと思います。
それでは、この空き家対策特命チームの取組、財産管理制度の積極的活用について申し上げたいと思います。
空き家数、空き家率ともに増加をして、これは全国の空き家の数ですね。2023年、ちょっと前の数字ですけれども、900万戸の空き家があります。ただ、空き家も、マーケットで流通をしている空き家もありますから、つまり賃貸あるいは売却用、二次的住宅というのもありますから、本来解消しなければ空き家とならない空き家の数、それ以外(賃貸・売却用・二次的住宅以外)のもの、それも380万と大変大きな数、これはずっと前からこれは課題になっている。空き家率、空き家の割合ですが、オレンジ色が、折れ線グラフ、これは全国の空き家率であって、グレー、これが神戸市です。神戸市も以前は全国の空き家率を上回っていたのですが、ここ数年、ここ数年というか、2008年、2013年以降、10年余りにわたって全国とほぼ同じぐらいになってきておるという、そういう状況になります。
神戸市は、空き家対策、これ、全国的にも非常に大きな課題ですけれども、これは非常に重要な問題だという認識の下に、異次元とも言える空き家対策を行ってきました。使える空き家は活用する、そして危険な空き家は、これは解体解消すると、こういう取組です。
例えば建築家との協働による空き家活用促進事業というものは、これは建築家にも参画をしていただいて、改修、設計をし、魅力的な活用をしていただくということで、2022年度に開始をしたわけで、私も実際に改修された空き家を見に行きました。非常にいい形になっているものがかなりあります。これまで約70件が、これを活用されております。
この写真は、御覧いただいている写真は、長田区の檜川町の活用事例で、現在は喫茶スペースとして地域の皆さんが思い思いの時間を過ごしていただけるスペースになっております。これが活用のほうですね。
こちらのほうは解体をするというものです。面積に応じて最大60万円、共同住宅の場合、最大100万円の支援の補助をするということで、これは、2019年から累計で、今年の3月時点ですが、4,000戸を上回る解体を行っています。2024年814戸、2023年832戸ということで、これだけの数の老朽家屋の解体を行っている都市というのは、全部調べているわけではありませんけども、まずないだろうと。トップかどうかは自信がありませんが、トップクラスであるということは間違いありません。
こういうふうに進めているわけですけれども、そこのあたり、課題は、所有者が分からない土地ですね。市が相談を受けて対応した空き家・空き地、2016年度から2024年度までの累計で約1,800件があるわけですが、約10%が所有者不明です。所有者不明ですと、所有者が相続人もなく死亡した場合には老朽化が進みますし、自主的な改善も見込めないということになります。
そこで、国のほうは制度を改正いたしまして、2023年の4月に所有者不明土地建物管理制度というものをスタートいたしました。これは、所有者がいなくなった土地や建物を裁判所が選任する管理人が不動産の管理、売却を実施する制度ということです。これは土地と建物の管理に着目した申立て制度ですね。
それまでは不在者財産管理制度というものがあって、これは裁判所が選任する管理人が、所在の分からない人に代わって、その人の全ての財産を管理する制度です。これが不在者財産管理制度です。
それから、相続財産清算制度。これは所有者が相続人がないままに死亡した場合に、裁判所の選任する管理人が全ての相続財産を清算する制度です。全ての財産が対象になるということで、全ての財産ということですから、なかなか活用されにくい状況が続いてきました。
そこで、所有者不明土地管理制度というものができたわけですが、これはもともとの趣旨は、例えば土地に関して債権債務関係がある、あるいは隣接している所有者などが、この土地が非常に管理がよくないということで被害を受けている、そういうふうに利害関係がある利害関係人だけが申立てをすることができていたんです。
ところが、その後ですね。これは間もない、同じ年ですけれども、空家特別措置法などが改正になりまして、財産管理人の選任の申立て権限が市町村長にも付与されることになったわけです。しかし、この制度の運用は、やはり専門的知識が、法律の知識が要るということで、そう簡単ではありません。
そこで、神戸市は2023年の12月の法律改正の後、検討を行いまして、翌年の4月に空き家対策特命チームというものを発足、設置をいたしました。
これはより専門家の助けを借りながら、せっかく創設された財産管理制度を活用しようという、そういう試みです。空き家・空き地に詳しい2人の専門家、弁護士の先生に入っていただいて、そして、建築住宅局の係長1名、担当者5名が一緒にチームを組んだと。こういう取組です。こういう財産管理制度を運用するための特別のチームの設置というのは、これは全国で初めてです。
所有者不明土地管理制度というものがどういうふうな手続で行われるのかということでございますが、まず、所有者が分からない、そして、周りに好ましくない影響を与えているというふうに神戸市が判断をした場合に、市長が裁判所に対して財産管理人の選任を申し立てます。そして、この一連の手続を行う場合には、財産管理人に必要な報酬を払わなければなりませんし、様々な管理費用が要るわけで、そういう管理費用や管理人の報酬に充てるために、神戸市が裁判所に対して予納金というものを払います。この予納金がそのような費用に充てられるわけですけれども、そして、選任された財産管理人(弁護士等が選任される)が、土地、空き家、あるいは空き家と土地を調査したり、現状を調べて管理をする。
そして、適切な管理をするわけですが、神戸市が申立てをする場合には、この状況を解消してもらうということですから、売却を管理人にお願いするということになります。空き地の売却を管理人にやってほしいということを求めていくわけですね。
そして、売却をされた場合には、売却代金から管理費用を支出できる場合には、これは予納金が返還をされるということになります。売却の費用が管理費用を上回る場合には、このお金は法務局、つまり、国に対して供託をされるということになって、一連の手続が終わるということになります。
神戸市は、この制度ができてから今年の9月時点で79件の活用実績があります。うち30件につきましては売却が完了いたしまして、所有者不明状態が解消するということになっています。新しい所有者が管理をすることになったということですね。
この土地の場合には、左にあるように、本当にひどい状態だったわけですが、神戸市が申し立てて財産管理人が選任をされ、そして、その管理人が売却手続を行い、そして、新しい所有者がこの建物を解体して、今、更地になっている。こういう状態ですね。
こういうことで、79件のうち30件が売却を完了しています。これはほとんどの物件が、こういうふうに更地になってきている(など)、好ましくない状況が解消されているということですね。
実は所有者不明土地管理制度、これは非常に深刻化している空き家・空き地問題の解消の相当な切り札になるというふうに考えられて、国が制度を創設したわけですけれども、市町村長への申立て権限付与というのも、非常に国としては思い切った制度だという認識の下に導入されたわけですが、ほとんど活用されていません。
全国的なデータはありませんし、神戸市も調べているわけではありませんが、こういう制度を活用できるのは専門的な知識、技術を持った職員がいる自治体、やはり政令市を中心とした自治体ですね。政令市の中でも、これを活用しているのは数団体しかなくて、これも本当に二、三件ぐらいしか活用されていないということで、神戸市のこの取組というのは、79件というのは、恐らく群を抜いた対応ではないかというふうに思っています。神戸市がこういうことを活用しているから、もうこれで神戸市は進んだ取組をしているというふうに、今日それを申し上げたいということではなくて、神戸市はこういうふうに積極的に活用しているわけですけれども、どうしてこんなに鳴り物入りで導入した制度が活用されないかということが問題なんですね。
それはですね、この予納金というのは大体30万から50万ぐらいなんです。しかし、この所有者不明土地というのは、これは財産的価値がないから、もうほったらかしになって、所有者不明土地になるということですね。高く売れないわけです。予納金の30万から50万が回収できないようなケースというのもあるわけです。ですから、しかしその一方で、この管理費用を上回る額で売却されるケースもあるわけですから、ところがそれは国のほうに、供託金になるわけですね。国、何もしないです。この空き家・空き地対策を行っているのは自治体なんですね。市町村なんです。市町村が全部やっていると言ってもいい。全部やっていると言ってもいいのに、結局は予納金でカバーされないところは市町村が負担をする。幸い売却されたら、全部国に行ってしまうと。これはいかにも理不尽ではないのかということで、これはぜひ供託金の活用を国にお願いしたいということです。
これはですね、国にはお願いしてるんですけど、なかなかガードが、今のところは固いです。今のところ。相談には乗ってくれていますが。ぜひこういう問題を国においては解決していただきたい。供託金の活用をして、その供託金を何らかの方法で自治体が活用して、これは自治体が自分で収入にするということではなくて、これを予納金に活用するんですね。この予納金に活用して、次の空き家・不明土地の解消に充てていくと、こういうサイクルをぜひつくってほしいと。こういうことをお願いしているわけで、関係府省においては積極的な制度設計をお願いしたい。ぜひ、こういう問題についても、皆さんの御理解と、また御支援をお願いしたいと、そういう趣旨で今日は報告をさせていただきました。
私からの説明は以上です。
記者:
79件、これ24年4月から1年半での79件ということなんですけども、これによって実際、予納金はどのぐらい市は支払いをされたのでしょうか。
職員:
予納金のことですけれども、2024年度の実績のほうが10件ほど、事件が終了しているということで、先ほどの四つのサイクルがありましたけれども、それが完了しているものがあります。トータルで50件のうち、予納金がかかっているのが、大体5,000万ぐらいの予納金がかかっております。
記者:
50件で5,000万。
職員:
そうです。
記者:
売却が完了したのが30件なんですね。50件。
職員:
売却の分につきましてはですね、売却が済みましても、まだ事件的には、精算という作業がありますので、完了していないようなことになっていまして、ちょっと説明途中で申し上げた、10件は全部終了しているというところでございまして、まだ解体は、解体とか売却が進んでいるものについてもまだ事件中ということでございますので、そのあたりの説明になります。
久元市長:
79件の予納金の額というのは分からないんですか。予納金は先に納めるわけでしょう。選任をする時点で予納金を納めるわけでしょう。だからちょっと聞いたんですけどね。79件のトータルというのは、数字はすぐ分からないんですか。
職員:
今ちょっと、2024年の数字は、先ほど申し上げた数字なんですけど。
久元市長:
そしたら後で、それは分かるはずなので、後でまた情報提供します。
今のお話は、30件は売却できたけれども、売却をしたところで、その後の精算手続が、その後にあります。それが終わっていないものもあるということですね。
職員:
そういうことです。
記者:
それで、今回要望されたようなことになると、つまり供託金を予納金に充てるようなことができれば、その赤字幅というか、その支払いはどのぐらい減るんだろうかという質問だったんですけど。
久元市長:
それは分からない。それは、供託金の額というのは売却した額で決まってくるわけですから、ちょっとそれは分からないとしか言いようがないです。
記者:
例えばざっくり、半分以下に減らせるであったりとか、どのぐらいのメリットがあるんだろうかという。
久元市長:
それは、メリットは大きいと思いますよ。今は、これは全部国庫に入るわけですから。これは神戸市だけの問題ではなくて、神戸市はこれ、予納金は自分でしっかり負担をして、もう空き家・空き地対策というのはもう強力にやっていこうということでやっているわけですけど、こういう制度が使われていないわけです。使われていないので、使えるようにするためにはどうしたらいいのかということを考えたときには、供託金の活用というのが考えられるのではないかということです。
記者:
市の負担がどのぐらい減るのかというのがざっくりでも分かれば。
久元市長:
多分分からないと思います。
記者:
分からないですかね。了解しました。
職員:
そのあたり、事件がやっぱり終了してございませんので、最終的にもうちょっと実績のほうを、出てきた段階で整理がつくかなとは思います。
記者:
神戸市だけではないと思うんですけれども、空き家が右肩上がりに増えていて、そのことによるデメリットというか、どういうふうな悪影響があるかというのを改めて。最後にスポンジ化対策でということに触れられてらっしゃいますけれども、このまま放置すればどういうことが起きかねないであるとか、どういうことを防ぎたいかというところら辺をお願いできればと思います。
久元市長:
1つは、使える住宅が空き家であるということは、本来住宅として使える空間が、住居空間が使えていないということですよね。これを有効利用するということは、非常に大きな必要性があったというふうに思います。今、全国的に住宅価格が上昇している中で、使える住宅が空き家のまま放置されているということは、これは住宅のニーズに応える方策の重要な部分が閉ざされているということですね。まずそこが大きな問題だと思います。
放置されていると、最初はそのまま人が住める状態なのが、徐々にこれが朽ち果てていくわけですね。老朽化していくわけです。そうすると、これはだんだんだんだん老朽化して、最終的には老朽危険家屋になる。老朽危険家屋になってしまうと、例えば台風が来たり大雨のときに周りに被害を与える可能性もありますし、それから庭に雑草が生い茂ったり、環境を悪化させる要因にもなるということで、外部不経済を与えるということにもなりますから、これは、空き家・空き地問題というのは、もう大分前から非常に大きな、内政上の重要問題だと言ってもいいと思いますけれども、全国的に非常に大きな問題になっているわけです。
法律改正も重ねられてきたわけですが、その法律改正のメリットを自治体の側としては十分感じられていない。神戸市はこういう形で活用してますけどもね。ここはやっぱりぜひちゃんと使えるような制度にしていただきたいと、そういうことです。
記者:
市長おっしゃるように、なかなか専門的な職員が、特に小さな自治体とかではいなくて、自治体によっては知識とかがなくて使えないというところもあるかもしれないんですが、神戸市として、こうやって実績を積んでらっしゃって、ほかの自治体にそういった知見というか、そういったことを広げていこうというか、そういうお考えとかはありますでしょうか。
久元市長:
私自身はぜひそうしていきたいと思いますが、神戸市もこれは相当、職員の皆さんが物すごく頑張っていただいていると思っているんですよ。全国にないぐらい、これだけの。神戸市のことで多分、今、手いっぱいみたいな。ただ、建築住宅局の皆さんと相談して、この情報を例えば近隣の自治体と共有する。こういう制度があって、こういう使い方ができるんだということを共有できるようなことができないかというのは、ちょっとこれから検討したいと思います。
記者:
4ページ目、今示していただいているところの、改修前と改修後の空き家の活用促進事業というところなんですけれども、事例を教えていただいたのは長田区の檜川町の空き家を喫茶スペースにしているというのは、これ、民間の事業者に売っているという形。どういう条件。
久元市長:
これ、全部民間の所有です。神戸市が買い取るわけではありません。民間の所有者の方が、神戸にはたくさんデザイン性のある設計とか改修ができる民間の事業者、設計事務所とかたくさんありますから、そういう方々が関与していただいて、それでできるだけすてきな改修をしてもらって、その改修に必要な費用の一部を神戸市が助成するというようなことです。
記者:
ありがとうございます。細かいようであれなんですけど、喫茶以外にどんな、例えばスペースになっていたりとかという。
久元市長:
何か分かる事例をいっぱい紹介してください。
記者:
そうですね、子育ての応援をしている方のスペースであるとか、あと高齢者の方の居場所づくりであったりとか、あるいは本当に地域の集会所として使いたいというような利用で、様々な応援を市のほうでやっているところでございます。
記者:
それから、この取組で空き家対策というのは、空き家率を見ると空き家が減ってきているのかなというふうには感じられるんですけど、今後どういうふうに市として活用していきたいとか取組していきたい、展開の面のコメントがあれば、お願いいたします。
久元市長:
これはまだスタートしてそんなに日がないのと、1件1件の手続に時間がかかるということもですけど、まずは着実にこれを、神戸市として相談を受けた事例の中でこれを活用して、とにかく老朽危険家屋の解消を図っていくということは、今のやり方を続けていく、広げていくことかなと思います。
記者:
今、市長に御説明いただいたこのスキームだと、やっぱりかなり使いにくい制度なんだなというのがよく分かりまして、神戸市みたいに特命チームがなければ、なかなかこれだけの数の売却は難しいと思うんですけども、国に要望されている内容をさっき教えていただいて、どうして国へ個々に売れた分だけ入れなければいけないのかというところに今なっている中で、どういうところがネックになっているのか、もし分かればお伺いしたいんですけど。
久元市長:
また、間違っていたら教えてほしいと思うんですけど、何で供託しているのかというと、所有者が名のり出るかもしれないということなんですね。所有者が名のり出るかもしれないということで、そういうお金を用意しておかないといけないということだと思うんですね。
ここから先は私の意見ですけど、やっぱり所有権の絶対性という原則を国のほうは大事にしているということだと思うんですね。これは私の個人的な意見ですけど、長年放置をしていて、そして周りにも、外発不経済を与えているような不動産の所有権が絶対的なものなのかということは疑問ですね。やっぱり供託された後、これも私の勝手な思いつきですけれども、例えばそういう物件をインターネットで公告して、受入れをして、一定期間が過ぎれば供託金を地方自治体に供与するというような仕組みもあるのかもしれないと思います。
記者:
つまり所有権の絶対もありますけど、やっぱり自治体がしっかり管理できるように公共の福祉というところも重視していくべきだという御意見ですか。
久元市長:
おっしゃるとおりです。
記者:
データを示していただいたところの空き家率の数字とかで、かつて神戸市が全国平均より空き家が多かったのは、よく市長がおっしゃられるように戦後の復員で無秩序に住宅開発がなされて、利便性の低い建物が多くできたと市長よくおっしゃるんですけど、そういう背景があってのことなんでしょうか。
久元市長:
神戸市は空き家が、あるいは空き地が発生しやすい土地であるということは言えると思うんですよね。その理由としては、これも繰り返しになるかもしれませんが、神戸市は戦前、1940年ぐらいは100万人ぐらいの人口で、これが1945年の空襲によって焼け野原になって、統計が不確かな部分があるかもしれませんが38万人ぐらいに激減した。焼け野原から復興が始まったわけですけど、急速に復員をしてくる、あるいは疎開をしていた人が戻ってくるということで、急激に家がどんどん建っていった。今まで人が住んでいるところにどんどん家が建って、その一方でかなりの土地が占領軍によって接収をされました。かなりの住宅や建物などが占領軍によって接収をされた。
そういうようなこともあって、神戸の山裾、特に今の兵庫区、長田区、須磨区、垂水区、今であれば災害警戒区域とか急傾斜地崩壊危険区域に指定しなければならないようなところも含めて、無秩序に開発されたエリアがあって、そういうところからは、ここ10年ぐらい前からもそうかもしれませんが、私もよく行くんですけど、空き家になっている。中には老朽危険家屋もかなり見られますね。そういうところから人口が流出していると思いますが、そういうところの問題というのはやっぱりうまいこと解消していかなければいけません。
逆にそういうところは財産管理人制度で対象としても、売れたとしても、そんなに高い値段で売れないので、場合によったら予納金以下の安価な金額でしか売れないということもございますが、それでも神戸市はそういうエリアの空き家・空き地というのを解消していかないといけない。そうでないとスポンジ化が進んでいくわけです。そういうことに取り組んでいく。この財産管理人制度だけではありませんが、例えば先ほど申し上げた老朽住宅の解体制度とか、それから使える空き地は、先ほど申し上げた制度以外にも空き家活用の制度というのは幾つかのメニューもあります。こういうものを使って解消していくということが大事なんですね。
同時に、やはり人口の減少ということに伴って、残念ながら空き家は次々に発生していきます。ですから、これは相当粘り強い一種の戦い、道の長い戦いですから、これは避けて通れないですね。こういうような問題を放置して、駅前にタワーマンションをどんどん建てて人口を増やすというのは、私はやるべき政策ではないと思っています。
記者:
ちなみに全国平均に近づいてきたというのか、抑えられているというのか、その辺と施策との関連性というのはお考えございますか。
久元市長:
これは私はそう思っていますけれども、実証的、論理的に、絶対そうだということは言えないかもしれません。しかし、やっぱり全国平均に近づいてきているということは、これまで神戸市がやってきた空き家活用と空き家解体撤去の、これは全国的に見ても、繰り返しになりますが、かなり進んだ制度ですから、これがやっぱり効果を発揮しているというふうに思います。
記者:
国に対する要望というのは、もう既に出されたということでしたっけ?
久元市長:
はい、幾つかのルートで。これは地方分権の提案制度でも出して、相手にされなかったんでしたっけ?
職員:
あまり。
久元市長:
あまり捗捗しい答えはなかったんですね。指定都市市長会でも出したんでしたっけ? まだ出してない?
職員:
これから。
久元市長:
これから指定都市市長会で提案したいと思っています。
記者:
分かりました。その1回目、国のほうに出されたのはいつですか。
久元市長:
後で情報提供します。
記者:
分かりました。これもまた後でちょっと確認させていただきます。
記者:
先日、自民党の総裁選が行われまして、新たに高市早苗さんになりましたことで、市長は自民党からも推薦を受けていると思うんですけれども、今もそうですけど、石破政権を振り返っての総括と、そして新しい政権、恐らく高市さんが首班指名されると思うんですけど、高市首相になった場合の期待、どんなことに期待したいかというのをお伺いできますか。
久元市長:
まず、石破総理は地方創生、地方の活性化に大変意欲を燃やされて、やはり相当力を入れてこられたと思うんですよね。神戸にも視察をしていただいて、私も東遊園地の慰霊と復興のモニュメントに御案内をさせていただき、また、「あすてっぷKOBE」における子育て支援の取組、就業支援と子育て、両立させる取組を御覧いただきまして、熱心にお聞き取りをいただき、若い世代の皆さんとも意見交換をし、非常に熱心に取り組んでいただいたことを感謝しております。また、防災庁の設置も前に進めていただいたのが、これは途上になっている。まだ途上になっているということ、そういう中で退陣されることになったというふうに思います。
高市早苗新総裁につきましては、まず、神戸大学の御出身ということで、神戸に大変御縁がおありです。神戸についても思いを持っておられることは重々承知をしておりますし、私も総務省におりまして、私は直接お仕えはしませんでしたが、最長期の総務大臣をお務めになられました。私も何回か神戸市の立場で要望させていただいたこともあります。そのほか、経済安全保障担当大臣をされておりましたときに、神戸市の再整備の取組につきまして紹介をさせていただき、これは神戸だけの取組に終わらせることなく、全国的にも広げていただくようにお願いをしたこともあり、熱心にお聞き取りをいただきました。そういう神戸に御縁で、これまでも神戸のことに気をかけていただいてこられました高市新総裁が誕生したということは、これは大変神戸市としてはありがたいことで、歓迎を申し上げたいと思います。
先ほどの防災庁のように、石破内閣から引き継がれている課題と、それから新たに高市総裁が総裁選挙の中で主張された御主張というものをこれからどういう形で実現されていくのかということについては注視をしていきたいと思いますし、とにかく今の経済社会の状況というのは、物価高の中で様々な不安を抱いておられる市民・国民が多いわけですから、これへの対応。そして、物価水準を、物価の上昇を上回る賃金の上昇を、やっぱりこれを実現していかないと国民生活はなかなか改善しないわけですから、そのための道筋をしっかりつけていかなくてはということをまずは御期待を申し上げたいと思います。
記者:
それは経済政策に期待を示して?
久元市長:
そうですね。地方の活性化の取組というのは、これは石破内閣の方針を引き継いでいかれるのではないかというふうに思います。まだこれははっきりしておりませんが、地方に対するいわゆる臨時交付金なども、まだ報道ベースの話しか知りませんが、検討していただいているようなので、それも地方自治体に対して、そして地方自治体がその物価高などの今の市民生活の課題を解決するためにどういう役割を果たすことができるのかということ、そのためにどういう支援をしていただけるのかということについての方針を期待をしております。
記者:
神戸市として具体的に何か要望することはありますか。
久元市長:
いや、今のところはありません。
―― 了 ――
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