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未公開写真編 〜秘蔵ネガフイルムから

昭和36年3月1日(水)

1. 布引水源池

布引貯水池(撮影:2012/5/20)

 昭和36年3月1日川西 英さん一行が最初に訪れたのが、再度山ドライブウェイです。市バスの二本松バス停付近からスケッチをしている様子がわかります。現在の写真を見て、すぐに気がつくことと思いますが、神戸百景の画の場所が、本当にここであるのか?と目を疑うほどの変貌ぶりです。わたし自身、布引のダム湖を遠望できる場所はどこにあるのだろうかと考え、周辺の登山道を歩き尽くしましたが、この場所以外に見つけることは出来ませんでした。神戸の中心地からすぐのところに、こんなにもすばらしい眺望が隠れているのです。おそらく、ここを通る車、そしてハイカーのみなさんは、ほとんど気がつかれていないと思います。バス停横のフェンス越しから、よ〜く見てください。神戸百景の一場面がそこには広がっています。

【再度山ドライブウェイ 二本松バス停付近】

再度山ドライブウェイ 二本松バス停付近(左)1961年(右)2012年

 1935(昭和10)年に開通した道路は、現在も当時の面影が残っています。とくに、ヨーロッパの山岳道路をまねた石積みの壁(ガードレール)が特徴で、道幅も狭く、急カーブが多いことから交通量は少ないようです。街の喧騒を逃れ、森の中を窓を全開にしてドライブするのが、わたしのお気に入りでもあります。この道路を使えば、市街地から20分ほどで森林植物園まで行くことができます。
 さて、この日の川西 英さん一行ですが、スケッチに楢枝夫人を伴っていらっしゃいました。スケッチの際、よく夫人をお供にされていたとの話を聞いたことがありましたが、このネガの中で、唯一その姿を確認することができます。

再度山ドライブウェイ 二本松バス停付近(左)1961年(右)2012年
再度山ドライブウェイ 二本松バス停付近(左)和服姿の楢枝夫人(1961年)(右)2012年
再度山ドライブウェイ 二本松バス停付近(左)1961年(右)2012年
再度山ドライブウェイ 二本松バス停付近(左)1961年(右)2010年

【ホテル奥摩耶山荘】

ホテル奥摩耶山荘(左)ホテル奥摩耶山荘(1961年)(右)オテル・ド・摩耶(2011年)

 再度山ドライブウェイを抜けて、一行は摩耶山にあった「ホテル奥摩耶山荘」へ向かいました。このホテルは、現在の「オテル・ド・摩耶」が建っているところにあったもので、神戸市電弘済会が、1954(昭和29)年7月に開業したホテルでした。1968(昭和43)年11月に営業を休止し、建物は撤去されました。その後、1970(昭和45)年4月に「国民宿舎 摩耶ロッジ」として新築され、開業しました。それが現在の「オテル・ド・摩耶」へ引き継がれています。
 モノクロ写真には、当時の南蛮美術館(現市立文書館)館長の荒尾親成さんらと談笑している川西 英さんの姿が記録されています。

 実際に、描かれた画は『6.布引水源池』です。実際の調査では、ポイント探しに苦労した場所でもありました。50年前と比べ六甲山系全体の植栽が変貌しているため、なかなか場所の特定が進みませんでした。再度山ドライブウェイを車で何往復したか覚えていないほどです。布引のダム湖を遠望できる場所は、ここからしかないように思います。

(左)スケッチ中の川西英さん(右)神戸百景6.布引水源池
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