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未公開写真編 〜秘蔵ネガフイルムから

昭和36年1月16日(月)

3. 奥摩耶

摩耶ケーブル虹の駅付近(撮影:2010/4/14)

 川西 英さん一行が、この日3番目に訪れた場所は奥摩耶です。現在、この場所は掬星台とよばれ、神戸でも指折りの夜景スポットになっています。なかでも展望台からの景色は、眼下に星を散りばめたような夜景が広がり、鳥肌が立つほどの美しさがあります。

【展望台】

展望台(左)1961年(右)2012年

 展望台から神戸港を見下ろした景色です。ポートアイランドや摩耶埠頭など、臨海部の発展ぶりが手に取るようにわかります。モノクロ写真では、山の稜線に旧天上寺を確認することができます。

展望台(左)1961年(右)2012年
展望台(左)1961年(右)2012年

 上の写真は、展望台からロープウェーの駅舎を川西 英さんが眺めているところです。市の関係者によると、この展望台の基礎は、当時のものをそのまま利用しているのだそうで、よく見るとアーチ型屋根の基礎は、いまもそのまま残されていますね。

【ロープウェー駅舎屋上】

ロープウェー駅舎屋上(左)1961年(右)2011年

 現在、ここには一般の方は立ち入ることはできません。今回は特別に屋上へ上がらせていただきました。百景を探して歩くときは、川西 英さんと同じ場所に立ち、ここでスケッチされていたのだと思うと、とても嬉しくなります。撮影する上で、ひとつ残念だったのは、屋上に設置されたプレハブ施設です。「星と光の祭典」でレーザー光線を使うそうですが、その施設がちょうど川西画にある眺望を塞いでしまっていたのです。それでも、当時と変わらぬまま建物が残っていることにはビックリしました。

ロープウェー駅舎屋上(左)1961年(右)2011年

 ネガには、百景を描く川西 英さんの姿がとらえられています。ロープウェー駅舎の屋上から展望台の方をスケッチしているところです。川西画をみると、遊園地は賑わっているように見えます。ところが、写真をみると、ほとんど人がいません。川西 英さんが訪れたのは、真冬の摩耶山、雪がちらつくほどの天気に、観光客も少なかったのでしょう。わたしは、川西画のように賑わう奥摩耶を写真に撮るため、リュックサックマーケットが開催される日を狙ってみました。しかし、当日はあいにくの雨模様で、観光客もまばらでした。川西 英さん一行が訪れたときのように、曇天で似たような写真がとれたのは幸いかも知れません。
 そして、駅舎屋上から見て、実際に描かれたのが作品『12.奥摩耶』 です。

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