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未公開写真編 〜秘蔵ネガフイルムから

昭和36年1月16日(月)

2. 六甲山牧場

動物ふれあい広場(撮影:2009/5/27)

 この日、外国人墓地のつぎに川西 英さん一行が訪れたのが六甲山牧場です。六甲山牧場は、1950(昭和25)年に、スイスの山岳酪農をモデルに計画、整備されました。1956(昭和31)年には、牛2頭、羊3頭が導入され、放牧を開始しています。以後、市内酪農振興の拠点として位置づけられ、現在、乳牛12頭、羊125頭を数え(六甲山牧場HPより)、そのほか多くの動物たちが飼育されています。  一般に開放されたのが、1976(昭和51)年ですから、川西 英さんが、ここを訪れたときは牧場の初期、まだまだ整備中の段階です。ただ、写真を見る限り、羊は相当数いるように見受けられます。

【管理事務所付近】

(左)北ゲートあたりから、ポニー舎、サイロを望む(1961年)(右)2011年

 最初の写真は北ゲートあたり、掬星台方面へ抜ける一本道から撮影されたものです。ちょうど50年が経過した現在、樹木は生い茂り、あたりの様子は一変しています。牧場は整備されましたが、施設は当時を偲ばせ、そのまま残っているものもあります。

管理事務所前から、ポニー舎、サイロを望む(左)1961年(右)2010年

 左の写真は、現在の管理事務所前から撮影されたものです。手前を流れる小川、そこにかかる橋、その先には、馬舎、サイロ、ポニー舎が続き、ふだんと変りのない光景が目の前に広がります。昔も今も、この眺めは画になります。夏場は手前の樹木で視界が遮られてしまいます。もうすこし橋のほうへ移動すると絶好の撮影ポイントになります。

管理事務所裏手からゴールデンポイント方向を望む(左)1961年(右)2011年

 左の写真は、現在の管理事務所東側、掬星台方面へ抜ける一本道から牧場を一望できるゴールデンポイント方向を向いています。ちょうど川西 英さんがサイロのほうを見てスケッチされている写真です。山の斜面で、10頭以上の羊が牧草を食べているのが分かります。川西 英さんの右側に、「ポニー馬場」の標識が見えますが、現在、この場所は乳牛舎になっています。

【ポニー舎付近】

(左)ポニー舎前から農機具庫方向を望む(1961年)(右)2011年

 現在の写真を見ると、モノクロ写真と同じく川西 英さんが顔をのぞかせそうな雰囲気があります。わたしは猛暑の日差しを遮ろうとポニー舎の軒先でひと休みしました。樹木によって農機具庫方向の視界は遮られてしまいますが、木の向こう側に広がる風景は何となく想像できます。

【農機具庫付近】

(右)農機具庫の屋根越しに裏山を望む(1961年) (左)農機具庫(2011年)

 現在、農機具庫として使われている小屋です。小屋の2階には4つの出窓があり、それぞれの屋根にあるのは避雷針でしょうか。

 ネガには、百景を描く川西 英さんの姿がとらえられています。写真はモノクロですが、川西画と並べて見ることで、1961(昭和36)年の写真が着色され、よみがえってくるかのようです。そして、実際に描かれたのが、作品『11.六甲山牧場』です。

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