最終更新日:2026年9月30日
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父母が離婚後も適切な形でこどもの養育に関わりその責任を果たすことは、こどもの利益を確保するために重要です。 2024年(令和6年)5月に成立した民法等改正法は、父母が 離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールを見直しています。
この法律は、2026(令和8)年4月1日に施行されました。
法務省HP
親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことが明確化されました。
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。その際には、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、 こどもの人格を尊重しなければなりません。
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のため、 互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、この義務に違反する場合があります。
※ただし、DVや虐待から避難するために必要な場合は、この義務に違反しません。
親権(こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理したりすること) は、こどもの利益のために行使しなければなりません。
これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでした。今回の改正により、離婚後は、共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになりました。
父母が、その協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。
家庭裁判所が、父母とこどもとの関係や、父と母との関係などの様々な事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。この裁判手続では、家庭裁判所は、父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するよう努めなければなりません。
次のような場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。
※殴る・蹴る等の身体的な暴力を伴う虐待・DVに限定されません。
※また、これらの場合以外にも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。
離婚後の親権者については、こどもの利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更(父母の一方から他の一方/一方から双方/ 双方から一方)をすることができます。離婚前の父母間に一方からの暴力等があり、対等な立場での合意形成が困難であったといったケースでは、こどもにとって不利益となるおそれがあるため、この手続によって親権者の定めを改めることができます。
日々の生活の中で生じる監護教育に関する行為で、こどもに重大な影響を与えないものをいいます。個別具体的な事情によりますが、例えば、日常の行為に当たる例、当たらない例としては、次のような場合があります。
| 日常の行為に当たる例(単独行使可) | 日常の行為に当たらない例(共同行使) |
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父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。急迫の事情があるときは、日常の行為にあたらないものについても、 父母の一方が単独で親権を行うことができます。 個別具体的な事情によりますが、例えば、急迫の事情の例としては、次のような場合があります。
父母が共同して親権を行うべき特定の事項(例:急迫の事情があるとはいえない場面におけるこどもの転居や財産管理など)について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができます。親権行使者は、その事項について、単独で親権を行うことができます。
※未成年者のパスポートの申請の際には、親権者の同意が必要になります。詳しくは各都道府県のパスポートセンターや在外公館(大使館等)までお問い合わせください。
父母が離婚するときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。この定めをするに当たっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。監護の分担の例としては、次のような定めが考えられます。
離婚後の父母双方を親権者とした場合であっても、その一方を「監護者」と定めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。このような定めがされた場合には、「監護者」は、日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・ 職業の決定を、単独ですることができます。「監護者」でない親権者は、監護者がこどもの監護等をすることを妨害してはなりませんが、監護者による監護等を妨害しない範囲であれば、親子交流の機会などに、こどもの監護をすることができます。
これまでの民法では、同居親と別居親の間で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判書などの「債務名義」が必要でした。
今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。先取特権が付与される養育費の上限額は、子一人あたり月額8万円です。なお、改正法施行前に養育費の取決めがされていた場合には、改正法施行後に生 ずる養育費に限ってこの改正が適用されます。
これまでの民法では、父母の協議や家庭裁判所の手続により養育費の額を取り決めなければ、養育費を請求することができませんでした。
今回の改正により、離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求することができるようになります。その額は、子一人あたり月額2万円です。また、法定養育費の支払がされないときは、 差押えの手続を申し立てることができます。
法定養育費は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取決めをしていただくことが重要です。
養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。 そこで、今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで以下の一連の手続きを申請することができるようになります。
家庭裁判所は、調停・審判において、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。その際には、適切な親子交流を実現するため、資料を収集して調査をしたり、父母との間で様々な調整をします。こうした調査や調整に当たっては、手続中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握することが望ましい場合があります。そこで、今回の改正では、親子交流の試行的実施に関する制度を設けています。その具体的な手続は次のとおりです。
父母が婚姻中に、様々な理由により、こどもと別居することがありますが、これまではそのような場合の親子交流に関する規定がありませんでした。そこで、今回の改正では、婚姻中別居の場合の親子交流について、次のようなルールを明らかにしています。
これまで民法には父母以外の親族(例えば、祖父母等)とこどもとの交流に関する規定はありませんでした。しかし、例えば、祖父母等とこどもとの間に親子関係に準ずるような親密な関係があったような場合には、父母の離婚後も、交流を継続することがこどもにとって望ましい場合があります。そこで、今回の改正では、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができることとしています。 また、こどもが父母以外の親族と交流をするかどうかを決めるのは、原則として父母ですが、 例えば、父母の一方が死亡したり行方不明になったりした場合など、ほかに適当な方法がないときは、次の1~3の親族が、自ら、家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。
財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際にそれぞれ分け合う制度です。財産分与は、まずは夫婦の協議によって決めますが、協議が成立しない場合は、家庭裁判所に対して財産分与の請求をすることができます。これまで、この財産分与の請求をすることができる期間が、離婚後2年に制限されていましたが、今回の改正により、離婚後5年を経過するまで請求できるようになります。
これまで民法では、財産分与に当たってどのような事情を考慮すべきかが、明確に規定されていませんでした。そこで、今回の改正では、財産分与の目的が各自の財産上の衡平を図ることで あることを明らかにした上で、以下の考慮要素を例示しています。
このうち「財産の取得又は維持についての各自の寄与の程度」については、直接収入を得るための就労だけでなく、家事労働や育児の分担など様々な性質のものが含まれることから、寄与の程度は、原則として夫婦対等(2分の1ずつ)とされています。
財産分与に関する裁判手続では、分与の対象となる財産の種類や金額を明らかにする必要があります。そこで、今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して財産情報の開示を命じることができることとしています。
未成年のこどもが養子になった場合には、養親がそのこどもの親権者となり、実親は親権を失います。複数回の養子縁組がされた場合には、最後に養子縁組をした養親のみが親権者となります。
離婚した実父母の一方の再婚相手を養親とする養子縁組(いわゆる連れ子養子)の場合には、 養親(再婚相手)とその配偶者である実親が親権者となります。この場合には実父母の離婚後に 共同親権の定めをしていたとしても、他方の親権者は親権を失います。
15歳未満のこどもが養子縁組をするときは、そのこどもの親権者が養子縁組の手続を行う必要があります。 これまでの民法では、父母双方が親権者であるときに、その意見対立を調整するための規定がなく、父母の意見が一致しなければ養子縁組をすることができませんでした。
今回の改正では、養子縁組の手続に関する父母の意見対立を家庭裁判所が調整するための手続を新設しています。家庭裁判所は、こどもの利益のため特に必要があると認めるときに限り、父母の一方を養子縁組についての親権行使者に指定することができるようになります。親権行使者は、単独で、養子縁組の手続を行うことができます。