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「女性活躍」について考えるオープンミーティング 開催レポート

最終更新日:2025年7月7日

ページID:80162

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2025年6月7日(土曜)神戸市中央区のビジネス交流拠点「アンカー神戸」で「女性活躍」について考えるオープンミーティングを開催しました。

今回は、司会を神戸新聞社の石川翠記者にお願いし、市内企業で管理職として働く杉本さんと牧野さん、勤務先で広報業務を担当している田川さん、フリーランスの久野さんの女性4名、市内で会社を経営している川崎さんと内藤さんの男性2名に参加いただき、「女性活躍」に対するイメージや、もやっとした体験、課題と捉えていることなどについて、それぞれの立場から率直に語っていただきました。
司会が冒頭説明を行っている写真

自己紹介と、女性活躍に対するもやもや

参加者それぞれが自己紹介を交えながら、「女性活躍」という言葉に対する違和感や、日々感じているもやもやを共有しました。

川崎さん:結婚していて子どもが2人おり、会社を経営している。うちの会社は女性のメンバーも多く、管理職の女性も一定数いるため、女性が活躍できている会社だと思う。ただ、もやもやするのは「女性活躍」という言葉そのものと、それに関する法律の存在。言えば言うほど、逆に違和感がある。

杉本さん:私の勤務先は、女性がすごく少ない機械系の製造業。女性管理職を増やすという施策の中で、自分もその立場にいるのかなと思っているが、「活躍」って言葉に、何かプラスαで頑張らなきゃいけないとか、生活との両立に日々努力しなきゃいけないっていうプレッシャーを感じることがある。

田川さん:夫と犬と鶏と暮らしている。女性の多い会社で働いていて、自分はメンバーだが、管理職のうち26%くらいが女性。昇格試験に受かった時に、「女性だからではないか」と考えてしまった自分にちょっともやもやした。

内藤さん:結婚して子どもが2人いる。食品製造業の会社を経営していて、役員含めて17人くらいで女性社員は事務員1人だけ。「女性活躍」について改めて考えることがなくて、実際に活躍できていない女性がどれくらいいるのか、そこがもやっとするポイント。

牧野さん:「女性活躍」という言葉を聞くと、「もう十分頑張っているのに、これ以上何を頑張らないといけないの?」と感じることがある。会社は男性が多くて、男女ともに「女性はサポート業務をするもの」と思い込んでいるところがある。会社が「女性管理職○%登用」と掲げた時も、「女性だから無理やり上げるの?」という声が出てきたりして。

久野さん:出産を機に退職した。今は神戸市が運営するコワーキングスペース「あすてっぷKOBE」で生成AIの勉強をしたり、コミュニティに参加して少し仕事を請け負ったりしている。恩恵を受けている部分もあると思うけど、何をもって「女性活躍」なのか、とは思う。

そもそも女性活躍って…?

川崎さん:「女性活躍」と謳うことで、女性を“弱者であり支援してあげないといけない存在”と扱っているように感じる。もし「みんなが活躍できる社会を目指す法律」だったら違和感はなかったかもしれない。経営者として、これまで特別に気を遣ってきたつもりはなかったが、この機会に女性社員に話を聞いてみたところ、「今日残業できる?」とか、食事に行く時に小さいお子さんがいる人に対する「もう帰らなくていいの?」といった声掛けが、相手にとっては“気を遣われている”と感じられていたことが分かった。

杉本さん:昇格試験に受からなかった女性社員から、「面接で上層部の男性から『子どもが小さいと時間関係なく働けないでしょ』と言われた」、「女性は家庭があるという価値観で話され悔しかった」と相談を受けた。後で確認したところ、男性に対しても同じことを聞いていたとのこと。どちらも「女性だから言われた」、「上層部の男性はそう考えている」と決めつけてしまっており、みんなが固定観念を払拭できずにいると感じた。

田川さん:自分が女性だから昇格試験に受かったとは思わないようにしているが、どこかで「あの同期の男性の方が優秀なのに」と思ってしまい、それが自分の中でチクチクとしている。ペーパー試験は点数が出る一方でレポートなどは評価が見えにくいが、自信を持っていきたい。

石川記者:「なぜ女性活躍を推進するのか」というメッセージが会社から明確に出されていれば、取り組みの意味も伝わりやすくなるのではないか。会社からそのようなメッセージはあるか。

杉本さん:数年前に勤務先が上場廃止となり、親会社の完全子会社になった。それ以降、「女性活躍」というキーワードが社内であまり聞かれなくなった。それまでは「上場企業としてこれくらいはやらないと」という暗黙の了解があったが、今は会社からのメッセージが見えにくくなっている。

田川さん:9年間、配送センターで配達に関わる仕事をしていた。その時の上司から「50~60代は一斉に定年を迎えるから、自分たちは必然的に上がっていくつもりで」と鼓舞され、頑張らないといけないんだな、と感じていた。

内藤さん:活躍したい人が活躍できるようになればいい。うちの妻は子どもが生まれるタイミングで退職し、今は専業主婦。それぞれが思い描く理想の生き方があり、それをどう実現するかが大事。今は子どもも少し大きくなり、妻も働きたい気持ちはあるようだが、なかなか一歩を踏み出せない。男性も含めて、不安を抱える人へのケアや社会復帰の支援がもっと充実すれば、活躍できる人材が増えるんじゃないかな。

牧野さん:うちの会社では、まずジェンダーギャップを認識するところから始めました。以前は来客対応やお茶出しは女性に声がかかっていたり、本社勤務の女性は管理職でも事務服(ベストとスカート)を着ていた。事務服を着ていると、どうしても補佐的な印象になる。男性と同じように働いている人もいるし、「女性活躍」というよりは、性別による役割分担の見直しや、ちょっとした変化の積み重ねが意識の変化につながると感じている。

久野さん:家の事情で退職したが、本当は働きたかった。今、子どもは2歳で、子どもが幼稚園に入ってから働こうと思うとあと3年は空いてしまう。その間にスキルを貯金しても、小さい子どもがいると雇ってもらいにくいのではと不安になる。シフト制の職場だと、子どもの発熱などで急に休むと穴をあけてしまうし、自分で代わりの人を探さないと休ませてもらえないのでは、と思うと応募しづらい。会社が困るのもわかるが、もう少し柔軟な仕組みが整ってほしい。あすてっぷKOBEでは、一時保育が無料で使える。育休中の人やフリーランス、資格取得を目指す人も多く来ている。次のキャリアをどうするかずっと不安で、お金のことを考えると働きたいが、育児に専念したい気持ちもある。育児だけだとブランクが怖いし、子どもを一日見ているのが大変な時もある。あすてっぷKOBEで子どもを預けて、自分の時間を持って勉強できるのは本当にありがたい。こういう場所がもっと全国に広がってくれたらいいのに。

女性活躍推進法や雇用に関するデータを見て感じたこと

ここで、神戸市の職員から「女性活躍推進法」の背景や主旨、雇用に関する男女差のデータなどを紹介しました。それを受けて、参加者からさまざまな意見が出ました。

オープンミーティング中の

杉本さん:長時間労働を前提とした働き方は自分の業界特有のものかと思っていたが、まだまだ社会全体にそういう傾向があると感じた。ITや働き方改革が進んでいるとはいえ、長時間働くことが“普通”とされている空気が残っており、そこを変えていく必要があると感じた。

川崎さん:法律では「昇進等の機会の積極的な提供」や「女性の継続就労支援」が掲げられているが、これは“公平”の話であり、社会福祉的には正しいが、人事評価は“平等”であるべきで、企業の経済活動において“公平”を求めるのは違和感がある。企業に対する法律なのに、“公平”と“平等”が混ざっているから、表面的な対応だけが進み、企業の中身が変わらない。うちの会社では、個々の事情に合わせて柔軟な働き方を提供しており、性別で分けるという感覚はそもそも持っていない。

牧野さん:勤務先はもともと男性社会で、男性には昇進の道筋があるが、女性は補佐業務しか任されないなど、そもそも土俵に上がれないことがあるので、少しでも機会を与えてもらえるようになってほしい。以前、女性社員のキャリアについて相談したところ「子どもがいるし、家庭があるから残業できないでしょ」と言われた。その女性は共働きで、家事の得意な夫が料理を作っているが、上司はその事情を知らずに発言していた。個々の事情を知り、聞いてあげることが大切である。

久野さん:“差別”と”区別”も混同されることが多い。妊娠・出産は女性にしかできないが、それ以外の得手不得手は性別に関係ないと思っている。夫が家事をすべて担当する家庭もあるし、女性でも肉体労働が得意な人もいる。一人ひとりの個性を見てほしい。「女性だから推進しなければならない」という考え方には違和感がある。

杉本さん:少し前にテレビで、女性活躍を推進し始めた人の特集を見た。当時は女性が働く土壌がなく、サポートが必要だった。今は社会が進み、平等な評価や働き方に対する考え方など、みんなが生きやすいように変わってきている。「女性活躍」という言葉一つとっても、さまざまな意見がある。今回のように、みんなが思っていることを話すことで、考え方や見え方が広がり、社会的にも多様性が生まれる。それが望ましい姿ではないかと感じた。

内藤さん:うちの会社は男性ばかりで、稼ぎたいから残業したい人もいれば、早く帰りたい人もいる。会社としては残業を減らしたいが、働き方の希望は人それぞれ。自分自身も仕事から疲れて帰ることもあるが、家事はできる限りやろうとしている。家事や子育てはとても大変だと認識しているが、仕事を終えて帰宅後に家事をするのはしんどい時もある。特に子どもが小さい頃は家がカオス状態で、共働きでやっている人はどうしているのかと思う。

久野さん:うちの夫は何もしない。昔ながらの考え方を持っている。でも、自分もそう育ってきて、「母親は子どもと一緒にいてほしい」という男性の気持ちもわかる。子どもといたい母親もいるし、それは否定しない。今は多様な考え方や生き方があるから、一方的に押し付けるのではなく、お互いに譲り合うことが大事。

杉本さん:私は子どもがいないが、部下や後輩から「子どもが1人の時は何とか回っていたけど、2人目からは息をするのも忘れるくらい大変」と聞いたことがある。子育てとの両立のための会社の制度はそれなりに整っているが、それだけでなく、上司や同僚が状況を聞くコミュニケーションが大事だと思う。夜に子どもに起こされて眠れなかったり、体調が悪かったりと、日々状況は変わる。話を聞いて、理解してくれる人がいるだけで少し気持ちが楽になると聞いた。

川崎さん:全国的に人口減少で人手不足が続いている。何とか働きやすい環境を整えて、人材を維持していかないといけない。何年か前にLGBTQの人が働いていたことがあり、その時に「男性らしさ」「女性らしさ」について考えるようになった。行きついたのは「人らしさ」という考え方。結局、性別ではなく、個人の働きやすさを考えることが重要。

田川さん:実子はいないが、児童福祉に関心があり、里親の研修を受けている。もうすぐ資格が取れそうだが、勤務先の育児制度を使えるかどうかは里親の種類によるとのこと。養子縁組里親なら制度が使えるが、養育里親の場合は使えない。この場に参加することになり、それをきっかけに、養育里親でも制度を使えないか人事に相談したところ、今後考えていきたいと言ってもらえた。夫も勤務先が一緒で、2人で時短勤務が取れれば、両方が里子に向き合いながら家事も分担できる。仕事と里親の両立が今の目標。

女性活躍を進めるうえで必要なこと

久野さん:他者理解が何よりも大事だと思う。それぞれの人生や背景が違っていて、性別で分けられるものではない。その人自身を見て、会話して、お互いに理解し合うことが当たり前の社会になれば、「女性活躍」みたいなことをしなくても、自然とみんなが活躍できるようになるのでは。

牧野さん:「○○くんのママ」とか「○○さんの奥さん」と呼ばれると、自分が自分でなくなってしまう感覚になる。社会とつながって、自立している方が生きやすい。子どもと一緒に海外留学した時、名前で呼ばれて「自分がいる」と感じた。自立する気持ちを持つことも大事。

内藤さん:いろんな人がいて、その人に合った働き方や活躍の仕方がある。それを実現するためにどうするかを考えるべき。人それぞれ悩みがあり、できるだけ選択肢を与えられる企業であることが望ましい。社会全体でそうした考え方が浸透すれば、可能性はもっと広がる。

田川さん:「ロールモデルがいない」とよく言われるが、うちはたくさんいる。先輩方がポストに着任してすぐの頃や、バリバリ働くところも見てきたので、自分も後輩たちに、ずっこけているところだって見てほしいし、こんなんでも大丈夫と伝えられる存在でありたい。

杉本さん:「活躍」と言う言葉にもやもやしていたが、どうなりたいかは人それぞれ。男女関係なく、自分がどうしたいか、どうなりたいかを話し合い、コミュニケーションを取って情報共有していくことが、良い社会につながっていくと思う。

川崎さん:正解は一つではなく、多様なキャリアの形がある。女性全員が社会進出を望んでいるわけではないし、個々の生き方を尊重し、認め合う社会であってほしい。コロナ禍でIT導入補助によりテレワークが推進されたことで、間接的に子育てとの両立がしやすくなったように、色んな人がフラットに働けるような環境を整える企業の取り組みに対して行政が助成金を出すなど、企業を後押しする仕組みがあれば、それが間接的に働きやすさにつながっていくのでは。

参加者の集合写真

(写真提供:神戸新聞社)

 

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