2023年4月から9価HPVワクチンが定期接種になりました

最終更新日:2024年9月5日

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子宮頸がん予防(HPV)ワクチンの「定期接種」及び「キャッチアップ接種」では、これまで2価(サーバリックス)と4価(ガーダシル)の2種類のワクチンが対象でしたが、2023年4月1日の接種から9価のHPVワクチン(シルガード9)が追加されました。

 9価HPVワクチン(シルガード9)の接種スケジュール

3回接種及び2回接種いずれかの方法で接種をします。
ただし、2回接種は、9価HPVワクチンの1回目接種を小学6年生の学年から15歳の誕生日前日までに開始した人に限ります。

3回接種の場合

標準的な接種間隔:2か月の間隔をおいて2回注射した後、1回目の注射から6か月の間隔をおいて3回目を注射する(標準的な接種間隔をとることができない場合は、下記の必ずあける必要がある間隔をあけて接種すること)

必ずあける必要がある間隔:1か月以上の間隔をおいて2回注射した後、2回目の注射から3か月以上の間隔をおいて3回目を注射する
≪注意≫1か月以上の間隔をおいた日とは、翌月の同日を指します。翌月に同日が存在しない場合はその翌日(1日)となります。3か月以上の間隔をおいた日も同様の考え方です。
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2回接種の場合

【2回接種が可能となる人】
9価HPVワクチンの1回目接種を小学6年生の学年から15歳の誕生日前日までに開始する人

標準的な接種間隔:6か月の間隔をおいて2回目を注射する(標準的な接種間隔をとることができない場合は、下記の必ずあける必要がある間隔をあけて接種すること)

必ずあける必要がある間隔:5か月以上の間隔をおいて、2回注射する
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9価HPVワクチン(シルガード9)は2023年2月27日の薬事・食品衛生審議会において、9歳以上15歳未満の女性を対象として、少なくとも5か月以上の接種間隔を空け、2回の接種で完了する方法について承認されました。英国・米国などの諸外国では2回接種が一般的です。
2回接種と3回接種について、その効果を比較した海外の研究において、2回接種における効果(抗体価)は3回接種と同等以上とされています。

 予防接種券・予診票

  • 予防接種券及び予診票は、既に対象者に送付しているもの(お持ちのもの)を使用できます。予防接種券は、9価HPVワクチンを選択する項目がありませんが、特に追加での記載等は必要ありません。

 2価HPVワクチン又は4価HPVワクチンとの交互接種

HPVワクチンの接種は、原則、過去に接種歴のあるワクチンと同一の種類のワクチンで実施します。しかし、2価HPVワクチン(サーバリックス)または4価HPVワクチン(ガーダシル)で既定の回数の一部を完了し、9価HPVワクチン(シルガード9)で残りの回数の接種を行う交互接種については、実施して差し支えないこととしています。
2価HPVワクチン(サーバリックス)または4価HPVワクチン(ガーダシル)で接種を開始し、9価HPVワクチン(シルガード9)で接種を完了する場合は、9価HPVワクチン(シルガード9)の接種方法に合わせ、1回目と2回目の間隔を1か月以上、2回目と3回目の間隔を3か月以上あけて接種します。
厚生労働省において、現状入手可能なエビデンスにより、2価または4価HPVワクチンと9価HPVワクチンの交互接種について、同一のワクチンを使用した場合と比較して一定程度の免疫原性と安全性が示されているとしています。

HPVワクチンの効果とリスク(副反応)
(厚生労働省作成のリーフレット及びホームページより引用)

HPVワクチンの効果

2価HPVワクチン(サーバリックス)および4価HPVワクチン(ガーダシル)は、子宮頸がんをおこしやすい種類(型)であるHPV16型と18型の感染を防ぐことができます。
そのことにより、子宮頚がんの原因の50~70%を防ぎます。
9価HPVワクチン(シルガード9)は、HPV16型と18型に加え、ほかの5種類のHPVの感染も防ぐため、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。

HPVワクチンのリスク

HPVワクチン接種後には、接種部位の痛みや腫れ、赤みなどが起こることがあります。
まれですが、重い症状(重いアレルギー症状、神経系の症状)が起こることがあります。

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●HPVワクチン接種後に生じた症状(出典:2023年度版厚生労働省作成リーフレット(詳細版))​​​​​​
発生頻度 2価HPVワクチン(サーバリックス) 4価HPVワクチン(ガーダシル) 9価HPVワクチン(シルガード9)
50%以上 疼痛、発赤、腫脹、疲労 疼痛 疼痛
10~50%未満 掻痒(かゆみ)、腹痛、筋痛、関節痛、頭痛など 紅斑、腫脹 腫脹、紅斑、頭痛
1~10%未満 じんましん、めまい、発熱など 頭痛、そう痒感、発熱 浮動性めまい、悪心、下痢、そう痒感、発熱、疲労、内出血など
1%未満 知覚異常、感覚鈍麻、全身の脱力 下痢、腹痛、四肢痛、筋骨格硬直、硬結、出血、不快感、倦怠感など 嘔吐、腹痛、筋肉痛、関節痛、出血、血腫、倦怠感、硬結など
頻度不明 四肢痛、失神、リンパ節症など 失神、嘔吐、関節痛、筋肉痛、疲労など 感覚鈍麻、失神、四肢痛など


●まれに起こる重い副反応(※2013年3月までの報告のうちワクチンとの関係が否定できないとされた報告頻度)
病気の種類 主な症状 報告頻度(※)
アナフィラキシー 呼吸困難、じんましんなどを症状とする重いアレルギー 約96万接種に1回
ギラン・バレー症候群 両手・足の力の入りにくさなどを症状とする末梢神経の病気 約430万接種に1回
急性散在性脳脊髄炎(ADEM) 頭痛、嘔吐、意識の低下などを症状とする脳などの神経の病気 約430万接種に1回
複合性局所疼痛症候群(CRPS) 外傷をきっかけとして慢性の痛みを生ずる原因不明の病気 約860万接種に1回
●痛みやしびれ、動かしにくさ、不随意運動について

HPVワクチン接種後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)等を中心とする「多様な症状」が起きたことが医師や企業により報告されています。
この症状は、何らかの身体症状はあるものの、画像検査や血液検査を受けた結果、その身体症状に合致する異常所見が見つからない状態である「機能性身体症状」であると考えられています。
症状としては、➀知覚に関する症状(頭や腰、関節等の痛み、感覚が鈍い、しびれる、光に対する過敏など)、➁運動に関する症状(脱力、歩行困難、不随意運動など)、➂自律神経等に関する症状(倦怠感、めまい、睡眠障害、月経異常など)、➃認知機能に関する症状(記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下など)など様々な症状が報告されています。
なお、「HPVワクチン接種後の局所の疼痛や不安等が機能性身体症状を起こすきっかけとなったことは否定できないが、接種後1か月以上経過してから発症している人は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しい」と専門家により評価されています。
また、HPVワクチンの接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を有する方が一定数存在したことが明らかとなっています。このような「多様な症状」の報告を受け、様々な調査研究が行われていますが、「ワクチン接種との因果関係がある」という証明はされていません。

接種後は、厚生労働省作成のリーフレット「HPVワクチンを受けたお子様と保護者の方へ」をお読みください。

定期接種による重い副反応の場合には、法に基づく予防接種健康被害救済制度の対象になることがあります。

よくある質問

15歳未満の場合、2回接種と3回接種のどちらを接種すべきですか。

小学6年生の学年から15歳未満の方が接種を開始する場合の接種回数については、2回接種または3回接種のいずれかを選択できます。2回接種の場合、5か月以上の接種間隔をあける必要があります。1回目と2回目の接種間隔が5か月未満だと3回接種が必要です。
2回接種または3回接種のどちらを選択するかについては、以下の点について考慮いただいたうえで、接種医とご相談ください。
・現時点で明らかになっている研究結果によると2回接種における効果(抗体価)は3回接種と同等以上とされている
・英国・米国などの諸外国では2回接種が一般的であること
・1回の接種ごとに副反応が生じる可能性を有すること

 関連情報

お問い合わせ先

健康局保健所保健課