作品26.ダンスホール
【撮影場所】 中央区下山手通 (撮影:2012/03/27)
作品『29.パチンコ』同様、場所の特定は難しいと考えています。それはパチンコ店やダンスホールの古い写真がほとんど残っていないことが理由です。こうなると人の記憶を頼りに取材するほかありません。しかし、かつてのダンスホールについて明確に答えてくださる方に、今のところ巡り会うことはできていません。
戦前の神戸には、ソシヤルダンスホール(元町東入口)、ダイヤクラブ(居留地浪花町)、キャピトル舞踏場(三宮町生田筋)、花隈ダンスホール(北長狭通6)に代表されるダンスホールがありました。戦後、進駐軍の影響を受けながらダンスホールは様変わりしていきます。専属のバンドをかかえたホールも増え、新世紀(下山手通1)、日綿クラブ(元町通5)、国際ダンスホール(福原町)なども流行りました。新世紀では大型のホールを備え、専属のダンサーを配置して、お酒を飲まなくてもダンスを楽しむことが可能なシステムもあったそうです。最後まで残っていた日綿クラブでは、昭和30年代、生バンドの演奏により「サンデーパーティー」なども行われていました。栄町通に面したその場所も最近マンションに建て替わってしまいました。寂しいことですが、神戸からは昭和の匂いが残るダンスホールは消えてしまったようです。かつて新世紀のあったところは、現在、東急ハンズ三宮店(写真)となっています。
作品28.鷹取工場
【撮影場所】 須磨区大池町5 (撮影:2011/11/30)
川西画の場所は、鷹取駅に隣接する神戸貨物ターミナルではないでしょうか。タイトルは鷹取工場となっていますが、工場自体の風景が描かれていません。この付近は、当時から操車場として利用されていたようで、川西英さんがこの画を外した理由は、このあたりにあるのかも知れません。作品の頃は、まだ蒸気機関車が走っていたようですね。今回、貨物列車を撮影するにあたり、はじめてその存在を知ったのが「JR貨物時刻表」という時刻表です。近年、インターネットの普及により時刻表冊子を目にする機会も減りましたが、その貨物列車版にあたるものです。これを使えば、鷹取駅を何時頃に貨物列車が通過するのかが手に取るように分かります。