未収録作品編：作品No.1～4｜川西英　神戸百景　～誕生の秘密をめぐる旅～

作品1．氷室神社

【撮影場所】　兵庫区北山町　（撮影：2011/8/2）

　氷室神社付近は平教盛の別邸跡であるとの言い伝えが残り、平家ゆかりの地として知られています。写真では分かりにくいのですが、名前の通り境内奥に氷室があります。昔の面影はほとんどなくなっていますね。川西画右側の階段は、その奥にあるお稲荷さんへと続くものでした。取材して分かったのですが、かつて、大雨で裏手の斜面が崩れたため、お稲荷さんを安全な場所に移設したそうです。そのため、川西画にある階段も現在は見当たりません。毎年8月には氷室開きが行われます。たまたま、境内を掃き清めていらした方に聞いたところ、氷はすぐに溶けてしまうため、氷室開き直前に氷を中へ入れるそうです。これも温暖化の影響でしょうか。

作品2．神戸競輪

【撮影場所】　兵庫区御崎町1　（撮影：2011/11/12）

　神戸市御崎公園球技場のある場所は、もともとは神戸競輪場（1949～1960）でした。その後、1970（昭和45）年、旧競輪場跡地に球技専門の競技場として神戸市立中央球技場が設立された経緯があります。さらに、震災による工事の遅れもあったようですが、2001（平成13）年に、神戸ウイングスタジアム（愛称）として、現在の新しい競技場が誕生しました。写真は、2011（平成23）年11月12日に行われました、なでしこリーグ優勝決定戦の試合です。この試合4-0で勝利したINAC神戸は、クラブ創立10年目にして初優勝を飾りました。ご存じのように、ワールドカップで優勝したなでしこジャパンは、2011年のスポーツ界に旋風を巻き起こしました。その日本代表に7選手を送り出したINAC神戸、これからも神戸の顔、日本の顔として、活躍してほしいです。

作品3．東山

【撮影場所】　兵庫区東山町3　（撮影：2011/8/2）

　東山には、市民の台所として有名な商店街があります。このバス停付近から西を眺めると川崎病院、市立神戸体育館などが見えます。川崎病院は、1936(昭和11)年、川崎グループの企業病院として開設されました。1956(昭和31)年の住宅地図で見ると、神戸体育館の建つところは、川崎重工の東山寮の敷地となっています。また、川西画で塔の建っているあたりは、大蔵省近畿財務局の敷地となっています。川西画に煙突が描かれていますが、川崎重工の東山寮にはコンクリート製の煙突があったとの記録があります。おそらくこの煙突かも分かりません。東山には企業城下町的な側面もあることに気がつきました。