最終更新日:2023年1月17日
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2003年2月15日、土壌汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康被害の防止に関する措置を定めること等により土壌汚染対策の実施を図り、国民の健康を保護するために、「土壌汚染対策法」が施行されました。
さらに、土壌汚染状況の把握のための制度の拡充、規制対象区域の分類等による講ずべき措置の内容の明確化、搬出土壌の適正処理の確保の内容を加える「土壌汚染対策法の一部を改正する法律」が2010年4月1日に施行され、2019年4月1日には、適切なリスク管理を推進するために「土壌汚染対策法の一部を改正する法律」が全面施行されています。
パンフレット「土壌汚染対策法のしくみ」(環境省)(外部リンク)
土壌汚染対策法では、鉛、ひ素、トリクロロエチレンやその他の物質(放射性物質は除きます)で、土壌に含まれることにより人の健康に係る被害を生じるおそれがある26物質を「特定有害物質」として定めています。
土壌汚染の状況を把握するため、特定有害物質によって汚染の可能性のある土地について、以下の(1)~(3)があった場合(「契機」といいます)、土地所有者は土壌汚染の状況について調査を行う必要があります。この調査を「土壌汚染状況調査」といい、環境大臣が指定する「指定調査機関」に依頼して行う必要があります。
土壌汚染状況調査については、初めに「地歴調査」を行い、「汚染のおそれの区分の分類」を行います。
その結果、必要であれば「試料採取調査(ボーリング調査、ガス調査)」を行う区画を選定します。
土壌汚染状況調査及び地歴調査については、環境省から次の2つの通知文が示されており、これらに基づき調査を行うことが重要です。
使用が廃止された有害物質使用特定施設に係る工場又は事業場の敷地であった土地の所有者等は、当該土地について土壌汚染状況調査を実施し、その結果を都道府県知事(神戸市域においては、神戸市長。以下「神戸市長」と記載します。)に報告しなければなりません。
(※ただし、土地利用の方法からみて人の健康被害が生ずるおそれがない旨の神戸市長の確認を受けたときは調査が猶予されます。)
一定の規模以上※の土地の形質変更を行なう者は、当該土地の形質変更に着手する日の30日前までに形質変更の場所及び着手予定日等を神戸市長に届け出なければなりません。
一定の規模以上とは・・・
水質汚濁防止法に定める有害物質使用特定施設設置事業場の敷地:900平方メートル以上
その他の土地:3000平方メートル以上
神戸市長は届出を受け、当該土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあると判断するときは、当該土地の所有者等に対し、土壌汚染状況調査の実施とその結果の報告を命ずることができます。
都道府県知事は、土壌汚染により人の健康被害が生ずるおそれがある土地があると認めるときは、当該土地の土壌汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、土壌汚染状況調査の実施とその結果の報告を命ずることができます。
神戸市長は、土壌の汚染状態が指定基準に適合しない土地については、その区域を要措置区域又は形質変更時要届出区域として指定・公示するとともに、台帳を調製し、閲覧に供します。
自主調査により土壌汚染が判明した土地について、土地所有者等は神戸市長に区域の指定を申請をすることができます。
形質変更時要届出内において土地の形質変更をしようとする者は、形質変更に着手する14日前までに神戸市長に届け出なければなりません。神戸市長は、その施行方法が基準に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、施行方法に関する計画の変更を命ずることができます。
要措置区域及び形質変更時要届出区域内の土地の土壌を、これらの区域外へ搬出しようとする者は、搬出に着手する14日前までに神戸市長に届け出なければなりません。
神戸市長は運搬の基準に違反し又は汚染土壌の処理を汚染土壌処理業者に委託していない場合は届出者に対し計画変更命令を発出することができます。
また神戸市長は、運搬基準に従って適正な運搬がなされていない場合又は汚染土壌の処理を汚染土壌処理業者に委託しなかった場合は、届出者に対し措置命令を発出することができます。
土壌汚染状況調査の信頼性を確保するため、技術的能力を有する調査事業者をその申請により環境大臣が指定調査機関として指定しています。
要措置区域及び形質変更時要届出区域から搬出された土壌の処理は、汚染土壌処理業者に委託しなければなりません。
汚染土壌処理業を行うには、汚染土壌処理施設ごとに神戸市長の許可(汚染土壌処理施設の構造基準等に適合していることが必要)を受けなければなりません。
また、汚染土壌の処理に際しては、汚染土壌の処理に関する規制に従わなければなりません。
土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査は、環境大臣の指定する調査機関(指定調査機関)が土地所有者の依頼を受けて行うこととなります。土壌汚染対策法の対象外であって、自主的に土壌汚染に関する調査を実施される場合であっても、土壌汚染対策法に準じて調査を行うことが望まれます。
指定調査機関には、土壌汚染対策法に基づく技術管理者証を交付された技術管理者が設置されています。
土壌汚染状況調査を依頼する指定調査機関を選ぶ際には、下記の「特に情報開示が望まれる項目」の内容を確認することが重要です。
公園等の公共施設若しくは学校、卸売市場等の公益的施設又はこれらに準ずる施設を設置しようとする者に対して、その土地が汚染のおそれの基準(施行規則第26条)に該当するか否かを把握させるよう、都道府県知事が指導に努めることとなっています。
なお、面積による規模の規定はありません。
これら施設を設置しようとする場合は、自主的に土壌汚染状況調査(初めに地歴調査)を実施することが重要です。
土壌汚染対策の円滑な推進を図るため、汚染の除去等の措置を講ずる者に対する助成、土壌汚染状況調査等についての助言、普及啓発等の業務を行う指定支援法人に関し、基金の設置等の必要な事項を定めています。(指定支援法人については、2002年12月25日付けで財団法人日本環境協会が指定されています。)
報告徴収及び立入検査等の雑則、所要の罰則が定められています。