最終更新日:2025年10月31日
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【事務分担】
局室区にかかる以下の事項
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全庁的にSDGs全般に関わる施策を担当しています。SDGsといっても幅広いので、まずは、今まで研究してきた森林や資源循環といった分野で何かできればと思っています。
「資源循環」と聞いても、ピンと来ない方が多いかもしれません。日本では、平安時代から農家が森林を共同管理してきました。それは、森林を伐採して、薪や肥料、木材としてある程度利用したら、別の集落に移り、また森を利用して、移動します。これを繰り返し、約20年で一巡すると、また森が育っているというわけです。森を利用し尽くさず、きちんと手入れもする。人と森は持ちつ持たれつ、ここまでやってきたというのが、約40年の研究で分かったので、私は「日本の森を守るには、使うしかない」という信念を持っています。
日本では、1950年代半ば以降に、炭や薪がプロパンガスに変わり、落ち葉で作っていた肥料は、化学肥料になりました。1970年代には木材が輸入品となり、みんなが山を見なくなったんです。1990年以降、環境保護が叫ばれるようになりましたが、研究者も含めて「森は守ればいい、切るなんてもってのほか!」という考えが広まり、木材を適切に伐採して使うという発想は、なかなか理解されませんでした。 近年では、徐々に賛同者も増えて来ましたが、研究者の立場では、自治体を動かすことは難しく、森林の持ち主である農家も兼業で忙しい中、広く協力を得るのは難しい状況でした。そんなときに、市長から神戸市の副市長就任の打診をいただき、「資源循環に取り組んでほしい」というお話があったので、本当に驚きました。自治体の中からなら、日本の森を変えられるかもしれない、そう考えてお引き受けしました。
資源循環という観点では、神戸は全国の先頭を切っていけると感じています。レベルの高いレストランが多く、海も山も食材に恵まれています。さらに、デザインや国産木材へのこだわりを歓迎する市場が、神戸にはあると期待しています。
森林の持ち主である農家を動かすには、木材を売って、お金になると分かってもらうことが非常に重要です。そして、神戸の森林を活用するなら、市のブランディングにも寄与するような使い方をしたいと考えています。
例えば、樫の木は硬すぎて使えないとされていましたが、備長炭にすると高級な炭になります。それを使って、神戸ビーフを焼けば、真の地産地消として付加価値が付き、高級レストランやホテル等で消費に回るでしょう。
また、日本の広葉樹は、品質がバラバラで、売れないと思われていましたが、家具材として使えるのだと証明し、できるだけ高く売れるような仕組みを作っています。カリモクや朝日ウッドテックといった家具・建材メーカーと組んで販売する試みも、西神戸ゴルフ場の跡地で始まっています。
こうして、里山の木材を生かすことにより、農家の方が見たくもなかった山が、宝の山に見えてくるはずです。資源循環型社会に一歩近づく、そんな実例を神戸で作っていきます。
なかなかまとめて休みが取れませんが、野生の酵母でパンを焼くのが好きです。酵母を砂糖水で増やして、パンを焼きます。ウメ、ボケなどバラ科の実から取った酵母が一番おいしくできますね。失敗と成功の面白さを楽しみ、遊んでいます。
また、娘が小学生の頃から化石掘りも楽しんでいます。化石が長い時間をかけてオパールになったシェルオパールなどを、ミネラルショーで探して手に入れては、サンドペーパーと水で磨いていくんです。もう娘も35歳になりましたが、たまに気に入った石を指輪などに仕立てて楽しんでいます。気持ちが明るくなりますね。