最終更新日:2022年11月1日
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風見鶏の館(東から)
ゴッドフリート・トーマス(G.Thomas)(ドイツ人貿易商)
ゲオルグ・デ・ラランデ(Georg de Lalande)(ドイツ人建築家)
明治30年代後半から大正初期にかけて日本で活躍
明治後期
神戸市中央区北野町3-13-3
木造2階建、外壁れんが張、半地階塔屋付、寄棟造、スレート葺
<平面積>
地階…226.76平方メートル
1階…230.14平方メートル
2階…230.60平方メートル
この館はかつて神戸に住んでいたドイツ人貿易商ゴッドフリート・トーマス氏(Gottffried.Thomas)が自邸として建てた建物です。北野町・山本通地区に現存する洋風建築物の中で、煉瓦壁の建物としては唯一のもので、色鮮やかな煉瓦の色調、石積みの玄関ポーチ、2階部分のハーフ・ティンバー(木骨構造)など、他の洋風建築物と異なった重厚な雰囲気をもっています。
旧トーマス住宅は、階に玄関ホール、応接間、居間、食堂、書斎があり、2階は夫妻の寝室、子供部屋、客用寝室、朝食の間などがあります。室内の意匠は部屋によって変えていますが全体にドイツの伝統様式を採り入れながら、19世紀末から20世紀初頭にかけての新しい芸術運動(アール・ヌーヴォー)の手法を感じさせるものがあります。1階各入口扉に付いている把手金具に、アール・ヌーヴォー風の装飾がつき、玄関ポーチの桂頭飾り、応接間のシャンデリア、書斎腰板の風刺画などにその傾向がうかがえます。また食堂は中世城館風の天井小梁、飾り戸棚、暖炉飾りなど見ごたえのある意匠をみせています。
昭和58年(1983)12月より昭和60年(1985)3月にかけて本格的な保存修理を行い、トーマス氏の娘カルボー夫人の記憶や、当時のアルバムを参考に復原できる所は可能な限り元の姿に戻しています。
平成7年(1995)に発生した阪神・淡路大震災後の修復にあたっては、文化財耐震対策委員会を設置し、煉瓦壁の落下を防止するため1個ずつステンレス線で結び付け、積み直しを行うなど落下防止策を講じました。又、3本ある煉瓦積煙突は折損やずれが生じたため、鉄骨にて補強を施しています。
市所有の建物である風見鶏の館の入館料の一部は、地区内の伝統的建造物の修理費にあてられています。
風見鶏はその名の通り風向きを知る役目を持っていますが、ドイツでは雄鶏は警戒心が強いことから魔除けの意味や、またキリスト教の教勢を発展させる効果があるといわれてきました。
風見鶏拡大画像(JPG:185KB)
1階居間からホール方向
1階居間からホール方向拡大画像(JPG:34KB)
神戸市
昭和53年1月21日