最終更新日:2025年10月28日
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風見鶏の館と神戸の町並み
神戸は、青い海と緑豊かな六甲山麓に面し、世界に開かれた港と異国情緒豊かな町並みとして知られています。今から約150年前の慶応3年12月7日(1868年1月1日)、諸外国に向けて開いた新たな港が近代神戸のはじまりとなりました。
現在の市役所1号館あたりから鯉川筋・旧メリケン波止場までの一帯が外国人居留地となり、イギリス人技師J.W.ハートによって、ヨーロッパの小都市を模った町並みが形成されていきます。現在も残る整然とした町割りのなかには、多くの洋風建築物が建ち並び、当時の市民たちに新しい時代の到来を告げました。
現在、当時の建物の大半は失われてしまいましたが、浪花町15番地にある「旧神戸居留地十五番館」は、神戸に現存する最古(1880年・明治13年頃)の洋風建築物として残り、居留地83番地にあった英国商館(ジャーデン・マセソン)の赤レンガ造りの門柱は、北野町中公園に移設され、当時の面影を偲ばせています。
北野町・山本通のある山手一帯は、緩やかな斜面に見晴らしのよさも相まって、居留地で商売を営む外国人の住宅街が形成されていきました。1887年以降(明治20年代)から第二次世界大戦前には、200棟以上の洋風建築物と和風建築物が建ち並ぶ雑居地となり、独自の文化が形成されていきます。
その後、戦災や経済成長の余波、建物の老朽化も進み、多くの洋風建築物が消滅していきました。阪神・淡路大震災前は約80棟あった洋風建築物は、震災によってさらに数が減りました。今も残る伝統的な建築物は、我々に個性的な建ち姿をみせ、今なお異国情緒豊かな当時の面影を伝えてくれています。
神戸の洋風建築物の特徴は、広い敷地にゆったりと建ち、建物の意匠や色調が一つ一つ異なります。ベランダ、ベイ・ウィンドゥ(張り出し窓)、下見板張りペンキ塗り、よろい戸、軒廻りの蛇腹、煉瓦積煙突など、建物を構成する各要素は、洋風建築物の意匠を特徴づけるもので、魅力的な美しさがあらわれています。
神戸に居住した外国人建築家が手掛けた本格的な西洋建築が今も北野町・山本通に残っており、これらの洋風建築物が高い技術水準で施工されていることと、エキゾチシズムが町並みに残ることから、北野町・山本通地区は、1980年、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
1995年1月17日、阪神・淡路地域を襲った大地震によって、伝建地区内の建造物も大きな被害を受けました。煉瓦積煙突を持つ洋風建築物の被害が目立ちましたが、建物の倒壊や火災によって焼失したものはありませんでした。その後、各地からの復旧支援を得て、町並みをまもる各種制度を充実し、所有者の御理解も得ながら伝統的な建築物の保存修理を終えることができました。
神戸市では、今後も伝統的な建築物をまもり、地域の核となる文化財として活用し、うるおいのある町となるよう地元の方とともに取り組んでいきます。

山本通の異人館