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定例会見 2024年2月14日

最終更新日:2024年2月14日

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・令和6年度当初予算案について

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令和6年度当初予算案について

司会:

 それでは、ただいまより2月の市長定例会見を始めさせていただきます。

 市長、よろしくお願いいたします。


久元市長:

 よろしくお願いいたします。

 私からは、今日は令和6年度神戸市当初予算案の内容につきまして御説明を申し上げます。

 まず、予算案の規模ですけれども、全会計合わせまして1兆9,270億円、前年度比2.1%の増ということになっています。一般会計は9,057億円、前年度比3.0%の増などとなっております。この当初予算を編成するに当たっての外部環境をどう捉えるのか、神戸市が置かれている状況をどう考えるのかということですけれども、来年は震災から30年を迎えます。神戸は内外からの支援をいただきながら、危機と立ち向かい、街を復興させてきました。この教訓を次の世代に語り継ぐということ、記憶の継承ということが求められているのが、今の神戸、来年にかけての神戸だというふうに思います。一方で、神戸は街をよみがえらせてきたわけですけれども、その後の状況は、孤立、孤独、あるいは地域社会の変容ということが進んできた。また、災害が多発をしております。それらの中には、気候変動によると思われるものもあります。レジリエントな神戸の街をつくっていかなければならないというのが今の状況です。

 そして全国的な少子高齢化、人口減少ということが起きている。この人口減少時代にしっかりと立ち向かうことができるような大都市経営を行っていかなければならないという環境の中にあります。とりわけ神戸におきましては、戦後、無秩序に開発された山麓エリアからの人口の流出、それから、極めて狭隘な市街地の居住環境を改善するために推し進めたニュータウンのオールドタウン化、これらに起因した人口の減少ということが進んでいる。これら地域からの人口流出が進んでいる。こういうような課題に対応していくということが求められます。人口減少時代に私たちは生きているということを冷静に受け止めて、そして目の前の課題と向き合いながら、人口減少時代にふさわしい持続可能なまちづくりを行っていくということが求められているのが、現在の神戸市が置かれている状況だというふうに思います。

 そういうような状況に立ち向かうために、6つの柱を立てて編成をいたします。1つは市民のくらしと安全を守る。2つ目に、人間らしい温かい街を創る。3番目に、持続可能な神戸を創る。4番目に、活気と魅力あふれる神戸を創る。5番目に、新しい国際都市神戸を創る。6番目に、DXの活用による参画を進める。こういう6本の柱に沿って編成をいたしました。

 全会計の中心をなします一般会計ですけれども、一般会計の歳出の推移を見ますと、これは日本全体どこでもそうですけれども、やはり扶助費が上がっている。社会保障関係の経費の中で扶助費と呼ばれているものです。

 それから、人件費につきましては、行政改革を進めた結果、横ばいあるいは微減で来たわけですけれども、令和6年度は定年延長に伴う退職手当、それから会計年度職員の処遇改善によりまして、若干の増ということになっています。

 投資的経費につきましては、積極的なまちづくりを行うという観点から、若干の増ということになっております。

 市債の残高につきましては、これは震災の直後は大きく、復興事業、復旧事業を行ったわけで、それがしばらく続きましたけれども、その後はこの投資的経費を大幅に抑えるということで減少傾向が続いてきました。2018年頃を境に、今度は将来的なまちづくりを見据えた投資を行いまして、その結果、市債の残高も若干増加傾向となっております。さらに、2024年時点では7,458億円ということになっております。

 これによって、神戸市の財政の健全性というものは保たれているのかどうかということですが、全国の自治体と比較する、この財政の健全性を示す指標としては、2つの指標が使われます。将来負担比率です。標準的な財政規模の中で、市債残高だけではなくて、実質的に将来の市民の負担になるという額というのがどれぐらいなのかということ。これが上に行けば行くほど、これは健全性が損なわれているという指標です。

 もう1つは、実質公債費比率と言われているもので、市債の返還に充てる財源、これが標準的な財政規模のうちどれぐらいを示すのかということで、右に行けば行くほど、これは悪いということになります。神戸市は2022年度時点の実質公債費比率は4.8%、それから将来負担比率は60.9%ということになっておりまして、政令市20市の平均を下回っております。100万人以上の指定都市の中でも比較的大きな都市の中で、神戸市よりも明らかに財政指標がいいのは札幌市と大阪市ということで、神戸市の財政健全性というものは、政令指定都市の中でも良好なグループに入るというふうに考えております。

 この神戸市の財政の健全性を今何とか確保できている理由は、次ですけれども、職員数を減らしてきたということなどの行財政改革を、これを相当息長く、辛抱強く行ってきたということが言えると思います。地震が起きた1995年から2024年、今年までの職員の削減数は、神戸市は約38%ということで、全自治体平均の15%を大きく2倍以上の削減を行っています。その一方で、例えばコロナの対応、子育てへの対応などで、保健師はこの行革2025の年度の中での、増は100人ということになっているわけですけども、一方で、それ以外の職員も600人減らしまして、この職員を減らす取組を行ってきました。

 こういう、これが神戸市の財政状況、財政構造ですけれども、そういう中でこの2024年を迎えた神戸市として、どういうことが大きな課題として捉えられるのかというと、それは大学卒業年齢の転出超過が目立つ、地元就職率が低いというところです。全国的に年少人口が減少する中で、若年・子育て世帯をどう定着させるのかということが求められます。

 そういう中で、大阪府が高校無償化の制度をスタートということになりました。結論から申しますと、これに対しては対応しなければいけないということで、市内高校に通う市民の通学定期代を無料化いたします。そして、この両方の課題に対応する上で、市内企業の若者の住宅手当を新設いたします。

 その背景となる状況を少し敷衍させていただきたいと思いますが、この日本人の年齢別の人口動態、転入転出ですね。これがどうなっているのかということですが、この子育て世帯を見ると、15歳から19歳、ここは502人の転入超過、それから20歳から24歳までが415人の転出超過、それから、25歳から29歳までは1,578人の転出超過ということで、この20歳から29歳までの転出が目立っているということです。このことは、やはりいかにこの転出超過ということを抑えていくのかということが大事ですし、この15歳から19歳まで、これは502人の増ということになっていますが、ここをやはりキープしていかないといけません。

 そういう中で、大阪府が高校の授業料を無償化する措置というものを取りました。国の高校授業料についての支援は、国が制度を持っておりますが、大阪府はこれに対して、従来、現行の制度は、それぞれの年収に応じて、薄黄緑色の部分の上乗せを行っております。これを経過措置も設けながら拡充をする、最大、これは私立高校ということになりますが、最大63万円までの授業料、これを公費負担する。しかも、国の制度では910万円が所得の上限になっていますが、これを所得制限を撤廃いたしまして、所得制限なしで63万円までを無償化します。これによりまして、大半の高校の授業料が大阪では無料になるということです。

 一方で、国公立高校についても、全国の授業料が一律11万8,000円で、910万円の所得制限が設けられているんですが、これも撤廃をするということになるわけです。このことは、兵庫県内の高校の授業料と比べれば、かなりの差ができるということになります。兵庫県も国に上乗せした授業料支援措置を取っておりまして、今回、令和6年度予算、これ若干拡充をするようですけれども、かなり大きな差が発生をするということになるわけです。

 特に、この910万円を上回る中堅、高所得層は、これは全額自己負担になるので、それは兵庫県の平均は44万円ですから、大阪の場合にはこれがゼロと。兵庫県の場合には44万円。そしてこれは平均ですから、この平均よりも高い私立の高校というのはかなり存在をいたします。ということで、大きな差ができるということ、これが1つです。

 私立の中学校に行ってる子供たちもいますけど、大半は義務教育ですよね。高校に行くと、この授業料の差が、兵庫県と大阪府で非常に大きな差ができるということが1つ。もう1つは、高校に行くと、これはどこでも全国で言えることですが、通学費にお金がかかるということです。公立の中学校に行っている世帯は、すぐ近くの中学校、特に神戸は大都市ですから、すぐ近くに中学校がある。もうほとんどの子供は歩いて行けるわけです。それに対して、高校は兵庫県が学校区をかなり大ぐくりに広域化したということもありまして、この通学費にかなりのお金がかかるということになりました。これは全国どこでもそうです。特に神戸市は、全国平均に比べて、政令指定都市の平均に比べて、この交通関連費、通学費を中心とした交通関連費が全国を上回った。要するに、高校に行くと、大阪と比べて相対的に授業料にお金がかかるし、これは大阪と同じように、通学費にもお金がかかると、こういう状況になるわけです。

 神戸の高校は、神戸にはたくさんの高校があります。県立高校、市立高校、私立の高校、ほかに高専や専修学校などたくさんの高校がありますね。これは非常に多様な、そして、私立の高校などはそれぞれ個性ある建学精神にのっとった教育をしている高校、こういう多様な高校教育環境というのは、神戸の非常に大きな財産です。

 そういう財産は、教育環境であると同時に、たくさんの多様な高校がある、そして、たくさんの高校生が神戸にいる、それによってまちの活力が生み出されていく、まちの魅力も生み出されていく。そして、こういう多様な高校教育環境というのは、若年・子育て世帯の居住地を選択するという上でも、非常に大きな意味を持っているというふうに考えられています。やはりこの神戸の強み、魅力というのは、維持をしていかなければいけない、生かしていかなければいけない。

 ところが、先ほど申し上げたような大阪との間での授業料の大きな差ができると、どういうことが起きるかというと、やはり市民の負担感というのが大阪と比べて大きなものになっていきます。同時に、大阪の高校無償化制度が大阪府外の高校、私立の高校にも適用になるわけですが、これを適用されないということになれば、また、適用するとなると、これは予算の話からそれますけれども、相当これはいろんな課題が起きてきます。これに参加しないとなると、大阪府の府民の高校生が減少をする、大阪からの志願者が減少するということになります。

 そういうことで、大阪のほうが魅力があるということになれば、神戸を含む兵庫県の高校に対する志願者が減少する。志願者の減少ということは、教育水準の低下につながる可能性が高いわけですね。教育水準が低下をするということになれば、もう神戸などの兵庫県内の高校が選択をされなくなるおそれがあります。こういうふうにして教育水準が下がっていくと、これはもはや居住地を選択する場合に、神戸など兵庫県が選択されずに、大阪府のほうに流出をしていくということになります。

 そういうことになれば、今度はさらに教育水準が低下をいたします。教育水準の低下が子育て世帯の流出を招くという、負のスパイラルに陥る可能性が高いということは言わざるを得ません。そういうような状況は、これはやはり食い止めなければいけないのではないかというふうに、神戸市としては考えているわけです。

 どうすればいいのかというと、大阪府の高校の措置は大阪府が取っているわけですね。これは教育に関して、私立学校に対する権限は都道府県の権限ですから、大阪府の措置なんですね。神戸市は基礎自治体ですから、そういう権限を持っていない。どういうような形でこの問題に対処したらいいのかというと、結論から言うと通学費助成ではないかと考えました。

 すなわち、高校生のいる幅広い世帯の経済的支援を拡充し、市内の多様な高校教育環境を維持する。そして、年少人口が減少する中でも、若年・子育て世帯が神戸を選んでもらうような対応をしていくために、どういうような選択肢が一番合理的なのかというと、これはやはり通学費を助成するということではないだろうかというふうに考えます。

 神戸市はもともと令和4年9月から、市民が高校に通う場合には、市内・市外を問わず、一月1万2,000円を超える部分の半額を助成するということを行っていました。これは継続をいたします。

 この継続をした上で、これに加えて神戸市内の市民である高校生が神戸市内の高校に通う場合には、所得制限を設けることなく全額これを公費で負担する。こういう対応を令和6年度から取りたいと考えています。これに要する額は、今のところ一応9月、2学期頃にスタートすることを想定しておりまして、令和6年度については12億3,000万円程度の予算を計上しています。これを通年で出すと20億の経費が必要となります。これは基礎自治体である神戸市にとりましては、かなり大きな財政負担ということになりますが、やはり今申し上げたような考え方で、神戸の市民の高校生世帯の経済的負担を軽減し、神戸の多様な高校環境を守っていくためには不可欠な予算であるというふうに考えて、議会に対してはしっかり説明をしていきたいと考えております。

 これによりまして、例示をさせていただくと、かなりこの通学費の負担、そして、高校生世帯の経済的負担は軽減されると思っています。例えば北区の鹿の子台から市立六甲アイランド高校に通う生徒を考えていくと、神戸電鉄、市営地下鉄、JR、六甲ライナーを乗り継いで年間24万7,000円余りかかります。西区の玉津町から県立長田高校に通う生徒は、神姫バス、市営地下鉄を乗り継いで20万8,000円かかります。灘校に、同じ区内ですけど、森北町から通う場合には、みなと観光バスとJRを乗り継いで10万1,000円余りかかります。これを全額公費で負担をしようということです。

 こういう措置によって、何とか神戸の多様な高校教育環境ということを守る、維持をする、負のスパイラルに陥らないようにする。そういう予算を今回お願いすることにいたしました。

 もう1つの柱が、これは就職をするときに神戸を選択してもらうということで、中小/中堅企業住宅手当等補助金を新設いたします。生産年齢人口が減少して売手市場の傾向が出ている中で、コロナ禍で減少していた求人が大企業中心に大幅に回復をしてきております。そういう中で、中小/中堅企業の人材不足ということが全国的にも言われていました。物価高騰の中で、中小企業の中には価格転嫁が進まないという企業もある中で、十分な賃上げができないというような状況もあります。従業員の生活を圧迫している面があります。

 こういう状況の中で、中堅/中小企業は、やはり従業員の皆さんの処遇を改善することに努めていただいているわけですが、その中でも特に重視されるのが、神戸市は比較的家賃が高いですから、住宅手当というものを充実していこうという動きも往々にあります。

 これをさらに後押しをしていこうということで、神戸市が、市内の中小/中堅企業に勤務する、就職から3年目、そして、29歳以下で市内在住の若手従業員の方に対して、この補助制度を設けております。企業の負担の2分の1を、上限一月1万円で上乗せを、1万円を上限に住宅手当を新設いたします。さらに高齢化傾向の強いエリアですよね。ここには上乗せをいたします。

 これを図示いたしますと、企業負担の半分ですから、例えば、企業負担1万8,000円の半分の9,000円を補助する。そして、北区、長田区、須磨区、垂水区、西区に加えて、それ以外の区の中で高齢化の割合が高い小学校区に居住をする従業員の方に対して上乗せをする。6分の1上乗せをするということに、そういうことを対象にした措置を講ずるということになります。

 これが子育て世帯、それから、就職して、神戸に就職を選択してもらうためのインセンティブとしての、2本の柱の予算ということです。

 それでは、6本の柱に沿いまして、他の事業について説明をします。

 震災30年、1つはレジリエンスセッション。神戸は震災の後、レジリエントなまちを目指して様々な取組を行ってきました。特に最近は新たなテクノロジーを活用した施策を展開してきましたので、そういうことを紹介し、さらにこれを前に進めようという産学官連携によるイベントです。もう1つはグローバルカンファレンス。これは海外からの都市の代表もお招きをいたしまして、グローバルな貢献ということを、国内外の都市がどういう形で行ったらいいということを議論するカンファレンスです。そして、震災30年関連の事業を実施いたします。

 この令和6年度予算は令和7年の1月から3月までも当然含みますから、来年のルミナリエの開催など、この1月から3月のイベントなども含んでいるわけです。ルミナリエにつきましては、これは今年初めて1月に開催をいたしましたが、全体としては肯定的な評価をいただいていると考えておりまして、これを検証いたしまして、今年行ったルミナリエのあれを基本にこれを拡充する形でこれから様々な御意見をお伺いして、検討をしていきたいと思います。

 それから、次は小児初期救急医療体制ですね。これは済生会兵庫県病院の中に北部の小児救急医療センターを設置いたします。お墓に関する有識者会議でいろいろと検討いたしまして、やはり墓地に対するニーズがかなり変わってきているということで、期限付墓地の整備でありますとか、あとは樹林葬という新たな墓地の在り方も、これから検討し整備をしていきます。あとは頼れる身寄りがないシニア世代の方がかなり増えている中で、エンディングプラン・サポート事業といたしまして、御自身が亡くなった後の葬儀、あるいは納骨に関する契約をサポートする事業をスタートさせます。

 真夏の高温がかなり異常な状況になっていまして、環境に配慮した高温対策ということを行っていかなければなりません。従来のアスファルトで舗装するというのではなくて、公園や緑道などを中心にした保水性舗装など、これは木材チップとか竹チップを使ったような舗装に切り替えたりということもありますけど、こういうもの。それから、六甲山などの樹木を市街地に移植をする、こうべ木陰プロジェクトなどを実施いたします。

 2番目の柱が人間らしい温かい町ということで、最初はこべっこウェルカム定期便。これは所得制限なく、初回は1万円相当、2回目から10回目までは毎月3,000円相当の商品、おむつあるいはミルクなどの育児用品を配達して、併せて見守りも行うという、そういう事業です。それから、高専の授業料については、これは市内の在住の方を対象に(市立)高校並みに軽減をいたします。児童館は神戸の大きな子育ての財産ということになっておりますが、ここに子育てチーフアドバイザーを全館120館に配置をいたしまして、児童館に行くと、今行っている学童保育だけではなくて、何らかの子育てに対する手がかりが得られる、気楽に立ち寄っていただけるような、そういう児童館にしていきます。

 学童保育につきましては、これを整備するという予算。それから、全ての学童保育施設に常勤の職員を配置するという予算。それから、夏休みに学童保育に子供さんを預けたいというニーズがありますので、受入れが可能な施設でこれを受け入れるという予算もあります。不登校児童については、校内サポートルームの整備を行う。こういう形で切れ目のない子育て支援、1つ1つの説明は省きますけれども、女性が妊娠をし、出産をしてから高校を卒業するまで、神戸市として必要な切れ目のない支援を行っていくための予算をそれぞれ拡充しております。

 先般、大学都市神戸産官学プラットフォームが発足いたしました。この事業の中で、特に外国人の高度専門人材を育成しようということが大きな事業の柱になります。既に神戸国際大学などが中心になり、介護人材の受入れを進めておりますが、これをさらに拡充いたします。2024年度が40名、2025年度は70名、2026年度は90名の介護職員を養成するという事業をスタートいたします。

 3番目の柱が持続可能な神戸ですね。神戸は都心にタワーマンションが林立するようなまちづくりを目指さない。神戸の都心は商業業務機能を集積させることを中心といたしまして、そして戦前からある鉄道インフラを賢く上手に使いながら、バランスの取れたまちづくりを目指す。そのための駅周辺のリノベーションというものを行ってきました。これは相当な箇所で進めてきまして、それらの中には、既に姿を現してきつつあるものもあります。鈴蘭台、名谷、西神中央などでは、かなりその姿が現れてきましたし、それ以外の駅についても、駅前のリノベーションを積極的に進めていきます。

 神戸の人口減少の1つの要因といたしまして、オールドタウンからの人口流出があります。郊外団地を再生する。そして職住近接のまちづくりを進めるということで、無料のコワーキング施設も増設しております。JR西日本さんとも連携した、団地まるごと駅マエ化プロジェクトなども進めます。

 空き家空き地対策は、神戸市は、空き家の利活用の促進と老朽危険家屋の除去ということで取り組んできましたけれども、新年度は新たな特命チームをつくって、あるいは、リフォームローンの利子の補給も行います。というのは、空き家というのは担保価値が低いので、銀行からの融資というものについての課題が従来からありましたので、利子相当を支援するということで融資を活発的に受けられるようにしようというものです。

 既存ストックの有効活用といたしましては、神戸のたくさんある坂道、これをブランディング化できないか。あるいは、神戸は1人当たりの公園面積が全国的に見ても大都市の中でトップクラスですけれども、神戸の公園をさらに利活用を進める。公園における簡易ソーラーを設置したり、あるいは伸び伸びとボール遊びができるような公園にしていく。いろんな新たな取組を、公園を舞台に行っていきたいと考えております。

 KOBE里山SDGs戦略を策定いたしましたので、神戸の森林・里山の保全・活用を進めます。多井畑西地区では、さらにいろいろな活動が行われてきました。北区の淡河町なども、幾つかのところで行っていますが、さらに、民有林の木の活用、こうべ森と木のプラットフォームといった取組も前に進めています。

 それから、循環型社会をつくっていくという見地から力を入れてきたのが「こうべ再生リン」ですね。先日も東水環境センターでの状況を見させていただきましたけれども、今の再生リンの供給体制を大幅に拡充する。現在、東灘処理場、東水環境センターのことですけれども、100トンの再生リンの供給体制を市内3処理場に広げまして、最終的には500トンの体制にするという、そういう整備を急ピッチで進めています。

 さらに、持続可能な農業ということで、スマート農機などの普及、ラジコンの草刈り機の貸出しなど、こういうような対応も進めています。

 農村地域の活性化ということから、自然と親しむ取組、自然体験型のプログラムや、あるいは北区山田町における田園コミュニティパークの整備を進めます。

 神戸にたくさんある社寺林、鎮守の森とか保久良の森、これらの森をしっかり保全していくことで、市民の皆さんが思い思いの時間を過ごしていただけるための支援制度も拡充いたします。

 再生可能エネルギーといたしましては、公共施設への太陽光パネルの設置を推進いたしまして、約50の公共施設の屋根の上での設置を検討いたします。バイオの活用、小水力の活用による発電も進めていきます。

 水素スマートシティ、従来から進めてきました。新たな取組といたしましては、パッカー車に水素の燃料電池車を導入する実証実験を行います。カーボンニュートラルポートについては、これは新たに水素燃料電池を活用いたしました次世代ハイブリッド型の港務艇を導入いたします。

 SDGsを進めていくための体制、オペレーションユニットの設立をいたしまして、産官学そして庁内外の人材を有効につなぎ合わせながら、SDGsのいろんなプロジェクトを進めています。

 そういうSDGsの施策を財源面で支える上で、神戸SDGs貢献基金、これは従来からの基金の整理をいたしまして17億円で新設し、ここで企業版ふるさと納税、個人からのふるさと納税を受け入れるようにいたします。

 4番目の柱、活気と魅力あふれる神戸ですけれども、王子公園の再整備を着実に進めます。関西学院さんからは、2029年の大学開学を実現できるようなペースで進めていただきたいという要望をいただいておりますので、令和6年度には王子公園の再整備本部を設置いたしまして、12名体制で取り組みます。

 スポーツの振興では、5月12日に開幕し、5月17日から実際に競技を行う世界パラ陸上選手権大会への対応、それから、新たにできるアリーナに神戸ストークスが本拠をつくっていただきますので、バスケットの裾野を広げていく上でのバスケットゴールを倍増するための予算を計上しています。

 神戸登山プロジェクト、おかげさまで少しずつ全国的にも知られるようになってきました。登山道の整備や、あるいは案内板の整備、老朽看板の撤去、トイレ環境の改善や老朽化した建物の撤去などを着実に進めます。インバウンドのお客さんなどからもマウンテンバイクのニーズがかなり高まっていますので、試験的にそういうコースも整備を行っています。

 国際都市神戸という5番目の柱が、神戸空港の機能強化でして、空港の基本施設の整備、新しいターミナルの整備などを進めます。

 それから都心・三宮は確実に整備が進んでおりまして、1つ1つ個々には説明しませんけれども、御覧いただいているようなプロジェクトが都心、ウォーターフロントで進められています。これらが完成すれば、神戸のまちのたたずまいというのは、神戸の景観や神戸の地理的特性なども生かしながら飛躍的に向上することになることは確実です。

 都心の三宮も様々なプロジェクトが進行しておりまして、これらを着実に進めますが、主なものだけ申し上げますならば、新たなバスターミナルにつきましては、1期が2027年度に工事を完了し、2期については、この年に事業着手をいたします。三宮駅周辺歩行者デッキについては、2029年度の完成を目指して進めます。また、クロススクエアにつきましても第1段階の設計になりますし、あと、まちなかライトアップは、これはセンター街の東の入口のところなので今年度に工事を進めまして、順次、駅前の夜間景観というものが飛躍的に改善できるようにいたします。本庁舎2号館の再整備も2028年度の完成を目指して進めます。

 ウォーターフロントについては、これは中突堤中央ビルの北館の解体、そして南館については跡地の暫定利用、北館については移転協議と解体を進めます。アリーナが2025年に開業いたしますので、周辺の緑地の整備などを行います。

 最後に、DXを用いた市民参画です。新しいテクノロジーをどんどん入れていこうと、先日も若手職員のグループの皆さんからドローンの活用について、各局がいろんな取組をしているということを聞きました。予算を計上いたしまして、トンネルや橋梁などの最新技術の試行と検証、AI診断を活用した道路巡回支援技術、あるいは草刈りにおける自動草刈り機器、こういうものを整備いたします。

 それから、やはり人材の育成というのは大変重要です。今やはり、どこの企業、どこの自治体、あるいはどこの部署を選ぶのかというときに、そこの企業なり、あるいは自治体や、あるいは部署を選択したら、自分自身がいかに成長できるのか、成長できる環境をどう提供していくのかということが人材獲得において不可欠でして、特に技術職員については、都道府県でもなかなか採用が難しくなりつつあるということが言われています。

 幸いに神戸市では非常に優秀な、いろいろな職種の技術職員の皆さんが活躍してくれております。この成長環境をさらに向上させようということで、新たに職員技術研修所を設置いたします。これは西区のテクノ・ロジスティックパークの中に環境未来館というのがありまして、これがほぼ今もう空きスペースになっておりまして、ほぼ使える状態ですから、ここに職員技術研修所を設置いたします。そして外部の研修も積極的に活用いたしまして、職員の技術力を上げていく。そういう成長環境を整備しています。

 今、次期の総合基本計画の策定を行っております。これは企画調整局の職員の皆さんが大変頑張ってくれまして、社人研だけに頼らない独自の将来の人口推計、それから公表されたデータを活用した小学校区ごとの様々なデータの分析などが庁内で盛んに行われています。こういうような分析を行いながら人口ビジョンを改定していく。そして、次期の総合基本計画はその新たな人口ビジョンを基礎資料といたしまして、たくさんの皆さんの参画をいただきながら、基本構想、そして基本計画を策定していきます。

 基本構想につきましては2024年度中に策定し、議会の議決をいただき確定いたします。基本計画につきましては、現在のものは2011年から2025年度なんですが、それを2026年度から2035年度までの10年間の計画といたします。ビジョンについては、2026年度から2030年度ということで5年の計画といたします。

 こういう形で、将来の神戸というものを見通しながら、令和6年度予算を編成いたしました。目の前の課題にしっかり対応するとともに、将来をしっかり見据えた神戸の長期的な、持続可能な取組に全力で取り組むための予算として編成を進めてきたので、どうぞよろしくお願いします。

 私からの説明は以上です。

質疑応答(発表項目)

記者:

 よろしくお願いします。

 今後の投資の方針についてまず伺います。先ほど御説明いただいたとおり、財政指標については、ほかの政令指定都市と比べるとまだ比較的健全な状態かと思いますが、一方で、三宮再整備への投資もあって、市債残高が徐々に増えてきている状態だと思います。今後の投資について、どのように行っていくかという部分について教えてください。


久元市長:

 今後、ここから先の財政計画の中で、この投資の見込みというのを明らかにしたいと思いますが、ここ数年は、三宮の再整備、それから、ウォーターフロント、また、駅前のリノベーション、それから、大阪湾岸道路の西伸部の負担などがありまして、ここしばらくは投資額というのはなだらかに増えていって、そして、数年後にそれはピークとなるかと。そこからはなだらかに現時点では投資額というのは減少していくというふうになるのではないかと思います。そういうことを考えれば、この市債残高というのもこれから少し増加をしていきますが、一定の時点でピークを迎えて、そこからなだらかに減少していくということになる。現時点ではです。


記者:

 分かりました。

 あと、高校生に向けた通学定期券の助成の件で伺います。予算額が去年と比べて12倍くらいだと思いまして、かなり思い切った拡充かと思いますが、これは、御説明を伺っていると、府の高校授業料無償化に対する比較的守りの施策みたいな受け止めをしてよろしいんでしょうか。


久元市長:

 そうですね。高校になったら通学に係る費用も相当多額になるので、もともと令和4年9月にスタートさせた1万2,000円を超える部分を半額にするのを、拡充するつもりでおりました。しかし、今回、思い切って市内の高校に通う場合に全額公費負担としたのは、大阪府の高校授業料無料化に伴うものになります。


記者:

 分かりました。

 以前の人口減少関連の市長会見のときでも、やっぱり東京、大阪の人口の一極集中というのが神戸市の人口減少にかなり影響しているというお話もあったかと思いますけど、東京、大阪についても授業料無償化の計画がなされているということですけど、この授業料無償化という施策自体については、市長としてはどのように捉えて、受け止めてらっしゃるんですか。


久元市長:

 これは大阪府の施策ですから、大阪府がそれぞれ議会でもしっかり、府民の代表である議会で議論をされて決定されるものではないかというふうに思います。

 ただ、東京、大阪が高校の無償化に、内容は違いますけれども、東京のほうが上限額がかなり低いんですね。これが行われると、やはり周辺の何も対応策が講じられなければ、周辺の府県からの子育て世代の流出が進むことになるのではないということ。これは非常に好ましくないことですので、やはり授業料の無償化、あるいは授業料に対する支援というのは、国の制度として一律に行われることが望ましいと思います。


記者:

 震災30年の施策も盛り込まれているところですけれども、節目というのはこちらで言っていることではあるんですけれども、30年に向けて、これまでとこれからというところを神戸市として事業として振り返っていくか、ないしは次のことを見据えていくのかというところを改めて御説明いただければと思います。


久元市長:

 やはり震災30年というのは非常に大きな節目ですから、これまでの神戸市の取組を振り返るということが重要です。そこの中でいろんな取組が行われてきたわけですが、やはりレジリエントな都市、災害に強い強靱な都市を目指すということを行ってきましたので、これまでの成果というのをしっかりと発信する。そして、さらにこれからいろいろな大規模な災害が発生も懸念をされます。現実に、今年は元日から能登半島地震、これは大震災だと言っていいと思いますけれども、やはり日本列島というのは、こういう大きな地震に見舞われる可能性がこれからもあり、これがどこで起きるか分からないというような状況の中で、やはりこれからのレジリエントな都市というのは、これまでの成果というのを踏まえながら、どうしたら新たな最新のテクノロジーというものを取り入れて、こういう災害に強い強靱な都市をつくっていくのかということが問われている。そういうことを互いに学び合ったり、あるいは発信をしたり、将来を展望する、そういう機会に震災30年という年が何か非常にいいことではないというふうに考えております。


記者:

 もう1つ踏み込んで質問。神戸市がその役割を担うというところの意味についてもいかがでしょうか。


久元市長:

 それは、神戸市がやはり戦後初めての大都市における巨大地震を経験した都市だということで、そこでは様々な知識や経験が積み重ねられてきて、それは市民の思いや、あるいは、今回の能登半島地震の被災地域に対して、神戸市としては、これはしっかり支援しなければいけないという声がやっぱり高まっているということにも表れていると思うんですけれども、同時に、その気持ちや、あるいは思いということだけではなくて、やはり神戸市として行ってきたような、そういうインフラ整備、あるいはハード・ソフトの、例えば、我が国で初めて大容量送水管の工事を震災の翌年にスタートさせて、20年の歳月をかけて完成させ、今、神戸市は、住民、市民全員、全市民の12日間の生活用水を用意することができている。あるいは、南海トラフ地震や高潮対策に対しては、100年に一度だけではなくて、1000年に一度の防潮堤の整備も既に完成をし、あるいは水門や陸閘に対しては遠隔操作による開閉を行うというふうに、最先端テクノロジーもできましたね。こういう成果をしっかり発信するとともに、繰り返しになりますが、どんどん新しいテクノロジーが生まれていくわけですから、これをどう取り組んでいくのかということを産学官しっかり一緒に考えていく、そういうような機会になればいいのではないかというふうに思います。


記者:

 よろしくお願いします。

 通学定期券の無償化についてお伺いします。市長、先ほど御説明の中で、もともとは高額、基準額を超えた部分の拡充を考えていらっしゃった。どの時点で、それでは物足りない、十分ではないと判断されたのか。それは去年の例えば秋頃とか、そういう時期的なものはいかがでしょうか。


久元市長:

 やはり大阪府の制度というのが明らかになって、そして、これについては自治体ではそんなに議論にならなかったかもしれませんが、兵庫県内の私立の高校は、これに参加するのかどうかということについては相当真剣な議論が行われて、参加することを決定したのはごく僅かで、大半の私立の高校は参加しないと。これは非常にジレンマがあったのではないかというふうに思うんですね。そういうような動向を見ながら、これは私立の高校だけの問題ではなくて、これは特に兵庫県内、阪神間、神戸と、そして神戸を含む阪神間のエリアについては、これは極めて深刻な事態を引き起こす可能性があるのではないか、これはやっぱり神戸市として考えなければいけないのではないかなということを思い立って、これは庁内で、副市長や関係局長も交えて、数十回とは言わないですけれども、どうしたらいいのかということを本当に議論しました。それで、通学費助成という方策というのが一番合理的なのではないかなと。

 もう1つ、さっき言い忘れましたけれども、通学費助成というのは、結果的には、運賃収入になって、交通事業者、鉄道事業者、バス事業者にもこれが還元されるという意味では、ある意味で、間接的ではあるけれども、公共交通に行く。公共交通の役割というのは非常に重要ですけれども、いろんな課題を抱えています。公共交通への支援ということで、神戸市が投入したかなり多額の額が、これは市内、域内で循環をして、そして、交通事業者にもメリットがある。域内経済循環ということから見てもプラスになるのではないかと。家計の負担軽減もあって、子育て世帯側の消費拡大にもつながる可能性もありますね。そういうことを考えれば、この方策というのを基礎自治体としてやるのは政策手段としてはベストなのではないかというふうに、大体、去年の暮れぐらいにそういう方向性を議論し、そして、今年に入りましてからは中身を詰めるということにして、今日の発表に至ったということです。


記者:

 ありがとうございます。

 今の御説明を聞くと、もともとこの施策を伺ったときに、いわゆる人口流出対策という観点ですと、神戸市に住んでいて市外の高校に通う高校生にもやったらいいのではないかと思ったんですが、やっぱりそういうお考えはなくて、あくまで市内に循環させたいというお考えということですか。


久元市長:

 これは、そういう議論はあり得るだろうと思いますね。経済的負担ということを考えたときには、市内高校だけではなくて市外高校も対象となる。そうすると、大阪の高校も対象にする必要が出てきます。現に、市内の今の対策は、経済的負担ということなどで、大阪に行く生徒を対象にしているわけですね。今回、何を守ろうとするのかということは、大阪の府内の高校無償化に対して、神戸市内の多様な高等教育環境を守ろうということです。神戸市は基礎自治体ですから、神戸市のそういう施策のターゲットは、神戸市内の中で限定せざるを得ません。神戸市外の高校の教育環境を守るということは、気持ちとしてはありますけれども、それは神戸市の権限外のことです。ですから、こういう政策目的を考えるときに、そこはやはり神戸市内の高校を対象とするということに、基礎自治体としての神戸市の役割ということを考えれば、そういうことに徹するということになるのではないかというふうに考えております。


記者:

 この件で市長の最初の御説明のときに、何も対策を打たなければ、やっぱり子育て世代の流出、市立高校の教育水準の低下という負のスパイラルを招くのではないかという御説明があったんですけれども、その負のスパイラルに陥ってしまった場合、神戸のまちというのはどうなってしまうという危機感を持ってらっしゃるのでしょうか。


久元市長:

 極めて寂れる、元気のない、若者の歓声や声が聞こえない、大変寂しいまちになると思いますね。やっぱりそういうまちの姿は誰もが見たくない、避けなければいけないということだと思います。そのために、神戸市としては、基礎自治体としては、ぎりぎりやれるところまでこれはやっぱりやろうということで、今回、こういう予算をお願いすることにしたということです。


記者:

 ありがとうございます。

 最後に、この関連で1つなんですけれども、かなり基礎自治体としてはぎりぎりまでやれる施策を思い切ったのかなという印象を受けておりますが、ある種、闘っている相手が大阪府という都道府県レベルであって、高校の授業料無償化というのと通学定期の無償化というのを安易に比較すると、やっぱりインセンティブとしての差はどうしても出てしまうのかなと思うんですが、そこら辺、何かやっぱり基礎自治体の限界のもどかしさみたいなものはあるんでしょうか。


久元市長:

 ありますね。実は、これについては、先日、県市調整会議のときに坊議長から、「これはやはり県として考えていただく必要があるのではないでしょうか。大阪府の高校授業料無償化につきまして非常に危惧しています。一番危惧しているのは、県内・市内の高校に通う高校生を抱える世帯が、無料だからということで大阪へ転居してしまうのではないか」ということで、「ぜひ知恵を絞っていただきたいと思います」というお話だったわけですが、齋藤知事のほうからは、「兵庫県としては、当然、なかなか財政的にも無理だ」というお話だったわけです。

 これはやはり兵庫県にお願いをしないといけないと思うんですけれども、これは、その後考えたのは、ただ単にお願いをするというだけでは、これはやはり無責任なのではないかと。やはりお願いする以上は、神戸市としても、指定都市として、基礎自治体としてやれるぎりぎりのところまでやった上で兵庫県に対応をお願いするということが必要なのではないだろうかということと、それから、これは神戸だけではなくて、阪神間の地域でこの負のスパイラルというのは起こり得るんだというふうに思います。そして、これによって大きな影響を受けるのは高校ですね。公立高校、私立高校が非常に大きな影響を受ける。そうであるならば、非常に深刻な事態を招きかねないような、こういう状況を前にして、兵庫県、そして神戸市、阪神間の自治体、そして教育関係者、私立学校の経営者、こういう方々が、この問題をどう考えたらいいのかということを、やっぱり、よく、しっかり議論をするということが必要なのではないかというふうに考えております。


記者:

 ありがとうございました。


記者:

 お願いします。

 転居補助について何点かなんですけど、最初、人口のデータを示していただいたところで、20歳代の転出が多いから、もう1つの施策、中小企業の若手社員の住宅手当を支援するというのは分かりやすいですけど、20歳代の転出が多いことを踏まえて高校生の通学定期補助というところにつながりがどう出てくるかというのを改めて。


久元市長:

 いや、それはつながらないだろうというふうに思いますね、直接は。しかし、高校生が大阪府とこれだけ差ができるということは、これは結果的には小・中学生をお持ちの世帯も、どうせほとんど高校に行くわけですから、中学生は。ほとんど高校に行くわけですから、それならば、どこかの時点で大阪への転居を考えようというふうになりかねないですね。そうすると、もともと神戸で生まれ育った子供たちが出ていくということになったら、結果的には20代の前半、20代後半の人口の減少にもつながる可能性があるわけです。特に持家を持っている方は、実際にまた家を買い換えるということについては一定の心理的ハードルはあるかもしれない。賃貸で住んでいて、今度マイホームを買おうというときの選択肢としては、子育て世代がですよ、小学校、中学校、高校生がいる世帯が、マイホームを持つ時点で、神戸を含む阪神間を選択されない可能性というのが出てくると思いますね。そうすると年少人口が減る。年少人口が減るということは、20代の前半も20代の後半の人口も減少する方向に働くわけですから、この問題というのは高校生世帯だけではなくて、それ以外の世帯にも人口の流出を招きかねない、極めてゆゆしき事態だというふうに私は思います。


記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 あと、先ほどから基礎自治体としてできることということを強調されていましたけど、やはり神戸市単独で授業料の無償化をするというのは、やっぱりそれは所管としては兵庫県であって、権限がないからという……。


久元市長:

 権限がないと思います。


記者:

 ちなみに、神戸市単独でやった場合に財源がどのぐらい必要かとか、そういった試算はされましたか。


久元市長:

 特にしておりませんが、それは試算しようと思ったらできます。後で財務課に聞いていただければ。


記者:

 分かりました。ありがとうございます。


記者:

 終盤に少し触れられていた将来人口推計についてなんですけれども、社人研のものよりもかなりミクロにというか、小学校区単位で分析できるというかなり精度の高いものだと思うんですけれども、社人研のものと比較したときの所感といいますか、かなり、表を見ても、やはり少子高齢化というのが顕著になっているし、生産年齢人口の絶対値というのは減っているというイメージ、棒グラフを見る限り思ったんですけれども、そこに対して市長はどのような危機感をお持ちなのかというのを。


久元市長:

 危機感ということからいうと、危機感というよりも、未来を予測するということは大変難しいわけで、その前提の置き方などがやはり合理的なものでなければいけないだろうというふうに思っております。

 社人研は広く使われているわけですけれども、もう少し客観的に見て冷静な見方をしなければいけないのではないかということで、神戸市がより精緻に分析した独自の推計というものを算出したということです。そしてそれを、小学校区ごとにこれが分かるようにしたのは、これはまた別の、ある意味別の話で、ダッシュボードという仕組みで、小学校区ごとに、これは人口だけではなくて、様々な、90種類以上のデータを、いろいろとこれを入力して、小学校区ごとの姿というものをデータとして描き出すことができるようになったということですね。


記者:

 最初に「危機感というよりは」とおっしゃっていたのは、将来的にこういう人口の構成になるというのは予測できる部分であって、それをより精度にすることで、よりそこに対して中長期的にどういうアプローチができるかというところを考えられている、プラスに何か捉えているほうが大きいですか。


久元市長:

 そうです。やはり、より合理的な推計方法に基づく将来人口ということを前提として、どういう対策を講じなければいけないのかという考え方のベースになる。これを前提として、先ほどの基本計画やビジョンをつくっていこうということです。


記者:

 分かりました。ありがとうございます。


記者:

 水素スマートシティ神戸構想のところで、分かればで大丈夫なんですけれども、FCパッカー車ですとか水素燃料電池のハイブリッド型の船の建造というのは他の自治体でもやっているんでしょうか。神戸で結構先進的な取組になるんですかね。


久元市長:

 パッカー車はほかの自治体でも行われています。そんなに多くはありませんが、行われています。

 それから、水素を船に使うという取組は、これも神戸が初めてでないというふうに思います。海外では、特にアメリカなどでは結構最近行われるようになっていますね。ただ、パイオニア的な施策であることは間違いありません。


記者:

 分かりました。24年度も予算をつけて先進的な取組というのをやっていくという理解でよろしいですかね。


久元市長:

 カーボンニュートラルポートを進めていますから、これを進めている港湾局の船、何種類かあるわけですけど、これもできるだけ脱炭素化を進めていくということがありまして、ちょうど更新時期に当たっていましたので、それならば、思い切って水素エネルギーを使えるハイブリッド型を導入するのがいいのではないかというふうに考えたわけです。


記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 

質疑応答(発表項目以外)

記者:

 度々すみません。

 神戸空港の国際線の誘致の関係で伺いたいんですけれども、2025年に国際チャーター便が飛ぶ予定だと思うんですけれども、ほかの地方空港なんかをいろいろ取材してみると、チャーター便を誘致するために、旅行会社さんなんかに一定の補助金を支払って、チャーター便を飛んでもらうという例が結構多くの空港さんでやられているみたいなんですけれども、そういったチャーター便の誘致をめぐる神戸市の市税の使い方、どのような方針で誘致を進めていくかという点について、お答えいただける範囲でお願いします。


久元市長:

 旅行会社に対して補助金を支払って、結局それは、チャーター便で来られる方、ビジネス客だとか観光客の方に対する支援ということになるわけですけれども、それが税金の使い方として適当かどうかということについてはちょっと議論の余地があるので、そういう方法は取らない。よく神戸空港の立ち位置ということを理解していただくということが適当ではないかということですね。

 やはりターゲットは2030年の国際定期便です。ですから、チャーター便がある程度のプログラムとして、準定期的にチャーター便として神戸に来ていただいて、それが定期便につなげていくということは望ましい姿ですけれども、そういう道筋を考えたときに、旅行会社に対する補助金というのは役に立たないと思います。


記者:

 分かりました。

 あと、2025年、2030年で、2030年は前後だと思いますけど、チャーター便、定期便という節目で見たときに、市長の今のところの想像だと、どれくらいの便数がそれぞれで飛んでいらっしゃるという想像を今されていますか。


久元市長:

 分かりません。


記者:

 分からないと。分かりました。


久元市長:

 ただ、国際定期便については相当引き合いがあって、これは可能性としては相当高いと思います。


記者:

 2030年には、今、誘致を進められていらっしゃる国が複数あると思いますけど、東アジア、東南アジアを含めて、ある程度の国が就航しているというのは期待が持てるというところですかね。


久元市長:

 これは3空港懇談会の議論でも、神戸空港は関西国際空港を補完するという役割ですから、そこは、国際定期便がどれぐらい就航するのかということは、これは関空の発着枠というのがどうなるのかということによっても影響されてくるというふうに思いますから、神戸空港が単独で希望的数値というものを述べるべきものではないなと。そこは3空港を一体的に運営している関西エアポートさんとよく相談して、関空と神戸の役割分担。この役割分担は、あくまでも補完をするということですから、それを前提に考えていこうということですね。


記者:

 分かりました。ありがとうございます。


記者:

 今のに関連して1つだけなんですけれども、市長は国際チャーター便の誘致に関する考え方で、旅行会社に補助金を支払うのは、長い定期便の就航に向けてあまり役に立たないのではないかと御説明があったんですけど、一部、報道の中では、もともと神戸市が何かチャーター便の誘致で補助金を支払う方針があったけど見直したみたいな報道もあったんですが、それは事実関係としては違うということになるんですかね。


久元市長:

 どんな政策でも庁内ではいろんな議論がありますね。いろんな議論があった上で、最終的にどういう方向性を見いだすということです。

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