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内容証明郵便
最終更新日:2025年1月31日
ページID:3229
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この解説は、2019年9月、兵庫県弁護士会の監修を受け作成したものです。
相談が多いテーマの一般的な質問とそれへの回答の一例を示したものです。具体的な事情等によっては、この限りではありません。
内容証明郵便の解説
- 内容証明郵便とはどういうものか。
- 内容証明郵便の使い方や注意点を教えてほしい。
- 内容証明郵便を利用するには何が必要か。
- 内容証明郵便の手続き・方法を教えてほしい。
- 内容証明郵便はどの郵便局でも取り扱っているのか。
- 内容証明のための手紙には何か書式があるのか。
- 文字数が決まっているとのことだが、カッコや句読点も一つの文字として数えるのか。
- 1つのます目に「15」や「2003」と記入した場合は、文字数はどのように数えるのか。
- 郵便番号を書く必要はあるのか。
- 差出人・受取人が複数の場合もそれぞれ文字数を数えるのか。
- 手紙を書くには、黒色のボールペンを使うのか。また、鉛筆でもいいのか。
- 3通必要とのことだが、1通のみ書いて残りはコピーでもいいのか。
- 手書きで書かなければならないのか。
- 1字だけ間違えてしまった。訂正印で済ませていいのか。それとも書き直さなければならないのか。
- 内容証明郵便にかかる費用を教えてほしい。
- その日のうちにどうしても出したい内容証明郵便があるが、夜遅くても受け付けてくれるのか。
- インターネットを利用した内容証明郵便があると聞いたが。
書式
- (事例1)訪問販売のセールスマンと結んだ売買契約をとりやめるとき
- (事例2)身に覚えのない金銭の支払請求を受けたとき
- (事例3)売買契約を解除するとき
- (事例4)返済期限を定めずに貸したお金の返済がないとき
- (事例5)時効の進行を止めたいとき
内容証明郵便とはどういうものか。
(解説)
内容証明郵便とは、「どのような内容の手紙」を「いつ誰から誰あてに差し出したか」ということを郵便局が証明する郵便です。弁護士等の専門家に限らず、一般の市民もこれを利用することができます。
- 配達証明
意思表示は、その通知等が相手に到達したときに効力が生じます(民法第97条第1項)。そのため、当事者の間でいつ相手に到達したかが争いになることが少なくありません。そのような争いを防ぐために、内容証明郵便に配達証明のオプションを付することを忘れないようにしてください。配達証明をつけておけば、いつ相手に到達したかについての強力な証拠になります。
例えば、契約を解除する場合、その意思表示を内容証明郵便で通知する際に配達証明を付けておけば、契約解除の意思表示がいつ相手に届いたかが争いになっても、その証明が容易になります。 - 心理的効果
内容証明郵便は、「どのような内容の手紙」を「いつ誰から誰あてに差し出したか」ということが公的に証明されることになりますので、これを意識させるという意味で、相手方に対して心理的効果が期待できる場合があります。
内容証明郵便の使い方や注意点を教えてほしい。
(解説)
内容証明郵便は、主として、いつ、誰が、誰に対し、どのような内容の意思表示を行ったかを公に証明することで、後日争いになることを防ぐための手段として使われています。
内容証明郵便が利用される事例としては、金銭の請求、契約の解除通知、警告通知、債権譲渡の通知などがあります。
内容証明郵便を上手に使うには、内容証明郵便(及びオプションとしての配達証明)の本来的効果と心理的効果を事例に応じて効果的に利用することが重要です。
例えば、相手方に誠意がみられるときや、トラブル解決後も親しく付き合いたいなどの場合、相手方が過度に反応するおそれがあるので、内容証明郵便の利用には慎重さが必要です。
また、いったん出した内容証明郵便は相手方の証拠にもなりますので、出した本人に不利な証拠となってはね返ってこないよう注意する必要があります。
もちろん、内容証明郵便は相手方に意思や事実を伝える手段の一つに過ぎませんので、これで問題すべてが解決するというものではありません。効果をよく理解し、上手に利用しましょう。
内容証明郵便を利用するには何が必要か。
(解説)
内容証明郵便を利用するには次のものが必要です。
- 内容証明を希望する手紙 3通(内容文書1通、謄本2通)
- 受取人、差出人の住所、氏名を記載した封筒 1枚
- 差出人の印鑑(認印でもかまいません)
- 郵便料金
内容証明郵便の手続き・方法を教えてほしい。
(解説)
- (1)「内容証明を希望する手紙3通」を郵便局の窓口に差し出します。
- (2)郵便局は、それぞれに内容証明郵便物として出されたことを証明するスタンプを押し、そのうちの1通を保管します。
- (3)残りの2通のうち、1通は用意しておいた封筒で相手方に送付し、1通は差出人が保管します。
内容証明郵便はどの郵便局でも取り扱っているのか。
(解説)
内容証明郵便を取扱う郵便局は限られているため、最寄りの郵便局を事前に確認しておきましょう。
東灘郵便局
東灘区住吉東町2-2-17
0570-943-978
灘郵便局
灘区大石東町3-2-8
0570-070-239
神戸中央郵便局
中央区栄町通6-2-1
0570-943-153
神戸国際会館内郵便局
中央区御幸通8-1-6
078-231-2118
神戸市役所内郵便局
中央区加納町6-5-1
078-391-0211
神戸商工貿易ビル内郵便局
中央区浜辺通5-1-14(神戸商工貿易センタービル1階)
078-251-0851
神戸ポート郵便局
中央区伊藤町118
078-331-1503
兵庫郵便局
兵庫区大開通2-2-19
0570-943-587
神戸北郵便局
北区北五葉2-1-15
0570-943-862
長田郵便局
長田区細田町7-1-1
0570-943-157
須磨郵便局
須磨区鷹取町2-1-1
0570-943-399
須磨北郵便局
須磨区西落合1-1-10
0570-943-122
垂水郵便局
垂水区星陵台1-4-29
0570-066-792
神戸西郵便局
西区糀台5-12-1
0570-943-568
内容証明のための手紙には何か書式があるのか。
(解説)
用紙については、特に規定はありません。普通の紙を使うことができます。紙のサイズも自由です。
ただし、1枚の紙に書くことのできる字数が制限されており、縦書きでしたら、1行20字以内、1枚26行以内、横書きでしたら、1行20字以内、1枚26行以内、あるいは、1行13字以内、 1枚40行以内、または、1行26字以内、1枚20行以内で作成しなければなりません。そのため、「内容証明用紙」を利用するといいでしょう。「内容証明用紙」は文房具を取扱っているお店で購入できます。
文字数が決まっているとのことだが、カッコや句読点も一つの文字として数えるのか。
(解説)カッコや句読点も一つの文字として数えます。なお、空白(ブランク)は数えません。
1つのます目に「15」や「2003」と記入した場合は、文字数はどのように数えるのか。
(解説)それぞれの文字数を数えますので「15」でしたら2字、「2003」でしたら4字で数えます。
郵便番号を書く必要はあるのか。
(解説)書く必要はありません。書いてもいいですが、郵便番号も文字数として数えます。
差出人・受取人が複数の場合もそれぞれ文字数を数えるのか。
(解説)「連記」した差出人・受取人の氏名や住所は行数・字数に算入しません。
手紙を書くには、黒色のボールペンを使うのか。また、鉛筆でもいいのか。
(解説)特に色の規定はありませんが、鉛筆を使うことはできません。
3通必要とのことだが、1通のみ書いて残りはコピーでもいいのか。
(解説)
この3通は同じ文面であればいいので、すべて手書きする必要はありません。
それぞれ手書きでもいいですが、コピーやカーボン紙を用いて複写する方が便利でしょう。
手書きで書かなければならないのか。
(解説)パソコンやワープロを使うこともできます。
1字だけ間違えてしまった。訂正印で済ませていいのか。それとも書き直さなければならないのか。
(解説)
訂正・削除したい文字を、二重線などを用いて、何を訂正・削除したか判読できるように引き、該当する箇所の上欄に「壱字訂正」や「弐字削除」などのように記入し、そこに押印します。
郵便局で訂正する必要が生じる場合もありますので、差出人の印鑑を持参しておくのがいいでしょう。
内容証明郵便にかかる費用を教えてほしい。
(解説)
次の外部リンクにより、確認してください。
その日のうちにどうしても出したい内容証明郵便があるが、夜遅くても受け付けてくれるのか。
(解説)
24時間業務をしている郵便局の窓口に差し出せば受け付けてくれます。
神戸市内では神戸中央郵便局があります。
神戸中央郵便局
中央区栄町通6-2-1
0570-943-153
また、インターネットを利用するのも一つの方法でしょう。
インターネットを利用した内容証明郵便があると聞いたが。
(解説)
2001年2月から電子内容証明サービスが始まりました。
- インターネットを利用することで24時間いつでも差出すことが可能
- 用紙1枚分で従来の約3倍の文字数(1500~1800字程度)の記載が可能
- 相手方・差出人の住所・氏名を記載した封筒を準備する必要がない
など、電子内容証明を選択するメリットもあるようです。
なお、料金は、次の外部リンクにより確認してください。
(事例1)訪問販売のセールスマンと結んだ売買契約をとりやめるとき
(解説)
買主は、一定の場合、書面による解除の通知により、無条件で売買契約を解除できます(クーリングオフといいます)が、そのためには、書面によってその解除の通知をしなければなりません。(特定商取引に関する法律第9条第1項)。
(事例2)身に覚えのない金銭の支払請求を受けたとき
(解説)
借金の連帯保証人になったことがないにもかかわらず、連帯保証人として借金を支払うよう請求書が送られてきたときは、連帯保証人ではないこと、支払う意思のないことを相手方に伝える必要があります。その旨を通知します。
(事例3)売買契約を解除するとき
(解説)
買主が売主に手付金を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付金を放棄し、また売主は手付金を倍返しして、契約を解除することができます(民法第557条第1項)。
(事例4)返済期限を定めずに貸したお金の返済がないとき
(解説)
返済期限が定まっていない場合は、相当な期限を定めて支払いを催告する必要があります(民法第591条)。そのため、返済期限を定め、貸金の支払いを請求します。
(事例5)時効の進行を止めたいとき
(解説)
貸金債権の消滅時効が成立する前までに裁判外の請求として請求書を債務者に通知すれば、通知後6ヶ月以内に裁判上の請求(訴訟や支払督促等)、差押え、仮差押え、仮処分をすることにより、時効の完成を猶予することができます(民法第150条第1項、147条等)。なお、再度通知しても時効の完成を繰り返し猶予することはできませんので(民法第150条第2項)、注意してください。