最終更新日:2024年4月23日

会見2024年3月29日

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教育長会見の模様をお届けします。

会見資料はこちら(PDF:2,897KB)

第4期教育振興基本計画の策定

司会:

それでは、本日の教育長会見を始めさせていただきます。

長田教育長、よろしくお願いいたします。

長田教育長:

はい、どうぞよろしくお願いいたします。

今日は第4期の神戸市教育振興基本計画について、御説明をいたします。

この教育振興基本計画といいますのは、教育基本法に基づく地方公共団体が定める教育の振興の基本的な計画ということで、今年度が今の計画であります、第3期の振興基本計画の最終年度に当たります。そういうことで来年度からの5年間の神戸の教育の在り方を示す計画を策定するというものです。

今回のこの計画策定のポイントにつきまして、少し御説明をいたしますと、まず、1点目が簡素化・重点化ということです。今の第3期の計画は、非常に幅広く教育施策を網羅していると、記載をしているということもありまして、逆に、保護者をはじめ市民の皆様にとって、神戸の教育が目指す方向性、取組というのが伝わりにくいものになっているのではないかというふうに思っております。そのため、次のこの第4期計画におきましては、神戸の教育が目指す方向性というものについて、保護者をはじめ市民の皆様に分かりやすくお示しできるように、全般的に、かなり簡素化・重点化を図りました。

2つ目の教育ビジョンの策定ということですが、これ今回初めて設けるものでございます。今後5年間、どういった教育を神戸では行って、どのような力を子供たちに育んでいくのかということを、保護者や地域の皆様、市民の皆様と共有するものとして、今回、新たに教育ビジョンというものを策定をいたしました。詳細はまた後ほど御説明いたします。

3つ目の児童生徒・保護者の声の反映ということですが、やはり当事者は、あくまで学校教育の当事者は児童生徒、それとその保護者ということです。この方々に対しまして、ウェブアンケートを行いまして、その結果やいただいた御意見をできる限り計画に反映をいたしました。

次は、今のこの学校を取り巻く社会状況・教育環境の変化ということを少し簡単に御説明をいたします。

左のグラフは、これは神戸市の児童生徒数の推移ということです。2007年は11万6,000人ほどでありましたが、2022年には10万5,000人にまで減少しておりまして、少子化ということでこの傾向は今後さらに加速化するというふうに推定されます。

右のグラフはこれは全国の共働き世帯とそれから専業主婦世帯の推移です。1980年頃は、共働き世帯は専業主婦世帯の半分程度でしたけれども、これが大体1996年頃に逆転をしまして、今では共働き世帯が専業主婦世帯のもう倍以上ということになっています。

次は、左側が不登校の児童生徒数の推移です。オレンジ色の棒グラフ、これが中学生、それから、青色の棒が小学生ということですが、どちらもこの数年で大幅に増加をしています。

右のグラフは、いじめの認知件数の推移です。2020年度だけ少し下がっておりますが、これはコロナの影響ということですが、2015年度以降、いじめの定義の解釈が明確化されたこと、また、積極的な認知に努めるようになったこと、こういったことで増加傾向にあります。

左のグラフは、これは特別な支援を要する児童生徒ということで、特別支援学級の児童生徒数及び特別支援学校の児童生徒数を示しています。やはり発達障害に対する理解の広まりということなどを背景に、ここ、そうですね、15年間ぐらいで大幅に増加をしているということです。

右のグラフは、日本語指導が必要な小・中学生の推移です。グローバル化の進展に伴いまして、学校におきましても外国籍の子供や、両親のいずれかが外国籍である子供さんが増加をしていまして、この児童生徒に対する支援が必要ということになってきております。

続いて、これはいわゆる時間外勤務、教員の1か月当たりの状況です。左のグラフが小学校、右のグラフが中学校の教員です。2022年度における時間外勤務の割合というものを円グラフで示しています。数年前と比較して、一定、改善はしてきておりますが、中学校では約2割の教員が月80時間以上ということで、いわゆる過労死ラインを超えているという厳しい状況にありまして、依然として長時間勤務の状況が厳しいと、そういう状況が続いています。

次は、教員の採用試験、成り手不足の問題です。全国的に受験者が大きく減少しているという中で、本市におきましては、何とか健闘しているということではないかと思ってます。全国では採用者数そのものは、正規教員を確保するために増やしているという自治体が多いわけですが、それに伴って競争率は低下をしております。本市におきましても基本的に同様の傾向にありますが、今年度行いました、2024年度の採用試験、一番右側ですが、これは何とか前年並みの受験者数を確保ができたという状況です。今回の計画はこうした社会状況の変化、あるいは学校教育環境の変化に伴いまして、教育課題も複雑、多様化しているという状況を踏まえて、今後5年間の教育の在り方を示すというものとして策定をいたしました。

続いて、これは児童生徒・保護者アンケートです。今回の計画の検討に当たりまして、児童生徒・保護者の御意見を参考にするために学校に望むこと、期待することについてアンケートを実施しました。多くの御意見をいただきました。

次が、こちらがアンケート結果です。児童生徒、左側、それから右側が保護者ですが、「確かな学力」、これが青色の一番左側です。それから「体験学習」、黄色ですね。とグレーの「主体的な学び」、こういったところの割合が双方ともに高くなっております。このアンケート結果や自由記述において頂戴した御意見につきましては、計画内容にできる限り反映をいたしました。

続いて、計画の構成です。次のページ以降のスライドで、詳細について説明をいたします。

まず、目指す人間像ですが、学校は子供たちが将来、社会の中で生き抜く力を身につけるために様々な人と触れ合って学ぶ、そういう場所です。確かな学力、健康・体力に加えまして、様々な体験というものを通して、豊かな心を養い、そして、自ら目標に向かって、たくましく生きることができるように育んでいく必要があります。

こういったことを踏まえて、本市の目指す人間像として、これは、これまでの計画に引き続き、「心豊かに たくましく生きる人間」というものを掲げています。

続いて、新しく策定します教育ビジョンです。

これは先ほども御説明したとおり、どのような教育を行うのか。どのような力を育んでいくのかというものをお示しするもので、新たに作ったものですが、やはり変化が激しく、そして、予測が困難な、そういうこれからの時代におきましては、自他を大切にする。そして、多様な、いろんな仲間とつながる。その中で対話を重ねるといった経験を通じて、自立心や社会性、また、協調性を育むということが大切です。そして、子供たち一人一人のよさや個性を伸ばし、自ら学び、自ら考え、主体的に行動し、未来のつくり手となれるように、私たちは教育を行って、子供たちを育んでいくことが大切であるというふうに考えています。

この「自他を大切に自ら考え未来をつくる」。これを教育ビジョンということで、保護者をはじめ、市民の皆様としっかりと共有をして、神戸の教育を共に進めていくということで情報発信にも力を入れていきたいと思っています。

次は、五つの基本政策です。これは先ほど申し上げた教育ビジョンを具体的に展開するものとして、この五つの基本政策を定めています。今後5年間、それぞれの政策ごとに、特に重点的に取り組む施策を上げています。

まず一つ目の基本政策1、子供が主役のこれからの学びです。やはり生きる力の基盤となるのは確かな学力、豊かな心、健やかな体。これをしっかりと育んで、子供たちの個性を生かしてよさを伸ばします。その上で、これからの時代において必要となる問題発見、あるいは、課題解決能力や創造力などを育むとともに、異文化や多様な背景を持つ人々への理解を深めていきます。

これは基本政策1の重点施策ということで主なものを二つ上げておりますが、個別最適な学びと協働的な学びの充実。これは現在も取り組んでおります。それから、英語の実践的なコミュニケーション能力の向上及び異文化等の理解というものです。

続いて、基本政策2、これは、一人一人に応じたきめ細やかな支援ということです。先ほどもお示しをいたしましたとおり、社会状況、あるいは、学校を取り巻く状況を踏まえまして、やはり一人一人の状況に応じたきめ細かな支援というものが重要になってまいります。そういう中では、行きたくなる学校づくり、これを進めるとともに不登校支援の充実やいじめ対策の推進、また、特別支援教育の充実など、教育課題にしっかりと向き合って取り組んでまいります。

この基本政策2の重点施策としまして、二つ主なものを上げております。まず一つ目は不登校支援の充実ということで、これは「学びの多様化学校」をはじめとした多様な学びの確保ということです。それから、いじめに関しましては、これはいじめの未然防止学習の推進による、いじめを許さない土壌づくりを進めるということのほか、早期発見・早期対応ということを上げております。

続いて、基本政策3は、安全・安心で過ごしやすい環境づくりです。子供が主体となった学校づくりをより一層進めていくほか、安全・安心で快適な学校環境づくりに取り組んでいきます。

続いて、基本政策3の重点施策です。やはり、自立心や自己肯定感を育む子供が主体の学校づくりの推進ということで、一つは分かりやすい授業、あるいは、子供自身が学校活動へ主体的に参画をしてもらう。こういったことを通して、行きたくなる学校づくりというものを進めていきます。また、温かく、おいしい中学校給食の順次提供に取り組んでいきます。

続いて、基本政策4です。子供に向き合い寄り添える学校づくりということです。先ほども申し上げましたように、教職員の多忙化対策、成り手不足は喫緊の課題となっています。引き続き、教員の積極的な採用を進めまして、優秀な人材の確保に努めるということと、働き方改革のさらなる推進というものを中心に上げております。

基本政策4の重点施策、これも繰り返しになりますが教員の積極的な採用。それから、採用前研修はじめ、やはり人材の育成、こういった面の強化ということを中心に取り組んでまいります。

続いて、基本政策5です。地域と共に、開かれた学校ということです。これからの学校教育におきましては、開かれた学校づくりというものをさらに進めていかないといけません。保護者や地域の皆さんと連携をし、それぞれが持つ知識や経験を持ち寄って、子供たちの学びと成長を支えていく必要があります。コミュニティ・スクールの推進、また、学校施設のさらなる有効活用、こういったことを通して、地域と共にある学校、地域と共につくる開かれた学校というものを実現をしていきたいと思っています。

その重点施策についてですが、先ほど申し上げたコミュニティ・スクール、地域との連携・協力活動の強化、それとともに、スポーツ・芸術文化・市民福祉活動等の推進に向けた学校施設のさらなる有効活用ということで、今も体育館の夜間開放を拡大しておりますけれども、今後はもっと誰もが利用しやすい学校施設開放事業の在り方を根本的に見詰め直して検討をしていきたいと思っています。

これは計画の進捗管理ということで参考までに、こういった調査等を通じて進捗をしっかりと把握をしながら、状況に応じて計画の見詰め直し等を図っていきたいと思っています。

これからの神戸の学びということですが、これは学校は子供たちが、多くの仲間や大人と出会い、そして、いろいろな経験を通じて成長する場ですと。また、自分らしさを大事にしつつ、仲間を大切にし、人とつながる楽しさを実感する場でもあると。それぞれの学びの中から、子供たちが興味や関心を深めて、夢を育む場であると。こういう場であるということを念頭に置きながら、自他を大切に、自ら考え、未来をつくる、そういう力を育んでいく。そういう神戸の学びというものを今後展開していきたい。そういう中で、子供たちが主役の「行きたくなる学校」をつくっていきたいと思っています。ぜひ市民の皆様、保護者の皆様、地域の皆様と共に、この神戸の学びを共に進めていきたいというふうに考えています。

私からの説明は以上です。

質疑応答

記者:

まず、教育ビジョンに関してのお尋ねなんですけれども、これは、この第1期から第3期までの計画の中でも、これまで全く掲げられなかった、これは何かもう、言われてみれば何でなかったのかなと思ったんですが、これ何か経緯とか分かれば。

長田教育長:

これまでは、どちらかというと私どもの場合は教育理念で、人は人によって人になるという教育理念、これを神戸の教育理念としてきました。

それの下に、先ほど申し上げた、心豊かにたくましく生きる人間、これを、いわゆる、将来像といいますか、そういう子供を育てていこうということで、この二つをメインとして掲げてまいりました。ただ、先ほども冒頭申し上げたように、地域の皆様、保護者の皆様、市民の皆様とできる限り、神戸の教育を分かりやすく捉えていただいて、共有を図っていくという中では、やはり、神戸に行ったらどんな教育をやってるのかと。あるいは、子供たちをどういうふうに育てていくんですかと。こういうことをやはり我々もしっかりと発信しないといけないし、そういう理解を、深めていただく必要があるということで、そういう観点から今回、新たに教育ビジョンということで、誰もが分かりやすいフレーズということで「自他を大切に自ら考え未来をつくる」ということを策定したというのが経緯です。

記者:

ありがとうございます。

僕もまだ第3期の計画をちょっと簡単に見ただけなんですが、例えば、英語の教育の推進に関して言ったら、第3期でも掲げられてたのかなと思うんですけれども、何か第4期で、踏み込んだ部分とか、あればちょっと伺えればと思うんですけど、いかがでしょう。

長田教育長:

そうですね。実は、英語についてはこれ、前からの課題といいますか、英語教育の充実ということが大きな目標になってきたわけですけれども、実は、昨年度ですかね、英語教育の推進に関する取組の方針というものもつくりました。そして、成長段階に合わせて大体どういうレベルまで英語を学んでいくか。到達度をどの辺りに置くかということも一応、一定、目標設定もいたしました。そういう中で、前期の計画に比べて、より具体的な目標を定めつつ、かつ、いわゆる英語コミュニケーション能力に、より重点を置いたような取組を今後、重点的に図っていきたい、取り組んでいきたい。しかも、ALTが神戸の場合はかなり多くの方に来ていただいて、共同授業をやっていただいてますので、そういったALTの方との、授業とは別の場での直接のネイティブの方との対話の場というものも、より増やしていくと。そういう中で、英語コミュニケーション能力の向上を図っていくというのが、今回の第4期の特徴ということで言えるかと思います。

記者:

ありがとうございます。あと少しなんですが、教員の採用、成り手不足とか負担の軽減とか、これまで課題としては出てるのは伺ってるんですけれども、こうやって、この学校の計画の、教育振興基本計画の中に盛り込むっていうのは、これまであったんでしょうか。何か子供の教育に関する方向性とかを示すものとして、示すのが計画なのかなと思ってたんですが、この教員の採用とかも今課題になってて進めなきゃいけないっていうのは何かやっぱりすごい、何かすごい深刻さがやっぱり反映されてるのかなと思ったんですが、そういう状況。

長田教育長:

そのとおりだと思います。恐らく直接的な記述は第3期計画ではなかったんじゃないかなと思います。少し詳細はまた後ほど調べて報告させていただきますが、やはりここ2、3年ですよね、特に深刻化してきたのは。そういうことで全国的な影響も受けて本市においても非常に厳しい状況になりつつあるということで、やはり子供に向き合い、寄り添える学校づくりという基本政策の4ですね。こういう中におきましては、やはり教員そのものの人材をしっかり確保して、数もそうですし、質もそうですが。そういう中で、子供たちにしっかり向き合える、やはり、一番基盤となるのが当然教員ということですから、そういう意味で、今回は基本政策の中の重点施策の中心に据えたというのは、昨今の状況を反映してのことだというふうに思います。

記者:

ありがとうございます。最後に、もう一つですね。基本政策の5のところになるんですけれども、学校施設のさらなる有効活用ですね。これに関しては、記述にある有識者会議っていうのは、これから設置するものでしょうか。それとも今、既に設置されて議論されてる。

長田教育長:

この前、3月26日、ついこの間、第1回会議を開催いたしまして、有識者の方に幅広く御意見をいただきたいと思っています。やはり、これまでの学校施設運営委員会というのをつくって、地域の方々にその運営をお願いしておりましたけれども、やはりいろんな観点から課題が出てきてますから、そういう意味でもっと広くいろんな方に、できるだけ多くの方に地域の財産である学校施設を御利用いただくと、こういう観点から、在り方そのものを一度きちんとゼロベースから見直していこうと。そういう取組をしていきたいと思っています。

記者:

分かりました。ありがとうございます。

記者:

よろしくお願いいたします。

教員の方の時間外勤務の状況についてなんですけども、特に、中学校の約2割の教員の方が過労死ラインを超えているということなんですが、これは何が原因というか、例えば、部活の顧問とかいろいろ想像するんですけれども、把握されている範囲で教えていただきたいのと。あと、これ2020年度平均とありますけど、これ最新の数字になるんですよね、きっと。増えてるか減ってるかということについてもお願いします。

長田教育長:

はい。中学校の最初の御質問の、なぜ多いかということについて、一番大きな要因はやっぱり、部活動ですね。部活の指導、これが一番、中学校の時間外勤務の中では非常に比重が高いというふうに言われています。

そういうことで部活動の地域移行の取組も今、進めておりますけれども、やはり、そういったことも含めて、1日の学校生活の在り方そのものをどうするのかということを考えていかないといけない。今、中学校では割と部活動を終えた後の下校時間を5時ぐらいに設定して、前倒ししている学校が多くなっています。

非常に、そういう意味では、部活動の時間は若干短くなりますし、あるいはそれまでの学校生活の時間も、トータルとしていろいろ工夫をしないといけない。そういう中で、教員の時間外勤務ももう少し縮減できないかというようなことを今やっております。

それから、数字ですけども年度で見ると2022年度が一番直近ですが、もちろん毎月ごとに把握をしておりますので、直近の数字、今、手元に私、詳しいは数字はありませんけれども、小学校で大体30時間後半ぐらいでしたかね。中学校で40時間台後半ぐらいだったような気がしますが違いますか。

後ほど確認してお知らせしますけど、いずれにしても傾向としては、5年ほど前と比べますと、10時間ほどは減ってきています。一定改善はしてきている。これはこの間、当然、働き方改革の取組、いろんな取組をやってまいりました。学校への電話を夕方5時以降留守電にするとか。あるいは、「すぐーる」という保護者との連絡用ツールも導入して、学校への欠席の連絡の電話は、もうスマホからアプリを使ってすぐできるとかですね。そういったことも含めて、学校の業務と活動全般の見詰め直しというのを、この3年間ほどやってまいりましたので、その成果として、やはり一定の改善は見られます。ただ、やはり抜本的な改善には至っていない。

それはなぜかというと、昨年もこの場で、今年ですか、今年の1月やったかな。少しお話をさせていただきましたけど、やはり今の学校の業務そのものが非常に膨れ上がっている。それは何かというと、本来学校に御要望、あるいは、持ってきていただくいろんな御相談も含めてですね、学校が対応しなければならないもの以外のものが非常に多くなってるんです。学校業務が肥大化してるのはそういうことです。

例えば、地域、あるいは御家庭で解決、対応をいただくべきことにつきましても、学校に持ってこられるケースがもう多々見られます。例えば、ボール遊びを、家の前の道路上で休日に近所のお子さんがやってると。うるさいとか危ないとか、そういうことも学校や教育委員会のほうに苦情が寄せられます。あるいは、御家庭の中で夜遅くに、今、一人1台の端末を貸与してますから、学習用パソコンを使って勉強してるふうでもなく、夜遅くまで何かやってると、ゲームやってると。学校で注意してほしいと。これは学校でも注意しますけれども、やはり御家庭での情報モラル含めた指導もしていただかないといけない。その辺りが、もちろん大変な御家庭もあって、一律にはいかないかも分かりませんけれども、できる限り御家庭なり地域の皆さんにそういう御協力を、今、お願いをして回ってるところです。やはり社会全体の中で、そういうありようをしっかりと見詰め直して、本来あるべき学校の業務、教員は教員でなければできない仕事に特化をしていくと。そして、一人一人の子供たちと向き合うと。こういう時間をつくっていくということで、今、懸命に取組を進めております。少しずつ減ってきておりますが、抜本的には、なかなか改善したとまでは言い切れないという状況だと思います。

記者:

ありがとうございます。部活動の地域への移行というのはPTAのことですか。

長田教育長:

いやいや、これはですね、主には地域団体で、スポーツで言いますと、総合型地域スポーツクラブというのが各地域にありますが、例えば、そういうところとか今、垂水区の五つでしたかね、中学校でモデル的に合同部活動、学校同士が休日に集まって合同で活動して、そこに地域の指導者の方に来ていただいて指導していただくというモデル事業をやっております。そういったことをもっと他の地域に拡大していくとか。あるいはなかなかこの地域のスポーツクラブでは、受皿となるのが難しいという場合も出てこようかと思います。

そういった場合は、それ以外の大学や学生さん、あるいはプロのスポーツクラブ等々も含めた何らかの受皿を構築していくという仕組みも整えていかないとなかなか地域移行は、口で言うほど簡単には進まないと思っています。非常に課題は多いです。保護者の負担どうするのかというのもありますし、受皿の問題、そして、指導者の確保の問題、いろいろ課題がありますから。まずはモデルでやって、課題を洗い出して検証しながら、地域を拡大していくと。そういう方向で進めています。

記者:

ありがとうございました。

記者:

何点か、児童生徒・保護者アンケートで伺います。

結構な数の回答があったのかなと思うんですけれども、教育長として何かこの分野、この項目が意外と多かったとか少なかったのかなとかって思う率直な感想みたいなものを伺いたいんですが。

長田教育長:

なるほど。今回、非常にたくさんの方からアンケート御回答いただきました。私もこれだけ多くの方にアンケートで回答いただけるというのは非常にありがたく思っております。児童生徒が4万2,000人で、保護者が2万6,000ですから、そういう意味では非常にうれしく思っております。

そうですね、児童生徒のほうで言いますと、やっぱり、例えば、「先生の資質」なんていうのが児童生徒の中からも結構多いんですね。これは少し私も、ああ、そうなのかという感じがいたしました。それから、児童生徒自身も、「主体的な学び」なんかも案外多いなというのも思いましたし、やっぱり、一番納得したのは「体験学習」、児童生徒自身がいろんな体験をしたいと。こういう表れなのかなというのは、率直な感想としてはあります。

それから、保護者の方で言いますと、「豊かな心」ですね、保護者の方が「確かな学力」とほとんど変わらないぐらい「豊かな心」の項目が非常に高くなっています。やはり、保護者の方から見ると、たくましく生きる、社会の中で生きていってほしいと、そういう中では、体もそうですけども、心そのものも、いろんな体験を通す中で、やはりいろんなことに感動したり、あるいは、他を思いやったりとか、そういう何か生きていく中で非常に大事なところを学校でもきちんと学んでもらいたいと。そういう思いの表れではないかなという気がいたしました

記者:

保護者の学力と豊かな心がイコール、同じくらいの数だっていうのが、何か時代によって変わってきてるのかなと思う。その辺りはどうお考えですか。

長田教育長:

そうですね。時代によって変わるのは、あるのかなという気はいたしますね。

ただ、私はもっと「確かな学力」が高いのかなと。このアンケート結果よりもっと高いのかというふうに予想してましたけども、この「豊かな心」とほとんど変わらないというのは逆に少し新鮮な思いを持ちました。確かにおっしゃるように、時代時代に応じて少しこの辺りは、当然変わってくるというのはあり得るんだろう、そういう意味では5年ごとの計画ですので、5年に1回ぐらいはこういうアンケートもしっかり取らせていただきながら、そういった声をできる限り反映をしていく必要があると思っています。

記者:

ありがとうございます。あと1点。教員の成り手不足についてなんですが、今般の文科省のほうで教員採用試験の前倒しとか、いろんな施策を出していく中で、この5年間の計画の中で神戸市のほうも、成り手不足解消に向けて基本計画つくりますよってことなんで、つくりましたってことなんですけど、この5年間でどの程度まで、何ていうか、採用数っていうか採用する人数を増やしたいとかっていう目標というか、今、倍率の話になるのかどうか分かんないんですけれども、その辺りの目標ってあるんでしょうか。

長田教育長:

具体的な目標までは持っておりませんけれども、ただ、この4月の採用ですね。それにつきましては、やはりもう約600名ぐらいを採用いたしますので、2年前と比べますともう倍増とまでは言いませんけど、二百五、六十人増えてるわけですね。したがいまして、これはなぜかといいますと、やはり、臨時講師と言われる、臨時的任用教員が確保することがもう非常に難しくなって、これ全国的に同じ状況です。そういう中で、どんどん他の自治体も含めて、本市もそうですが、とにかく正規で、やはり確保しなければいけないと。当然、その結果として正規教員の採用は増えてまいります。

それと、これまでは、本市の場合はどちらかというと、4、5年前までは、正規教員もかなり厳しく面接等で見させていただいて、採用者数はある程度、そこまで採らなくても何とかしのげていた。それは何かというと、逆に、臨時的任用教員が確保できていたからなんですね。その結果、本市の場合は少し、正規教員の比率というのが意図的に抑えたのではなくて、結果として、少し低かったんではないかという気がしています。したがいまして、私は、もう少し、この傾向を数年は続けていく必要がある。正規教員をこれぐらいの規模ぐらいで、ここ数年は確保している。その上で4、5年後ぐらいにどうなってるか。その状況を踏まえて、今後の教員の確保、優秀な人材をどう確保するかという在り方をもう一度考える必要があるんではないかなという気がしています。

記者:

この2番目にある教員免許状を持っているが教職に就いていない潜在的な人材の確保っていうのが、結構、課題なのかなと思ってまして、この辺り、何か教員のイメージアップが優先なのか何が、これ一つではないと思うんですけれども、どうすれば、先生になってくれる人が増えるんだろうという思いっていうか、考えみたいなのってありますか。

長田教育長:

やはり、最近は少し、非常に言いにくいですが報道もですね、ブラックとか、非常に勤務環境が厳しいということが、どんどん、どんどん前に出ていってますから、そういう意味でやはり教職、教員養成系の大学においても、民間企業に進まれる方が結構多いと聞いています。

ただ、私、これいろんなマスコミ関係者の方に会うたびに申し上げるんですが、片一方では学校現場においては非常にやる気を持って、生きがいを持って取り組んでおられる教員の方、たくさんおられます。ぜひそういう方々に、我々ももっと焦点を当てて発信をしていかないといけないと思いますけど、やはり、働き方改革の非常に積極的な取組も行いながら、自分の時間も確保しながら、ワーク・ライフ・バランスにも一定、考慮しながら、やりたいことを子供たちのために、一生懸命、生きがいを持って、やりがいを持ってやってるという教員、こういった方の話を、もっと広く、大学の学生なり、あるいは、もうちょっと若い世代にも、やはり発信を、我々自身も積極的にしていく。そういう中で、やはり教員というのはやはり魅力ある仕事なんだなということを受け取っていただいて、それがこれからの優秀な人材の確保につながっていくんではないかと。そんなふうに思っています。

退任のご挨拶

長田教育長:

この3月末で退任をさせていただきます。私は2018年、平成30年の4月に、教育長に就任をいたしまして、2期6年務めさせていただきました。就任して以降、重大な事件や事案等によって、児童生徒、あるいは保護者の方々をはじめ、市民の皆様には、多大なる御心配、御迷惑をおかけいたしました。就任した直後から、実は、私は、組織マネジメントという観点から、やはりもっとこの教育委員会の組織や仕事の在り方、こういったものを抜本的に改善をしていく必要があるというふうに感じておりました。

やはり教育課題は、ますます複雑化、多様化してきておりますので、これに適切に対応していくために、そして、何よりもやはり子供たちを健やかに育むために、時代の変化に応じて、制度や仕組みというものは変えていかないといけない。

そして、組織としてのいわゆるガバナンス、それから、学校支援の強化ということも図っていかなければならない。そのことを強く決意をしまして、組織風土改革に取り組んでまいりました。

事細かくは申し上げませんけども、人事異動制度の再構築でありますとか、あるいは地区統括官を設置して、学校園と教育委員会事務局との情報共有や連携を強化していく。こういったことなどをはじめとして、組織の改革に取り組んでまいりました。この取組はもちろん私なりに信念を持ってやってまいりました。一定の目標を達成したとは思っておりますが、まだまだ十分ではないところも正直、あると思います。したがいまして、今後も継続した取組が必要であるというふうに思っております。

そういったことに加えまして、学校運営とか学校づくりという観点から申し上げますと、やはり、これまでの学校は学校の立場、あるいは教員の立場から、学校運営をどうしていくかということを考えるというのがメインではなかったかなというふうに思います。これをもっと子供たちの立場、あるいは保護者の方の立場といったことも十分念頭に置いて、そういう御意見を尊重して、学校運営をしていく必要があるというふうに思いまして、そういった面での見詰め直しをし、新たな制度、仕組みの構築にも取り組みました。

今では割と校則の見直しというようなものも全国的にも通常のようになっておりますけれども、本市は、全国的には結構早い段階からこういう子供が主体となって、学校のルールや決まり、校則などの決まりを見詰め直していこうと。子供主体での見直しをやっていこうということをやってまいりましたし、学校生活の困り事、悩み事ということにつきましても、これも当然、学校に相談があるわけですが、なかなか学校には言いにくいこと、あるいは学校に言っても解決しない、教育委員会・神戸の教育全体の制度とか仕組みに関することは、こういったこともございますので、やはり積極的に我々のほうから、保護者や子供たちのほうから御意見や御要望をお受けして、できるだけ早期に対応し、解決をし、そして、できるものは学校活動に反映をすると、教育行政に反映すると。そういうための仕組みとして「お困りごとポスト」というものを設置をして対応をしてきております。かなりの数の御意見を頂いてまいりました。

そういう中でいろいろ取組を進めてまいりましたけれども、やはりこういう厳しい状況の中におきましても、様々な関係者の皆様から厳しい御意見もいただきながら、温かく御支援をいただきましたということにつきまして、心から感謝を申し上げている次第でございます。

今後は、今も取り組んでおります個別最適な学びと協働的な学び、これをさらに推進をしていかなければいけませんし、先ほども御説明しましたように、教育振興基本計画の中にあったように、子供がやはり自ら学ぶ、自ら考える。そして、自ら主体的に行動すると。こういうことを軸に置いて、子供たちをみんなで育んでいくと。こういう教育をさらに充実させていく必要があるというふうに思っています。今日も御質問いただきましたように、教育課題というのは本当に山積をしておりまして、状況はますます厳しくなっております。

これからの学校づくり、あるいは神戸の教育ということを考えたときに、これは学校や教育委員会だけではできるものではありません。保護者や地域の皆様に多くの課題について御理解をいただいて、そして、お互いに連携協力させていただきながら、解決に向けて取組を進めるということが不可欠になっております。

私も教育長は退任をいたしますけれども、一市民の立場で何らかの格好でお手伝いをさせていただきたいというふうに思っております。市民の皆様並びに関係者の皆様には、引き続き、神戸の教育に対しまして力強い御支援をいただき、神戸の教育がさらに充実するものとなるように願っているところでございます。

本当に長い間お世話になりまして、ありがとうございました。

質疑応答

記者:

すみません、何点かだけ。長田教育長、市長部局から教育委員会のほうに教育長として行かれたと思うんですけれども何か、例えば、教育行政であったり教員の方々に対して、外から見るのと、実際中に入って関わってみて、何か印象の変化とか、あれば何か。教員の人ってこんな人たちなんだとか、何か差し支えない範囲で。お聞かせいただければ。

長田教育長:

私、実は、教育行政の経験全くなく、市長部局の行政職、一般職を退職してから教育長に就任をいたしました。そういう意味では、教員籍の現場の方との付き合いは、こちらへ来て初めてでした。やはり、正直に申しますのは、教員はもう基本、本当真面目ですね、真面目過ぎます。真面目過ぎるぐらい真面目。例えば、報告書なんか、計画書とか学校現場でつくるのは、結構、帳票いうか様式があって作るんですが、むちゃくちゃ書きますね。それだけ情熱、やっぱり熱意があるという裏返しかも分かりませんが、ただやはり、仕事の進め方とか処理の仕方とか見た場合に、普通の組織ではやっぱりちょっとそこまでしなくてもいいんではないかと。もっと要領よく、端的にポイントをまとめるという訓練も必要ではないかというふうにも思いました。

それから、あと申し上げるならば、どちらかというと、割と極端なところがあります。ゼロか100かというのが。やるかやらないかも含めてですね、やるならとことんやるという。先ほども、なかなか学校業務が非常に膨れ上がってきてるということで、要望、苦情の話を申し上げましたけど、やはり過度な要求・要望もたくさん学校に寄せられます。私は常々申し上げてますのは、もちろん、誠実に対応しないといけませんけど、寄り添った対応が求められますけれども、一定を超えた、そういう過度な要求・要望についてはもっと毅然と対応すべきだと言っておりますが、学校現場の教員、なかなかそれができないです。非常に保護者との関係を大事にしているということなんでしょうけども、なかなか保護者の方に対して、そういう厳格な対応というのは非常に不得手である。そういう中で申し上げますと、やはり少し場面場面、ケース・バイ・ケースによる柔軟な対応というのはなかなか難しいところがあるのかなというのが率直な思いとしてはあります。

ただ、大部分の多くの教員は、本当に真面目に子供たちと向き合って何とか子供たちのためにということで、もう必死に働いているというのが、それはじかに接して、本当によく分かりました。そういう気持ちは大切にしたいと思います。

記者:

ありがとうございます。あと一つだけなんですが、4月からは次の、後任の教育長の方が就かれるんですけれども、何かどうでしょう、期待するものとか、何か思いがございましたら伺わせていただきたいんですが、いかがでしょうか。

長田教育長:

そうですね。後任の教育長なり、後に残るといいますか教育委員会事務局のこれからの職員に対して期待することという観点から申し上げますと、やはり冒頭申し上げたように、私が最大の使命であったのはこの組織風土改革です。やはり時代に応じて、制度、仕組みを変えていく。学校現場は変えるということに対して、非常に抵抗があります、実際のところ。でも、それはやはり趣旨・目的をしっかりと説明して、お互いがやはり理解をした上で進めていくことが非常に大事だということは痛感をいたしました。そういったことに十分配慮しながら、この組織風土の改革ということはゴールがないと思いますので、これは継続して同じ方向性で取り組んでもらいたいというふうに思っています。

それからやはり、これからの学び、学校とは何かということを考えたときに、最後にも、先ほど振興基本計画の中で申し上げましたけども、やっぱりこれからの学校において子供をいかに主体にして、子供が学校生活の中で、やっぱり自分たちの学校は自分たちでつくっていくんだというような参画、学校運営に参画してもらう。あるいは、いろんな企画にも自ら考えてやってもらう。そういった中で、やはり社会に出てからの主権者教育の一環と言えばそうかも分かりませんし、社会に出てからの自身のこの人間性、人間づくりといいますかね。そういった観点においても、やはり学校での、そういう自ら経験する、あるいは、参画する社会づくり、社会への参加ということが大事ではないか。そういう中で、非常に今の子供は自己肯定感が低いというふうにも言われてますから、やはり自分で取り組んで自分がやり遂げた、実現したことというのは非常に自己肯定感、あるいは自己有用感ということを思ったときに、非常に大切になってきますから、そういう意味で、やっぱり子供がその気になって取り組むということを周りの大人がもっともっとサポートして応援をしていくと。そういう教育をこれから神戸でぜひ引き続いて、もっともっとさらに取組を深めてほしいというふうに思っています。

記者:

ありがとうございました。

長田教育長:

どうもお世話なりました、ありがとうございました。

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