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阪神・淡路大震災被害の状況(物的被害)

最終更新日:2023年10月13日

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総括

被害が甚大であった地区は、既成市街地域の東灘区から須磨区及び北区にかけて8地区に分類することができ、その被害の特徴は、次のとおりである。

各地区の被害の特徴

  • 三ノ宮地区非木造建築物の倒壊
  • 摂津本山地区木造家屋等の倒壊
  • 六甲道地区木造家屋等の倒壊
  • 上沢松本地区木造家屋等の焼失
  • 長田南部地区木造家屋等の倒壊
  • 新長田地区木造家屋等の倒壊
  • 大池千歳地区木造家屋等の焼失
  • 有馬地区宿泊施設等の倒壊

建物の被害

1火災

地震直後から火災が多発し、火災による被害は、全焼6,965棟、半焼80棟にのぼる。

各地区の火災の状況

  • 東灘区全焼327件半焼22件
  • 長田区全焼4,759件半焼13件
  • 灘区全焼465件半焼2件
  • 須磨区全焼407件半焼9件
  • 中央区全焼65件半焼17件
  • 垂水区全焼1件半焼2件
  • 兵庫区全焼940件半焼15件
  • 西区全焼0件半焼0件
  • 北区全焼1件半焼0件
  • 合計全焼6,965件半焼80件

2建物の倒壊等

既成市街地域を中心に帯状に木造家屋が倒壊し、全壊67,421棟、半壊55,145棟の被害が発生した。
特に被害が甚大であるのは、東灘区、灘区の、東西方向に走る阪急電鉄と阪神電鉄の間の断層に沿った地域である。

木造家屋の倒壊は、瓦葺き屋根に土壁構造、店舗付き住宅に顕著である。
また、都心(中央区)を中心として、商業、業務施設等の非木造建築物が破壊された。
特に、中間階が崩れた建物が多く見られた。

木造家屋の倒壊写真
木造家屋の倒壊

中間層が破壊したビルの写真
中間層が破壊したビル

一方高層建築物は柱や壁に弾力性を持たせ、建物自体が揺れることで地震エネルギーを吸収する構造のため、ほとんどが倒壊をのがれている。

各地区の建物倒壊の状況

  • 東灘区全壊13,687件半壊5,538件
  • 長田区全壊15,521件半壊8,282件
  • 灘区全壊12,757件半壊5,675件
  • 須磨区全壊7,696件半壊5,608件
  • 中央区全壊6,344件半壊6,641件
  • 垂水区全壊1,176件半壊8,890件
  • 兵庫区全壊9,533件半壊8,109件
  • 西区全壊436件半壊3,262件
  • 北区全壊271件半壊3,140件
  • 合計全壊67,421件半壊55,145件

3危険物施設の被害等

危険物施設の被害は、火災6施設、漏洩73施設、施設破損636施設の計715施設であった。

火災は危険物に起因するものはなく市街地の大規模火災からの延焼によるものであり、漏洩は屋内貯蔵所における容器の転倒破損、屋外タンク貯蔵所の液面の揺れ及び配管等の損傷によるものであった。

被害を受けた危険物施設の写真
被害を受けた危険物施設

また、火災、漏洩を伴わない施設破損の状況は、給油取扱所の床面・防火へいの損傷、屋外タンク貯蔵所の不等沈下、防油堤の亀裂及び配管の変形等であった。

危険物施設区分ごとの被災状況は、屋外タンク貯蔵所が271施設と最も多く、次いで給油取扱所、一般取扱所、屋内貯蔵所の順であった。

神戸市内の危険物施設の被災状況

危険物施設の被害等
区分 施設総数 火災 漏洩 破損 被災施設数
製造所 39 0 2 8 10
屋内貯蔵所 631 0 35 37 72
屋外タンク貯蔵所 687 0 12 259 271
屋内タンク貯蔵所 285 1 1 8 10
地下タンク貯蔵所 848 0 6 32 38
簡易タンク貯蔵所 3 0 0 0 0
移動タンク貯蔵所 646 0 0 3 3
屋外貯蔵所 219 0 0 33 33
給油取扱所 586 0 3 154 157
第1種販売取扱所 47 1 1 8 10
第2種販売取扱所 26 1 1 1 3
移送取扱所 12 0 3 7 10
一般取扱所 585 3 9 86 98
合計 4,614 6 73 636 715

4公共施設の被害等

  • 神戸市役所2号館(8階建)6階部分
  • 市立西市民病院(7階建)5階部分
  • 兵庫警察署(4階建)1階部分

が崩壊し、死者が発生した。

6階部分が崩壊した神戸市役所2号館の写真
6階部分が崩壊した神戸市役所2号館

このほか、学校施設では全市345校園2分校中、295校園2分校が被災した。

5消防庁舎の被害等

消防庁舎の被害は、中央区の3消防署を中心に甚大な被害が生じた。構造的に見れば共同住宅との複合用途建物に集中している。

生田、葺合消防署(当時)及び東灘消防署青木出張所は、共同住宅との複合用途建物であり、庁舎の主要構造部であるコンクリート柱や耐力壁に亀裂が生じ、危険な状態となったため、緊急に庁舎を移転した。

望火台が崩落した葺合消防署
望火台が崩落した葺合消防署(当時)

水上消防署は、基礎杭が折れ庁舎が傾斜したため仮設待機室を建設し、夜間は避難する措置をとった。

6医療機関の被害等

市内112病院の被害は、全半壊が12病院で、壁に亀裂が入る等の軽度の被害を含めると被害率は約90%となる(兵庫県私立病院協会神戸支部等調べ)

一方、診療所は市内1,363機関のうち、全半壊259機関、軽微及び被害なし926機関、不明178機関である。(神戸市医師会等調べ)

被災した病院の写真
被災した病院

交通機関の被害

1鉄軌道

鉄軌道では、高架、橋梁、トンネル等の線路施設、駅舎、車両などが大きな被害を受けた。
山陽新幹線の橋脚は、8箇所で高架橋が落橋した。

また、神戸高速鉄道の大開駅等、地震により地下構造物の被害が発生したところは、トンネル敷設後に埋め戻す工法(開削工法)により施工された区間に集中している。

被害を受けた車両基地の写真
被害を受けた車両基地

2道路

神戸市域の道路で最も顕著な被害は阪神高速神戸線をはじめ、湾岸線、2号浜手バイパス、ハーバーハイウェイ等の高架道路の被害であった。

特に阪神高速神戸線東灘区深江付近のピルツ工法によるRC単柱橋脚の倒壊は、最も象徴的である。
神戸市が管理する国道、県道、市道でも、亀裂や段差、歩道の損傷などが市内全域に多数発生した。
橋梁の被害は、土木局が管理する2,170橋の内、何らかの被害を受けた橋梁は74橋であった。

特に、市街地東部の埋立地であり、臨海部の工業地帯を形成している東部第1、2、3、4工区と市街地を連絡する橋梁5橋すべてが大きく損傷したほか、市街地西部でも山陽電鉄をまたぐ主要地方道神戸明石線の西代跨線橋等の被害が大きかった。

道路舗装の地震による被害は、他の構造物損傷が原因するものを除けば、通行が不能になるほどの構造物被害は発生していないが、国道・県道・市道を問わず市内のいたるところで亀裂や段差、歩道の損傷などが数多く見られた。

阪神高速道路落橋の写真
阪神高速道路落橋

3港湾施設

東西20kmにわたる神戸港では、約116kmに及ぶ水際線の大部分が被害を受け、一部は壊滅した。港湾施設では、防波堤をはじめ大型岸壁239バース及び23kmにのぼる物揚場の大部分が被災し、背後に位置する上屋、野積場、荷役機械、民間倉庫も使用不能となったのもが多い。特に、外貿貨物の7割を取り扱っていたコンテナターミナルが大きな被害を受け、全て使用不能となった。

海岸保全施設のうち、被害の大きい箇所では、護岸が倒壊し、背後の土地が一部水没した箇所もある。被害の小さい箇所でもクラックや目地開きが点在している等、海岸保全設備の大部分が防潮機能を損なわれた。また、高速道路及び新交通システムも被災し、湾岸の交通網が寸断され麻痺状態に陥った。

崩壊した護岸の写真
崩壊した護岸

神戸港の被災状況
施設名 被害内容
岸壁等 外郭施設(防波堤、護岸)18,273m(18,273m)
係留施設(摩耶埠頭の耐震バースは被害なし)70,526m(71,093m)
海岸保全施設 堤防、護岸、防波堤約55km(55km)、鉄扉101箇所(230)
水門2箇所(7)、排水機場6基(6)
新交通
(港湾局区間のみ)
ポートライナー:南公園駅から中公園駅から中、北埠頭駅からポートターミナル駅
六甲ライナー:南魚崎駅からアイランド北口駅
緑地 メリケンパーク、灘浜緑地
PI:北公園、中公園、南公園
RI:北公園、マリンパーク
荷役機械 24基(24基)
上屋等 東部4工区15棟/新港、中突堤38棟/六甲アイランド7棟
兵庫、長田13棟/ポートアイランド11棟/摩耶12棟
合計96棟(96棟)
埠頭用地 96ha(六甲アイランド、摩耶埠頭等)(96ha)
財団法人神戸港埠頭公社 コンテナバースPI:10バース、RI:7バース
フェリーバースRI:3バース
ライナーバースPI:15バース
荷役機械37基、上屋14棟、可動橋3基、ヤード等
(公社はすべて被災)
東部3・4工区の民有護岸 5,300m(5,300m)
  1. ()内は全体数量
  2. PIはポートアイランド、RIは六甲アイランドの略

ライフラインの被害

1水道

  • 地震により、市内ほぼ全域に断水が生じた。
  • 水道施設の被害は、貯水池1箇所、浄水場2箇所、ポンプ場1箇所、配水池1箇所等である。

2処理場、ポンプ場

  • 機能面で支障をきたすような被害を受けた箇所は、処理場3箇所、ポンプ場6箇所、汚泥焼却施設1箇所であった。
  • 処理場では、東灘処理場で処理機能が完全に停止したのをはじめ、西部処理場が処理機能20%に、中部処理場が処理機能50%にそれぞれ低下した。
  • ポンプ場では、大石ポンプ場、ポートアイランド第1、第2、第3ポンプ場、湊川ポンプ場及び神明ポンプ場の機能が停止した。
  • 汚泥処理施設は、東灘処理場の処理水を利用して運転しているため、機能停止をやむなくされた。

3電気

  • 災害時には神戸市全域で停電した。関西電力では火力発電設備10箇所、変電設備50箇所がそれぞれ被害を受けた。

4ガス

  • 神戸市内の供給戸数は63万戸のうち、49.3万戸に対して供給を停止した。

5廃棄物

  • 災害時5箇所のクリーンセンターが全て運転を停止した。臨海部にある3施設は液状化現象に伴う地盤沈下による被害である。

6電信、電話

  • 震災により、神戸地域加入者系通信ケーブルは121,950回線が被害を受け、交換機は商用電源の停止とバックアップ電源の損壊により、約285,000回線が故障した。
  • また、17日は神戸方面に対し通常ピーク時の50倍、18日は20倍程度の通話が集中した。

産業への被害

1第1次産業

  • 農・漁業施設では、農地62箇所、ため池183箇所、水路・パイプライン330箇所、農道25箇所、漁港施設5箇所、農政施設(農業公園等)9箇所で破損等の被害が生じた。

2第2次産業

  • 製造大手企業では、神戸製鋼、川崎製鉄等6社の本社ビルが倒壊した。神戸製鋼の操業中の高炉も停止した。
  • 中小製造業の被害は、集団化団地で全半壊5団地、35社、社団法人神戸市機械金属工業会加盟(407社)のうち、全壊、全焼は72社であった。
  • 地場産業は「ケミカルシューズ」で全半壊158社、「清酒」で全半壊17社等の被害が生じた。特に「清酒」、「ケミカルシューズ」、「紳士服」、「神戸靴」の4業種の被害が甚大であった。

3第3次産業

  • 地震の影響で、百貨店や主要ホテル等は、ライフラインの寸断や建物の損傷等の被害を受けた。また観光施設では酒蔵地区資料館全壊、北野異人館多数損壊等の被害が生じた。
  • 高速道路の寸断、神戸港の一部機能停止等で物流網は大きな打撃を受けた。

文化財の被害

観光資源にもなっている建造物が大きな被害を受けたほか、博物館や美術館の収蔵、展示品が破損した。

全壊した旧居留地15番館の写真
全壊した旧居留地15番館

建造物
区分・被災件数 施設名
国指定重要文化財
(138件中21件)
旧居留地十五番館、
風見鶏の館等
県指定重要文化財
(39件中18件)
六甲八幡神社厄神宮本殿、
清盛塚十三重塔等
市指定伝統的・歴史的建造物
(67件中54件)
旧アメリカ領事館官舎、
ラインの館等

お問い合わせ先

消防局総務部総務課