ホーム > 市政情報 > 記者発表資料 > 記者発表2025年12月 > 神戸市民の健康データを活用した研究において要介護リスク予測を可視化するAIモデルが構築されました
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記者資料提供(2025年12月12日)
健康局政策課
神戸市では、科学的根拠に基づく保健事業の推進による市民サービスの向上を目指し、2020年度より市民の医療・介護・健診情報等を匿名化し個人ごとにまとめた「ヘルスケアデータ連携システム」を構築し、運用してきました。
このたび、本システムのデータを活用して、神戸大学と株式会社日立製作所の研究チームが、高齢者一人ひとりの介護リスクを予測するAIモデルを構築しました。今後、さらにAIモデルの精度を高めていく予定です。最終的な研究成果は、保健事業への活用等を通じて、市民への還元を検討していきます。
本研究内容は、2025年12月12日にKobe Journal of Medical Sciencesへ掲載されます。
65歳以上の神戸市民(約38万人)の医療・介護・健診情報等を連結したデータをもとに、2年以内に「要介護2以上となるリスク」を、高精度で予測できるAIモデルが構築されました。
これまでに知られている認知症や脳梗塞だけでなく、胃や腸の病気、眼や耳の障害、そしてLDLコレステロール値が低いことも、介護が必要になるリスク要因であることが新たにわかりました。骨粗しょう症や便秘などについても、適切に治療することで介護のリスクを減らせる可能性があることが示されました。
(研究名)
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施に向けた要支援・要介護リスク予測AIの開発
(対象者) 2015年4月1日~ 2025年3月31日までの介護保険被保険者
(研究期間) 2021年3月22日~ 2027年3月31日
(代表研究者)
神戸大学大学院医学研究科地域社会医学・健康科学講座 AI・デジタルヘルス科学分野
特命教授 榑林陽一
(分担研究者)
神戸大学大学院保健学研究科 パブリックヘルス領域 地域保健学分野
教授 和泉比佐子
株式会社日立製作所 研究開発グループ 主管研究員 直野健
(1)概要
個別の業務システムで管理されている医療・介護データ、健診データ、予防接種データなどを、データ連携プログラムを活用することで、個人単位で連結しました。
(2)主な連携データ
①医療レセプトデータ
年齢、性別、傷病名、診療行為、医薬品、医療機器、受診医療機関など
②介護レセプトデータ
年齢、性別、種類別介護サービス単位数、利用介護施設、要介護度、介護費など
③介護認定調査票
日常生活自立度、ADL、要介護度など
④健診データ
身長、体重、BMI、腹囲、血圧、中性脂肪、HDL/LDLコレステロールなど
⑤予防接種の接種状況
(1)個人情報保護法
個人情報保護法第69条では、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を利用・提供してはならないと定められています。ただし、同条第2項第4号において、専ら統計の作成又は学術研究の目的のために提供するときは、例外的に利用目的以外の目的のために保有個人情報を利用・提供することができると定められています。
神戸市においても、学術研究等の目的や公益性を考慮した上で、必要な情報を学術機関へ提供する場合があります。
(2)神戸市保健事業に係る研究倫理審査委員会
神戸市では、保健事業に係る研究を実施または協力をする際、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26年12月22日文部科学省・厚生労働省通知)を踏まえた倫理審査を実施しています。なお、当該学術機関における研究倫理審査委員会の承認が予め必要です。
(3)個人情報の保護について
氏名や生年月日、住所等、個人が特定できる情報は削除し、匿名化された情報を学術機関に提供します。また、神戸市保健事業に係る研究倫理審査会の承認のもと実施される研究は、神戸市ホームページに掲載し、市民への情報提供及びオプトアウトの機会確保を図っています。
情報公開文書 https://www.city.kobe.lg.jp/documents/53956/20250604133202.pdf(PDF:363KB)
神戸大学プレスリリースのリンク
https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/20251212-67342
日立プレスリリースのリンク