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リポソーム製剤で脳梗塞に対する幹細胞治療を代替できる可能性を発見

ページID:82435

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記者資料提供(2025年11月28日)
公益財団法人神戸医療産業都市推進機構

 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構(理事長:成宮周)に所属する先端医療研究センター脳循環代謝研究部の田口明彦部長らの研究グループは、群馬大学らとの共同研究により、シアリルルイスX標識したグルコース内包リポソーム製剤(*1)が、マウス脳梗塞モデルにおいて有効性を示すことを確認しました。その成果が国際学術誌Stem Cell and Development」に2025年11月28日にオンライン掲載されましたのでお知らせします。

結果の概要

<これまで知られていた、造血幹細胞の作用機序>image1
造血幹細胞(*2)を使った幹細胞治療では、投与した幹細胞が、栄養分が不足している虚血領域の血管内皮細胞に対して、ギャップ結合(*3)を介してグルコース等の栄養分を供与することで、再生が開始されることが明らかになっています。

<今回の発見>
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 グルコースを内包した虚血領域への指向性のあるシアリルルイスX標識リポソーム製剤を用いることで、栄養分が不足している虚血領域の血管内皮細胞に、エンドサイトーシス(*4)によりグルコース等の栄養分を届けることが可能です。マウス脳梗塞モデルを使った実験では、幹細胞治療と同様に、脳血流の改善や神経機能の回復が促進されることを明らかにしました。
 幹細胞を使った再生医療は、細胞の調整に多大なコストが必要であり、品質管理や規格化も難しいため、これまであまり普及が進んでいませんでした。今後は工場での製造も可能な人工細胞を用いることで、再生医療の実現及び普及が期待されます。
 本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)創薬基盤推進研究事業(R3-5:JP21ak0101166)およびムーンショット型研究開発事業「認知症克服に向けた脳のレジリエンスを支えるリザバー機能とその増強法の開発研究(R6-:JP24zf0127010)」の支援を受けて実施しました。

用語説明

*1 リポソーム:細胞膜の構成成分であるリン脂質を使って作ることのできる人工細胞のような微粒子で、内部に様々な成分を閉じ込めることができる。膜成分を工夫することにより、必要な場所に届けることも可能であり、本研究では、脳梗塞領域に集積するような膜表面加工をしたリポソームを使用した。
*2 造血幹細胞:白血球や赤血球、血小板を産生する幹細胞。また末梢血中を循環する造血幹細胞は、生理的条件下でも、ギャップ結合を介して血管内皮細胞等を活性化していると考えられている。
*3 ギャップ結合:接触する細胞同士をつなぎ、イオンや分子量1500以下の小さい分子[水溶性低分子]を通過させる細胞間結合。細胞の細胞膜にはコネクソンと呼ばれるトンネルのようなタンパク質が存在し、接触する細胞のコネクソン同士がつながると、イオンや小さい分子が隣接細胞の細胞質から細胞質へと濃度勾配に従い直接移動する。
*4 エンドサイトーシス:細胞が細胞外の物質を取り込む過程の1つ。外部から栄養物質の取り込み、細胞増殖の制御、など、様々な生命現象において非常に重要である。

発表者

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公益財団法人神戸医療産業都市推進機構
先端医療研究センター 脳循環代謝研究部長 田口明彦
【経歴】
1989年 大阪大学医学部卒業
1996年 米国コロンビア大学 博士研究員
2002年 国立循環器病研究センター 脳循環研究室 室長
2011年 10月より現職

論文タイトルと著者

【掲載誌】Stem Cell and Development
【英文タイトル】Administration of glucose-encapsulated liposomes with sialyl Lewis X on the surface improves stroke outcomes in mice
【タイトル和訳】グルコースを内包化したシアリルルイスX糖鎖修飾リポソームの投与は、脳梗塞モデルマウスの機能回復を促進する
【著者名】Yuka Okinaka(1), Koki Kamiya(2), Hiromitsu Ohzeki(3), Satsuki Mikuriya(3), Akihiko Taguchi(1) *
【所属】
1 神戸医療産業都市推進機構 先端医療研究センター 脳循環代謝研究部
2 群馬大学 工学部
3 田辺三菱製薬

公益財団法人神戸医療産業都市推進機構

(URL)https://www.fbri-kobe.org/
FBRI:Foundation for Biomedical Research and Innovation at Kobe
 神戸医療産業都市推進機構(理事長:成宮周)は、阪神・淡路大震災からの創造的復興プロジェクト「神戸医療産業都市」の中核的支援機関および先端医療研究機能を併せ持つ財団法人として2000年3月に設立されました。2018年4月、神戸医療産業都市推進機構へと組織を発展的に改組、「健康長寿社会に向けた課題解決策を神戸から世界へ発信していく」ことを掲げ事業を推進しています。

先端医療研究センター 脳循環代謝研究部

(URL)https://www.fbri-kobe.org/laboratory/research4/
脳を治す医療を日本から世界へ
 脳は一度壊れてしまうと二度と治らない、と長い間考えられてきました。寝たきりの原因第1位は脳卒中、第2位は認知症であり、現状では、脳を治す有効な治療法がありません。しかし、最近の研究では、脳にも再生する能力があること、また脳の再生にはまず脳を支える血管の再生・活性化が必要不可欠であることが判ってきています。我々は、幹細胞や薬剤を用いた効果的な脳血管の再生・活性化に関する研究を行っており、国内外の研究機関や企業と共同で、これらの新しい知見を応用した脳卒中・認知症や老化関連疾患に対する治療法の開発を推進しています。今後は、その成果を実用化することで、脳を治す医療を神戸から世界へ発信していきます。