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記者資料提供(2025年5月2日)
地方独立行政法人神戸市民病院機構
神戸市立医療センター西市民病院における医療行為を起因とする死亡事例が発生したことから、病院運営の透明性と医療安全の徹底の観点に基づき、事案の内容を公表いたします。
なお、公表に当たっては、患者ご本人及びご家族が特定・識別されないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行っています。
(1)患者:神戸市内在住 60歳代 男性
(2)発生年月:2021年2月(事案の認知は2024年9月)
(3)発生場所:神戸市立医療センター西市民病院
(4)発生状況と経緯:
2020年12月に嗄声※1を主訴に他施設からの紹介で当院耳鼻咽喉科を受診、反回神経麻痺※2と診断。耳鼻咽喉科にて、2021年2月に右甲状腺腫瘍を認め同月中に経皮細胞診※3を実施したものの検体不適正※4で検査結果が得られなかった。その後は、同科で数ヶ月おきの診察・エコー検査にて経過観察を継続したものの、再度の細胞診検査や手術の提案は行っていなかった。
2024年8月に以前から受診していたCOPD※5の治療目的で当院呼吸器内科へ入院。その際に、呼吸器内科で撮像したCTの結果、甲状腺腫瘍による気管狭窄が判明した。
(5)対応・処置:
気管狭窄を確認後、当院耳鼻咽喉科にて細胞診検査を実施した結果、甲状腺乳頭がんと診断した。この時点で甲状腺乳頭がんはかなり進行しており、手術や抗がん剤による治療は困難な状態と判断したため、積極的な治療は行えなかった。そのため酸素療法等による呼吸苦緩和を行っていたが、2024年10月に死亡退院となった。死因特定のためご遺族同意のうえ病理解剖をい、甲状腺乳頭がんの増大により気管を狭窄したことによる窒息という結果であった。
(6)今後の対策:
今まで以上に診療科カンファレンスを開催し、事例の共有や手術適応かどうかも含め、診療科部長のもと治療方針を決定していくことを徹底した。また病院としては本事例を院内に共有し、再発防止の注意喚起を行った。
(※1)嗄声:声がかすれる、ガラガラ声といった声がかれている状態
(※2)反回神経麻痺:反回神経という神経の麻痺によって声帯の動きが悪くなり声がかすれる状態
(※3)細胞診:患者の病変部から細胞を採取し悪性細胞(癌細胞)があるかを調べる検査
(※4)検体不適正:採取した細胞では腫瘍性病変の有無を判断することが困難な状態
(※5)COPD:慢性閉塞性肺疾患
(1)患者:神戸市内在住 70歳代 男性
(2)発生年月:2024年9月(事案の認知は2024年12月)
(3)発生場所:神戸市立医療センター西市民病院
(4)発生状況と経緯:
腹部大動脈瘤に対し定期的に経過観察中の患者で、2024年9月に当院循環器内科にてCT撮像を実施。放射線科医師による読影レポートには腹部大動脈瘤に対するコメントのほか、肺がんの可能性を示唆するコメントが記載されていたものの、主治医は十分に確認せずに、腹部大動脈瘤に関する評価のみで終了とした。同年12月に呼吸苦を主訴に他院から紹介があり、新たに胸水貯留が認められ、呼吸器内科に受診した結果、肺癌(腺癌)による癌性胸膜炎と診断された。その際に9月の読影レポートの見落としが発覚した。
(5)対応・処置:
2024年12月再受診以降、当院呼吸器内科による治療が開始されたが、すでに肺がんは進行した状態となっており、手術による根治的治療は困難な状態であった。免疫チェックポイント阻害薬※1による薬物療法も検討したが、全身状態が悪く実施できなかった。患者本人、ご家族とも相談のうえ、出来る限り苦痛を和らげる緩和ケアを行っていたが、2025年2月に死亡退院となった。
(6)今後の対策:
作成された読影レポートについては依頼した医師がコメントを全て確認することを再徹底した。また放射線科医師がシステム上コメントを入力する際に、新たながんが疑われる場合には「重要」フラグをつけるよう運用を変更した。
(※1)免疫チェックポイント阻害薬:がん細胞がリンパ球などの免疫細胞の攻撃を逃れる仕組みを解除する薬剤。
公表に当たっては患者ご本人及びご家族が特定・識別されないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行いつつ、事案の内容について一定の範囲で公表を行っています。神戸市民病院機構における医療事故の公表に関する指針は、神戸市民病院機構のホームページをご覧ください。
<公表に関する指針>
https://www.kcho.jp/情報公開/医療安全対策