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記者資料提供(2023年6月15日)
小磯記念美術館
青池保子氏(山口県下関市出身)のデビューは、中学3年生の秋でした(1963年)。その独創的な物語、優れたデッサン力による華やかな絵柄は、人々を魅了してきました。「イブの息子たち」「エロイカより愛をこめて」「アルカサル―王城―」など、美術や歴史を題材にした漫画が続々とヒットし、今年(2023年)漫画家生活60周年を迎えます。
「エルアルコン―鷹―」に続き、第20回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した「アルカサル―王城―」は宝塚で歌劇化され、母娘二代にわたるファンが増えています。また、「修道士ファルコ」や「ケルン市警オド」など中世に生きる人々を活写した近年の作品も、高く評価されています。
本展は当館で初めて開催する漫画原画展となります。秋田書店が長年にわたり収集してきたカラー原画と、今まであまり展示の機会がなかったモノクロ原画を含めた300点以上を、8章構成で紹介します。また貴重な雑誌資料と作家所蔵資料を展示します。当館がキュレーションを担当した緻密で美しい原画を、ぜひご覧ください。
展示構成
第1章 初期作品 女子高生漫画家デビュー
第2章 脱・少女漫画-「イブの息子たち」の衝撃
デビュー作「さよならナネット」の原画から展示は始まります。多彩なジャンルをこなした初期の作品は、大阪府立中央図書館 国際児童文学館が所蔵する雑誌資料で辿ります。
(左より)青池保子「さよならナネット」 『りぼん』1964年 お正月大増刊号
青池保子「イブの息子たち」『プリンセス』 1979年6月号
青池保子「イブの息子たち」『プリンセス』 1979年7月号
作品はすべて秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko (Akitashoten)
第3章 帆船、海をゆく男たち
第4章 光と影の歴史を描く、虚と実
1973年にフリーとなり、自分の好きな、描きたいテーマに取り組みました。魅力的なダークヒーロー・ティリアンを主人公とする「エルアルコンー鷹ー」や、歴史上の人物を描いた作品、オリジナルイラストを紹介します。
(左より)青池保子「エルアルコンー鷹ーテンペスト」 『月刊セブンティーン』1978年7月号
青池保子『ノルウェイブルーの夢』表紙イラスト 1982年
青池保子「光と影の伝説」《イザベルⅠ世》 『グレープフルーツ』第6号 1982年
作品はすべて秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko (Akitashoten)
第5章 スペインの残酷王伝「アルカサルー王城ー」
第6章 中世の人々「修道士ファルコ」「ケルン市警オド」
1984年から、イベリア半島統一を目指したドン・ペドロ王の生涯をたどる「アルカサルー王城ー」の連載を始め、24年かけて完結させました。1990年代以降は創作の「修道士ファルコ」(1991~)と「ケルン市警オド」(2016~)を連載、これらは中世3部作と呼ばれ、数百年前の欧州地域における社会と人々の暮らしが、異なる階層(王、修道士、官吏)の視点で描かれています。
(左より)青池保子「アルカサルー王城ー」 『プリンセス』 1986年1月号
青池保子「アルカサルー王城ー」 『ビバプリンセス』 1988年12月25日号
青池保子「修道士ファルコ」 『メロディ』 2001年5月号
青池保子「ケルン市警オド」 『ミステリーボニータ』 2020年1月号
作品はすべて秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko (Akitashoten)
第7章 「エロイカより愛をこめて」の世界
第8章 「エロイカより愛をこめて」冷戦後の世界
1977年より連載を始めた「エロイカより愛をこめて」は、最大の人気作となりました。美術品泥棒エロイカことイギリス人のグローリア伯爵と、脇役として登場しながらスーパーヒーローとなったドイツ人のNATO情報将校エーベルバッハ少佐が、世界を駆け巡り活躍する物語。冷戦前・冷戦後の2章に分けて展示します。関連作品の「Z」「魔弾の射手」、作者のことば等をあわせて紹介します。
(左より)青池保子「エロイカより愛をこめて」グラスターゲット 『プリンセス』 1981年1月号
青池保子「エロイカより愛をこめて」グラスターゲット 『プリンセス』 1981年3月号
青池保子『プリンセスロマンデラックス 青池保子イラスト集』表紙 1982年
作品はすべて秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko (Akitashoten)
(左より)青池保子「ケルン・ボン空港 青池保子 Z 1984カレンダー」 1983年11月
青池保子「魔弾の射手」 『プリンセス』 1982年8月号
作品はすべて秋田書店蔵 ©Aoike Yasuko (Akitashoten)
会期:2023年7月15日(土曜)~9月24日(日曜)
会場:神戸市立小磯記念美術館 展示室1、2
〒658-0032神戸市東灘区向洋町中5丁目7
※六甲ライナー「アイランド北口駅」下車すぐ
休館日:毎週月曜日(祝日は開館)、7月18日、9月19日
開館時間:午前10時から午後5時(入館の受付は午後4時30分まで)
※同時開催:小磯良平作品選Ⅱ(展示室3)
当館が収蔵する小磯良平作品より、油彩22点、素描8点、挿絵原画4点の計34点を展示します。
主催 神戸市立小磯記念美術館、毎日新聞社
特別協力 秋田書店、大阪府立中央図書館 国際児童文学館
一般:1,000円(800円)、大学生:500円(250円)
※( )内は20名以上の団体料金
高校生以下:無料(学生証、生徒手帳などをご提示ください。)
※神戸市居住の65歳以上の方:500円(年齢と住所を証明できるものをご提示ください。)
※障がい者手帳またはスマートフォンアプリ「ミライロID」のご提示で無料
8月5日(土曜)午後2時~4時
定員100名(抽選での決定者のみ) 2階絵画学習室
申込締切 7月20日(木曜)
※お申込みは、神戸市イベント申込サイトを通じてお願いします。
「少女マンガ表現の成立と展開 1970~80年代を中心に」
講師:藤本由香里氏(明治大学国際日本学部教授)
8月20日(日曜)午後2時~4時
定員80名 2階絵画学習室
申込締切 8月3日(木曜)
※お申込みは、神戸市イベント申込サイトを通じてお願いします。
7月16日、7月30日、8月13日、8月27日、9月10日、9月24日(いずれも日曜)
午後2時~(約30分) 2階絵画学習室
定員50名 当日先着順(整理券を配布)
びじゅつかん大作戦
※就学前のお子様を連れた大人2名まで、割引料金(800円)で入館できます。
7月「びじゅつかん探検」
ふだんは見ることのできないところを見学します。
7月29日(土曜) 午後2時~4時 対象 4歳~中学生 定員20名
申込締切 7月13日(木曜)
※お申込みは、神戸市イベント申込サイトを通じてお願いします。
8月「光にゆれる青池さんの世界」
お気に入りの色や形を組み合わせながら描き、ランプシェードをつくりましょう。
9月9日(土曜) 午後2時~4時 対象 4歳~中学生 定員20名
申込締切 8月24日(木曜)
※お申込みは、神戸市イベント申込サイトを通じてお願いします。
※お子様の休憩ルームと授乳室もご用意しています。
毎月第3木曜日(7月20日、8月17日、9月21日)
午後1時~(30分)「赤ちゃん家族でトーク」のテーマ「えのまねっこをしよう」
平日 午後2時~(約15分)
インフォメーションスタッフが小磯良平のアトリエについて解説します。
※イベント等は、今後の事情により変更する場合があります。最新の情報は美術館のHPをご確認ください。https://www.city.kobe.lg.jp/koisomuseum/