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記者資料提供(2025年3月7日)
文化スポーツ局文化財課、博物館学芸課
兵庫県教育委員会は、2025年2月19日(水曜)に開催された兵庫県文化財保護審議会(会長・増渕徹)の答申を受け、3月6日(木曜)の県教育委員会で議決し、新たに4件を重要有形文化財等に指定し、1件を登録有形文化財等に登録しました。
神戸市からは、神戸市指定有形文化財「紙本著色平敦盛像」(福祥寺(須磨寺)蔵)が兵庫県指定重要有形文化財に指定されました。
種類:絵画
所在地:神戸市須磨区須磨寺町4丁目6番8号
所有者:宗教法人 福祥寺(須磨寺)
制作年:天正18年(1590)
参考(市指定年月日):2001年2月20日
特徴・評価:
母衣を背負い白馬に乗って浜辺を疾駆する平敦盛を描いた掛幅である。縦351.2cm、横184.0cmに及ぶ巨幅で、縦12列、横4列の48枚の紙継ぎで構成されている。署名「狩野久蔵廿一歳筆」と朱文壺印「暉」があることから、天正18年(1590)、狩野内膳21歳の作とわかる。
狩野内膳(かのうないぜん、1570-1616)は、「南蛮人渡来図屏風」(国指定重要文化財、神戸市立博物館蔵)などを手掛けた、安土桃山時代から江戸時代初期を代表する画家の一人であり、本作は内膳の最初期の作品に位置づけられる。なお、福祥寺歴代住持の記録「當山暦代(とうざんれきだい)」により、天正20年(1592)すなわち内膳作画から2年後に豊臣家代官・横井文甫が、福祥寺に当画像を寄進したこと、以後折々に開帳されていたことが知られる。
本作は一部に剥落や補筆が認められるものの、描かれた当初の様相をよくとどめている。全体にめりはりのある力強い輪郭線と鮮やかな彩色による明快な描写である。安土桃山時代における狩野派の稀にみる大幅の武者図の優品で、かつ内膳21歳の作画が明らかな貴重な資料であるとともに、福祥寺への寄進や同寺での礼拝が確認できる点で歴史的価値も高い。