高濃度乳房

最終更新日:2023年8月29日

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1.高濃度乳房とは

高濃度乳房とは、乳房の中の乳腺が多く、マンモグラフィで乳房が白く写るタイプの乳房のことです。乳房は主に乳腺と脂肪からできていて、この割合は個人によって異なります。
マンモグラフィでは、乳腺が白く脂肪が黒く写るので、乳腺が多い乳房は白く濃く写る(乳房の濃度が高い)ことから、「高濃度乳房」と呼ばれています。

2.乳房の構成について

マンモグラフィでは、乳腺濃度を乳房の構成として評価し、4つに分類します。

(1)脂肪性
乳房内がほぼ脂肪組織であるため、マンモグラフィでは乳房のほぼ全体が黒く写ります。
(2)乳腺散在
脂肪組織の中に乳腺組織が散在しています。マンモグラフィでは黒い部分と白い部分が混じっていますが、黒い部分が多く写ります。
(3)不均一高濃度
乳腺組織の中に脂肪組織が混在しています。マンモグラフィでは、黒い部分と白い部分が混じっていますが、白い部分が多く写ります。
(4)極めて高濃度
乳房内はほぼ乳腺組織であるため、マンモグラフィでは乳房のほぼ全体が白く写ります。

高濃度乳房は、(3)不均一高濃度と(4)極めて高濃度を併せたものと定義されています。
乳房構成

3.高濃度乳房では病変を発見しにくい

マンモグラフィでは乳腺組織が白く写りますが、しこりなどの病変も白く写ります。
そのため、乳房の構成が不均一高濃度や極めて高濃度の方(マンモグラフィで白い部分が多く写る方)は、乳腺散在や脂肪性の方(マンモグラフィで黒い部分が多く写る方)と比較して、しこりなどの病変が乳腺の中に隠れてしまうため、乳がんを見つけにくくなる傾向にあります。

4.高濃度乳房は病気ではありません

高濃度乳房はあくまでもその人の体質であり、病気ではありません。人種や年齢によっても差があります。
例えば、高濃度乳房は欧米人に比べて日本人が、高齢者に比べて若い人が相対的に多いことが知られています。
また、日本人の約40%が高濃度乳房とも考えられています。なお、高濃度乳房は病気ではないため、乳がん検診で高濃度乳房と言われても要精密検査にはなりません。

5.Q&A

Q1.乳房の構成は、年齢によって変わらないのでしょうか。
A1.一般的に、加齢によって乳腺が減少するため、乳房の構成も変化します。

Q2.もし高濃度乳房と言われたらどうしたらよいでしょうか。高濃度乳房は放置すると乳がんになるのでしょうか。
A2.高濃度乳房であるからといって、追加で検査を受けるなどの特別な対応が必要となるわけではありません。また、将来必ず乳がんになるわけでもありません。
高濃度乳房であるかどうかにかかわらず、定期的に自身の乳房の変化を確認することや、乳がん検診を定期的に受診すること、症状があれば放置せずに病院を受診することが大切です。

Q3.高濃度乳房の場合、マンモグラフィで乳がんは全く見つからないのでしょうか。
A3.高濃度乳房の場合であっても、マンモグラフィで乳がんを全く発見できないということではありません。
マンモグラフィで、すべての乳がんが見つかるわけではありませんが、このことは、高濃度乳房だけでなく、どの乳房の構成でもあてはまります。
また、マンモグラフィのみならず、超音波検査やその他どのような診断方法を用いても、100%乳がんを発見できるわけではありません。
どの検査にも限界があることをご理解ください。

Q4.マンモグラフィ検診を受ける以外に、ごろから何か分でできることはありますか。
A4.日頃から、⾃分の乳房がどのような状態かを知っておくこと(これを「ブレストアウェアネス(Breast Awareness)」といいます)が重要です。
乳房は自分で見て、触ることができるので、月1回は⾃分の乳房の状態をチエックしましょう。
しこりを探すという意識ではなく、いつもの乳房と変わりがないか、乳房の変化に気を付けることがポイントです。
何か変化を感じたらすぐに医療機関を受診しましょう。また、乳房に変化がなくても、乳がん検診を定期的に受けることも⼤切です。
高濃度乳房と判定された場合でも、決められた間隔でマンモグラフィによる乳がん検診を繰り返し受けることで、変化を⾒つけやすくなります。

お問い合わせ先

健康局保健所保健課