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古家実三〔ふるいえ じつぞう〕関係文書(昭和2年兵庫県会議員選挙書類) |
解題
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昭和2年(1927)、古家実三が加西郡区から労働農民党公認の県会議員候補として立候補した際に発行したビラやポスターを中心とする文書群で、全51点。
古家は、明治23年(1890)、兵庫県加西郡下里村坂本(現加西市坂本町)の農家に生まれた。幼少時に父を亡くし、苦学の末兵庫県立第一神戸中学校(現県立神戸高校)に進むも病気により中退。その後、神戸市三宮駅前で古書籍販売業を経営しながら労働運動・社会運動を展開、大正12年(1923)の兵庫県青年党への参加を皮切りに、神戸サラリーマン・ユニオン(大正14年)、労働農民党神戸支部(大正15年)、新労農党神戸支部(昭和4年)、神戸地方左翼労働組合連盟(昭和5年)、総評関西地方評議会(昭和6年)などの結成に中心人物として関わるとともに、昭和2年および6年の県議選に出馬した(いずれも落選)。また、加西郷土研究会を主宰するなど、郷土研究でも知られる。昭和41年没。
文書の内容としては、県会議員選挙の心得、古家の立候補宣言書および政見発表演説会開催予告ポスター・同ビラ、加西郡愛国青年連盟の推薦書、加西郡各村別有権者数調、選挙運動費用精算届、労働農民党兵庫県連の県会議員選挙に関する調査報告書・態度声明(ビラ)など。昭和2年の県議選は、衆議院議員選挙法が改正され、男子普通選挙が実現してから初めての県議選であった。本文書からは、加西郡区での選挙活動の様子や、選挙公約の内容などをうかがい知ることができる。また、選挙後、労働農民党兵庫県連が作成した調査報告書は県下の選挙動勢をまとめており、当時の県内の政党や候補者の実像、民心の動向などを知る上で興味深い。
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備考
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・閲覧可/複写可
・古家の伝記については小野寺逸也「故古家実三氏略年譜」(『兵庫史学』47号、1967)・『近代日本社会運動史人物大事典』(日外アソシエーツ、1997)、昭和2年の県議会選挙における古家の戦いの詳細については須崎愼一「古家実三の歴史的位置を考える―加西郡県議選を中心に―(上)(下)」(『古家実三日記研究』第3・4号、2004・2005)参照。また、古家実三は、日露戦後から晩年の1960年代まで膨大な日記を残しており、当館に昭和2年の県議選に関わる部分など一部の複写が架蔵されるほか(『古家実三氏日記』1〜4)、その全容の翻刻が古家実三日記研究会『古家実三日記研究』において進行中である(2011年3月現在第9号まで刊行。当館でも閲覧可)。 |