記者資料提供(2023年3月13日)
建築住宅局建築指導部安全対策課
令和5年1月22日に兵庫区で発生した建物火災では大きな人的被害が発生しました。同種の事故の発生を防止するため、建築基準関係法令について調査を実施した結果をお知らせします。
1.当該建築物の概要
(1)建物概要
- 構造、階数、延べ面積:鉄筋コンクリート造、3階建、294.56平方メートル
- 建物用途:寄宿舎(新築当時は店舗・共同住宅)
(2)経緯
- 昭和38年に建築基準法に基づく建築確認済証の交付を受け、39年に検査済証を取得
- 平成14年に現建物所有者の親族が購入し寄宿舎へ用途変更・改修(用途変更の確認申請書は未提出)
- 平成25年頃に一部増築(増築の確認申請書は未提出)
2.当該建築物の調査について
(1)調査結果
目視による立入調査や管理者へのヒアリング、天井裏など不可視部分等に関する建築士による調査の結果報告を確認・精査したところ、下記の項目について建築基準法令の規定に適合しないことが確認されました。
主な不適合項目
- 防火上主要な間仕切り壁の構造
- 非常用照明の設置
- 寄宿舎の廊下幅(市条例)
(2)指導状況・今後の対応
- 建物所有者に対しこれらの項目に対する適切な是正指導を行っています。
- 建物所有者からは5月末までに建物を解体するとの報告を受けています。
3.類似建築物の緊急調査の実施について
事故建物の調査結果を受けて、消防局より情報提供を受けた市内の類似の用途・規模の建築物82件のうち、特に避難の安全性が低いと思われる構造の建築物から順次、緊急調査を実施しています。
(1)実施期間
3月下旬頃まで[予定]
(2)調査結果
調査件数13件(令和5年3月10日現在)
うち不適合あり2件(非常用照明未設置)
(3)指導状況・今後の対応
法不適合を確認したものへは適切な是正指導を行っていきます。
参考
1.防火上主要な間仕切り壁(建築基準法施行令第114条第2項)
- 寄宿舎では、火災における室と室の間の延焼を防止する観点から、一部の間仕切り壁が防火上の規制の対象となっています。
- 原則として、就寝室と廊下を区画する壁、3室以下かつ100平方メートル以下に区画する間仕切り壁については準耐火構造とし、小屋裏・天井裏まで立ち上げることが求められます。

2.非常用照明(建築基準法施行令第126条の4)
- 停電時においても避難等の最低限の行動が行えるよう、多数の人が利用する建築物の廊下、階段等の通路などへの設置が原則として義務付けられている設備です。

3.廊下の幅(神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例第33条第2項)
- 廊下の幅については、建築基準法の規定が適用されない小規模な寄宿舎についても、避難上の安全性を確保するため条例により一定の制限が付加されており、片側に居室がある場合は0.9メートル、両側に居室がある場合は1.2メートル以上の確保が求められます。