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最終更新日:2022年5月25日

医工連携Award最優秀賞受賞 臨床工学技士が支える神戸医療産業都市発医療機器の創出

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記者資料提供(2022年5月25日)

5月14日、公益社団法人日本臨床工学技士会が患者のQOL向上、医療職の業務効率・安全に繋がる医療関連機器等に関する研究開発・改良の成果を表彰する「第5回医工連携Award」において、神戸医療産業都市推進機構のコーディネーター 吉田 哲也が最優秀賞を受賞したので、お知らせします。吉田が神戸市立医療センター中央市民病院で臨床工学技士として勤務当時に着想したニーズを、当機構が株式会社コバヤシへマッチングし製品開発に至り、今回の受賞に繋がりました。

受賞内容

  • 受賞タイトル:公益社団法人日本臨床工学技士会 第5回医工連携Award 最優秀賞
  • 受賞者:公益財団法人神戸医療産業都市推進機構 クラスター推進センター 医療機器グループ コーディネーター/臨床工学技士 吉田 哲也
 ※ 開発当時は、神戸市立医療センター中央市民病院で臨床工学技士として勤務
 
  • 製品名:抗がん剤曝露防止用完全一体型輸液セット「アンティリーク®」(2016年に上市)
  • 開発・製品化の背景、製品の概要⇒https://www.fbri-kobe.org/kbic/cases/cs004/(外部リンク)
  • 開発企業:株式会社コバヤシ(本社:東京都台東区浅草橋3-26-5)
  • (参考)開発背景:吉田が医療機器操作時の抗がん剤漏出事例から完全に漏れない輸液ラインの研究開発を着想。そのニーズを当機構の事業を通じてプラスチック総合企業である株式会社コバヤシへ紹介し、共同研究を開始。
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神戸市立医療センター中央市民病院 木原康樹病院長からの祝辞

スタンフォード大学から世界に広まったバイオデザイン手法は、臨床現場に入りそこにあるニッチ=医療ニーズを書き出すことから始まる。煩雑であったり危険を伴ったりする行為を、医療者はしばしば意識しないまま繰り返している。第三者による観察は、それを抜本的に洗い出し改革する契機を与える。吉田技士はバイオデザインを学んだわけではないが、彼本来の優れた観察力で調剤現場のニッチを鋭く抽出し、それに安価で実現可能な形を与えた。今回の受賞を嬉しく思うし、それが当院で臨床経験を積んだ者によりなされたことを誇りに思う。吉田技士の更なる活躍に心から期待する。

(参考)日本臨床工学技士会 医工連携Award制度

目的:(公社)日本臨床工学技士会正会員が、著しく患者のQOL向上、および医療職 の業務効率、安全に繋がる医療関連機器・用具に関する研究開発・改良の成果をあげた場合、当該分野の一層の発展を促すために本Awardを定める。

選考対象:(公社)日本臨床工学技士会正会員による研究開発であること。日本臨床工学会等学会での発表、会誌・ 関係専門誌への投稿、支援機関・開発企業のHP等で研究開発が確認できるものであり、医療関連機器・用具等に関する研究開発とする。

選考基準: 新規性を重視する。但し、専門性にとらわれず、臨床報告等も評価し、活動状況(販売実績等) も加味する。選考委員会に関しては、(公社)日本臨床工学技士会 臨学産連携委員会 医工連携 Award 審査員および別途定める委員で構成する。

表彰内容: 毎年3件程度を選出し表彰する。今年度は5月14日(土曜日)に日本臨床工学技士会学術総会の開催にあわせ、つくば国際会議場(茨城県つくば市)で表彰式が行われた。

(参考)吉田哲也 略歴

神戸市出身。2000年に臨床工学技士資格取得。以後、認定資格等として、透析技術認定士、消化器内視鏡技師、不整脈治療専門臨床工学技士、CDR:Cardiac Device Representative(米国の植込み型心臓デバイスのMRの格)、3学会合同 呼吸療法認定士、医療情報技士を取得。
2008年に神戸市立医療センター中央市民病院に入職し、2019年に経済産業省医療機器・福祉産業室に出向し、2021年より現職。

(参考)抗がん剤投与における課題

  • 例えば、抗がん剤であるエンドキサンは、一日200μg(20滴/1mLの輸液セットで1.25滴)という微量でさえ、医療従事者と接触する禁止レベルとして示されている。しかし、この薬剤が揮発性であることから、薬剤を取り扱う薬剤師や看護師などが、意図せずエンドキサンを吸入し被曝してしまう危険性が報告されている。
  • 厚生労働省は、厚生労働省令基安化発0529第1号「発がん性等を有する化学物質を含有する抗がん剤等に対するばく露防止対策について」 を発出し、医療従事者の安全対策の必要性を啓蒙している。多くの医療機関では、こうした省令に準拠し、考えられる全ての曝露対策を実施しているが、職場環境において、少なからず抗がん剤が検出されていることも事実であった。(漏出元の特定が課題)。
  • がん看護学会等は、抗がん剤投与時には曝露対策に有用な閉鎖式接続器具(クローズドシステム)の使用を強く推奨しているが、この製品が保険適用となっていないことと、高価であることから、導入を見合わせる医療機関が少なくないことも事実である。

期待される医療現場への貢献

抗がん剤投与時における薬剤師や看護師が、漏出する抗がん剤被爆から保護される意義は大きい。医療安全が担保され、医療従事者が安心して職務に専念できることは、かれらの離職率を下げ、安定的な質の高い医療サービス提供に貢献するものと期待される。
また、コロナウイルス感染症の拡大により、医療従事者に対する医療安全の意識が高まる中、こうした研究開発が医療従事者の職場改善にもつながっている。

神戸医療産業都市推進機構における医療機器事業化支援

医療機器・体外診断用医薬品の開発・事業化に関する様々なコンサルテーションサービスを提供している。また、医療現場ニーズを解決する革新的なソリューションの実現を目的とした医療機関と企業間の橋渡し(マッチング)や、当機構が有する海外の医療産業クラスターとのネットワークを活用した海外進出支援など、開発から販路開拓まで一貫した支援を実施している。

神戸医療産業都市における医工連携に関する問い合わせ先

公益財団法人 神戸医療産業都市推進機構 クラスター推進センター 
E-MAIL:kiki-plat(at-mark)fbri.org
(at-mark)は@に置き換えてください。
※お問合せはメールでお願いします。

※FBRI のロゴは、公益財団法人神戸医療産業都市推進機構の登録商標です

お問い合わせ先

企画調整局医療産業都市部調査課