ホーム > 市政情報 > 記者発表資料 > 記者発表2021年9月 > アルツハイマー病の脳血管障害を起こす分子メカニズムを初めて解明-脳血管を標的にした新しいアルツハイマー病治療法の提案-
最終更新日:2021年9月25日
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記者資料提供(令和3年9月25日)
本研究成果は、脳と血管の二つの側面から相乗的にアルツハイマー病を治療できる全く新しい治療法開発に繋がる可能性が期待できます。つまり、アミロスフェロイドとNAKα3の相互作用が、脳実質と血管の双方でアルツハイマー病の新たな創薬標的となり得ることを示唆しています。
なお、本研究成果は米国学術誌『iScience』に掲載されます。
アミロイドβに由来する凝集体は、アルツハイマー病脳で起こる神経細胞死の原因と考えられていますが、それに加えて、血管弛緩反応を阻害し脳血流を低下させるなどの血管障害の原因となることも示唆されていました。しかしながら、様々な分子サイズのアミロイドβ凝集体がある中で、どれが、どういう分子メカニズムで血管障害を起こすかは、実は殆ど解明されていませんでした。
研究グループは、アルツハイマー病の神経細胞死の分子メカニズムの解明に長年取り組んでおり、まず、患者脳から神経細胞死の原因と考えられる約30分子のアミロイドβが集合し形成された球状構造体「アミロスフェロイド」を発見し(Hoshi et al., PNAS 100:6370, 2003: Noguchi et al., JBC 284:32895, 2009)、次に、アミロスフェロイドが神経細胞の生存と機能に必須であるα3型ナトリウムポンプ(NAKα3)に結合し、そのポンプ活性を阻害することで神経細胞死を誘導することを証明しました(Ohnishi et al., PNAS 112:E4465, 2015)。
今回、笹原研究員らは、ラットの血管とヒト脳微小血管由来の初代培養細胞を駆使することで、驚いたことにアミロスフェロイドが、血管の内側を覆う内皮細胞上でNAKα3に結合し、生理的な制御機構とは異なる分子メカニズムで血管弛緩反応を阻害することを発見しました。興味深いことに、神経と血管の双方でNAKα3がアミロスフェロイドの共通のターゲットとなるにも関わらず、下流での分子メカニズムは全く異なることも解りました。
※研究成果等の具体的な内容につきましては、添付資料(PDF:1,848KB)をご参照ください。
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