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下水汚泥からリンを回収する設備を玉津処理場に新設します~国土交通省の実証事業に採択されました~

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記者資料提供(2023年3月1日)
神戸市建設局下水道部施設課、水ingエンジニアリング株式会社経営企画統括部広報部

1.概要

 玉津処理場(西区)にリン回収設備を新設するにあたり、神戸市と水ingエンジニアリング株式会社の共同研究体は、国土交通省の2022年度補正予算にかかる下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)(注1)「消化汚泥から効率的にリンを回収する技術」に応募しておりましたが、この度(2023年2月28日)採択(注2)され、国土交通省国土技術政策総合研究所の委託研究として連携で進めることとなりました。

2.背景

 リンは食糧生産に不可欠な資源でありますが、我が国では全量輸入に依存しております。昨今の国際的なリン価格の上昇は、食料品の物価高騰の一因にもなっており、リンの国産化は我が国の喫緊の課題となっております。
 東灘処理場(東灘区)においても、2012年度から資源循環「こうべ再生リン」プロジェクトとしてリンの国産化に取り組んできましたが、更なる下水道資源の有効利用を進めるとともに、リンの国産化と安定供給に貢献するため、新たなリン回収設備を玉津処理場に設置します。

3.事業内容

(1)概要

 従来の設備構造・制御等を改良することで、リン回収効率・運転管理性を向上させた、新たなリン回収技術を実証するとともに、リン肥料の流通経路の拡大を検討します。本技術の実証により、下水資源の有効活用および資源循環型社会への貢献を目指します。

(2)実証設備

 晶析反応装置、分離装置、洗浄装置、乾燥装置

(3)実施期間(予定)

 契約締結日の翌日から2024年3月31日

(注1)国土交通省ホームページ「下水道革新的技術実証事業」について

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000450.html

(注2)国土交通省ホームページ「下水汚泥資源の肥料利用促進に向けて技術実証に取り組みます」

https://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo13_hh_000521.html

(参考)資源循環「こうべ再生リン」プロジェクト

資源循環「こうべ再生リン」プロジェクト

東灘処理場 リン回収設備

 2012年度のB-DASHプロジェクト「栄養塩除去と資源再生(リン)」に採択され、東灘処理場にリン回収設備を設置し、リンの国産化を目指した事業を開始しました。本事業においても、MAP晶析法という回収法で、消化汚泥からリンを回収しています。

東灘処理場 リン回収設備
東灘処理場 リン回収設備
 

こうべ再生リン

 リン回収設備から回収したMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)を「こうべ再生リン」と名付け、2013年度に肥料登録を行いました。
こうべ再生リン
こうべ再生リン

こうべハーベスト肥料

 こうべ再生リンと有機肥料等を配合し、「こうべハーベスト肥料」を製造しました。野菜や花などの多様な農作物に利用可能な「こうべハーベスト10-6-6-2」、学校給食米用の「こうべハーベスト水稲一発型」の2種類の肥料が製造・販売されています。

こうべハーベスト10-6-6-2 こうべハーベスト水稲一発型
10-6-6-2 水稲一発型

こうべ再生リンの活用状況

 こうべ再生リンは、こうべハーベスト肥料の販売開始により、継続的に出荷しております。また、下水肥料のイメージ改善や資源循環への理解促進により、リン肥料の普及展開を図っております。
農作物への活用状況
農作物への活用状況

こうべ再生リン出荷量(t)
2020年度 2021年度 2022年度(見込)
21.9 24.8 約80