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2022年度(10~12月)神戸市民病院機構における医療事故

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記者資料提供(2023年4月28日)
健康局地域医療課

神戸市民病院機構における医療事故の公表に関する指針に該当する事案(医療側に過失が認められるレベルA以上の事案等)は以下のとおりです。

なお、公表に当たっては患者さん及びご家族が特定・識別されないよう、個人情報の保護に最大限の配慮を行いつつ、事案の内容について一定の範囲で公表を行っています。

神戸市民病院機構における医療事故の公表に関する指針は、神戸市民病院機構のホームページをご覧ください。

<公表に関する指針>

URL:http://www.kcho.jp/media/pdf/disclosure/anzen/300701shishin.pdf

1.事象レベル別件数(2022年10月~12月)

レベル 件数 態様
A 2 予期しなかった、もしくは予期していたものを上回る濃厚な処置や治療の必要性が生じた場合
B 0 予期しなかった、もしくは予期していたものを上回る永続的な障害や後遺症が残り、有意な機能障害を伴う場合
C 0 事故が死因となる場合(原疾患の自然経過によるものを除く)

2.公表事案①

(1)レベル:A

(2)発生年月:2022年8月

(3)発生場所:神戸市立医療センター中央市民病院

(4)発生状況と経緯:

  • 子宮体癌(注1)の疑いで他院から紹介があった患者(50代女性)。当院で精査の結果、子宮体癌の診断で2022年8月に子宮体癌根治術を行った。しかし、術後の病理検査の結果、子宮体癌に加えて子宮頸癌もあったことが判明した。
  • 同年6月の当院初診時には、紹介元で行った子宮頸部細胞診の結果が添付されておらず、その後、異常ありの結果がFAXで届いたものの、担当医は確認できていなかった。ちなみに、術前のCTやMRIなどの検査では子宮頸部に異常は認められていない。
  • 担当医は、術前に頸部細胞診の結果は異常なしと思い込み、改めて結果の確認まで行っていなかった。仮に、術前に子宮頸癌合併と判明していれば、子宮摘出を伴う広汎子宮全摘(注2)と骨盤リンパ節郭清(注3)を実施するところであったが、実際には、子宮頸部細胞診の結果は術後に確認したため実施できなかった。
  • そのため、子宮頸癌に対する追加治療が必要となり、骨盤内の放射線治療を実施することになった。

(5)対応・処置:

  • 担当医から患者本人に対し、経緯の説明と謝罪を行ったうえで、後日、追加の放射線治療を行った。

(6)今後の対策:

  • 他院から封書やFAXで届いた診療情報の仕分け方法をマニュアル化するとともに、院内の通常使用のファイルとは異なる目立つ色のファイルに入れ、一般的な通知等と区別して医師に伝達する。

(注1)頸部は子宮の入り口部分を、体部は子宮の奥の部分を指す
(注2)根治を目指して子宮とその周りを広範囲に切除する術式
(注3)手術時に癌を取り除くだけでなく、癌の周辺にあるリンパ節を切除すること

3.公表事案②

(1)レベル:A

(2)発生年月:2022年11月

(3)発生場所:神戸市立医療センター西市民病院

(4)発生状況と経緯:

  • 胃癌の患者(80代女性)に対して、全身麻酔下で腫瘍の摘出術を実施。術野の確保のため、補助器具であるシリコンディスク(直径約10cm)(注1)を肝臓下部に挿入していたが、取り出さないまま手術を終えて遺残させてしまった。
  • 手術終了後遺残に気づかず、3日後ドレーン抜去の検討のため撮影したレントゲン写真に当該器具が写りこんでいることに気づき遺残が判明。

(5)対応・処置:

  • 判明後ただちに患者ご本人とご家族に発生状況と経緯、取り出すために再度手術が必要であることを説明し、ご理解と同意をいただいた。
  • 同日に全身麻酔で再手術し、シリコンディスクを摘出。その後異常はなく、翌月に退院となった。

(6)今後の対策:

  • これまでシリコンディスクは、術前術後に確認が必要なカウントリストに含まれていなかったため、シリコンディスクを含む手術時に通常使用する体内挿入物品をリストに追加し、執刀医、看護師による確認を徹底する。
(注1)シリコンゴムのディスク。手術時等に腹部内臓を原位置に保持または固定するために使用