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臨時会見 2023年2月27日

最終更新日:2023年2月27日

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会見資料はこちら(PDF:2,242KB)
 

株式会社ユーハイムとの事業連携協定締結

司会:

 それでは、ただいまより、神戸市と株式会社ユーハイムとの事業連携協定締結に係る記者会見を開始いたします。

 なお、本日は、事業連携協定の会見、記念撮影後に引き続きまして、協定に基づきます特別住民票の交付式を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、最初にまず会見御出席者を御紹介いたします。

 株式会社ユーハイム、代表取締役社長、河本英雄様でございます。


河本社長:

 よろしくお願いします。


司会:

 久元喜造神戸市長でございます。


久元市長:

 よろしくお願いします。


司会:

 それでは、久元喜造神戸市長より御挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。


久元市長:

 今日は株式会社ユーハイムさんとの連携協定を締結させていただくことになりました。

 河本英雄社長にはお忙しいところお越しいただきましてありがとうございます。あと、よくご存知だと思いますが、ユーハイムはバウムクーヘンで全国的によく知られている会社です。私も子どものとき、物心ついたらもうバウムクーヘンを食べておりました。そんなに頻繁ではありませんでしたけれども、子どもの頃からなじんでおりました。

 ユーハイムさんが、今日はまた河本社長からあるいは御紹介があるかもしれませんが、AIのこのTHEOというこの新たな取り組みをこれ、前からもう始めていただいているわけですけれども、ぜひこういう取り組みを基にさらに広げていこうということで、一緒に神戸市と様々な取り組みをしていこうということで連携協定を締結させていただくことになりました。

 スイーツは神戸を代表する産業です。神戸市を含む県内阪神間で約2,000億円の売上げがあります。それと、この売上高が相当な額に上っているということに加えて、神戸市内のパン、スイーツ産業は約1,100億円の黒字です。つまり外貨を稼ぐ産業の代表がこのスイーツ産業だというふうに言ってもいいというふうに思います。

 つまり、神戸が域内循環をしていくということは非常に重要で、神戸からもちろん経済はアウタルキーではありませんから、そこで閉鎖的な経済圏をつくる必要はないわけですけれども、できるだけどこの経済圏もこの地域外に財貨が流出するのをできるだけ抑えていく。そして、域外から外貨を稼ぐということ。これがやはり地域経済を活性化していく非常に大きなポイントであろうかというふうに思います。

 そういう意味からいいますと、この神戸のスイーツ産業というのは神戸の、あるいは神戸経済のブランド化ということで非常に大きな役割を果たしているわけですけれども、実際に数字から見ても非常に存在感があるということです。

 さらに神戸のスイーツ産業に磨きをかけていく。神戸のブランド化に一層寄与していただくということのためには何をしたらいいのかということですけれども、やはり1つは、新たなテクノロジーを導入していく、フードテックの取り組みです。その非常に先進的な事例がこのTHEOだというふうに思います。THEOは既に海外でも展開をされておりまして、この海外での展開ということが非常に期待されます。このことは、神戸の神戸ブランドというものが、海外でもさらに認知をされていくということにつながっていくということになろうかと思います。

 連携協定の内容、後で説明があろうかというふうに思いますが、スイーツの魅力発信を通じて地域産業を振興していく。フードテックによる神戸スイーツの新たな価値を創造する。そして、このフードテックは新たな人材育成にもつながるというふうにも考えられます。これをこういう項目でこの連携をさらに進めていきたいというふうに考えております。

 神戸のスイーツ産業は、大手から個性的な個人店まで、様々で魅力的なお店がたくさんあります。神戸市といたしましても、今回の取り組みを契機といたしまして、神戸のスイーツ産業をより振興させ、その魅力を内外に、特に海外に向けて発信をさせていただく、そういう契機にしていきたいというふうに思っております。

 私からは以上です。


司会:

 ありがとうございました。

 続きまして、河本社長より御挨拶を賜ります。よろしくお願いいたします。


河本社長:

 久元市長、ありがとうございました。

 株式会社ユーハイムの河本でございます。簡単に今回の連携協定に関しての我々の課題と考えていることをお話しさせていただきます。座らせて、お話しさせていただきます。

 まず、第1になんですけれども、このTHEO、我々社内でも実はTHEO君というふうな形で親しみを込めて呼んでいるんですけれども、機械に感情があるかどうかは僕も分からないんですけれども、学習を重ねていくというふうな意味では、修行をしながら腕を上げていく職人と同じというふうなことで、我々もお菓子屋でAIというふうな言葉を口にするとは、つい数年前までは全く思ってなかったんですけれども、実はバウムクーヘンとAIの親和性というふうなものが非常に高いというふうなことをこのコロナ禍を通じて発見することができまして、そこの中で、このTHEOというふうなもののAIの学習機能というふうなものを使ってバウムクーヘンを焼くということを始めております。

 ここのTHEOの開発において、同時に今のAIとかロボティクスという、そのフードテックの昨今の状態が非常に、今度は同時に職人とも相性が高かったというふうなことで、非常に職人とマンツーマンでこれからいろいろなところで活躍していくのではないかという可能性が結構出てきています。

 そのTHEO君にとって一番の悩みというか、まだ生まれたばかりの状態で、普通に考えると、ベテランの職人が焼いたバウムクーヘンとAIが焼いたバウムクーヘンどっちが食べたいと言われると、THEOからすると残念ながら、皆さんベテランの職人のと。ただ、ベテランの職人の技術をかなり高い精度でというか、もう本当に、弊社も開発の過程で、50年の職人のデータをつくっていきながらTHEOを完成するとこまで来たんですけれども、その職人からもうオーケーをもらって、彼は一番弟子だというところまでできているんですけれども、そこのバウムクーヘンをまずお客様に食べていただくというようなことに関しては、実はやっぱり人間と同じように、人間のために、あるいはおいしいお菓子を焼いていく職人と同じように、職人のためにこういうふうに活躍していかなければ、AIってなかなかまだまだ食べ物という領域では認められない。

 そこの中で、我々もその開発の過程の中で、自分たちの子供のようにとか、そのベテラン職人も、その職人の自分の弟子のようにというふうなことで育てていこうというふうな開発の方向の中で出てきたのは、お金もうけより人助けというふうなことで、まずは人のために役に立つ。あるいは人に喜んでもらえるお菓子をどうやって焼いていくのかというふうなことが、非常にTHEOにとっては大きな課題になっていまして、実際、このコロナ禍の中でなるべくいろいろな意味で人を助けていけるようなところから、社会問題の解決とかそういうところから優先してTHEOを今、必要とされるところで働いているというふうなことが、今のまずの第1のスタートです。

 そこの中で本日、中央区様のほうから特別住民票というものを発行していただいて、神戸市民というふうな形で、我々も彼のことをAI職人というふうに言っているんですけれども、そのAI職人という形の中では初の形で市民権を得たという記念すべき日ということで、このTHEOも非常に誇らしいし、それと同時に、だからこそこれからますます、もっともっと人々のために役に立つように、神戸市民の誇りになるような、あるいは親しみのあるような形でお菓子というふうなものを作り続けていかなければいけないなというのが、まず今日の第1点目。

 2点目としましては、久元市長のほうからいろいろ県外での活躍というふうなことを御期待いただきましたけれども、THEOは、一番の特徴はどこにでも行けるということです。なかなか職人が行くとすると大変なところ。例えば海外に職人を送ると、ずっと送っておくわけにはいかないとか、あるいは今まで店とか工場の中だけだったんですけれども、農家さんとか、生産者さんとか、そういうふうなところにも行けるということで、これから県外あるいは海外に向けても神戸スイーツを作っていくために行けるということで、神戸スイーツの復活ということに一役買えるのではないかと。やっぱり何よりも大事なのは、神戸スイーツを支えている神戸市内のまちのお菓子屋さん。我々の業界、いろんな、今たくさん大変なこともあります。そこの中で、それを乗り切っていこうという中では、やっぱり洋菓子業界もDXということが非常に必要になっていて、そのDXの1つのきっかけになっていって、洋菓子業界全体が何とか新しい形で神戸スイーツを復活させていくという道筋を探せていけたらいいかなという、この2つの目的、目標を今日いただいたということだと思っています。

 長くなりましたけど、以上、そういうふうな形で、THEOと株式会社ユーハイム、一緒に今の神戸スイーツの復活ということに対して精一杯努力していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


司会:

 ありがとうございました。

 それでは、続きまして、今回の事業連携協定の内容につきまして御説明させていただきます。

 それでは、まず、神戸市経済観光局の久保より説明いたします。


久保ファッション産業課長:

 それでは、神戸市と株式会社ユーハイムの事業連携協定の内容について御説明をさせていただきます。画面に御注目ください。

 まず、今回の事業連携協定の前提といたしまして、神戸のスイーツ文化について、簡単に御説明したいと思います。

 1868年の神戸開港以降、多くの外国人の方が神戸に移り住まれました。カール・ユーハイム氏をはじめ、ロシア革命、第一次世界大戦の混乱の中で神戸に移ってこられた職人の方も多くいらっしゃいます。このような海外の職人の方の技術に神戸の職人の創意工夫が加わって、神戸独自の発展をしまして、現在も多くの個性的で魅力的な洋菓子店が多数集積するスイーツのまちとして神戸は知られております。

 今回事業連携協定を締結する株式会社ユーハイム、大正時代にドイツ人洋菓子職人カール・ユーハイム氏により創業されました。神戸の1号店、ここに写真がございますけれども、このオープンから今年は100周年になりまして、最も歴史のあるスイーツの会社の1つになります。

 このような神戸のスイーツ文化でございますが、時代の変化によりまして、さらなる魅力発信やイノベーションの必要性、フードロス、担い手不足、そういった課題に直面しております。これらの課題を解決して、古くからあるスイーツ文化をさらに魅力的にし、そして振興していく。このためには、行政だけではなくて、民間のアイデアを取り入れながら有効な方法を取っていく必要があります。

 ユーハイム様は創業者から継承し続ける職人の技術を守りながら、新しいアイデアでその継続、発展に向けて進んでおられます。また、神戸スイーツ全体の発展と振興に向けて意欲的に取り組んでおられます。

 そこで、このたび、神戸市と株式会社ユーハイムの事業連携協定により、神戸のスイーツ文化の魅力発信を通じた地域振興の実現を目指してまいります。具体的な連携項目、ここに書いてございますが、魅力発信を通じた地域産業振興、フードテック等による新たな価値創造、持続可能な社会を目指した取り組み、スイーツを通した人材育成、神戸の地域振興の5つでございます。

 この事業連携協定の項目の具体的な内容につきましては、ユーハイム様から御説明いただければと思っております。

 では、山田室長、よろしくお願いいたします。


山田BtoB事業開発室室長:

 ユーハイムBtoB事業開発室、山田でございます。座って御説明をさせていただきます。

 まず、今、久保課長から御説明いただきました事業連携協定項目の1つ目、魅力発信を通じた地域産業振興、これ、国内外へのプロモーションとスライドにございますけれども、具体的には、神戸マラソン等のイベントでバウムクーヘンを提供したり、海外での神戸発のスイーツ文化を発信してまいります。これらの事業については、弊社が開発いたしましたバウムクーヘンAI職人THEO等を活用して、国内外で神戸スイーツの魅力を発信していきます。THEOはどこでも移動できるという特徴を活かしまして、国内外から神戸港へ寄港するクルーズ客船で、神戸市民として本日、特別住民票の交付を中央区長からしていただくとお伺いしております。神戸市民としてバウムクーヘンでおもてなしを予定しております。

 早速2023年、今年の3月8日に神戸港に寄港するダイヤモンド・プリンセス号において、焼きたてのバウムクーヘンの提供をする予定です。さらに、海外においても、洋菓子店で活躍することで、神戸発のスイーツテクノロジーによって世界中に幸せを運んでいきます。

 このように、どこでも熟練職人並みのバウムクーヘンを楽しんでいただけることで、神戸市民としてのスイーツの魅力の発信をしてまいります。

 連携協定の2項目、フードテック等による新たな価値創造ということで、神戸市様で進めておられるTHE NEXT KITCHENやSDGsチャレンジ等の市のスタートアップ支援施策との連携、イベントへの参加、スタートアップ企業への支援を実施してまいります。ユーハイムも神戸本部としてFOODTECH INNOVATION CENTERという施設を運営しておりますので、そちらとも連携して、市の事業に参画する国内外のフードテック企業へのビジネス支援を行います。

 3つ目、持続可能な社会を目指した取り組みということで、神戸の地産素材であるいちご、いちじく、米粉等を利用して、神戸オリジナルのバウムクーヘンを開発、販売いたします。例えば、いちじくは旬の時期に収穫されたものの、悪天候等の影響により、JA直営店で、来店客数が少なく販売ロスになるような場合に、それを当社が引き取り、スイーツの商品に活用していく予定でございます。地産地消の推進、フードロスの抑制を進めていくという取り組みでございます。

 4つ目、スイーツを通した人材育成。現在、神戸学院大学、神戸女子大学の教授、学生の方とお菓子の商品企画やプロモーション活動をこの春より行うべく準備をしております。また、神戸市様の大学連携プラットフォームを通じて、先ほど申し上げました2大学以外の他大学への横展開、学生の方への情報周知、伝達を行ってまいります。また、神戸電子専門学校の学生の方が当社のAI、機械学習、データサイエンスというようなTHEOの実データを活用していただくことで、学生の方が企業の課題解決に取り組むことで得られる実践的な学びの場を提供していく予定でございます。

 あと一番最後、地域振興でございます。こちらは児童養護施設やこども食堂の子供たちに焼きたてのバウムクーヘンをプレゼントし、子供たちにお菓子を通じて笑顔を届けていきたいと考えております。また、新型コロナウイルス感染症対策に御尽力していただいている医療従事者の方への応援といたしまして、中央市民病院等でバウムクーヘンの提供を行っていく予定でございます。

 以上、具体的な内容に関しましては、また質疑応答等の時間で御質問いただければと思いますけれども、弊社と神戸市様とで神戸のスイーツの魅力発信等の取り組みを進め、スイーツのまち神戸のさらなる発展を目指してまいります。

 以上で協定内容の概要についての御説明を終わらせていただきます。

※会見での説明の様子

質疑応答

記者:

 2点お伺いしたいんですけども、1点目、調べると、東京の渋谷区とかがAIの男の子に住民票を発行したり、そんな動きも見聞きしたりしたんですけども、神戸市さんとして、AIの人だったり機器だったりに住民票を発行するという動きは初めてと言っていいんでしょうか。


久保ファッション産業課長:

 はい、初めてになります。


記者:

 もう1点目が、久元市長にお伺いしたいんですけど、ユーハイムさんとして、このTHEOが住民票を付与されることで市民権、一定の地位を確立して親しみを持たれるようになった。これはすごく理解できることなんですけども、市として住民票を付与する意図、住民票を付与したことで何ができるようになるのか。少し意地悪で、ちょっとうがった見方をすると、ただの話題づくりに終始してしまうんじゃないかと思ったりもするんですけども、そうじゃなくて、これはすごく意義のあることなんだという反論できる点があるとすれば何でしょうか。


久元市長:

 住民票の付与権限は私にはないんですよ。これは中央区長にこれから住民票を交付していただくんですけど、中央区民になってもらうということです。これはもちろん住民基本台帳法に基づく住民票ではないわけですけれども、しかし、まさに河本社長が仰っていましたように、AI職人なんですよね。AIだけれども職人さんと同じような仕事をすることができる。そして、中央区に今存在をしていて、そして神戸のためになっていただけるということですから、これは大変ありがたいことなので、私の判断ではありませんが、中央区長が喜んでお渡しをすると思います。


八乙女中央区長:

 中央区長の八乙女です。よろしくお願いします。

 先ほど市長からお話ありましたとおり、中央区の出身ということで今ユーハイムの本社が中央区にございますので、中央区で生まれたTHEOが神戸スイーツを世界に発信していただくというところで、神戸ブランドの発信というところも含めて活躍いただけるものということで、中央区として特別住民登録をするという考え方をしております。以上です。


職員:

 もう1点だけ補足させていただきます。

 市民権を得たAI職人ということは、非常にチャレンジをこれからしていただく、THEOがチャレンジをすると。神戸市はスタートアップ施策などで成長を後押しする市ということで今までも力を入れてきました。まさにTHEOが住民票を取得して、そして世界でいろいろな新しいテック分野で活躍をするということを後押しするという意義もあると経済分野では考えてございます。


記者:

 河本社長にお伺いしたいんですけれども、THEOは今まで学習を重ねてきて、今50年の職人の方相当レベルということでよろしいのでしょうか。


河本社長:

 もう少し細かく説明をさせていただきますと、先ほど50年のベテランの職人というのは弊社の職人でずっと長らくバウムクーヘンを焼き続けていた職人なんですけども、その職人の技術のデータを一番最初に学習の材料としてつくっていくことでTHEOが生まれたという意味でございます。

 THEOの特徴なんですけれども、THEOはバウムクーヘンを人より早く焼くとか、人よりたくさん作るといったような生産性とかそういう意味の中では、まだまだ人間の職人には足元にも及ばなくて、ただ、THEOの特徴で1つあるのは、非常に職人さんの焼きに対してのこだわりの技術を人間よりも非常に早く覚えることができるという特徴があります。というのは、バウムクーヘンは実は専用機を操作しながら職人さんがイメージしているバウムクーヘンを焼くためには、結構熟練の技術が必要で、例えば、全く新人の人たちがバウムクーヘンを焼くよとなっても、やっぱり最初の1週間、2週間とかは職人が付きっきりで教えなければ、なかなかバウムクーヘンを焼くことも難しい。まして、今の50年とか40年とか、そういうバウムクーヘンの職人が弊社には何人もいるんですけども、彼らベテランから「オーケーだよ」と、自分の技術を「もう習得したな」と言われるためには数か月から1年以上しっかりと熟練しなければできないものなんです。

 THEOはその職人の焼き方のこだわり、バウムクーヘンは何層も焼きますので、大きいのだと20層ぐらい。このTHEOは大体10層から12層ぐらいのバウムクーヘンをちょうど焼くのに適しているんですけれども、そのバウムクーヘンを焼くことを学習するという意味では、今、二日とか三日とかそういう形で早く学習することができますので、例えばですけれども、職人さんが辞めてしまった、いなくなってしまった。あるいは、バウムクーヘンは個人店でやられる方とかはそこの一番の職人が付きっきりで本当に焼かなければいけないといったようなところにTHEOが行くと、データをつくるのは二、三日で今つくれますので人間よりも早く実際にそのバウムクーヘンを焼くことができるようになるという、そういうことが特徴のAIだと御理解いただければいいかと思います。


記者:

 今のお話だと、実際にお店で稼働させるということも今後あり得るということなんでしょうか。


河本社長:

 今のところもう既に弊社ではないお菓子屋さんだとか、あるいはホテルさんだとか、ブライダルの式場さんとか、特にコロナ禍においてやっぱり非常に人手不足だとか、あるいはそういうようなコロナ禍の課題があるお店をなるべく優先する形で、今現在17か所に実際弊社ではないところへ行くという形で、我々それをTHEO修行と呼んでいるんですけれども、いろんな職人さんの必要とされるところに修行に行きながら、その店でまずは愛される存在になっていくということを1つ目標にしています。


記者:

 17か所というのは神戸市内のお店になるんでしょうか。


河本社長:

 神戸市外も含めてですね。神戸市内は今2か所になります。


記者:

 あと、THEOが開発されたのはコロナ禍ということだったんですが、2020年とか21年あたりですか。


河本社長:

 もうちょっと細かく説明させていただくとしたら、2020年11月に1号機の発表をしております。その前までにいわゆる開発期間という意味では足かけ5年ぐらいあって、もともとTHEOの開発のきっかけはあることで、私が地球の裏側の南アフリカのスラム街に行ったことがきっかけで、そこにいる子供たちに「バウムクーヘンを食べさせてあげる」という約束をして、そこがなかなか果たせなかった約束なんですけれども、それを果たすことを考えている時にTHEOの開発を思いついて、先ほどの弊社の50年のベテラン職人と、うちは機械工がいるんですけれども、というのは実は自社のバウムクーヘンの機械は全部自社の中で作っているので、そういう機械工と3人で開発に取りかかったということが経緯です。


記者:

 THEO自体は既にもう20台ぐらい、先ほど17か所とおっしゃっていましたけども、少なくとも17台が現在も稼働中であるといいますか、17か所に既に設置してあるという理解でよろしいんでしょうか。


河本社長:

 それで大丈夫です。


記者:

 それは要するに御社がTHEOを販売なりリースなりされているということですか。


河本社長:

 THEOは株式会社ユーハイムのAIロボットという形なんですけれども、実際は必要とされた店へ今その17か所というのはすぐ行くということをして、そこの店のデータをつくってから、実際に営業が始まってからそこをロイヤリティーで頂くという形で、初期費用とかはかからないような形でお貸しすると。THEOからするとそこへ修行に行ってそのお店を助けるというような形態を取っているんです。

 というのは、ユーハイムがTHEOを開発し、コロナ禍の2020年11月に発表しましたが、弊社も本業のほうはかなり大きなダメージを受けて、今まさにそこから復活しようというところなんですけれども、逆にTHEOのほうはいろいろなところからお声がけをいただいて、こういう機械を自分のところで使えないのか。なぜならば職人が今いなくてというようなことから、我々も思った以上に、当初は数台だったんですけれども、そこから30台一気に増産するというような、まさにコロナ禍で必要とされるところへ行くというところから、コロナ禍で非常に弊社の中でも台数が増えていった、そういうようなケースかなと思っています。


記者:

 じゃ、今既にTHEO自体は30台存在しているということになるわけですか。


河本社長:

 正式に言うと世の中には今40台います。それで20台が社内外で今実際に活躍しているという形でおります。


記者:

 ということは、稼働している20台というのはそれぞれお店によって焼き方が違うことになるわけですか。


河本社長:

 全くおっしゃるとおりです。THEOは1つのバウムクーヘンの焼き方をたくさんのところに広めるのではなくて、逆にそのお店お店、日本はバームクーヘンを焼いているお店がたくさんあるんですけれども、そのお店それぞれ職人さんが焼き方にこだわりがあって、その行き先でのこだわりのバームクーヘンを学ぶ、学習することが特徴になっています。なので、1つを全部というよりかは、逆に言うと、いろんなところのバームクーヘンをこれから1つのところにデータで集めることが、もしかすると可能になってくるのではないかなと思っています。


記者:

 そしたら、住民票のほうが、40台あるんだとしたらどの1台に出すのかというのがちょっとややこしいような気もするんですが、そちらは問題ないんでしょうか。


八乙女中央区長:

 THEOそのもの自体を1台と捉えるのではなくて、THEO全体に対して特別住民登録したというふうに考えていただければ結構かと思います。そこは想像力を持っていただけたらうれしいです。


記者:

 分かりました。人口が増えたりするわけではないということには特に問題ないというふうにお考えだということですね。


八乙女中央区長:

 先ほど市長から御説明がございましたとおり、神戸市の人口にカウントするわけではございませんので、台数が今後増えていくということも含めて考えていただけたら結構でございます。


記者:

 それと、最初、冒頭に市長が御紹介になっていらっしゃいました、神戸の洋菓子の産業に関わる統計についての数字をもう一度詳しく御紹介いただけるとありがたいんです。例えば1,100億円の黒字というのは具体的にどういうことなのかとか、そういったものなのですが。


職員:

 神戸市では様々な経済指標を算出しているわけですけれども、神戸市の産業連関表を作る際に算出した数値でございます。神戸市の域際収支、国際収支というのがよく、それの地域版の「市際収支」とか「域際収支」という呼び方をするんですけども、この数値によりますと、第1位、当時一番稼いでいたのがボイラーとか原動機、いわゆる某重工メーカーが作っておられるようなボイラーとかエンジン、そういうものが2,020億円でトップでございます。今、市長がお話になられた麺、パン、菓子類、いわゆるスイーツのようなものが1,130億円ということで、順位でいうと6番目。これは、187の個別の分類の中で、トップがボイラー、そして6番目が麺、パン、菓子類ということで、規模は先ほど申し上げたとおり1,130億円でございます。


記者:

 国際収支の神戸市版ということでよろしいですか。


職員:

 そうですね。市際収支、域際収支という呼び方。


記者:

 域際収支ということですね。


職員:

 はい。


記者:

 神戸市のGDPは7兆円ぐらいだと思うんですけど、それのどれぐらいを占めるかというのはお伺いできるでしょうか。


職員:

 すみません、ちょっとそれは後ほど回答させてください。すぐ出るかと思いますけれども。


記者:

 神戸市さんとユーハイムさんへ1点ずつお伺いしたいんです。まず神戸市さんですけども、こういったスイーツの関係の企業さんと同種の協定を結ばれる前例というのはあったんでしょうか。


久元市長:

 今回が初めてですよね。


久保ファッション産業課長:

 はい。


記者:

 あと、ユーハイムさんにお尋ねしたいんですけれども、THEO君の覚え方、学び方をもう少しだけ教えてもらえたらと思います。


河本社長:

 これは、実際にそれぞれの職人が、職人は特に焼き方にこだわりがあって。というのは、バームクーヘンって基本的には砂糖、小麦粉、卵、バターという菓子の基本材料を使うんですけれども、そこに対して焼きを重ねていくことによって食感をつくっていきながら、それの積み重ねが味になっていく。つまり、職人のこだわりあるいは焼きの技術が味と、そういうお菓子がバームクーヘンの大きな特徴で、それだけで完成させるわけですけれども、その焼きの一層一層をどう焼いていくかというのは、やっぱり職人さんのこだわりの部分なんですね。なので、実際にTHEOで職人さんが一本一本、何本も何本も焼いていく、その焼いていく過程をずっとカメラで追いながら学習していくというようなプログラムになっています。


記者:

 そうしたら、画像等で学習していくということですか。


河本社長:

 基本は、なかなかバームクーヘンの機械って職人さんが離れられないですけれども、そこの中で、もちろん幾つかいろいろなパラメーターはあって、そのパラメーターは基本的にあるんですけど、最終的にはその職人さんが五感で判断しなければいけない。その五感で判断しなきゃいけない部分のところを最終的に画像で判断しているというふうな形だと思っていただければいいです。


記者:

 あと、ダイヤモンド・プリンセスのところで御提供されるということですけども、これは陸側にTHEO君がやってきてと、そういうイメージでしょうか。


山田BtoB事業開発室室長:

 仰るとおりで、ポートターミナルにおいて弊社が所有するフードトラックにTHEOを搭載したものがございます。ですので、フードトラックでまずお伺いして、ポートターミナルに降りてこられる海外からのお客様をお迎えするというのが、まず一番最初に我々が取り組みたいとしているところでございます。将来的には船の中にもちょっとお邪魔させていただいて、実際に船内にお客様として乗っておられる方々にそういうバームクーヘン教室みたいなものを提供できれば、非常に神戸に来てよかったなと、ちょっと何か体験をしていただいて思い出にもなるかなと、我々としては今提案をしているところでございます。


記者:

 河本社長にお伺いします。コロナ禍でというお話があったと思うんですけども、コロナ禍で洋菓子業界がどういうイメージを受けて、THEO君によってどういった形の効果が期待できたのかというのを詳しくお伺いできたらなと思います。


河本社長:

 コロナ禍でというふうな捉え方では、いい面もあり、悪い面もありというふうな形で、町の個人店さんも含め、あるいは業態としては我々みたいな全国でやっているところを含め、いい面、悪い面、互いにちょっと違う部分もあったんですけれども、総体してやっぱり今あるのは、職人の技術の継承、あるいは職人になりたいという人たちをどう増やしていくのか。やはり職人って、ある意味での修業だとか、その前のカリキュラム、学習だとか、そういうふうなところって非常に時間がかかりますので、そこの中で今後どういうふうに職人が不足していくのを補っていくのかというのは、今の現状の人間の職人さんを増やしていくのと同じように、こういう人間の職人さんを助けていく、ロボットって1つの手段になると思うんですけれども、それがこれから必要になっていくかなと思っています。

 このTHEOの場合、先ほどもちょっと言ったんですけども、開発の過程から非常にバームクーヘンとは親和性が高くて、しかも、一層一層の本当にこだわりという意味の、ベテラン職人が修業という世界の暗黙知の中でずっとやっていたんですけれども、データ化することによって、逆にその暗黙知が形式知に変わって、その形式知によってさらに実は職人さんが自分の技術を上げていくというふうなことが、開発過程とかその後の修業の例の中で何例か出てきています。そういう意味では、THEOと職人がマンツーマンになることによって、お菓子が、バームクーヘンがもっともっとおいしくなっていく、これが非常に大事な点かなと思っていますので、より人間の職人がおいしいお菓子を作るためにもこのTHEOというものが活用されればいいなと思っています。

 なので、先ほど言った、AIは職人の一番弟子というのが今回このTHEOの開発のコンセプトになっているというのは、そういう話でございます。


記者:

 コロナ禍で人材の確保がちょっと難しくなってきたので、技術の継承にも役に立ってということでしょうか。


河本社長:

 そうですね。結果としてコロナ禍で使われていくパターンが多かったということは、職人さんがいなくなったとか、職人がいないけれども何か新しいお菓子を作っていくという中で、「バームクーヘンを作りたいんだけど」というような形で、逆に「使えないのか」というふうに要請を受けているケースがコロナ禍では非常に大きい、それが結果として台数が伸びていったことにつながっているかなと思っています。

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