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定例会見 2022年(令和4年)2月16日

最終更新日:2022年2月16日

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市長会見の模様をお届けします。



令和4年度当初予算について
令和3年度 2月補正予算案の概要
 
会見資料はこちら(PDF:22,206KB)

令和4年度当初予算について
質疑応答(発表項目)

令和4年度当初予算について

 

司会:

 お待たせいたしました。それでは、ただいまから令和4年度当初予算の市長会見を始めます。

 久元市長、よろしくお願いします。

 

久元市長:

 よろしくお願いいたします。令和4年度の神戸市当初予算案がまとまりましたので、御説明を申し上げます。

 海と山が育むグローバル貢献都市を実現するための予算ですが、特にコロナ後を見据えた神戸の持続的発展を目指すという観点から編成をいたしました。基本的な考え方と、それからこの予算編成の前提となる客観情勢をどう捉えているのかということも含めてお話を申し上げたいと思います。

 コロナとの闘いももう2年になろうとしております。目の前の危機とずっと闘ってきたわけですが、この2年の間に私たちの社会がコロナウイルスによってかなり変わってきているのではないか。コロナ後の社会を見据えたときに、私たちの社会がどう変わりつつあって、どこに向かおうとしているのかということをしっかり把握する必要があるのではないかというふうに考えられます。

 コロナによって私たちの生活、そして経済は、大きな影響を受けました。苦しんできたというふうに申し上げてもいいと思います。しかし、そのような葛藤の中で新たな胎動が生まれる、あるいはそこに新たなチャンスというようなものが生まれる、新しいテクノロジーが生まれるということも見られてきたのではないかというふうに思います。

 例えば、神戸医療産業都市に取り組んできましたが、この医療産業都市、コロナとの闘いと密接に関連をしています。そういう中で、これはほとんどほかの地域では例がないと思うんですが、全自動の検査ロボットというものも開発をされました。それから遠隔医療とモニタリングシステム、こういうものも開発をされましたし、スーパーコンピュータ「富岳」は様々な飛沫の拡散のシミュレーションなどにも大きく貢献をしております。

 そして、コロナは人と人とが直接接触することによって感染が広がるわけですが、これを回避するためのテクノロジーというものもいろいろな形で開発をされてきた。テクノロジーがコロナによってその進化を促されたという面があるのかもわかりません。

 もう1つは、コロナによって私たちがどういうようなライフスタイルを求めるのかということについての意識の変化も見られるということです。東京一極集中に見られるように、私たちは極めて狭いエリアに住んで、極めて狭いエリアで働く、こういうことをよしとする、言わば高密度至上の価値観というものの中に生きてきたわけですけれども、そういうような価値観に、真正面から違う考え方の導入を促す契機となったのがコロナではなかったかと思います。逆に言うと、もっとゆったりとした自然環境の中で働き、暮らすというライフスタイルというものが、これが価値を持つ、そういう傾向も広がってきたというふうに思います。自然環境へのニーズの高まりというものがあるわけです。

 同時に、このコロナ一色の風景というものが時々出現をするわけですが、しかし、コロナ以前からあった課題というものは、なお存在し続けています。人口減少、東京一極集中、それから少子高齢社会であるということ。それから、残念ながら地域社会、あるいは家族や家庭のありようというものが変わってきて、孤立とか孤独というような問題もクローズアップされてきました。これはコロナによってコミュニケーションが少し希薄になってきたということも、こういう孤立とか孤独ということに対して影響を与えています。

 こういう前提条件を考えれば、今、我々が考えなければいけないことは、目の前の危機と闘う、新型コロナウイルス感染症対策を令和4年度予算の中でも最初の大きな柱として位置づけています。目の前の危機と闘い、克服するということ。

 もう1つは、今申し上げたような変化、これはSDGs、あるいはポストコロナの視点が求められるということであろうかと思いますが、そういうことを見据えた、未来に輝くまちづくりということを行っていかなければならないというのが2本目の柱。

 もう1つは、言うまでもなく、神戸経済を維持・回復させ、そして持続可能な成長を促していくということであろうというふうに思います。成長戦略ということをしっかりと位置づけなければなりません。

 こういう考え方で、次ですけれども、令和4年度の当初予算は「コロナとのたたかいに打ち克つ」ということをトップに持ってきまして、7本の柱で構成することといたしました。

 全体の規模ですが、一般会計が8,869億円、前年度に比べまして165億円、1.9%の増ということになっています。特別会計、企業会計と合わせた合計規模は1兆8,804億円ということで、1.5%の増ということになっております。当初予算とは別に2月補正予算を編成いたしました。2月補正予算と当初予算を一体的なものとして議決をいただければ、一体的なものとしてこれを執行していきたいと考えています。コロナ関連の予算は、2月補正を含めまして182億円ということになります。

 それでは順番に、柱に沿って御説明を申し上げたいと思います。

 最初の柱、「コロナとのたたかいに打ち克つ」です。特に、新規の施策といたしましては、健康科学研究所の機能の拡充を挙げております。健康科学研究所は、コロナの感染が始まったときから、全国的に見ても、いち早く変異株の発生、あるいはそのサーベイランスに力を入れてきました。ここのところもデルタ株、あるいはオミクロン株、新たな系統のBA.2株系統の感染状況も発表をしてきました。

 この健康科学研究所がしっかりとした役割を果たす上での視点は、やはりコロナで感染症対策が終わるわけではありません。異なるタイプのウイルス、あるいはそれ以外の病原菌というものが次々に生まれて、そして変異していくということ、そういうことを想定した体制をしっかりと取らなければいけないということです。

 その際、大事なことは、先端機器が生み出す膨大なデータを処理するバイオインフォマティクス、バイオロジーとインフォマティクス、情報学が融合した、こういうような技術革新の体制を整備する、こういう基本的な考え方に立って、MALDI-TOF/MSという新たな機器を導入いたします。これは数千種類の病原細菌を一括解析することによりまして、致死性の高い毒素の検出を可能とするものです。そして、病原菌が既に知られているものなのか、未知のものなのかということを短時間、10分程度で鑑別が可能なものですね。こういう機器も導入をする、そして必要な体制も整備をして、健康科学研究所がしっかりとした社会的使命を果たしていくことができるように体制を構築いたします。

 感染症対策といたしましては、次ですけれども、ワクチンの追加接種体制を構築し、学園・児童福祉施設の感染症対策の強化をいたします。このワクチン接種については、神戸市は3回目のワクチン接種もスピード感を持って進める。そのために、接種券がなくても受けられる体制も既に構築をいたしました。そして、2回目から6か月間隔で接種をするという体制を整えつつあります。間もなく6か月後で接種券を発送し、6か月経過された方は接種できるようになるわけです。スピード感を持って進めてきました。

 同時に、こういうふうにスピード感を持って進めてきましたけれども、しかし、神戸市内の新規感染の状況を見ると、新規感染は急激に増えているという状況は回避をできていますが、感染はずっと続いています。極めて高いレベルで続いています。これを何とか抑え込むためには、やはりワクチン接種をさらに加速する必要があるのではないかというふうに思います。この点で考えられるのが、6か月後ではなくて5か月後の間隔を取って接種をするということではないかと思います。

 この5か月後接種にするというのは、もちろんこれは国の方針がそうならなければいけませんし、安全性というものがしっかり確保されなければいけませんから、国のほうにおいてしっかり判断をしていただかないといけないわけですが、これまで国は8か月と言い、それを7か月と言い、6か月と言ってきたわけです。そうすると、これ、5か月ということもあり得るかもしれないと、そういうような覚悟で我々は接種体制をしっかり構築しなければいけないのではないか。そして、これを随分、中で検討いたしまして、もしも国が5か月後接種をしてもいいですよということになれば、直ちに5か月後接種ができる体制を整えることといたしました。

 この点については、先ほど総務省の田畑副大臣から電話をいただきましたので、これは各指定都市の市長に電話をされているようですが、私から以上のような考え方を申し上げました。これは、国に対して5か月間隔で接種をしてくださいというふうにお願いをしているわけではありません。お願いをする根拠は私どものほうにはありませんから、そういうお願いをするという趣旨ではなくて、国がそういう考え方を取られるならば、神戸市はいつでも、極端なこと言えばあしたからでも5か月後接種の方々に接種をしていただくことが可能ですよということを申し上げたわけです。あとは国のほうで適切に考えていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、今、極めて高いレベルで推移している新規感染者を抑え込むためには、やはりワクチン接種を急ぐ必要がある、こういう考え方は国としっかり共有をして、私たちは私たちがやらなければいけないミッションをしっかり果たしていきたいというふうに考えております。

 医療提供体制につきましては、これまで御説明をした取組み、これを令和4年度も継続することにいたしまして、必要な予算を計上いたします。宿泊療養施設の運営、そして自宅療養者に対する支援も、神戸市はこの建物の14階の会議室をほとんど潰して自宅療養者フォローアップセンターをつくりました。ほとんど全部局の職員が集結をいたしまして、全力でケアをする体制をつくっております。この体制は、感染状況を見極めながら、その時々に応じて必要な対応を全力で行っていきたいと考えております。

 コロナに感染された方、あるいは濃厚接触者の方々は、やはり不安な気持ちになられると思いますので、健康体制というものをしっかりサポートいたしますし、それから、コロナで従来行っていた健診というものも影響を受けていますから、40歳総合健診を受けておられない方に対する無料受診券を配付するなど、受診していただくような取組みを進めていきたいと思います。

 もう1つは、やはり生活困窮されている方に対する支援です。コロナが始まってから、その時々の状況に応じて、状況は違うとは思うんですけれども、やはり影響をほとんど受けてない方もいらっしゃれば、物すごく大きな影響を受けている方もいらっしゃいます。もともとコロナの前から格差が残念ながら拡大してきて、そういうような状況の中にこのコロナ禍が襲うという状況が起きてきたわけです。そうすると、やはり極めて厳しい状況に置かれている方に対してしっかりと支援をするという考え方が必要ではないか、これは神戸市が一貫して取ってきた考え方です。これは令和4年度予算においても踏襲したいと考えております。

 例えば、これはコロナが始まって間もない頃だったと思いますが、兵庫県の県営水道が市内の市町に対する水道料金をコロナの後、引き下げるということを端緒といたしまして、県内の特に阪神間のほとんどの自治体、市町、それから周辺の兵庫県外の自治体も、大半が一律に水道料金を無料にするとか、あるいは引下げをすることに踏み切りました。神戸市は熟慮の結果、それはしませんでした。そして、本当に困っておられる方に対して個別に相談に応じて、そして必要な減免を取るということにしたわけです。これは、当時としては大半の自治体がそういう対応をする中ではつらい決断ではありましたけれども、これは先ほど申し上げましたような考え方からです。やはり本当に厳しい状況に置かれている方に対する支援をしっかり行っていこう、そしてコロナが出現する前から起きていた社会事象、格差社会に起因する社会事象に対して的確に対応するという考え方は令和4年度予算の中でも取り入れ、踏襲しています。

 その緊急の対応の1つが生活困窮者への支援で、2月補正にも計上していますが、食料品や衛生用品を提供する。そして、その場では行政としても必要な支援につながるような相談を行うということです。食料・衛生用品としては、レトルト用品、生理用品だけではなくて、神戸の生鮮野菜や果物など、これを3回・約2,000人分提供したいと考えております。そして、くらし支援窓口やハローワーク、弁護士や司法書士の方などが相談に乗る。そのために企業や団体からの寄附を求める。神戸市は調達に当たる。たくさんの方々にこの支援の輪に加わっていただきたいということです。これは市内3エリアで各1日、合計3回開催いたします。ですから、これはこの相談会で終わる取組みです。しかし、これで終わらないように、できるだけ神戸市のこの会場に、ぜひこういう方々に対して支援をしたいと考えておられる方、既に支援をしていただいている方々に参画をしていただいて、そこから新しいつながりが生まれたりネットワークが生まれたりして、次への永続的な生活困窮者に対する支援につながっていっていただきたいと考えております。

 同様の考え方から、次は、2月補正ということになりますが、ひとり親家庭に対する支援も強化いたします。資格取得をする取組みは従来から行ってきましたけれども、取得できた方に対する就職準備金を5万円支給するといったような方法で、ひとり親家庭の方に対する自立と、そして生活支援につなげていっていただければと考えております。

 コロナ禍に直面する市内事業者への支援といたしましては、新規施策としてKOBEお買物キャンペーン、これは2月補正に計上いたします。実店舗における消費につなげていただくような特設ウェブサイト、巨大ガチャによるキャンペーンPRを実施いたします。

 それから、市内事業者への支援といたしましては、こうべ駅ナカ・街カドチャレンジショップ、キッチンカーの取組み、これも神戸市独自の取組みとしてコロナが始まったばかりのときからスタートいたしました。これが確実に広がっています。たくさんの飲食店や事業者の方にも参画していただいております。こういうものも拡充していきますし、さらに、神戸の恵まれた自然を生かした体験型のコンテンツを開発する観光メニューの開発、あるいはアーティストの活動機会の創出などを行います。

以上が緊急のコロナへの対応です。

 健康と安全を守るという、これはより幅広い取組みですけれども、1つは、改めてコロナ禍の中で神戸市看護大学の重要性を再確認いたしました。同時にこの看護大学の卒業生が神戸市内で就職する割合がほかの公立の看護大学に比べて少ないということも明らかになってきました。何とか市内の卒業生に神戸市の看護大学に入学していただく。そして神戸市内での就職につなげるために、市内の学生については入学金を半額に引き下げる、市外についても14万1千円引き下げるということで、併せて市内に就職した場合には奨励金を、同額を支給いたしまして、実質入学金をゼロにするという取組みです。こういう形で看護大を市内の卒業生に選んでいただくようにして、市内就職につなげていきたいと考えております。

 もう1つ非常に大事なことは、介護人材の確保です。看護と介護は非常に大事です。介護人材の確保のためには、「コウベdeカイゴ」事業というものを行ってきましたけれども、これも介護福祉士取得支援金を創設するなど拡充することにいたします。

 認知症神戸モデルも定着してきました。おかげさまで昨年の12月にはこのための財源である市民税の均等割の超過課税もお認めいただきまして、3年間延長されることになりました。この財源を使いまして、認知症神戸モデルを引き続き推進いたします。新たに認知症の方の社会参加を促進するための、専門職の方を無料派遣するという取組みも行います。予算事項ではありませんが、これは銀行と連携協定を締結いたしまして、認知症の方の家族の方が、例えば認知症のお父様やお母様のための介護費用に使うための預金を引き下ろしやすくするという取組みもいたしました。

 それから、特に力を入れているのはマンションへの対応です。マンション管理の適正化を図っていくために専門家のチームの派遣を行うということをいたしましたし、それから銭湯に対する支援も強化いたします。銭湯の役割は非常に大きくなっているのではないかと思います。ほとんどの家に浴槽があるわけですけれども、独り暮らしの高齢者の方は1人ですから、なかなかお湯を浴槽に張ってお風呂に入らないという傾向が見られるという話も聞いているわけです。やっぱり大きな浴槽につかって体を伸ばしていただいて、ゆったりとした気分になっていただくということが非常に大事で、そういう意味でも銭湯の役割は非常に大きいということで、とにかくこの銭湯を維持、存続して、多くの方に行っていただきたいということで、そのために、市内大学生を対象とした無料入浴期間を試行的に実施する。18歳以下の子供さんは無料、付添の大人の方は半額といたしましたけれども、この回数も上限を撤廃いたしまして、設備改修助成の上限も150万円から200万円に引き上げることにいたします。

 災害対策といたしましては、高潮津波対策、100年に1回のレベル1のものは既に平成27年度に完了しています。1000年に1回のものは令和4年度中に完了を予定して計画的に進めるようにいたします。

 災害対策として今まで比較的見過ごされてきたのは、ため池です。神戸にはたくさんのため池があるわけですが、この防災対策に本腰を入れて推進することといたします。周りが市街地になって、住宅地になって使われていない、悪臭を放っているというような池もありますが、これは廃止も含めた対応を検討いたします。

 災害対策といたしましては、自動車販売店の御協力で外部給電システムが確立されてきました。そのたびに避難所全てでこの外部給電システムを使うことができるように、2か年で全ての小中学校に必要な機器を整備いたします。消防団員の処遇につきましては、全国トップレベルの水準に達していますが、さらに出動に係る報酬を引き上げることといたします。

 3番目の柱が、温もりのある地域社会を創るということで、子育て世帯の経済的負担といたしまして、新たに高校生の通学定期券の補助を行うことといたします。高校生の通学定期券の実態を見ますと、かなり遠いところの学校に通う。これは、県立高校の校区が自由化されたという影響がありますが、そのためにかなり高額の定期券を購入している世帯があります。このために、月額1万2,000円を超える部分につきましては2分の1助成することといたします。対象は神戸市内の方ですけれども、通学をする高校につきましては市外でも対象とするというふうにいたします。

 子育て世帯の経済的負担を少しでも軽減し、市内への移住を進めていくために、こうべぐらし応援というタイトルで、こうべ移住型、それから団地活用型の補助制度を再構築いたします。このこうべ移住型につきましては、人口が増えている、特に中央区などは人口が集中している傾向が見られますから、兵庫区よりも以西、以北の区を対象といたします。団地活用型につきましては、エレベーターがない4階建て以上の賃貸住宅を対象とした支援メニューをつくります。

 子育て支援という意味でこども家庭センターの役割は大変重要です。かねてから移転新築事業を進めてきましたが、これが9月に移転完了ということになります。必要な児童相談所の機能あるいは一時保護所の機能だけではなくて、子供が遊びながら施設を巡回できるような回遊動線も踏まえたこべっこランドにするようにいたします。

 それから、そのこども家庭センター、本来の児童相談所機能ですけれども、最近、本当に言葉を失うような事件が発生いたしまして、このセンターの役割は大変重要です。現在の2,600平米から5,700平米に大幅に拡大いたしまして、体育館も新設する。そして人員体制も、児童福祉司を約20名増員するなどの対応をするようにいたします。

 子育て応援サイトのリニューアルも、新規施策も交えて必要な予算を計上いたします。

 保育環境につきましては、確実に待機児童の解消に結びついてきました。その大きな要因となったのが、保育人材の確保です。そして、そのための処遇の改善を引き続き確実に行うようにいたします。学童保育の充実、病児保育施設への予約システムの導入も引き続き拡充いたします。

 中学校給食の全員喫食制を実現するために、つまり令和6年度中に供用が開始できるように学校給食センター、これを2か所整備いたします。

 学びの環境といたしましては、小学校の過密対策はこうべ小学校、垂水小学校で実施をすると。

 それから、教員の多忙化対策といたしましては、これは地味な分野ですけれども、いかにして学校の先生方が事務仕事から解放されるということが重要で、学校給食費の公会計化のためのシステム整備などを行います。小学校35人学級編制の段階的実施、教科担任制の推進も行います。

 それから、障害を抱える子供さんたちの就学先の決定をするために、専門的な見地からの相談も交えた一元的な窓口も整備をするということにいたします。

 次のページにありますように、神戸市は、女性が妊娠をし、出産をし、そして新生児の段階、乳幼児の段階、小学校に入り高校を卒業するまで切れ目のない支援を行っていこうという、そういう努力を重ねてきました。そういう視点に立って、令和4年度においても必要な施策の拡充をしていくということです。

 そういうような取組みをする一方で、やはり残念ながら孤立・孤独という現象に、行政としても、これに関連する方々の参画を得ながら必要な対応を行っていく必要があります。ヤングケアラー、神戸ではこども・若者ケアラーと呼んでおりますが、支援窓口もつくりました。そこで寄せられてきた相談をもとに、必要な対応としてまずやらなければいけないのは、訪問支援事業を創設するということです。

 本来、受けられるサービスがあるはずなんですけれども、なかなかそこにたどり着けていない方々に、そこに行くまでの間のヘルパーの派遣というものを行って支援をしていきます。月4回、1回2時間派遣をするということで、これはなかなか難しい問題ですけれども、こういうようなサービスも使っていただいて、そして生活を安定させる。御自身の勉強や、あるいは仕事に取り組んでいただけるような環境をつくっていきたいと考えております。

 それから、高齢者などがなかなか賃貸住宅に入れないということが従来から問題となってきましたが、新年度は新たにセーフティーネット住宅の家賃債務保証料の補助を行うことといたします。

 それから大学との連携、これも神戸にとっては非常に大事な課題です。神戸には、指定都市の中でも、日本の大都市の中でも、有数の数の大学などの高等教育機関があります。神戸はある意味で大学のまちでもあるわけです。

 この大学都市神戸の強みを生かした連携体制、これを産学官でつくっていこうということで、大学間の連携を進める、そのための交流拠点というものをつくっていく。それぞれの大学は、少子化の中でいろんな課題、あるいは悩みも感じておられるわけですけれども、そういうような共通の課題をみんなで考える、そして行政も支援をする、そして経済界の支援も求めながら、神戸の大学がこれからもそれぞれの学風、校風というものも大事にしながら持続的に発展をしていただくための取組みということを、神戸市も関わった形で行っていきたいと考えております。

 個別の課題になりますが、神戸高専の教育環境の充実です。神戸高専は非常に高いレベルの教育水準を誇っておりまして、そして就職も大変好調です。しかしながら、なかなか神戸市政の中で、神戸高専については十分な対応ができてくることができなかったというのが率直な印象です。

 私も去年、これも自分自身の問題として反省しなければいけないんですけれど、初めて神戸高専に伺ったんです。大変驚きました。機器が老朽化しているというような問題、その中を先生方や学生の皆さんが一生懸命勉強、そして研究に取り組んでいるわけです。やっぱり今のままではいけない。やっぱり外からの知恵あるいは外からの資金というものを入れていくために必要な方策が地方独立法人化です。

 ところが、現在の法律では、公立の高専は単独では独法化できないということになっていまして、法律上は大学と必ず一緒でないと法人化できないということ。そういう制度的な制約だけではなくて、神戸高専がこれから必要な使命を果たしていくためには、やはりグローバル社会の中で当然、海外の文献もできるだけ苦痛なく読めるように日々勉強することができるようにする、英語での教育も非常に、研究も重要になってくるということで、これはやはり神戸外大と神戸高専を1つの法人で運営するということが、そういうような道につながっていくのではないかということで、これを同一法人化するという方針を決定いたしました。これを令和5年4月、来年の4月に独法化が実現できるように必要な予算を計上するということにいたします。

 地域課題の解決につなげていくためには、当然、市民や企業の幅広い参加が必要です。多様な主体の参画によって地域課題を解決していく。そういうようなNPO法人や市民団体が、たくさんあります。子供の学習支援、シニア世代の見守り、こども食堂、食品ロス、外国人住民に対する様々な相談や支援、里山の再生、生物多様性への取組み、いろんな地域課題に対して、たくさんの皆さんが参画をしている。この輪をもっと大きく広げていく、そして市民参画を進めることによって、これらの地域課題をより有効に解決していく。そのために、そういうような事業に取り組む、あるいは新しく取り組もうとする団体に対して、新たな補助制度を創設いたします。最大1団体50万円の補助を創設いたしまして、そういう活動を飛躍的に広げていくための費用にしたいというふうに考えております。

 4番目の柱は「のびやかなくらしと健康を創る」というカテゴリーです。

 最初に、須磨エリアの活性化です。須磨のエリアは現在、須磨の海浜水族園と海浜公園の整備が進められていますが、ここだけの整備で終わらせることなく、須磨全体を、いにしえから伝えられてきた自然環境や景観を大事にしながら必要な整備を行ってにぎわいをつくり、そして、ここに訪れる方々を増やし、神戸の観光スポットにもしていく。そういうような考え方で須磨のヨットハーバーの再整備を検討する。それから神戸の都心、それから淡路島との航路の創設。

 それから、ここに須磨駅がありますが、須磨駅と須磨の海浜水族園の南側を通ってヨットハーバーの辺りにアクセスする新しいモビリティーの実証事業を行うというようなこと。少し、この地図の中には入りませんが、(台風の)被害を受けた須磨の海づり公園、これは撤去するところは撤去して、使えるところは使うという形での再整備をする。そのための民間事業者の募集も行いたいと考えております。

 あわせて、ここのエリアは水上バイクの被害発生可能性も従来から言われてきましたので、この2月議会にこの海域での航行を禁止する。もう1つ、兵庫運河も対象といたしますが、そういうような条例の改正も提案したいと考えています。

 これが西の拠点ということになろうかと思いますが、もう1つ、神戸市の東部で非常に大事なのが王子公園の再整備です。王子公園の再整備は、これまでも申し上げてきましたけれども、本当に動物園の施設、それからスタジアムなど、施設が非常に老朽化している。私が子供のときと風景が変わっていない。変わっていないことがいい面もありますけれども、しかし大きく老朽化している。

 そして、神戸市全体で求められていることは、やはりたくさんの若い世代に住んでもらう、若い世代に働いてもらう、若い世代に学んでもらうという取組み、これが重要です。そういう観点からいえば、大学の誘致というのは非常に有力な手法です。そして、王子公園はあの周辺に、北には神戸大学がありますし、松蔭、海星、そして葺合高校などの高校もある文教地区ですね。大学の誘致としては適地です。

 こういう考え方で王子公園を再整備していこうということで、去年の1月に基本的な考え方の方針を発表いたしました。そして去年、基本的方針の素案を公表いたしまして、必要な意見をいただいてきました。

 これに対しては1,500件ぐらいのパブリックコメントをいただいておりまして、その多くが、これに対しては異論があるという内容になっています。改めて、やはりそういうような多数の御意見に対しては丁寧に説明する必要があるというふうに考えております。

 同時に、王子公園の再整備は、この内容につきまして、パブリックコメントを踏まえた検討も必要になりますが、やはり必要な準備は進めていかなければいけませんから、再整備に必要な測量や、あるいは調査の検討、それから王子動物園の園舎、私も改めて見に行きましたけれども、本当に老朽化しております。象の園舎も見ましたけれども、本当に一生懸命飼育している飼育員の方々の苦労というのが、やはり非常にこれは大きなものがあるということを改めて感じました。やはり王子公園のリニューアル、王子動物園のリニューアル、そして王子公園全体の再整備というのは図っていかなければなりません。

 同時に様々な意見をいただいておりますから、その意見をしっかり踏まえた検討というのをこれから行っていきたいと思いますし、そういう前提の下に必要な予算を計上することといたしました。

 それから空家空地対策。力を入れてきた分野です。3か月ぐらい前でしょうか、神戸の建築家の方々、あるいはその方々に詳しい研究者の方、あるいは空き家再生に取り組んでおられる建築家の方と意見交換をしましたけれども、神戸には、やはり神戸に非常に強い思い入れのある建築家の方がたくさんいらっしゃいます。そういうような方々と協働した空き家の活用を行っていこうということで、質の高い空き家活用の設計・工事費の補助制度というものを新たに創設するということにいたします。

 空き家対策、非常に重要です。使える空き家は活用する、そして老朽で危険な空き家は解体撤去するということ、これが基本です。後者のほうについては、神戸市は全国でもトップレベルの700戸の解体助成予算を計上してきましたけれども、これも引き続き同程度の予算を計上いたします。

 里山・農村地域の活性化とにぎわい、これにつきましても、農村地域での空き家の活用についての新たな補助制度というものも創設をいたしますし、茅葺民家などの自然文化環境の保全、それから、かつては開発が予定されていた多井畑西地区の里山の保全・活用の推進、そして有害鳥獣対策、これにつきましても必要な拡充を行いますし、生物多様性を確保していく上で、大きな問題になってきたのが外来生物による被害です。しかし、外来生物は、動物は大体そんなものですけど、人目にあまり現れることがないわけです。外来生物の被害というのは、そんなには分からないわけです。これはやはり分かるような形で展示をする施設というもの、外来生物と有害鳥獣に特化した拠点ですよね、展示拠点。これは恐らく全国的にも例がないのではないかと思いますが、これも市内に整備するということと、必要な議論をしていく上では、やはりそういうディスカッションが大事ですから、国際フォーラムを開催したいと思っております。六甲山・摩耶山の活性化は、大分これは軌道に乗ってきましたから、従来の考え方にのっとって進めます。

 新年度に新たに力を入れていきたいと思っているのが、カーボンニュートラルの取組みです。この分野については、もう長いこと水素利活用プロジェクト、川崎重工などによる取組み、あるいは水素発電の実証事業などが行われてきましたけれども、これをもっと草の根で、市民の皆さんが参加する形で広げることができないかということで、市民やNPOなどの皆さんが、いろんなものが考えられると思いますが、幅広くこれに支援をして、この活動の対象を広げていく、そういう支援制度をつくっていきたいというふうに考えております。

 それから、カーボンニュートラルの取組みとしては、やはり港での取組みが重要で、港湾に近いエリアでの水素ステーションの整備、それからカーボンニュートラルポート、陸電供給というような取組み、将来的には水素エネルギーの利活用も考えた取組みということを行っていきたいと思いますし、それから、最近新たに始まった取組みとしては、海の中の海藻、藻を増やし、そこにCO2を定着させていく、あるいは淡水域でそれを行う、海でのブルーカーボン、淡水域でのブルーカーボン。淡水域でのブルーカーボンはグリーンカーボンと呼ばれることもありますが、これも幾つかのところで行っていきたいと思っております。

 外国人の皆さんが住みよいまちづくり。神戸は震災前、そして特に震災後、いろんな取組みが市民レベルで行われてきましたが、令和4年度は、留学生の皆さんが出身国の児童生徒に対して日本語を教える、そういうランゲージ支援員という制度をつくりたいと思っております。女性活躍のためには、神戸版理工チャレンジや企業認定制度を創設いたします。

 芸術・文化支援といたしましては、新開地のアートビレッジセンター、私も時々行きますけれども、閑古鳥が鳴いているとは言いませんが、あまり人影が見られない状況です。もっと多くの方々に利用する、特に子供たちにここでいろんな楽しい時間を送っていただくためのリニューアルに着手いたします。文化ホールにつきましては、これは三宮のビル、バスターミナルの中に新たな大ホールを造るための事業を整備いたしますし、西区のなでしこ芸術文化センターは10月にオープンいたします。

 力強い神戸経済、この基本的考え方は、目の前の危機をどう乗り切るのかという支援とともに、神戸の特に中小企業がコロナを乗り越えて新たな分野にチャレンジしていく、そういう視点が大事ではないか。このことは、中小企業家同友会の皆さんと議論をすると必ず出てくる視点です。

 そういう考え方で、企業版アーバンイノベーション神戸、新たな課題に挑戦する市内大企業と、そして必要な技術を持つ中小企業とのマッチングで、非常にいいアイデアだとか技術だとかを持っている中小企業が、その技術を生かした新たな挑戦をするというような取組みをしていくということ。

 それからもう1つは、経済支援を考えるときに、これはコロナが始まってから常々心がけてきたことですけど、神戸市だけでの単独支援ということも必要ですが、国が物すごく充実した支援メニューを持っている。これが敷居が高いんです、使える人は使えるけれども。中小企業家同友会の皆さんと意見を交換したときにすごく耳に残っているのは、「大企業は総務部があるけれども、私たちには総務部がないんです」ということ。これは非常にそのとおりだというふうに思います。やはり総務部がない中小企業は、せっかく国のいい支援施策があっても、このための膨大な作業をすることができにくいという面があります。

 そこで、神戸市が、特に今、企業にとって非常に重要な支援策になっているのが事業再構築補助金、あるいは資金繰りのための経営改善計画、こういうものを策定する、あるいは申請するための手続、これは士業の方々に手伝ってもらわないといけないわけですけれども、そういうような手続に対して支援をするというふうにいたしました。そして、国からの確実な支援獲得につなげていくということです。

 神戸のファッション産業への支援といたしましては、地場産品の購入に利用可能なウェブクーポンを発行するということにいたしますし、それから、新たな産業用地ですね。おかげさまで、神戸の内陸工業団地はもう残り少なくなってきました。非常によく売れています。引き合いがたくさんありました。私のところにも毎日のように、売れました、売れましたという決裁がいっぱい回ってきます。これは非常に楽しみな決裁ですね。懲戒処分の決裁なんか毎日のように見てうんざりしますけれども、こういう決裁が回ってくると、地図を見て、ここも売れたのか、ここも売れた、ここも売れた。わくわくしますね。なくなってきたんですよ。

 それで、この西神戸ゴルフ場の跡の産業用地、いよいよこれを本格化させまして、せっかく造るなら未来志向の産業団地を造ろうということで、再生可能エネルギーを存分に使っていく。できれば、スマート産業団地のようなイメージで産業団地を造っていきたい。そのための必要な予算を計上いたしまして、令和8年度の分譲開始につなげていきたいと考えています。

 雇用関係のものといたしましては、学生・外国人留学生の市内就職の促進、それからコワーキングスペースの設置なども行います。随分コワーキングスペースが神戸市内でもおかげさまで増えてきまして、やっぱりそこに行きますと、特に若い世代の皆さんがここで思い思いにタブレットやパソコンを開いて仕事をされている姿があります。

 昨日ちょっとお伺いをしたのは、この神戸市の助成制度を使った全く新しいタイプのコワーキングスペース。これ、北野の神戸で最古の異人館を改修してできたスペースです。北野メディウム邸という、本当にこれは行ってわくわくするような、異人館の中でコワーキングスペースがある。いろんな方が、何人かの方とお話ししましたけれども、「私は東京から神戸に拠点を移して、今ここを仕事場にしているんです」とか、「大阪に会社があるんですけど、神戸が大好きでしょっちゅう来ているんです」という方が集って、そして前は庭もきれいですし、見上げればこの異人館のひさしも見えるということで、ああいうコワーキングスペースというのは、何というのか、なかなか証明できないんですけども、まあ神戸らしいコワーキングスペースですよね。こういうものがどんどん生まれていっていただければ、そして新たな人材が神戸に、そういうところにも着目をして仕事に来ていただくというようなことにつなげていっていただければと思います。

 ブランド力を高める観光誘客を促進するために、アーティストにも参画してもらった神戸洋家具を活用した魅力発信などにも取り組んでいきたいと思いますし、あるいは、次のページの食都神戸を使った観光誘客、あるいは夜型コンテンツなども行っていきたいと考えています。

 スタートアップの創出支援も大分、政策も定着し成果が現れてきたと思いますが、令和4年度は、新規事業としてインキュベーターの誘致・定着を行うために、最長3年間の補助を分野特化型のものとして実施したいと考えています。

 スマートシティの取組みとしては、プッシュ型のポータルサイトを作るというような取組み、海洋産業の振興プロジェクトも引き続き継続的に行うようにいたします。神戸医療産業都市も大分、集積も生まれ、シナジー効果も生まれてきましたから、この取組みを引き続き進めます。

 まちづくりの観点からは、三宮の再整備、都心の再整備を発表してから、この構想をつくり、ビジョンをつくり、計画をつくり、大分姿が見えてきたように思います。もうこれを個々に説明する必要はないというふうに思います。今までやってきた取組みを、コロナの中ではありますが、確実に進めていきます。大分姿が見えてきましたし、その先にあるものも大分見えてきました。

 例えば、新神戸駅と神戸空港を結ぶ新たなアクセス道路、これもいよいよ具体化に向けた取組みを進めたいと思っておりますし、既存のものは予定どおりのペースで進めます。三宮周辺エリア、バスターミナル、それから周辺デッキ、南側広場、それから次のページですが、クロススクエア、そして地下空間(さんちか)の再整備、それから市役所の周辺エリア、隣の本庁舎2号館については、令和9年度完成を目指して、民間事業者の公募も行います。中央区役所・中央区文化センターも姿を現わしてきました。磯上公園での体育館も令和4年度に供用が開始になります。市役所周辺では東遊園地、それから歩道橋のリニューアルも進めますし、できるだけ自然の風景を都心で楽しむことができるようなアプローチでの街路や、あるいは園地の公園の整備などを進めていきます。ウォーターフロントにつきましても、これも既に計画をしていたプロジェクトが順調に進んでおります。

 駅周辺のリノベーションも予定どおり進んでおりまして、神戸の各地域で駅、それから駅前が大きく変わっていきます。三宮だけではなくて新神戸、神戸ですね。新長田、それから灘、それから王子公園の再整備も、コンセンサスが十分にできてくれば、王子公園の駅前も大きく変わっていくことになります。従来から拠点駅として考えていました名谷、西神中央、垂水、これも予定どおり進めます。西神中央は今年は区役所、それから、なでしこ芸術文化センターなどがオープンして、この2、3年中には見違えるような姿になっていくはずです。そして新長田、それから神戸電鉄沿線、こういうところが、各地域でこういうプロジェクトが進められることになります。

 以下、もう既定の方針にのっとって必要な予算を計上しているので、場所の話だけ、ポイントだけお話をさせていただきますと、新神戸駅は前も説明いたしましたデザイン、これもいろんな意見をいただきながら進めます。

 神戸駅については、とにかく今、目の前の課題の解決として大事なことは駐輪スペースがないということ、これは地下のタワー式の駐輪場を整備するということも含めて、湊川神社との動線も重視をした駅前再整備を行います。名谷、西神中央、垂水、それから新長田駅については、新長田の西神・山手線、海岸線の地下鉄の駅舎、これもリニューアルをするとともに、駅前の広場も整備をいたします。

 それから神戸電鉄の沿線ですね、北神線を市営化いたしまして運賃が半額になった。谷上で接続をする神戸電鉄のこの駅舎と、それから駅前広場、これも民間事業者の皆さんの参画を得て、そして、とにかく駅前でどんどん面白いことをやっていこうという動きが始まっています。そういう形で、谷上、鈴蘭台、岡場、有馬温泉、有馬口、花山、大池、北鈴蘭台、西鈴蘭台と、駅舎と駅前が大きく変わっていくことになります。神戸電鉄も、そうですね、50年、60年、駅舎、駅前の風景というのはほとんど変わってなかったと思うんですけど、この2、3年のうちに姿を変えていくということになります。

 もう1つの大きな課題はポートアイランド、六甲アイランドです。このポートアイランドは、確かに人口が定着をして、国際コンテナ戦略港湾の整備も進み、医療産業都市も集積をし、スーパーコンピュータ「富岳」はあるし、病院も大学もあるんです。パンフレットだけ見たらすばらしいんですよね、言葉でしゃべったらすばらしいです。行ってみたらがっかりするんですよね。レストランもない、居酒屋もない、あることはあるけど数が少ないんですよね。緑も少ない。思い切ってこれはリボーンしないといけないと、生まれ変わらないといけないということで、ポートアイランドの将来像を令和4年度中にはできるだけはっきりさせて、大きな方向性を出していく、既に街は出来上がっていますから、そのことを前提としたリボーンをしていく、新しい視点を入れたリボーンをしていく、生まれ変わるということをしたいと。

 もちろん、そういうことを全体的に考えるとともに、個々の施設も、青少年科学館、それから南公園、それからみなと空港線、これ、名前なかったんですよ。名前なかったら分かりませんよ、道路。みなと空港線という名前にしたんですよ、いい名前ですよね。私が考えたんではないけど。それからポートアイランドのスポーツセンター、これも老朽化していたものを整備すると。

 次は六甲アイランドです。これもAOIAの跡地なども再整備をして活性化につなげていくと。あとは、これも既定の方針の下に、さっき申し上げたアクセスの向上、国際コンテナ戦略港湾、大阪湾岸道路などの整備をしっかり行っていきます。

 市民参加が非常に重要ですが、そのためには市役所も変わらないといけない、DXを使った市民サービスの向上ということで、市民向けのポータルサイトを、これも来月ぐらいにはアップできるようにしたいと思いますし、ホームページの機能の更新、それから行政手続のスマート化、それからマイナンバーカードの普及ということに取り組みますし、区役所も順次新しくなってきています。建物が立派になるだけでは駄目なんですよね、やはり市民サービスがしっかり向上できるような、例えば西区役所で初めて取り入れたのは福祉の総合窓口です。今までは、用があるたびにいろんな窓口に行かなければいけなかったんですけれども、西区で取り入れたのは、これは完全ではありませんが、総合窓口に行ったら、用件に応じて担当者のほうが入れ替わると、こういうような新た取組みも、市民サービスを大幅に向上していく、ICTを使った業務の効率化ということを行っていきたいと思っています。

 非常に地味なテーマですけれども、最後のページにあるのが区役所の会計審査機能ですね。これ、区役所でばらばらにやっていた会計審査、これを本庁に集約をするということにいたします。それから区役所の銀行派出所、これ、何で銀行派出所が要るのかというと、旧態依然たる出納事務をやっているからですよね。10円玉とか100円玉をじゃらじゃら、窓口で使って払わないといけないからそういうことになるわけですから、これもできるだけキャッシュレスにして、そしてそういう業務を効率化するというふうにしたいと思っております。

以上、少し時間がかかりましたけれども、令和4年度予算の概略を説明させていただきました。私からは以上です。

質疑応答(発表項目)

 

記者:

 まず、ちょっと全体的なところで、今回の予算編成、3期目に入って初年度の予算編成ということになると思うんですけど、もちろんコロナ最優先ということの中で、あと、市長として、今回の予算編成、特にポイントというか、こだわった点などがありましたら教えていただけますでしょうか。

 

久元市長:

 やはりコロナ後を見据えるということと、前向きに、コロナの、目の前の課題にはしっかり取り組まないといけないけれども、とにかくコロナ後を見据えて神戸の街を進化させるということです。神戸経済も、前を向いて元気になるようなことを経済界の皆さんと一緒に考えていくということですね。商工会議所、経済同友会、中小企業家同友会の皆さんと相談いたしまして、やっぱりそういう思いを、経済界のたくさんの皆さんもお持ちですから、コロナ後を見据えた神戸経済の活性化、これは、いろんな議論をいたしました。

 先ほど申し上げましたように、新たな課題に挑戦できるように、少しでも行政がお手伝いをする。そのときに、やはり求められるのはSDGsだと思います。いろんな面での持続可能性、これも入れた経済の活性化を図っていくということで、カーボンニュートラルの視点というものも入れていますから、やはりそういうコロナ後を見据えて、この神戸の、そして神戸経済の持続可能な成長戦略につながる、そういう予算にしたいという思いを込めて編成をいたしました。

 

記者:

 分かりました。そういった中で三宮の再整備とか、駅周辺の整備で、今回で合わせて300億を超えるという、かなり巨額の投資になると思うんですけど、当然一方で、市債残高というのも増えていくとは思うんですけど、そのあたりの財政の健全性についてはどのようにお考えでしょうか。

 

久元市長:

 財政の健全性を測る指標といたしましては、実質公債費比率と将来負担比率があるということは従来からお話を申し上げてきました。これは20の政令指定都市の中で、明らかに神戸よりも財政構造がいいと、両方とも神戸よりいいというのは3つだけですね、3市です。ですから、震災の後、数年後ぐらいのときは、財政再建団体になるのは神戸ではないかといわれておりまして、そのときの危機感というのは、私も当時霞が関で仕事をしていて感じたものですけれども、その後の財政健全化、そして行財政改革の努力、これは矢田市長のもとで、職員の皆さんが一丸となって行った結果だと思いますが、大きく改善をいたしました。私が矢田市長から市長を受け継いだときに、やはりこれを無駄にしてはいけないと、こういう努力を損なうことがあってはならない。しかし、同時にそういうおかげで未来に対する可能性が開けてきたので、この可能性というものを最大限生かして、どういうまちづくりにするのかということを考えてきたつもりです。それがようやく、目に見えるものが見えてきた、状況の変化に応じて修正していかなければならない面もあろうかと思いますが、やはり目に見えてきたこの姿を、できるだけ早く全貌が見えるような形で、スピード感を持って進めたいという思いです。

 そこで、そのことが財政の健全性にどう影響するのかということですが、投資的経費が、私が市長に就任しましてから伸びてきたことは事実です。その影響は、現時点では、先ほどの2つの指標の悪化にはつながっていません。恐らく令和3年度予算も、これは若干改善する予定です、令和3年度。しかし今後この事業を、予定どおり進めば、この両方の指標は少し悪化することは確実です。しかし、悪化したとしても、その状況は平均的な指定都市の指標、あるいは国の財政健全化法が求めている指標、健全性として示している指標を超えることはない、むしろそこの範囲内で収まる、そういうことを考えながらこれからの投資規模というものも考えていきたいと思いますし、令和4年度予算についても、そういうようなことも踏まえながら、必要な投資的経費を、主要プロジェクトも含めて計上させていただいたつもりです。

 

記者:

 分かりました。あと1点だけ、施策の部分で、子ども・子育て施策に、新規や拡充というか、施策が非常に目立つんですけど、それの狙いとしては恐らくそういう、若年層に神戸に来ていただきたいという、いろんな狙いがあると思うんですけど、一方で高齢者の施策、少し真新しさに欠けるかなというふうに感じたんですが、このあたりはどのようにお考えでしょうか。

 

久元市長:

 これは神戸だけの問題ではないんですが、高齢者施策というのは介護保険制度ができるまでは、それぞれの自治体が、かなり創意工夫を凝らしながらいろんなことをやっていたわけです。あるいはやらざるを得なかったと言ってもいいかもしれません。2000年前後だったと思いますが、介護保険制度ができて、これで高齢者施策というものは制度的に安定をいたしました。現実には財政的にも、実態としていろんな問題だらけですけれども、制度的には安定をしたと、介護保険制度は。そうすると自治体としてやらなければいけないのは、この介護保険制度でカバーできていない部分、これに力を入れると、神戸市は特に保健大臣会合を開いたということもあって、やはり認知症対策、認知症神戸モデルというのをつくって、この予算も、認知症の予算は3か年延長していただくことが、議会の理解を得てできました。そして、これを延長いたします。できれば、最初のモデルは一種の実験でしたから、手探りという面もあったんですけれども、これに必要な、例えば保険制度も、これももっと効率的にできるようにしたいと思いますし、その一方で、先ほども申し上げましたけれども、認知症の方の社会参加を促進するための無料派遣とか、それから、これは全国的にも初めてだと思うんですけれども、御家族の方が預金をなかなか引き出せないという、社会問題になっているんですけど、これも金融機関の皆さんの理解を得て、協定を結んで、これをできるようにしたというようなことをやってきました。

 それとやはり、これは令和4年度予算の中でも力を入れている部分ですけれども、シニア世代の皆さんは、1人1人、おかれている心身の状況が違うわけですよね。90代を過ぎてもぴんぴんして、いろんな仕事をされている方もいらっしゃいます。やはり元気なシニア世代の皆さん方、たくさんいらっしゃって、そういう方々の多くは、やはり職業生活としての自分の経験を生かして社会に貢献したいと思っている方、たくさんいらっしゃいます。そういう方々に参加をしていただくような取組み、それが、これはシニア世代とは銘打っていないんですが、先ほどのNPOや市民の皆さんのいろんな幅広い活動支援もかなりのシニア世代の皆さんが参加していただけるのではないかと期待をしています。

 もう1つ、これは新規施策ではありませんが、シニア世代の皆さんの健康相談ダイヤルです。やはり独り暮らしの方がすごく多くなっていると、なかなか相談をする相手がいないという方もいらっしゃるので、気軽に電話で相談するためのシニア相談ダイヤルもつくりまして、少しずつ増えています。これは、あんしんすこやかセンターなどから周知してもらう。それから、高齢者の皆さんに送る様々な書類に同封したり、広げていきたいと思っております。

 

記者:

ありがとうございます。

 

記者:

 2つお伺いしたいんですけれども、1つは先ほどおっしゃっていたようにポストコロナを見据えて、持続可能な神戸の街や経済をつくっていくということなんですけど、経済の部分で特に持続可能な成長につなげるという意味では、1番核となっている施策というか、中心となっている施策というのがもしあれば教えてください。

 

久元市長:

 中心的な施策は1つの施策ではないんですが、先ほど申し上げましたような中小企業の皆さんのアーバンイノベーション神戸とか、それから、カーボンニュートラルなどの取組みに対する支援とかいうようなものが、それに当てはまるのではないかと思いますし、あとは、これは新規施策ではありませんが、例えば、六甲山上スマートシティ構想などもポストコロナを見据えた取組みをいち早くスタートさせたわけですけれども、そういうものも対象になると思います。

 あと、当然のことながら、今、目の前で売上げが落ちている特に店舗ですよね。店舗に対する支援としては、先ほど申し上げたような新たな視点も入れたり、あるいは割引クーポンなどを取り入れたような施策も行っていますから、目の前のそういう対応をするとともに、ポストコロナをにらんだ施策と組合せていると御理解いただければと思います。

 

記者:

 分かりました。ありがとうございます。

 もう1点が市長選で当選された後の会見で、人口減対策をすごく強調されていたとは思うんですけれども、人口減対策も1つの施策ではないと思うんですね。ただ、今回の予算編成に当たって、人口減という対策の観点からここにこだわったとか、こういう方向性を大事にしたというところがあれば教えてください。

 

久元市長:

 やはり神戸の魅力、街としての魅力です。神戸の街に降り立って、「いい街に来たな。この街はすごくすてきな街だよね」と思えるような、そういう雰囲気というのはすごく大事だと思うんですね。そういう意味で、三ノ宮の周辺もそういうような意識で整備を進めてきましたし、これからもそういう形になってほしいと。

 新神戸の駅も改札口を出て、神戸の街が見渡せる、そのときに今のままではがっかりするわけですよね。それを見違えるような形にしたい。これを新神戸とか神戸とか、ほかの駅もそんな形にしていきたいと思います。

 あとは、街としてのわくわく感ですよね。そういうものはやはり行政だけではできないけれども、行政がそういうようなインフラ、あるいはまちづくりというものをやって、それが市内の民間事業者の皆さんの新たな取組みにつながるし、先ほども北野のお話をしましたけれども、神戸に面白い場所ができたね、面白い人たちがそこに集まっているねというようなことで、新しい皆さんも神戸に来て、遊びながら、「やっぱり神戸で仕事しよう」というような、そんないい雰囲気の循環ができていければいいと思います。

 それで申し上げていることは、神戸にやっぱり住みたい、神戸で働きたいと思うためには、日常性、暮らしやすいということと行政サービスも、特に若い世代の皆さんを呼び込むためには神戸で学び、神戸で子供を産み、神戸で子育てをする環境というのが必要ですから、そういう意味での日常性ということと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、神戸の街を歩いたらわくわくするという非日常性というもの。この非日常性を構成する要素というのは、芸術・文化とスポーツだと思いますし、街のたたずまいもそうかもしれません。

 そういう非日常性が組み合わさった形で魅力をつくっていくと。何々を無料にしました、何々を配りますというような、そういう一種のばらまき的発想からは、それをやって幾ら人口が増えましたというような、そんな発想からは私は距離を置きたいと思います。

 

記者:

ありがとうございました。

 

記者:

よろしくお願いします。

 まず、財政面のほうからお伺いしたいんですけれども、財政調整基金についての考え方、補正予算も含めて今回どういうふうに判断したというところを教えていただけますでしょうか。

 

久元市長:

 財政調整基金はコロナ対策でかなり取崩してきましたけれども、やはり年度間調整のために必要な残高は残した形で編成をいたしました。令和3年度決算の状況と、それから令和4年度の予算執行の状況を見ながら、年度末にどれぐらいの水準に回復するのかというのはまだ分からないですけど、予算の執行過程に入ってから考えることですけれども、できるだけ令和4年度末に積み増しをできればしていきたいと思っております。

具体的な数字がもし財政当局のほうからありましたら。

 

職員:

2月補正で3億円、昨年度の利益を積ませていただきまして、今の見込みでいきますと75億円というのが残高になってございます。

 

記者:

神戸市の財政規模だったり、人口規模だったりでいうと本来これぐらいあればいいなみたいなところの目標額があれば教えていただけますでしょうか。

 

久元市長:

 絶対的にこれぐらいの額がなければいけないというのは、これは昔から、なかなか客観的な指標というのは見出しがたいとは思うんですけれども、75億円は明らかに少ないですね。やはり最低3けた(億円)はなかったら、100億円をかなり上回るレベルの財政調整基金がなければ、年度間の急激な経済状況の変化とか税収の急激な落ち込みだとか、あるいは急激な出費だとか、そういうものに対応はできないと思います。

 

 ただ災害への対応というのは、国の災害対応というのはかなり近年充実してきていますから、災害が起きてすぐに財政が窮するということは常識的にはなかなか考えにくいんですけれども、それ以外のいろんな突発的要因というのがありますから、100億円を切っている水準というのは、これは不足していることは間違いありません。先ほどもそういう観点で申し上げたのは、これは年度途中でもできるだけ、年度末に積み増しをしていくことができるような財政運営というのをやっぱり心がけていかなければいけないと思います。

 

記者:

 ありがとうございます。

 あと、先ほどの質問で、ばらまきからは距離を置きたいというような発言もされていましたけれども、18歳以下への10万円給付を一部自治体では所得要件をなしに配っているところもありますけれども、そのあたりはどういうふうに考えいますでしょうか。

 

久元市長:

 これは国の制度で、国が十分考えて必要な所得を対象とした制度にしたわけですから、国の制度を自治体として執行するという原則に基づく運用をしたい。したがいまして、これを神戸市の財源で対象を拡大するとか、無限定にこれを交付するということは考えておりません。

 

記者:

 ありがとうございます。

 人口減少の関係で言いますと、当選後の会見で、ニュータウンのオールドタウン化が問題になっているというような発言もされていたと思うんですけれども、今回の予算で言うとオールドタウン化対策というのが、「これ」というのがちょっと分からなかったんですけれども、そのあたりはどういうふうなものになるんでしょうか。

 

久元市長:

 決定的なものではないかもしれませんが、人口移転策として2つのタイプがありまして、兵庫区よりも西北のエリアに対して移転をする神戸移住型というものですね。もう1つは団地活用型、これは4階建て以上でエレベーターがない賃貸住宅です。オールドニュータウン対策は神戸市の市営住宅、これもかなりたくさんあります。これはできるだけ集約をすると、人口減少時代ですから空き家が多いところはできるだけ集約をすると。市営住宅の総枠も減らしてきています。

 賃貸住宅についても、これは神戸市の市営住宅だけではなくて、特にURさんが物すごくたくさんの住宅を持っていますから、これも集約をするという方法、あるいは活性化するということをURさんと一緒にやっていきたいと思うんですが、それでもやっぱり5階建てでエレベーターがない住宅で、まだそんなに老朽化していないところはかなりあるんですよね。そういうところに、特に若い世代は5階まで上がるのはそんなに苦痛ではない人も、シニア世代は結構大変ですけど、有効活用できる、これも1つですね。

 それからあとは、やはりオールドタウン対策としては、既に分譲されている集合住宅、これはなかなか難しい課題で、いろんなワークショップをしたりしているんですけれども、これはそれぞれのオーナーの皆さんがどういうリニューアルをするかというようなことに相談に乗っていくような対応も必要でしょうね。

 神戸電鉄沿線の、例えば唐櫃台とか花山とか大池とか、この周辺は一戸建てがあるエリアもありますが、分譲した集合住宅もかなりありますし、名谷の周辺、それから西区にもそういうところがあります。そういうところは利便性をどうやって高めていくのか、駅前を魅力あるものにするとともに、駅前からの交通ですよね、これをどう確保するのか、ラストワンマイルと言われる部分を含めて。そのためのコミュニティー交通、今日は説明しませんでしたけれども、コミュニティー交通も軌道に乗っているところがかなり増えてきていますから、新たなコミュニティー交通の取組みをして、そういうオールドタウン化しているところであっても、駅まで便利に行ける、病院まで行ける、買物ができるというような足の便を確保するということも、今日はちょっと説明する時間がありませんでしたけれども、力を入れている部分です。

 

記者:

 最後にもう1点、三ノ宮の空撮のやつを出していただけたらと思うんですけれども、これで言うと元町周辺が特段何か動きがあるように見えないんですけれども、多分、県庁との動きとかも関係してくるとは思うんですけど、そのあたりの考え方をお聞かせいただけますでしょうか。

 

久元市長:

 そうなんですよね。これは兵庫県と一緒に元町駅の周辺をやろうということなので、昨日も直接、齋藤知事と予算そのもので意見交換をしたことはありませんが、県庁の再整備計画をもう1回見直して、その際、神戸市ともよく相談をし、連携を強化するとおっしゃっていましたね。これはぜひ一緒にやりましょうというお話を齋藤知事からもいただいているので、兵庫県の検討委員会には油井副市長がメンバーに入っているので、もともとこれは一緒にやってきているんですけれども、兵庫県の考え方もしっかり聞いて、一緒に元町周辺の活性化やっていきたいと思います。

 もう1つ、神戸市としてやっぱりやらないといけないのは、民間の、結構年数がたっているビルがあるんですね。これのリニューアルというものをどうしていくのか。これ、民間ビルですから、行政が介入するのはなかなか難しいんですけれども、今年度新たに神戸市の外郭団体として、OMこうべの関係会社として設立した会社は、そういう民間開発をリサーチしてできるだけリニューアルに結びつけていくような取組みに、民民のものを神戸市の外郭団体が加わった形でリニューアルにつなげていくことを狙いにしているので、まだ手探りの状況ですけれども、そういうような取組みをしたいと思います。

 ただ、難しいところは、ビルを新しくすればいいというものでもないんですよね。私も古いビルに時々、勝手に入ったら怒られるのかなと思いながらも勝手に入ったりするんですけれども、ぴかぴかのビルでスタートアップできないんですよね。新しくビジネスを、脱サラしたり大学を卒業して新しく仕事をスタートするのは、家賃が安くないといけないんですよね。家賃が安いビルは古いビルなんですよね。そこから例えば、もう本当に畳2畳ぐらいのところでスタートして、だんだん広いところに移って仕事をするとして、ビジネスを広げた方もたくさんいらっしゃる。そうすると、古いビルというのはやっぱり要るわけですよ、ある程度。そういうものとの兼ね合いを考えながら、どうしたら街のリニューアルを図っていくことができるのかというのは課題ですが、いずれにしても、そういうような問題があるんですね、この元町駅の周辺に。元町駅からずっと神戸駅にかけて。

 だから、それは神戸市の中心部の開発を考える上での大きな課題だと思いますし、そこは、大阪であればもう完全に民間に任せていたら動くかもしれませんが、神戸の場合には、やっぱり行政も関わるのが求められるのではないかなと。難しいんですけども、関わっていきたいと思います。

 

記者:

ありがとうございます。

 

記者:

 海と山が育むグローバル貢献都市の実現というのは2025年の神戸ビジョンにもなっていると思うんですけども、今年、2022年度というのは、そのビジョンの実現に向けてどのような位置づけにあるというふうに捉えられているでしょうか。

 

久元市長:

 これ、2025ビジョンをつくって、そして2022年度予算ということになるわけですから、ここでイメージされているものをできるだけ具体化していく、そして、既に進められているものは、予定どおり、あるいはできればもっとスピードアップして進めて、できるだけ早く実現していく、そして、これがどういうイメージなのかということが神戸のいろんな場所で姿を現していく。神戸はすごく市域が広い都市で、エリアによって顔がそれぞれ異なりますから、それぞれの場所でその姿を現わしていって、具体化が進む年であってほしいと思います。

 

記者:

 もう1つです。66ページからある三宮周辺の再開発とかいうことを踏まえて、未来に輝く神戸の街をつくるという7つの指針のうちの1つですけども、現在の進捗度合いとしては、どのぐらい進んでいるというふうにお感じになられていますか。

 

久元市長:

 うーん、難しい質問ですね。どれぐらいなのか。

 これから新しく、つまり、どれぐらい進んでいるのかというのは、この計画がもうフィックスして、それに対する進捗割合ということなのかもしれませんが、これだけ広いエリア、しかもすごく歴史のある、しかも戦災も震災も経てきたこのエリアをリニューアルするというのは、フィックスした計画があって、それに向かって目標を進めていくというアプローチとともに、そこに新しい計画が加わっていくという要素もありますね。

 

 例えば、これは非常に難しい課題ですけれども、センタービルとか三宮のセンタープラザの西館とかはかなり老朽化していますし、あれはやっぱりいずれやっていかないといけないんですよね。なかなかほっとけない。ほっとけないけれども、あれは地権者が多数に上りますから、コンセンサスも相当要るというので時間もかかる。そうすると、ああいうプランというのも少し時間が要るかもしれないけれども、これをそこに入れていかないといけないという面があります。そういうふうに新しい要素も変わっていくということですから、今、何割進むというのはなかなか言いにくい面はあると思いますけれども、全体としては、イメージでいうと、まだ実際に姿が見えてきているのは1割もないだろうと思います。見えてきたのは阪急神戸三宮ビルとあの北の広場ぐらいですから、これから、東遊園地、それから歩道橋、2号館、こういうものが見えてきて、ウォーターフロントもずっと見えてきて、かなりこの2、3年のうちに、この1割が2割か3割ぐらいにはなっていくだろうと思います。

 

記者:

ありがとうございます。

 

記者:

 カーボンニュートラルのあたりで確認したいなと思うんですが、スライドの49のところで、カーボンニュートラルポートの形成というところで、このあたりが少しずつ具体化し始めたのかなと思うんですが、カーボンニュートラルポート自体は、ほかの都市、横浜だったり川崎だったりとかも進めているところだと思うんですけども、そういう意味で、神戸ならではというか、神戸だからできるカーボンニュートラルポート、そんな感じの強みって何なんだろうかというところがあればお願いします。

 

久元市長:

 カーボンニュートラルポートについて、これは、我が国の大きな港がやはり等しく取り組んでいかなければいけない。特に国際コンテナ戦略港湾である東京港、大阪港、横浜港などの京浜、阪神エリア、それから名古屋、こういうところは、福岡もそうかもしれませんが、等しく取り組んでいかなければいけない話で、何か切磋琢磨してお互いに差異化しなければいけないというものではないだろうと。むしろ、足並みをそろえて、国土交通省とも連携をして、各港が一緒に取り組んでいくという視点が大事ではないかと思います。

 

 その上でいうなら、神戸の場合には、やはり水素エネルギーの利活用、水素サプライチェーンの構築、これは、大規模な液体水素の運搬船を持っているのは川崎重工さんだけですし、本格的な荷揚げ施設も持っているのは神戸だけですね。そういう意味からいうと、時間がかかるかもしれませんが、そういうサプライチェーンを持っているのは神戸の1つの強みではないかと思いますし、そういうところに着目して、ポートアイランドには大規模な水素ステーションが計画されているわけです。ここは、自家用車だけではなくて、トラックとか大型車両、さらにはここから港湾施設にも水素エネルギーが供給できるという姿になると。これは1つは、ここに供給される水素は、空港島に荷揚げされる水素はすぐに使えるわけではありませんが、別のところから供給されるとは思うんですけれども、こういうふうに水素エネルギーについての取組みをかなり早い時期からやってきている、そして水素サプライチェーンの構築が確実に進んできているというのは、神戸の特徴ではないかなと思います。

 

記者:

 それと少し関連するかと思うんですけども、先ほどのポートアイランドの、街の活性化というか、カフェもない、ビルもないみたいなこともありましたけども、このポートアイランド全体を盛り上げる、活性化するには、どういったところが重要になってくるとお考えでしょうか。

 

久元市長:

 今までは、医療産業都市を集積させる、医療産業都市の課題としてシナジー効果がなかなか生まれていない。これは商工会議所の家次会頭もかなり早い段階からおっしゃっていた話で、私も同じ問題意識を持っておりました。このシナジー効果がかなり生まれるようになってきていると思います。そこの面はまだまだの面もありますが、医療産業都市としてはかなり進化してきた。やっぱり街の魅力だと思うんですよね。ここですごいすばらしい研究が行われているし、新たなテクノロジーも生まれているし、新たなシミュレーションも行われているんですが、ここで働いている人たちがあそこで働き、例えば昼飯を食いに行くとか、仕事が一段落終わって、海外からもお客さんが来たからワインでも飲みながら何か打合せしようというときに、なかなかそういう店も少ないですよね。三宮に出たらいいかもしれないですけども、しかし、研究学園都市というのは、海外の研究学園都市も、私もそんなに行ったことはありません。そこの研究学園都市自身が1つの魅力を持っているケースがありますね。場合によったら、そこですばらしい地元の料理が食べられて、地元のワインが楽しめて、映画館まであるとか。それから、海外の研究者とか日本の研究者もそうかもしれませんが、趣味を持っている人もたくさんいる。絵が好きな人、音楽が好きな人、サッカーが好きな人、そういう場所があんまりないんですよね。サッカーしようと思ったらできるかもしれないけれども。

 

 そういう意味からいうと、このポートアイランドの中には日本芸術会館という会館があって、すごくいい展覧会をやっていますよね。ここを、しかし、神戸市役所はなかなか交渉もなかったんです。ぜひそういうような、一種の美術館と言ってもいいかもしれませんが、そういうところにも行ったりして、何かもっとゆったりした時間を過ごすことができるような、魅力ですよ、一言で言うと。街としての魅力。海上文化都市としての魅力。

 

 それから、決定的に足りないのは、これ、私、市長になった日から言っているんですけど、緑です。緑が決定的に足りないんです。ずっともう100回ぐらい庁内で議論したんですけど、なかなか進まないんですよね。緑がない、緑が。緑と、それから憩える場所、あるいはアートとかスポーツとか、そういうような要素が点としてはある。点としてはあるけれども、ここで働いたり、ここで研究したり、ここで勉強したりしている人たちが、気軽に使えたり自分たちでやるような機能というのがなかなかないんですね。とにかく、一言で言うと魅力です。クリエーティブな人たちがたくさんおられるわけですよね。そういう人たちが仕事以外でも楽しんでもらえるような街に、そして、ここに来る人たちも、ここに来て、目的のところだけ行って、仕事の話だけして帰ってくるのではなくて、せっかく来たんですからもうちょっと街を楽しんでいきましょうとか、なかなかそういう要素がなかったらいけないと思うんですよ。

 

 例えば渋谷区と連携協定を結んでいるんですね。渋谷区にはスタートアップがわんさかあるわけですよ。スタートアップがわんさかあるのは、あそこにスタートアップがある産業拠点だからということもあるけれども、あの渋谷区のところの街を歩けば楽しいんですよね。面白いことがいっぱいあるわけです。いろんなお店がいっぱいあるんですよ、あらゆる業種の。店もいろんなタイプの店がいっぱいある。広い通りもあれば路地もある。路地裏には何か、知る人ぞ知るような店がいっぱいあるから面白い人たちが集まってくる。面白い人たちがいっぱい集まるから面白い人たちがもっと集まってくる。

 

 ポートアイランドは、すぐに渋谷にはならないかもしれないけども、決定的に足りないものをどうつくり上げていくのかということだと思います。

 

記者:

ありがとうございます。

 

記者:

 今回、予算として子供や若者ケアラーへの支援であったり、あと、高校生への定期補助、また、認知症に詳しい看護師の無料派遣であったりセーフティーネットの住宅の確保など、今回新たな取組みとして行われている、弱者であったり高校生といった若い世代への支援策について、何か市長の思いというものがあれば教えていただけませんか。

 

久元市長:

 高校生の通学定期助成は、幅広く、所得制限を設けていないのでちょっと今おっしゃったカテゴリーの中には、特に負担が非常に重い、過重になっている方々の負担を少しでも減らそうというものですからちょっと色合いが違うかもしれませんが、繰り返しになるかもしれませんが、もともと格差というものが進行してきた。そこにコロナが襲って、厳しい状況に置かれる方がさらに厳しい状況になっている、全てがそうではないかもしれないけれども、そういう面があるということは言えるのではないかなと思うんですよね。一人一人が置かれている状況というのは千差万別ですから、なかなか詳しい状況は分からないけれども、しかし、起きてきている、ある事象というものがその人だけの問題ではなくて、実は似たような状況に置かれている人がかなりいると推測されるような方々、そういうカテゴリーの方々に対して、やはり目を向けて必要な支援を行っていかなければいけないのではないか。その典型的な事例が、やはりヤングケアラーであり、ひとり親世帯であり、現実に毎日の食料の調達に苦しんでいるような方々ではないか。ほかにもおられるかもしれません。しかし、間違いなくこの3種類の方々は、やはり助けを待っているということではないかなと思うんです。支援を待っている。助けという言葉は適当ではないかもしれませんが、支援を待っている。そういうところに目を向けて、これは行政だけではなくて、そういう問題意識を持っている市民や企業の方々と一緒に、少しでも支援につながるような手だてを講じていこうと。そういう考え方で必要な予算を組むことにいたしました。

 

記者:

 三宮再開発の関係なんですけれども、以前に県の齋藤知事が、大きなこの先の事業の全体像を見直す中で、神戸市が取り組んでいる再開発事業で新たに着手する事業については、今後、出資をやめるというような、基本、暫定方針といいますか、そういうのをお出しになられていましたけれども、今日、お話の中でも、これから手をつけなければいけない、ほっておけない場所がまだ三宮に残っているというお話がありましたけれど、かなり進捗はしていると思いますが、先々、恐らく県とまた調整をしていかなければならないと思うんですが、影響とかそのあたりについてどういうふうにお考えでしょうか。

 

久元市長:

 当初の県の行革の方針では、これは神戸だけではないかもしれませんが、再開発事業については新規の県の助成は見直すということが盛り込まれていたわけですが、これについては、令和4年度予算ではそういうことはしないで、令和4年度に十分議論しましょうということになっています。それから、継続のものは、これは初めから県としてもしっかり引き続き支援をしていただけるということでした。

 

 ですから、結論的にいうと、令和4年度神戸市の予算で、従来から兵庫県にお世話になっていた再開発事業について影響を受けることはありません。新規のものについてどうするのかというのは令和4年度にまた、これは神戸市だけではありませんが、兵庫県のほうで各市町と相談されることになるのではないかと思います。

 

 再開発事業も含めて、兵庫県からのそういう見直しについては兵庫県からいろんな提案があろうかと思いますが、我々としては、やっぱりそれはしっかり真摯に受け止めて、お話をしっかり聞かせていただいて、県、市にとっていい方向を見いだしていきたいと思います。

 

記者:

ありがとうございます。

 あと、別の1点なんですけれども、先ほどお話の中に神戸のまちづくりの方向性で、日常性と非日常性ということで、非日常性には文化、アートですとかスポーツあるいは町並みのたたずまいというお話がありましたが、アートに関してですが、市は昨年度、2号館跡地のビルの計画内容の文化ホールの見直し、コロナで今必要な支援等に当てるために見直しをされて、文化関係の支援の枠というのはかなり、20億でしたか、将来的にやっていくということで方針があるかと思うんですが、今年度に関していうと、今年度はかなりの事業を、実際、おやりになっていて、令和4年度に関しては、継続事業はありますけれども、すごく目立ったものというのは、今のところ特にそんなにはないのかなと思っているんですけど、恐らくこれは年度途中なり、今後、アートについてというのを伺えますでしょうか。

 

久元市長:

 緊急のコロナ対策として、アート関係者に対する支援というのは令和3年度に補正も含めてやりましたし、それを令和4年度予算については、アートを使ったまちづくりとか、あるいはアートを使った観光あるいは神戸の情報発信ということで、ここにかなり神戸のアート関係者も参画をしていただける、実際にこの活動の場として広がっていくのではないかと思います。

 あと、ハードについていうと、もともと音楽専用ホールをやめることに伴って、バスターミナルの2期に予定されているホールについて、これはホールの仕様を見直して、かなり音響効果の高いホール、ステージにするような設計変更をすることにしておりますから、それも必要な経費が出てきて、そこにお金が充てられるということになります。

 あとは、先ほどもちょっと言いましたけれども、新開地のアートビレッジセンター、これも大体いろんな方々に入っていただいて、特に子供たちがアートに親しまれるような内容に見直すということで、これも必要な設計をしますし、必要な事業費というものも出てきます。そういう形で、アートを重視したまちづくりということはしっかりやっていきたいと思います。

 

記者:

 ちょっと抽象的な質問になるんですけども、こういう行政が予算を使って何かやるといったときに、都市経営として、どこまでを行政が担って、どこまでを民間に任せて自由にやってもらうかというのは常に議論になるところだと思うんですけども、今回拝見して、特に経済振興策に関して、どれも全然行政がやっていても全く違和感がないといえばないし、ここまでやるのかと思わないでもないというような両方の印象を受けるんですけども、市長の判断基準として、特にこういう経済振興策みたいなプラスアルファのことをやるときに、どういう原則というか、基準を持って、何をどこまで行政が担うのかということを決めていらっしゃるのか、もしお考えがあればお聞かせください。

 

久元市長:

 まず、経済活動は、民間事業者の活動が思う存分自由に展開できるようにするということが基本で、この分野での行政の役割というのは、基本的にはインフラ整備の部分だろうというふうに思います。それが基本です。これは、どこの自治体、どこの地域にあっても当てはまることだというふうに思いますね。典型的にいうと、道路を造り、鉄道を引き、街の駅前をきれいにし、街路樹を植え、街灯を作り、もちろん上下水道とかそんな話は当然ですけども、そういう魅力のあるまちづくりをして、そこに様々な企業が立地をする、あるいは神戸市民が新たなビジネスを起こす、人がたくさん集まってくる、人がたくさん集まってくることによってまた新たなビジネスが生まれると。

 神戸は、戦前から港ができて、あらゆるものが神戸の港から入ってきて日本中に広がっていく、そういう人と物とサービスとアイデアと、推理小説から、スポーツから、いろんな食習慣から、そういうものがどんどんどんどん広がっていったところなんですよね。神戸市がそれに対して何かしたのかというと、恐らく、今神戸市がやっているほどには多分していなかったと思うんですよ。インフラを整備するのが大きな目的で、あとはもういろんな人が集まってきて、それは本来の姿なんでしょうね、恐らく放っておけば。

 しかし、これは日本全体がそうですけれども、残念ながらこの日本の経済の成長力というものが悪くなってきて、イノベーションの力というものも大分落ちてきたときに、これはやはり国もそうですけども、自治体もそうですけど、行政というものがかなり前に出てやるようになってきた。これは大きなトレンドです。ただ、そのありようはその時々の社会状況によって違うということと、それから、街の特性によっても違うということです。これは非常に残念なことですけども、神戸は、特に戦前はそうですけど、右肩上がりで伸び続ける、人口も増える、それから企業も増える、来街者も増えるというときには、行政は退いていればよかった。

 しかし、神戸は、恐らく既に震災前に1つの行き詰まりを見せていただろうと思うんですよ。つまり、港から空港になっていったし、港も、この神戸の港の優位性というのが失われてきた。恐らく、それに気づき始めた1960年代、70年代以降の神戸市政は、株式会社神戸市、山を削って海を埋め立てるデベロッパー的経営手法というものを導入してどんどんやってきたけれども、山を削り続けるわけにはいかないわけですね。必ずフロンティアに到達する。既に震災前にはフロンティアに到達をしていたと。右肩下がりになっていたときに震災が起こって、それで、神戸の経済というのがかなり壊滅的被害を受けたのは震災だけの原因ではないと思うんですよね。その後の神戸市政というのは、先ほども申し上げましたけれども、財政再建をずっと行ってこざるを得なかった。そしたら、神戸をもう1回リバウンドさせようというときには、やはり通常の日本の都市が求められる以上に、誤解を恐れずに言えば、行政が関わる度合いというのが恐らく大きいのではないだろうかというふうに思います。

 そういう観点から、ここまでやるのかというようなものはないとは思うんですけれども、やはり神戸経済の活性化のために、業種、業態とか分野にはよるんですけれども、神戸市としてもインフラの整備を超えてやらなければならない分野というのは恐らくあるんだろうというふうに感じています。

 

記者:

ありがとうございます。

 もう1つ、すいません。それを踏まえて、当然、市債も発行していて、財源も限られる中での予算案だと思うんですけれども、特に、プラスアルファでインフラ以上のものを整備していくといったときに、今回、予算的な制約があって、やりたかったけどできなかったこととかというのは、何か挙げられるものってあるんでしょうか。

 

久元市長:

ありますけど言えません。

 

記者:

ありがとうございます。

 

記者:

 先ほど初めのほうに、積極的投資と、あと、財政健全化へのどれぐらい影響があるかという質問があって、2つの指標で、実質公債費比率と将来負担比率において、それが2つとも神戸市より上回っているのは3都市しかないと。今後、少しは悪化するかもしれないがというお話がありましたが、ちょっと難しいかもしれないんですが、今、かなり神戸市の場合、財政健全度というのは高い状況になっているということで、それが少し悪化したとしても、政令市とか他都市と比べて著しく悪いとか、そういう状況にはならないということだと思うんですが、どのレベルまでであればというか、それも許容の範囲というのがあると思うんですけども、市長のお考えとしては、平均値程度であれば健全性は神戸市としては保たれているし、当然そこまで、少なくとも投資とのバランスを見ながらでいうと、そこは許容できるというか、どのあたりをそのラインというふうにお考えでしょうか。

 

久元市長:

 それはなかなか言い難いと思いますね。それは財政健全化法で何%を超えれば地方債については国の関与が強くなるとかというものもありますから、当然そういうようなレベルは相当悪いレベルですよ。その範囲で収まっていなければいけないことは当然で、かなりの余裕を持って、そのレベル以下の財政構造をいつの時期も確保しなければいけないと思うし、若干上がっていきますけれども、2つの指標は。そこはそうならないように注意をしながら毎年の市債発行高のレベルを決めていくということ、つまり、それで投資水準を決めていくということですね。

 

 投資水準については、今日説明しているように大きなプロジェクトを行うに当たって必要なものと、典型的には道路整備とか公園整備とかそういうものもありますから、あるいは災害を防止するための必要な災害予防事業というものもありますから、そこはボリューム的にどの程度にするのかということ、この両方の視点で市債発行の規模を決めていくということに尽きるというふうに思います。

 

記者:

 神戸市は人口の調査でたしか20代半ばから30代半ばぐらいの方が転出超過だったと思うんですけども、そこら辺をターゲットに置いた事業とか予算づけで何かあればちょっと教えていただけますでしょうか。

 

久元市長:

 やはり神戸の大学あるいは短大、高専、あるいは高校を卒業した世代ができるだけ市内で就職をしてもらうようにするための施策というものは、これは特に中小企業向け施策の全体がこれに関わるというふうに思います。ただ、よりきめ細かな対応というのは当然していかなければなりません。

 今日は省略をしましたけれども、その1つが奨学金の返還支援です。融資型の奨学金を借りて、そんなに給与水準が低くない若い20代、就職してすぐのときにこの返済がかなり重荷になるということがありまして、市内中小企業に就職をして、そういう返済に対して、企業がこれに対して支援をする場合に神戸市も支援をすると。県も支援をする。神戸市はそれに上乗せして支援をするというのがありまして、これを拡充することにしております。

 それから、あとは企業とのマッチングとか。これはどこの都市でもやっている話ですけれども、そういうような取組み。

 それからあと、先ほど申し上げた大学間の連携も、やはり大学同士が連携をして、卒業生に対して神戸市内企業に就職をしてもらう取組みをもっと連携してやれば、より効果的な方法もあるかもしれないという大学間の連携というのも大事ですね。

 そういうような、ここに今日は説明できなかったソフト施策というのもかなり盛り込んでいますから、そういうものを市内の特に中小企業がうまく活用をして、この神戸市内の学生の就職につなげていっていただければ。

 やや目的は違いますけれども、先ほど申し上げました市立看護大学の入学金の引下げ、それから、市内就職した場合には実質的に入学金の見直しをするというのもその1つの例です。これももうちょっとで財政当局で蹴飛ばされるところだったんですけど、相当粘りまして、これは。

 

記者:

ありがとうございます。

 大学といえば王子公園も大変有効な活用方法、手法だということをおっしゃっているんですけど、これは丁寧に説明したいということなんですけど、パブコメの結果を見ても、大学がやっぱり必要なので、そこにはこだわりたいということなんでしょうか。

 

久元市長:

 やはり大学の必要性というのをもうちょっと丁寧に説明しないといけないというふうに思います。やはりあの近辺に住んでおられる方から見れば、今まで子供を連れて遊びに行って、遊園地で観覧車に乗ったり汽車ぽっぽに乗ったりして遊べるところがなくなって大学がやってくるというのは、自分たちのやっぱり庭のように使っていたところが奪われるという感覚になるというのは、それは分からないでもありません。

 

 しかし、神戸全体の今置かれている状況を考えたときに、やはりその必要性というものをよく理解していただく努力というのは我々はより一層やらないといけないし、そして、個別にいろんな要望もいただいていると思いますので、私も詳しくまだパブリックコメントは読んでいませんが、全体の土地利用の中でそれがかなえられるようなものがあるのかないのかというのもやっぱり考える必要もあるんだろうというふうに思います。

 

記者:

 ちょっと個別の政策の話になって恐縮なんですが、今年度は有識者の会議を持たれたトラムについて、来年度はどのようにされるご予定なんでしょうか。あるいはどのぐらいまで話を来年度中に進めたいみたいなものがありましたら、ぜひお伺いしたいです。

 

久元市長:

 トラムについては、予算の段階で一歩前に進むというところまでは行っていません。有識者というか、あの会議は私も出ましたけども、その後の議論の経過というのはよくまだ報告を受けていないので、それを見て、令和4年度に始まってから、次のステップをどうするのかということを考えたいというふうに思います。

 ただ、これは予算事項ではありませんが、フラワーロードの整備をこれからしていかなければいけませんが、このフラワーロードの再整備では、これはLRTがあの中央を走ると。LRTの線路を、軌道というふうに言ったほうがいいかもしれませんが、軌道を取ることができることを前提にフラワーロードのリニューアルをするということを予定しています。ですから、フラワーロードを南下するということを前提にしたフラワーロードの整備をしていく、周辺整備をしていくということです。

 

記者:

取りあえずそこだけは想定を、フラワーロードだけは想定をして整備をされるということ。

 

久元市長:

そうです。

 

記者:

ありがとうございます。

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