最終更新日:2020年5月28日
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市長定例会見の模様をお届けいたします。
上映動画(外部リンク)は↓(以下)のとおりです。
~「神戸ふるさと再発見」デザインコンテストの作品を募集します~
会見資料はこちら(PDF:6,741KB)
~「神戸ふるさと再発見」デザインコンテストの作品を募集します~
久元市長:
よろしくお願いいたします。
私から、今日お話を申し上げたい案件は2件です。
1点目は、六甲山上スマートシティ構想を策定いたしましたので、その内容をご説明申し上げます。
それから、2点目は、北神急行が6月1日に市営化をされ、神戸市の北部の里山、有馬の魅力が近くなりますので、これを契機にデザインコンテストの作品を募集することにいたしました。
それでは、1点目の六甲山上スマートシティ構想からご説明を申し上げます。
withコロナの時代、それから、最終的にコロナが克服をされてポストコロナの時代になる。そういうような長いスパンを考えたときに、やはり人々の働き方、あるいは暮らしというものは、かなり変わってくるのではないかという気がいたします。やっぱり、特にこのIT産業やクリエイティブな生き方を志向する人々は、残念ながら東京を目指してきました。集積が集積を呼ぶというような形で、東京一極集中が進んできたわけです。
しかし、コロナは言わばこの大都市の非常に密な空間の中から広がった感染症ですね。ニューヨーク、武漢、そして、東京、大阪、こういうようなところから感染症が広がったということを考えれば、今後人々の働き方に関する志向として、もっとゆったりとした、もっとこのソーシャルディスタンスを物理的に取ることができるような空間、つまり、豊かな自然環境の中で仕事をしたい、暮らしたいという志向が出てくるのではないだろうか。
そして、東京での暮らしというのは、非常に長い時間をかけて通勤をして、そして、職場に行くというようなスタイルが中心であるわけですけれども、自然に恵まれたところで職住接近の暮らし、働き方をしたい、あるいは自然の中に身を置いて、離れた人たちとコミュニケーションしたりするような、テレワークとかワーケーションとか、こういうような傾向というのも生まれてくる可能性があります。
いずれにいたしましても、そういう中で、心豊かな環境で、クリエイティブな発想を持った暮らしをしたいと。そういうような傾向が出てくるのではないかというふうに思います。
そういうような発想で、この六甲山、六甲山上というのは、これまで観光がメインであった。観光地であったわけですけれども、観光地の魅力というのを生かし、伸ばしながら、オフィスを展開するという場所として着目できないか。そういう観点からつくり上げたのが六甲山上スマートシティ構想です。
まずはコンセプトをご覧いただく上で、動画を少し見ていただければと思います。
(動画上映)
久元市長:
六甲山は神戸のシンボルです。古くから登山あるいは保養所、レクリエーションの場として、あるいはハイカーの皆さんにも親しまれてきました。
しかし、社会情勢の変化の中で保養所や別荘が老朽化をする、遊休化をするというようなことが起きてきました。残念ながら、かつてのにぎわいがなくなってきたわけです。しかし、六甲山の魅力は変わっていません。すばらしい夜景にも恵まれています。
この六甲山を観光の場所だけではなくて、先ほど申し上げたような観点から、ビジネスを展開する場所として先に着目をして、新たな観点からのにぎわいをつくることができないかというのがこの構想の目的です。withコロナの時代の新たなビジネスシーンをここで展開できないかというのがこの構想の目的です。
六甲山上スマートシティ構想は、次の3つの空間の実現を目指したいと考えています。
1つは、豊かな自然の中で集中してクリエイティブに働ける自然調和型のオフィスです。そして、スマートシティ技術の導入に取り組む最先端のテクノロジー。それから、企業やクリエイターの方々、そして、前から住んでおられる住民の皆さんが新たなコミュニティをつくる。そういう創造を産むつながりというようなことが考えられないかということです。
この自然調和型のオフィスは、六甲山上の遊休保養所を活用いたしまして、テレワークに使えるようなシェアオフィス、あるいは企業のサテライトオフィスなどの設置を促進していきたいと考えています。
それから、六甲山は残念ながら今、光ファイバーが通っていません。そこで、神戸市は単独事業として光回線の整備を行うこととしました。今年中にブロードバンドの通信環境が実現をいたします。都市型の創造産業を六甲山上で誘致するという試みを行っていきたいと考えています。
新たなこの支援の制度ですね。オフィスを建て替える。それから、改修をする。こういう補助制度を創設いたしまして、6月から募集を開始したいと考えています。
最先端のテクノロジーの実験をこの六甲山上で実現したいと思っています。ドローンによる配達、遠隔サービス、無人化サービス、こういうような最先端のテクノロジーの導入を行っていく。そして、山上の利便性を高める。快適な空間としてつくり上げていくということです。
Be Smart KOBEという事業を行っておりまして、6月の中頃にはこのBe Smart KOBEの採択事業者、株式会社トルビズオンが六甲山でドローンを活用した生活物資の荷物の配送サービスの事業可能性、実現性を検証する実証事業を実施することにしております。そして、新たなBe Smart KOBEのプロジェクトの事業者公募も開始をしたいと思っています。さらに、いろんなサービスの間でデータを共有し、サービスの高度化を実現するデータ連携基盤、これもつくり上げていきたいと考えています。
もう1つの3点目の視点が、創造を産むつながりです。企業あるいはクリエイター、住民の皆さんのコラボレーションの仕掛けをつくる。遊休施設を活用して、カフェや宿泊施設の一部をコワーキングスペースとして活用するような取組を推進したいと考えております。
そして、その拠点として、産業の交流拠点となる共創ラボ、これを来年の3月の設置を目指したいと考えています。新たなコミュニティの形成を目指すということです。
まずは、この共創ラボについて、この企画、それから、今年度内の設置、首都圏などでのITベンチャーやクリエイターへのオフィス進出の誘致、産業の活用可能施設の紹介・あっせん、リノベーションの提案、国内外へのプロモーション、こういうものを一体的に行う事業者を公募することといたしまして、これを6月から公募を行います。
具体的に六甲山上スマートシティ構想を推進する場所。これはパンフレットをご覧いただいたほうが分かりやすいかもしれませんが、この9ページにありますけれども、主要な道路に面している丁字ヶ辻から六甲スカイヴィラ付近、このエリアですね。このエリアを、この主要な道路に面している部分ですけれども、ここでこの遊休施設の活用などを行っていくということです。
今年度から企業やクリエイターの誘致、オフィスの開設に関する各種の支援を行っていきまして、大体4年程度でこの構想の実現に取り組んでいきたいと考えています。
具体的な支援制度、補助制度については、このパンフレットの21ページにいろいろな支援制度を掲載しておりますので、これらをぜひ活用いただいて、遊休施設のまずは改修、活用というところからこれをスタートしたいというふうに考えております。
豊かで美しい自然、多様な個性を迎え入れることができるような、そういうような形でこの六甲山上のスマートシティ構想をつくり、この山上にクリエイティブな空間を創造できるような形で進めていきたいと考えています。
これが1点目です。
久元市長:
2点目が、デザインコンテストです。
いよいよ北神急行電鉄の市営化が実現いたします。6月1日から神戸市営地下鉄西神・山手線と、この今の北神急行が一体的に運行されることになります。谷上と新神戸の間は、市営地下鉄の北神線となります。
これによって、谷上・三宮間が今、550円ですけれども、これが半額、280円になります。これは従来からご説明をしてきたところですけれども、全国的に見ましても、この鉄道運賃が下がるということは非常に珍しいケースです。これだけ半額にまで下がるというのは、国土交通省からも、こういう例はまずこれまでなかったというふうにお話を聞いております。
この北神急行ですけれども、谷上と新神戸、これはほとんどトンネル部分になりますが、この間、7.5キロを結ぶ路線で、今、市営地下鉄西神・山手線と相互直通運転を行っておりまして、運行形態は、利用者の皆さんから見たら全く変わらないと言ってもいいかもしれませんけれども、しかし、経営主体が変わり、そして、運賃が大幅に下がるということになります。
そして、このことによって、この三宮などの神戸の市街地、そして、三宮からつながっている様々な地域と神戸の北部、そこには里山があり、そして、神戸電鉄で有馬温泉とつながっているわけですけれども、ここがさらに近くなるということを意味いたします。里山と有馬の魅力がよりたくさんの皆さんに理解をしていただけるような、そういうような契機になるのではないかというふうに考えています。
さて、農村・里山活性化ビジョンのときにも申し上げましたけれども、この新型コロナの感染症の拡大によりまして、私たちはwithコロナの時代に入るわけですが、観光や旅行も大きく様変わりすることになると思います。
やはりインバウンドは、残念ながらしばらくはなかなか期待をすることができないのではないだろうか、やはり近場の魅力をいうものを再発見しようという取組、それから、これから順次この移動の自粛というものも緩和をされていくということになりますと、旅行の主流は国内旅行ということになっていくのではないかというふうに思います。そういうことを考えたときに、この神戸市の北部、有馬は、やはり新たな魅力をwithコロナの時代においては獲得することになります。
そこで、今回の北神急行の市営化に伴いまして、新たなキャンペーンを行いたいというふうに考えています。また、里山なんですけれども、非常に市街地から近いところで自然豊かな農村地域が広がっている。田んぼや畑のほかに、歴史ある神社仏閣などがあります。1つは里山の原風景が残っているということです。地域の人たちが大切に守っている棚田が広がっている地域があります。ここは北区の大沢町の棚田です。それから、この里山の魅力に親しむ取組というものも、都市住民との間の交流という形で行われていまして、町の子供たちが田んぼで草引きや生き物観察をしたりしていますし、そういう体験を通してただのんびりと過ごす、あるいは子供たちや家族連れを受け入れる、そういうような空間が里山・農村には広がっているということです。
もう1つ、あまり知られていないことですけれども、神戸市はかやぶきの民家が一番たくさん残っている自治体です。800棟余りのかやぶきの建物が残されておりまして、このうちの712棟が北区にあります。トタンをかぶせているものもかなりあるわけですが、かやぶきで保存されているものもあります。活用が進んでいるものもあります。この写真は、北区八多町のふれあいセンターです。
神戸市は、ここのところ里山・農村に移住をしていただく、そういう、あるいはここで起業していただくために、様々な規制緩和を行ってきました。住宅の新築、あるいは農村で民家を使って、古民家を使ってカフェを開業できるようにする、こういうような取組を行ってきました。空き家バンクも運営をして、マッチングをする取組も行っています。いろいろなマッチングをするための農村定住促進コーディネーターも設置をしておりますし、地域おこし協力隊、これは神戸市単独の地域おこし協力隊も募集をして、順次活動開始をしているというところです。
また、この里山には様々な神社仏閣があります。山田町の無動寺、六條八幡宮、淡河町の石峯寺など、また無形文化財として流鏑馬神事や火渡り行などの伝統行事、こういうものが受け継がれています。
この次の写真は、これは毎年10月、この次ですか、この次の写真が10月に流鏑馬神事が行われている六條八幡宮です。
もう1つの里山の魅力が、もう1つの北部地域の魅力が、有馬です。有馬温泉です。有馬温泉は改めて申し上げるまでもありませんが、最古の温泉として古くから親しまれてきました。そして、温泉だけではなくて、歴史のあるお寺や公園などもたくさんありまして、四季折々の自然を感じることもできます。樹齢200年を超えるようなしだれ桜もあるということで、たくさんの皆さんに親しんでいただいています。情緒のある木造の建物が並ぶ路地もありますし、炭酸せんべいや有馬山椒、有馬筆などのおみやげ屋さんもたくさんあります。いろんな魅力を持っているのが有馬です。有馬には、日本の文化である芸子さんが兵庫県の中で唯一残っている場所でもあります。
こういうような里山、そして有馬の魅力をPRするためにデザインコンテストを実施することにいたしました。神戸市内のデザイナー、クリエイターの皆さんにキャッチコピー、そしてポスターデザインを募集いたします。そして、優秀な作品は、実際のポスター、デジタルサイネージ、あるいはウェブサイトにこれを活用するということ、そして幾つかの賞も用意したいというふうに考えています。新型コロナの影響で市内のデザイナー、クリエイターの方々の仕事も減っているというふうに聞いておりますので、そういうような方々にこのコンテストに応募をしていただき、優れた作品を作っていただきたいと考えています。
デザインコンテストの概要ですが、募集の内容は、withコロナの時代における新たな暮らしの楽しみをPRするキャッチコピーとポスターデザインの案です。具体的には北神線里山、北神線有馬、この2種類のキャッチコピーとデザインを募集いたします。応募対象は神戸市内に事業所を有するデザイナー、クリエイターの皆さんで、募集期間は今日から7月15日の午後5時までです。最優秀賞は北神線里山、北神線有馬で1点ずつの2点でそれぞれ賞金30万円、副賞といたしましては地下鉄の先頭車両にヘッドマークとしてこれを掲示するということにしたいと思っています。優秀賞はそれぞれ3点ずつを用意いたしまして、賞金は5万円を用意したいと思います。受賞結果は7月下旬に発表したいと考えております。
私からは以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
記者:
最初のスマートシティのほうなんですけれども、これは4年間ぐらいでというふうなお話でしたけど、大体どれくらいの企業を集積することが目標なのか教えてください。
久元市長:
取りあえずは六甲山上の対象エリアの遊休施設を全部調べたんですけれども、取りあえず現時点で活用できるものは10件程度です。これをさらにもう少し手を入れれば活用できるものがないかということを考えたいというふうに思っていますし、それから、こういう構想について理解が得られるのであれば、このエリアについて、周りの自然環境への配慮とか、できるだけ緑地を残すとかというようなルールを作った上で新築をすることができないか、そういうようなことも考えていきたいと思っています。ですから、まず当面は10件ですけれども、規制緩和が実現できれば件数は大きく広がっていくのではないかと思います。
記者:
規制緩和というのは先に規制緩和をしてもらった上でということになるんでしょうか。
久元市長:
このエリアは都市計画法上の市街化調整区域です。ですから開発は厳しく制限されておりまして、これは農村・里山地域と同じなんですが、開発許可基準をそれぞれ定めています。これを今年の2月から緩和をいたしまして、こういうオフィス系の施設も立地可能にいたしました。具体的にはソフトウェア業とか映像、音声の制作、それから新聞とか出版とか、新聞というのはあまりないかもしれませんが、デザインや広告など、こういうような業種については、オフィスとして立地可能な規制緩和を2月に行いました。この規制緩和を活用して、併せて、このパンフレットに掲載をしておりますが、様々な支援策も用意いたしまして、これを使って本格的に誘致に乗り出そうと、その基本的なコンセプトが今回の構想になったということです。
記者:
ビッグデータの基盤を一緒に整備するということなんですけど、具体的にはどういう分野とかを想定しているんですか。
久元市長:
これは、データ連携基盤の考え方が広がっていますけれども、これを六甲山上でも実際に実現できないか。これはまだ構想の段階です。あと、ちょうど昨日、スーパーシティ法案が成立いたしました。このスーパーシティ法案の中では、このデータ連携基盤という考え方が非常に重要な要素を占めることになっていて、複数の分野での情報を連携して、人の移動だとかエネルギーだとか、あるいは様々な情報通信の活用だとか、あるいはごみの処理だとか、いろいろな分野でテクノロジーを全面的に活用していく、共通のデータ基盤を作って、複数の分野にこれを活用するという考え方が示されています。
ただ、これはまだ、そういうコンセプトはありまして、既に相当、特定の場所で、特定の都市で具体的に進めようとしているところがありますが、六甲山の場合には、まだこれはアイデアの段階にとどまっています。これから具体化をしていかなければいけないと思っています。
記者:
今の段階で、何年後とか、そういうスケジュール的なもの等は今、特には示されていないですか。
久元市長:
今のところは、スケジュールまで、このスーパーシティ構想にどういうスケジュールでいくのかということについては、まだ具体的なプランというものは持っておりません。
記者:
それと、もう1点の北神線のほうなんですけれども、改めてになるんですが、北神急行の市営化が実現するということで、改めてその狙いについて、お話しいただけますか。
久元市長:
北神急行が開通いたしましたのは30年余り前で、これ、各段に神戸市の北部、それから神戸市外の北摂地域と神戸市の市街地、そして神戸市の市街地を通って阪神間や大阪や、あるいは西の方面へも便利になったわけですが、しかし、料金が高いということで乗客が減少してきました。同時に、神戸市の北区についても、人口が、微減がずっと続いています。やはり、ぜひ北区への移住定住を図っていく、そして北区に住んでおられる住民の皆さんの利便を向上させていくということのためには、北神急行の料金の引下げということが必要なのではないか。私はこれを市長に就任して以来、ここは何かできないかなと思っていたんですけれども、幸い、阪急電鉄さんと交渉がまとまりまして、こういう形で6月1日から、いよいよこれが実現できるということを、ほんとうにこれはありがたく思っています。
ただ、これが、人の移動が比較的制約されることになるコロナウイルスの時期に重なったということは、やや残念ではあるわけですけれども、しかし、長い目で見れば、必ずこれは神戸市の北部、あるいは神戸市の全体の活性化には必ずつながっていくというふうに考えますし、今日ご説明いたしましたように、神戸市の北部の里山地域、あるいは有馬の地域の活性化にぜひつなげていきたいと思います。有馬も観光バスで京都から来られるとか、新名神などで来られる方が多いわけです。あるいはインバウンドでこれまでは関空に着いて、大阪で買物を楽しんだり、京都の観光を楽しんで有馬に滞在されるという方が多かったんですけど、これからはやはり個人客が三宮経由で、北神急行、神戸電鉄経由でのんびりと個人旅行を楽しんで有馬に滞在し、泊まっていただくというようなことができないか、そういうような方向性というのは、このwithコロナの時代にはより要請されるのではないか。インバウンドではなくて、これからはそういうような形での旅行、あるいは観光というものの時代になっていくのではないかと考えています。
記者:
今回の発表は、里山とか有馬温泉の魅力を発信していきましょうという話だと思うんですけど、市営化に伴って北部への人口誘導をどのように図っていくかという考え方はいかがでしょうか。
久元市長:
1つは、やはり里山居住です。これは、この前発表いたしました農村・里山活性化プランの大きな眼目は、この地域に乱開発を抑制しながら自然や文化遺産というものを保存・活用しながらこの地域への定住を図っていく、農業振興ということももちろんですけれど。
もう1つが、やはり駅前の整備です。鈴蘭台の駅前ビルは既に完成して、今、駅前広場がもう完成をいたします。あわせて、谷上についても、先般、発表があったかもしれませんが、新たなビジネスの拠点、美容という観点からの展開も見られます。あと、谷上と接続する神戸電鉄の各駅の駅前整備というものを計画的に行っていって、人口減少時代ですから、やはり駅前の整備を行い人口の定着を図っていくということ。飛躍的に人口を増やすということは、この時代では正直無理です。やはり、まずは微減が続いている人口を何とか食い止めて、少しでもプラスの方向に持っていくことができないか、そのために先ほど申し上げましたような施策を、それ以外のハード・ソフトの施策も展開しながら進めていきたいというように考えています。
記者:
郊外で言いますと、西区ですとか、垂水区では、西神中央とか名谷とか大規模な再整備の構想が出ていますけれども、北部というのはやはり拠点性が高い駅というのは谷上とかになると思うんですけど、その辺の駅前再整備の今後の考え方というのはどうでしょうか。
久元市長:
これは、まず全ての駅を一気にというわけにはいきません。やっぱり駅前の再整備というのは非常に重要で、全ての駅前を対象にまずは街灯の整備を、今、コロナのために作業が少し中断した面もありますが、まず、全ての駅を対象に街灯をかなり増やしていく、明るく快適にしていくと。それから、主要な駅については、例えばベンチだとか、植栽だとか、あるいは防犯カメラだとか、そういうようなものも併せて整備をして、駅前を安心できる快適な空間にしていくということですね。
それに加えて3つの拠点駅、これを思い切ってリニューアルするという構想、これも計画づくりに既に着手しています。一部については事業にも着手しています。これに加えて、それをまずやってから、神戸電鉄沿線の駅前の再整備ということの構想に着手していきたいと思っています。
1つは鈴蘭台、西鈴蘭台、それから谷上もあるんですが、谷上は阪神高速北神戸線がその上を通っていて、それから、地形的に大規模開発をする、駅前整備をするということについてはかなり制約があります。ですから、それ以外の駅というと、やはり岡場、既にある程度の拠点性があるのは岡場で、できれば、大池や花山についても必要な駅前の整備ということをやっていきたいと思っています。
記者:
ありがとうございます。
職員:
すいません、ちょっとよろしいですか。
久元市長:
はい。
職員:
ちょっと先ほど、私のほうからお伝えした内容が間違っていましたので、訂正させていただきます。
今年の2月に規制緩和をしたのは、農村地域におきます自己用住宅の建築におきまして、土地を取得後すぐに家を建てられるようになったというのが2月の規制緩和でございまして、六甲山におけます規制緩和は12月に実施をしております。
久元市長:
そうですね。
職員:
はい、申し訳ございません。
記者:
六甲山の件なんですけども、これは6月からということですけど、入居も早ければ6月からできる、どんな手続きになっているのでしょうか。
久元市長:
まず、もう規制緩和はしていますから、必要な手続はもう既にできるわけです。まず、この構想を実際に実施していく、言わばコーディネーター役を担ってもらう事業主体を募集したいとは考えておりまして、その事業主体が先ほど申し上げたような共創空間とか、あるいは、この構想の発信やPR、それから、遊休施設の所有者とここに入居を考えていただくような方々を発掘し、そして、マッチングするというような取組。そういうような全体をコーディネートする民間事業者を6月から募集したいと考えております。
記者:
この民間事業者というのは、どういうところを想定されているのでしょうか。
久元市長:
どうぞ、ちょっと具体的に答えてください。
職員:
具体的にはやはり首都圏のほうにつながりのあるような事業者さんであったり、あるいは六甲山上での物件についての知識であったりとか、そういう地理感をお持ちの方ということで、こちらは共同体でも構わないと思っておりますが、そういった事業者を募集したいと考えております。
記者:
これは六甲山に呼び込みたい企業ということなんですけど、これは市外からなのか、もちろん海外も含めてということなのか、市長の思いというところがあれば教えてください。
久元市長:
実は、この六甲山上の魅力というものを直接海外に発信したいと強く思っておりまして、今でもその思いというのは変わらないんですけれども、新型コロナで、ちょっと今の時期に海外の企業を直接誘致するということができるのかというのは少し不透明かなと思っています。
市内の企業でももちろん構わないわけですけど、例えば、市内のIT企業が六甲山にサテライトオフィスを設けるということでも構わないし、これが大阪であってもいいし、できれば、東京の先ほど申し上げたような分野の企業が、もう東京には様々なやはり課題や問題があるので、この際、思い切って六甲山上に拠点を移すということができれば最高ですね。
記者:
様々な課題というのはコロナ、まさに今回判明した密の通勤というところ……。
久元市長:
そうです、もともと人口の動きから言うと、もう圧倒的にここ10年ぐらい、どんどん東京23区に人口が集中しているんですけれども、しかし、そういう中で、通勤時間が非常に長いとか、保育所への入所もものすごく難しいとか、そういうような東京での限界というものを感じて地方に移住する動きというのはあります。全体の数から見れば、もちろん東京に流入するほうが多いんですけれどもね。
さらに加えて、今回の新型コロナの中で、非常に密な、まさに東京というのは密な空間ですけど、そういう密な空間の中で東京から多数の感染者が出たということは、やはり東京以外のところで、自然環境に恵まれたところでゆったりと暮らしたいというニーズが出てくる可能性があるし、そういう論調というものも既に出てきていると思います。もちろんその受皿というのは、地方の中山間地であったり、あるいは離島であったり、そういう可能性もあるわけですけれども、神戸の場合には、やはり六甲山のロケーション、この眼下に夜景が広がる、また、市街地とも距離が近いと。また、そういう中山間地や、あるいは離島とは違う強みというものも神戸の里山地域や六甲山はやっぱり備えているというふうに思いますから、この強みというものをぜひ磨きをかけて発信をするという取組をしたいというふうに考えています。
記者:
ありがとうございます。
あと、最後に、これは4年間の計画で、2023年度にどんなエリアになってほしい、あるいはこれぐらいの企業が来てほしいというのがもしありましたら。
久元市長:
数については、まず、取りあえず10件程度しか、今、すぐに使えるものはありませんから、これを、さらにもう少し使えるようなものを広げていきたいということと、それから、やはり新築を可能にすることができるような条件を整えなければなりません。やはりそれは、六甲山は国立公園で、自然環境を守らなければいけないという要素が非常に強いものですから、やはりそういうような構想を進めていこうという、言わば市民的コンセンサスみたいなものも要ると思います。理想的には、六甲山の森や林の中におしゃれなオフィスや工房やカフェなどが点在をすると。そこでクリエイティブな人たちが働いて、お互いに顔見知りになって、山上の上で新しい形でのコミュニティというものができて、自分たちでこの六甲山をよりよいものにしていこうというような、そういうような動きにつながっていけばすごく理想的なのではないかなというふうに思います。
記者:
六甲山の話でちょっとお伺いしたいんですけど、遊休施設のさっきの10件というのは、どういった施設が今、入っているという感じでしょうか。
久元市長:
保養所とか。宿泊施設もありますか。保養所が多いですか。
職員:
あります。
久元市長:
保養所、宿泊所というような。
職員:
広い施設になっています。
久元市長:
それぞれ違うと思いますけど、もし分かれば答えてください。
職員:
すみません。ちょっと広さまでは、今、ちょっと手元にはございませんが、比較的大きな物件もあったかというふうに記憶をしております。
記者:
共創ラボというのはその中のどこかに建てるような感じでしたか。
職員:
民間の物件を神戸市がお借りしまして、民間事業者に運営をしていただこうというふうに考えております。
記者:
すみません、ここ、誘致してきて、ここで働くという場合は、居住地というと、市街地に住むようなイメージになるんですか。それも山上で完結するようなイメージなんでしょうか。
久元市長:
それは、それぞれの方のライフスタイル、どういうものになるかなと思いますね。例えばマルチハビテーションというか、ふだんは神戸の市街地に、例えばマンションに住んでいて、週末は六甲山上でゆったりと仕事をしながら余暇を楽しむスタイルもあるだろうし、ずっと基本的には山の上に住んで、毎日、眼下の夜景も見ながら、それでいろんな発想が湧いてきて仕事をするというスタイルもあるだろうし、いろんな暮らし方があるのではないかなというふうに思います。少なくとも、東京での長時間通勤で疲れ果てることとは全く違うライフスタイルと仕事のやり方ということをここで実現できる可能性というのはきっとあると思うし、そういうところをしっかりと発信していきたいと思います。
記者:
何か市街地で暮らすとなると、結構アクセスがやっぱり不便な面もあるかなと思うんですけど、そういう面で何か支援とかって考えておられることもあるんでしょうか。
久元市長:
そうですね、普通は車の移動とか、あるいは場合によったら六甲道から16系統に乗って六甲ケーブルで上に上がるとかという人もいるだろうし、それはそれぞれの方の志向というか、ライフスタイルに応じた移動手段というのがあるのではないでしょうか。
記者:
六甲山のスマートシティ構想ですが、構想自体は以前からあったところで、今回策定されたということですが、いわゆるコロナがこの構想にプラスなのか、それともマイナスなのか、どういった影響が考えられるというのを教えてください。
久元市長:
構想というのははっきりとしたものがあったわけではなくて、何となく、これは兵庫県と一緒につくりました六甲山再生委員会といいましたか、再生委員会ですね、再生委員会の中でも私から議論を提起したのは、観光地としての六甲山に加えて、ビジネス展開ができるような、そういう活用の仕方というのは六甲山ではあるのではないだろうかということを提案して、それを市として庁内で、あるいは民間の方々の意見を聴いて策定したものを、はっきりとした構想としてまとめたのは今回が初めてです。
これがプラスに働くのか、マイナスに働くのかということについて言うと、私は、全体としてはプラスに働くのではないだろうかと思います。その理由は、繰り返し述べておりますように、いわゆる密な空間の中での、東京の仕事の仕方に代表されるような、密な空間の中での仕事とは違うライフスタイル、あるいは仕事のやり方というものを求める雰囲気というものが常に出始めているのではないだろうかということです。
ただ、これは人によって見方が違うかもしれませんから断定的に申し上げることはできないと思いますが、少なくともこれまでこういう方向で議論してきたものをこの構想として結実させたわけですが、外部環境としては、これは決してマイナスに今あるとは思わないです。
記者:
私も六甲山のことでお伺いしたいのですが、スマートシティ構想があって、いろいろな企業から提案を募集されていたかと思いますが、一方で、六甲山の遊休資産を活用したという実際の誘致というところにかかわるのと、ちょっとこれはもともと2つのラインの話かなと思っていたところがありまして、スマート構想というのは、この六甲山にとっての今後の構想というお話ですけれども、実際、上に住まれる方とか今後誘致される方にとっては、実際どのような、何か将来的なプラスだったりとかそういう効果が、将来的にということだと思うんですけども、出てくると思うんですけど、どういうふうに2つがつながっていくというふうに。
久元市長:
何と何がつながる?
記者:
スマートシティ構想の様々な、例えばデータ連携基盤のお話ですとかそういうところと、あと、移住されて、実際オフィスとして誘致されて、入居されてこられる方々の生活であるとか、そこのコミュニティ空間とか、そういうところの関連性は。
久元市長:
スーパーシティ構想は、これは法律が成立したばかりで、具体的にこれを、誘致の基本方針のようなものはこれから内閣府のほうから示される予定です。ただ、イメージとしては、先ほどの繰り返しになりますが、いろんな分野で、複数の分野にわたる情報連携、あるいはテクノロジーの活用ということがこのポイントになっているわけです。
複数の分野というのは、例えば人の移動でありますとか、物流でありますとか、それから既に相当進んでいますけれど、キャッシュレスなどの支払いの問題とか、あるいは遠隔医療だとか、それから先ほど申し上げましたけれどもエネルギーとか環境の分野ですね、こういうような複数の分野でのデータのやり取りというものが、今、それぞれの分野ごとに行われていたわけですけれども、これを、共通のデータ基盤というものをつくって、異なる分野にもそういう情報を活用しようという、そういう考え方です。まだ、これを、そういうような考え方を神戸において、どこでどのようにこれを実現しようとしているのかということについては、これは、またこれから私たちが検討しなければいけないわけです。ただ、このスーパーシティ構想を実現する有力な場所としては、やはり六甲山ということもあり得るんではないだろうかというふうに思います。これは、このスーパーシティ構想がここで実現をするかしないかということとかかわりなく、六甲山の山上スマートシティ構想というのは進めることができるし、このスーパーシティ構想をここで展開することによって、この六甲山上のスマートシティ構想というものが、より内容的に発展性のあるものになる、チャレンジングなものになる、そういうような可能性もあるというふうに思います。これからの課題です。
記者:
オフィスの誘致が6月からということで、光回線の整備が2020年の12月からサービス開始ということですけれども、スケジュール感覚として、早ければどれぐらいに入ってくると、今の段階で想定されているんでしょうか。
久元市長:
常識的には、これから、ここは市街化調整区域としての開発許可基準もありますし、開発許可の申請もありますし、それから環境省の出先機関に対する申請もありますし、行政上の手続もあるわけですね。ですから常識的には、これから募集をして、仮に、ここに入ってもいいなと思っても、そういうような手続が先行して、それから建物の改修のプランを立てたり、また、建物を造るについての手続も要ると思いますから、常識的には、第1号が入居するのは、早くても来年に入ってからということになるというようなイメージを私は持つんですけど、それでよろしいですね。
職員:
具体的にはまた公募の条件の中で詰めさせていただきたいと思っておりますが、既存施設を活用して、ほんとうに簡単な改修で、もし事業者が進出できるということであれば、年度内に、例えば数社というようなことも、イメージは可能かなとは思っております。
久元市長:
そうですか、それは心強い、大丈夫?
職員:
それは……。
久元市長:
だそうです。
記者:
ありがとうございます。
記者:
ちょっと細かいかもしれないんですが、既存施設の建て替えや改修を行う事業者というのは入居する会社になるんでしょうか、それともコーディネーター役の事業主体を担う会社が改修するということですか。
職員:
コーディネーター役は、あくまでその物件と進出される方をつなぐ役割を担いますので、実際に改修する事業者は、その遊休施設を活用される事業者ということで、それを呼び込んでいくということになると思います。
記者:
それで、頂いた資料の2枚目にある、改修経費や情報通信環境整備費を含めて最大3,000万円、一企業につき補助ということになるんですね。あっ、すいません、全体の予算の規模というのは大体どれくらいを想定されているんでしょうか。
久元市長:
ちょっと聞こえにくいので。
記者:
ごめんなさい、全体の予算の規模というのは、大体どれぐらいを想定されているのか、もし分かれば。
職員:
この六甲山関連の全体の事業としましては1億円の予算を取っておりますが、さまざまな事業に活用することになっておりますので、具体的に公募の事業に充てる金額というのは、まだこれから詰めていくことになります。
記者:
ありがとうございます。
記者:
昨日、ウィズコロナ戦略を策定していくということを発表されましたけれども、その中で、今、市民の行動として、具体的にどこまで行動していいのか分からないと思っていらっしゃる方、たくさんいると思うんですけれど、県のほうはひょうごスタイルということで行動様式を具体的に示されましたが、神戸市が独自にそういうものを示していくという予定はありますでしょうか。
久元市長:
県のほうが、それぞれの業種とか施設のタイプごとに示しておられるので、これに重ねて、同じようなものをつくるというのは必要ないというふうに思います。
記者:
あと、全く話は変わるんですけれども、王子動物園のタンタンが帰国してしまうというニュースがありましたけれども、受け止めを改めて教えていただけますでしょうか。受け止めといいますか、コメント出されましたが、改めて。
久元市長:
そうですね、タンタンはもともと中国の関係機関からタンタンをお借りして、期限が到来をするということは初めから分かっていたので、これをどうするのか、これまでもずっと延長してきた経緯もありますので、今回どうするのかということについてはかなり交渉したわけですけれども、しかし、やはり先方とやり取りをする中で、もともとは繁殖についての研究をするということが目的でありましたから、今はタンタン一頭だけですから、その目的は達せられないということから、これはもう、延長しないということはやむを得ないというふうに判断をいたしました。それとともに、やはりタンタンは、人間でいうと相当高齢で、80ぐらいなんですかね、人間でいうと。
職員:
いや、70歳代ぐらいです。
久元市長:
70歳代ぐらいで、かなり高齢なので、やはり生まれ故郷に帰って余生を暮らすということも、これも選択肢としてはあるのかなというふうにも思います。ですから、十分割り切れているわけではないんですけれども、市民の皆さんだけではなくて、相当親しまれてきたわけですけれども、しかし同時に感謝の気持ちをもって生まれ故郷の中国に、四川省に里帰りするということも、それは感謝の気持ちを持ちながら、まだ時期は未定ですけれども、今、コロナでこんな状況ですから、そういうような感謝の気持ちを持って送り出したいというふうに思っています。
記者:
後継のパンダを借りるというようなことも引き続き交渉していかれると思うんですけれども、どんなイメージで、こういうふうに働きかけていきたいというアイデアがありましたら、ぜひお願いします。
久元市長:
そうですね、これはこれまでも、私も中国に、一昨年だったかと思いますが、中国に行きまして、関係当局に訪問をし、働きかけ、つがいのパンダをお借りしたいということをお願いしてきました。それ以外にも様々なルートでお願いをしてきておりますが、今はコロナでこういう状況で、実際に、お互いに訪問をしたり、向こうからも来ていただいたりということがなかなか難しい状況ですから、いましばらくは、新たな動きをするということは少し難しいのかなというふうに思っていまして、いましばらくはこの推移を見守りたいと思います。
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