最終更新日:2020年4月3日
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新型コロナウイルス感染症に対する神戸市の医療提供体制について、久元市長、中央市民病院 木原院長、神戸市医師会 置塩会長の三者で共同会見を行いました。
本日は、市民の皆さまに新型コロナウイルス感染症に関し、神戸市の医療提供体制の現状と課題について、ご説明申し上げます。本日は、日頃より地域医療の確保にご尽力をいただいております置塩隆神戸市医師会長、また、神戸市の基幹病院として救急医療、急性期医療を担っていただいております木原康樹神戸市立医療センター中央市民病院長にお越しいただいております。
・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の状況分析・提言
4月1日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が開催され、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の状況分析・提言」が示され、その中では、「医療提供体制が切迫している」として、兵庫を含む5都府県が明示されたところです。
現在、兵庫県において、今後の感染拡大に備えた医療提供体制の確保について、検討が進められており、神戸市もその検討に加わっているところですが、本日は神戸市の現状と課題について、私からご説明させていただきたいと思います。
・現在の医療提供体制の状況
新型コロナウイルス感染症が海外で発生した段階から、神戸市医師会や地域の中核的医療機関、感染症指定医療機関と頻回に連絡を取り合い、診療体制等について相談してまいりました。
現在、「帰国者・接触者相談センター」で相談の結果、新型コロナウイルス感染の疑いがある場合は、「帰国者・接触者外来(当初1か所→現在7か所)」を受診いただくよう調整しています。
陽性患者の入院については、神戸市内の感染症指定医療機関や感染症予防対策がとれる医療機関の一般病床の活用により、現在適切に対応できています。
なお、4月3日現在 神戸市内在住者の入院患者は18名となっています。
また、神戸市医師会や民間病院協会等と連携し、事前に電話で問い合わせてから、病状により、かかりつけ医や地域の医療機関で診療いただける体制を整えています。
・今後の医療提供体制
次に、今後の感染拡大により、患者が大幅に増加した場合に向けての対応です。
最後に、私から改めて、患者やその家族、そしてこの感染症の対策や治療に当たる医療関係者従事者とその家族に対する差別や偏見に基づく風評被害の防止について、重ねて市民の皆さまにお願いしたいと思います。
感染された方は、感染したことによるショックや、他の人を感染させていないかという不安で心を痛めておられます。
誰もが感染者・濃厚接触者になるリスクがあります。感染者を治療する医療関係者関係者がいなくなれば、自分が感染者になったとき、治療が受けられなくなることを理解してください。
医療従事者や感染による不安を抱える方に対し、さらなる不安や動揺を与える行為は断じて許されません。
中央市民病院は神戸市が定める第3期中期目標において、神戸市内唯一の第一種感染症指定医療機関として、法定の感染症、医療に対する中核機能を果たすことを指示されております。今回の新型コロナ感染症患者の地域での対応においても、当院は医師、看護師をはじめ医療従事者が一丸となって、高度医療を必要とする重症の患者さんを中心に、24時間体制で全力を挙げて治療に当たっております。地域での患者さんの状況を鑑み、その対応に集中する体制を取っているため、例えば、待機的に行うことが可能な予定手術については延期するなど、一部の一般診療を制約しております。そのため、患者さんには大変ご迷惑をおかけしているところです。
また、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れることは、感染症指定医療機関である当院の使命ですが、患者さんが過度に集中することによって、救命救急など、医療圏域の基幹病院である当院の機能に支障が生じ、オーバーシュートがなくても圏域全体の医療に差し障りも生じかねないと危惧しております。神戸市内を中心に、地域医療機関の先生方とはフローチャート等を共有しており、それに則した診療体制の運用の継続を重ねてお願い申し上げます。
当院は3次救急医療全般で市民の皆様の健康を守る「最後の砦」として周知いただいているところです。新型コロナウイルス感染症対応においても、市内の医療機関との連携を密にすることによって、そのミッションをしっかり果たしてまいりたいと考えております。
神戸市医師会といたしましては、1月末日に神戸市医師会新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、この感染症にいかに対応するかについて協議してまいりました。そして、3月19日に一般診療所の新型コロナウイルス感染症への対応方針であるフローチャート作成いたしました。
全ての医療機関は、新型コロナウイルス感染症でない患者さんも診療するのが使命ですので、可能な限り新型コロナウイルス感染症疑いの患者さんと一般の患者さんを区分けして診察するという姿勢で臨んでおります。
現在の状況下では、新型コロナウイルス感染症の疑いの強い患者さんは原則としては、区分けが困難な一般診療所では診察しないという方針にしております。ただし、電話の相談があれば、説明の上、また直接来院された場合は、診療所外で話を聞き、診察困難と判断した場合は、帰国者・接触者相談センターに連絡していただいています。
一方、発熱があっても新型コロナウイルス感染症の可能性が低い場合、一般患者さんと時間的あるいは空間的に区分した上で診察します。軽症であれば自宅で安静を指示し、経過により悪化してきた場合は、帰国者・接触者外来に連絡していただくことにしています。
今後、感染者が増えれば重症者も増えますので、市中での感染を抑えるということが非常に大事になってきております。重症者が増えれば中央市民病院にそれだけ負担がかかり、本来の高度医療が一部機能しなくなるということにはならないように、市民の皆様のご協力とご理解をお願いします。