仕掛人に聞く、『「事業系ごみ」における食品ロス削減事業』

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日本の食品ロス=まだ食べられるのに廃棄される食品の量は、年間約600万トン、事業者は約300万トン排出している..という話は、以前にも本メールマガジンでもお伝えしてきました。(まずはここから!減量・資源化はじめの1歩~事業系ごみの分け方・出し方をもう一度考えてみる(その2)「食品ロス対策 その1」~

こうした中、神戸市では、神戸市一般廃棄物処理基本計画(平成28年3月策定)の中で、ごみ排出量10%削減を目標に掲げ、事業系ごみにおいては、可燃ごみに含まれている資源化可能なごみである厨芥類(食品廃棄物など)を主なターゲットと位置づけて、食品リサイクルの取組みに加え、食品ロス(手付かず食品や食べ残し)の削減を目指しています。

そこでこの度、飲食店、旅館・ホテル及び小売店等にて発生している、本来食べることができるにもかかわらず廃棄されている食品を削減することを目的として、「goodbye food loss,KOBE(グッバイ フードロス コウベ)」食品ロス削減協力店の募集及び「食品ロス“バイバイ”キャンペーン」を平成30年10月1日にスタートしました。(プレスリリース

今回は、これらの事業の仕掛人である、神戸市環境局事業系廃棄物対策部資源化担当係長 山田一成氏に、事業のねらいや、今後の展望などについて話しを伺いました。
※筆者から徒歩5秒のところに座ってるんですけどね..


--改めて、今回スタートさせた事業はどういったものなのでしょうか。

(山田)10月1日より、2つの事業をスタートさせました。
ひとつは、「goodbye food loss,KOBE(グッバイ フードロス コウベ)」です。
これは、飲食店、旅館・ホテルおよび小売店等を対象にした食品ロス削減の取組みです。
あらかじめ市が取り組みメニューを提示し、これらのうち1つ以上を実践すると宣言した店舗を「食品ロス削減協力店」として登録します。
食品ロス削減協力店には、市が提供する啓発グッズ(ポスター及びステッカーなど)を、来店者が見やすい場所に掲示し広くPRしていただくとともに、来店者はその取組みに参加し応援していただくことによって、「市民×事業者×行政」の協働で食品ロス削減の市民運動の機運を醸成していくことがねらいです。

もうひとつは、「食品ロス“バイバイ”キャンペーン」の実施です。
これは、生活協同組合コープこうべと連携し、販売期限切れによる食品ロス(手付かず食品の廃棄)の削減を目的に、「値引き商品」の積極的な購入を促進します。あわせて、廃棄リスクが高い「値引き商品」の発生を抑制するため、消費期限・賞味期限までの期間が短い商品を優先的に購入することも併せてPRすることによって、新しい購買行動「てまえどり」を働きかけます。
具体的な取り組みとしては、「値引き商品」の積極的な購入を促すキャンペーン専用値引きシールの使用や、啓発ポスター及びPOP等の掲示、買い物かごへの啓発ステッカー貼付、PRイベントを通じ、店舗全体で食品ロス削減の啓発を図ります。

食品ロス削減協力店ポスター

--「食品ロス削減協力店」への反応はいかがですか。

(山田)市内の関係団体や小売店などからはこの趣旨に賛同し応募したいとのご意見はいただいています。

--飲食店からの反応はいかがですか。

(山田)飲食店の場合、食品ロス対策を講じるのは想像以上に難しいんです。
たとえば、居酒屋が宴会料理を提供したとします。で、お客さんが完食したとします。そうすると店主は、「果たしてあの量で満足してくれたのだろうか。少ないと不満に思われてはいないだろうか。」と不安に思うのだそうです。むしろ残してくれた方が安心するのだと。

--お店としてはお客さんに満足してもらうことが一番大事ですもんね。「量足りてますか?」なんて宴会中にいちいち聞けないですもんね。

(山田)宴会だと、新年会や納涼会といった「軽い宴会」もあれば、結婚式といった「厳(おごそ)かな宴会」もあり、特に後者なんかでも食品ロスを念頭に置いた取り組みを実施するというのは難しいですよね。

--たしかに。ハードルが高いですね。

(山田)一方で、たとえば某中華料理チェーンは小盛メニューを導入したことで、女子会や’ちょい飲み’で利用する新しい客層が増えたという事例もあります。
別の飲食チェーンでも「メニューに落とし込んで初めて伝わった」という声もあります。

--直接は聞きづらいことも、メニューに落とし込んでいたら堂々と言えると。

(山田)必ずしも新しい取り組みでなくてもいいと思います。
たとえば、あるファーストフード店で、コーヒーの「砂糖、ミルクはご入用ですか?」と聞くのは、ただおもてなしのマニュアルということだけではなく、聞くことによって不要な人に不要なものを提供しないという食品ロスの要素も入っているという話を聞いたことがあります。
また、’S・M・Lサイズ’は、たくさん飲み食いしたい人のためのLサイズではあるが、少しだけでいいという人のためのSサイズでもあり、適量を提供することで食べ残しを防ぐことにも繋がっているとも話していました。
こういった、当初は食品ロス削減の目的でやっていなくても、結果的に食品ロス削減に繋がっていることは意外にあるのだと思います。

--なるほど。そういった視点についても、もっと広めていかないといけないですね。

(山田)小売市場なんかでは昔からやられていたことではあるんです。たとえば八百屋で野菜の束を買う際、「多いから半分にして」と言うお客さんがいれば、量も値段も半分にして提供する、「何かこれでできる料理ない?」と聞かれればレシピを教えてあげる、といったことが日常的に行われています。これは商売としてやってたことが結果的に食品ロス対策になっているという好事例だと思いますし、こういった切り口で伝えれば見方も変わるかもしれないですね。

当たり前のサービスが食品ロス削減に繋がっていることも多い

--今後は飲食店の食品ロス削減協力店の募集にも力を入れる必要がありますね。

(山田)それも必要ですね。ただ、小売店の協力店についても更に増やしていきたいと思っています。
小売店だと皆さん毎日行くじゃないですか。毎日ポスターが目に触れることで自然と意識が高まっていく、まずはそういったところから始めていかなければいけないと思っています。
食品ロス関連のイベントを開催した際、「’食品ロス’という言葉を聞いてもピンとこない」「もっと’食品ロス’という言葉自体を浸透させていかなければいけない」という声も聞きました。
まだまだ「食品ロス」自体の認知度が低いんです。

--まだ「自分とは関係ないこと」と、身近な問題として考える人が少ないんでしょうね。

(山田)食品ロス関連のイベントで、「日本人一人あたりの食品ロスの量」(=おおよそ茶碗1杯分)について重量当てクイズをやったのですが、皆さん「自分はこんなに捨ててない」と言って納得しないんですよね。
地球温暖化だって最初なかなか浸透しなかったですからね。
地道な努力が必要だと思います。

--まずは意識付けから始めていきたい、ということですね。

(山田)「食品ロス“バイバイ”キャンペーン」を始めたのもそういった理由からです。
値引きシールだと自然と目に入るじゃないですか。しかも毎日来る。複数店舗で実施してもらえているということも大きいですね。

--実は、某掲示板で「そんな取り組みは意味がない」といった反対意見も見たのですが..

(山田)批判も、この取り組みのことをちゃんと見て、考えて言ってくれていることだと思っています。
そういったご意見をくださる方も、「食品ロスをなくそう」という目的には賛同してくれるはずなので、その中から新たな手法についてのアイデアが出てきてもいいのではないかとも思います。

食品ロスバイバイキャンペーンポスター

--そういった声も踏まえて、たとえば食品ロス削減協力店の取り組みメニューなどをアップデートしていくということも考えているのですか?

(山田)理想としては、食品ロス削減協力店が広がる中で好事例を集めて、「生の声」からできたメニューに変えていきたいですね。今のメニューはどうしても机上で考えたものになってしまっているので。
10月からスタートした取り組みは、その「はじめの一歩」なので、ここからどんどん広めていきたいと思っています。

--最後に読者にメッセージをお願いします。

(山田)食品ロス削減に取り組むことは、お店にとってのメリットも少なくないと思っています。大小問わず様々な事業者さんにぜひご検討、ご登録いただければと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

【関連リンク】「goodbye food loss,KOBE」神戸市食品ロス削減協力店制度

 

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