東北地方太平洋沖地震が発生してから、支援物資として燃料を送りたいという相談が消防署に寄せられています。
ここでは、危険物(特に燃料)を貨物車両で運搬する上での注意事項を説明します。
※乗用車の場合、ガソリン(自動車の燃料に限る)だと、運搬する容器のサイズが22L以下に制限されています。
危険物を車両で運搬するには
危険物を、車両等によって運搬するには、消防法令に定める「運搬の基準」を守らなければならず、この基準は指定数量未満の危険物を運ぶ場合にも適用されます。
運べる量は、貨物車両の積載可能な重量までです。
運転者に危険物取扱資格は必要ありません。
しかし、安全性や現地での作業等を考えると、出来るだけ運転者が有資格者もしくは有資格者の同乗が望ましいです。
運搬容器
危険物を運搬するには、消防法令の技術基準を満たす容器に詰めて、密封して運ばなければなりません。
具体的には、
- ガソリン(第4類第1石油類・危険等級2に該当)
金属製容器(ドラム缶・携行缶等)
- 灯油(第4類第2石油類・危険等級3に該当)
金属製容器(ドラム缶・携行缶等)・灯油専用ポリ容器
- 軽油(第4類第2石油類・危険等級3に該当)
金属製容器(ドラム缶・携行缶等)
となります。
積載方法
危険物の積載方法は、
- 固体の危険物は、内容積の95%以下で収納しなければなりません。
- 液体の危険物は、内容積の98%以下で、かつ、55℃の温度において膨張により漏れないだけの空間容積を残して収納しなければなりません。
- 運搬容器の外部には、次の内容を表示し積載しなければなりません。
- 危険物の品名、危険等級及び化学名
- 危険物の数量
- 収納する危険物に応じた注意事項
- 危険物は、運搬容器が転落、落下、転倒又は破損しないように積載しなければなりません。
- 運搬容器は、収納口を上方に向けて積載しなければなりません。
- 同一車両において異なった類の危険物を積載し、運搬するのは原則として禁止されています。(ガソリン・灯油・軽油はすべて第4類です)
- 高圧ガスとの混載は禁止されています。
※特殊な運搬容器(機械により荷役する構造を有する最大容積3,000Lの運搬容器)には、これ以外にもさまざまな規制がありますが、ここでは省略しています。
運搬方法
危険物の運搬方法は、
- 1 危険物を収納した運搬容器に著しい摩擦、動揺が起きないようにきちんと緊縛する。
- 2 運搬中危険物が漏れそうな事態のときは、応急措置を講ずるとともに、もよりの消防機関等へ通報しなければならない。
また、特に、指定数量以上の危険物を運搬する場合には次の規制があります。
- 3 車両の前後の見やすい位置に右記の標識(30cm×30cm)を掲げなければなりません。
- 4 休憩等のために車両を一時停止させるときは、安全な場所を選び、かつ、運搬する危険物の保安に注意しなければなりません。
- 5 運搬する危険物に適応する消火設備を設けなければなりません。
指定数量以下の場合であっても、安全のため上記4と5を、遵守しましょう。
関係法令
- 危険物の規制に関する政令
- 第28条(運搬容器)
- 第29条(積載方法)
- 第30条(運搬方法)
- 危険物の規制に関する規則
- 第43条(運搬容器)
- 第43条の3(運搬容器への収納)
- 第44条(表示)
- 第46条(混載禁止の物品)
- 第47条(標識)