ホーム > 市政情報 > 記者発表資料 > 記者発表2023年3月 > 「無汸庵」「橋乃家本館」を国登録有形文化財(建造物)へ登録するよう答申されました。

「無汸庵」「橋乃家本館」を国登録有形文化財(建造物)へ登録するよう答申されました。

ここから本文です。

記者資料提供(2023年3月17日)
文化スポーツ局文化財課
国の文化審議会(会長:佐藤(さとう)信(まこと))は、令和5年3月17日(金曜日)に開催の同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに147件の建造物を登録するよう文部科学大臣に答申しました。この結果、官報告示を経て、登録有形文化財(建造物)は13,779件となる予定です。また、神戸市からは、下記の2件が新たに答申され、市内の登録有形文化財(建造物)は113件となる予定です。

1.無汸庵(むほうあん)1棟

所在地:神戸市東灘区御影中町1丁目947
建設年代等:昭和44年
登録基準:二、造形の規範となっているもの
特徴・評価:
神戸御影の住宅街に所在する芸術家綿貫宏介自邸の茶室。敷地の南東隅にあり、煉瓦塀越しに屋根の頂部を陶器土鍋で蓋をした宝形造屋根を通りに見せる。内部は傘天井、簾障子を建て、囲炉裏を切り、置き床とする。鎌倉時代の山家に着想したとされる野趣溢れる自在な造りとなっている。
備考:建築年代は登記年による。
用語:
綿貫宏介(わたぬきひろすけ)(1926-2021)
芸術家。デザイナー。戦後、ポルトガル・リスボン大学に留学後、欧州・アフリカ・南米を歴遊。神戸の菓子店「本高砂屋」、日本酒の「小鼓」で知られる丹波市の西山酒造場、有馬温泉の「陶泉御所坊」などのデザインを手がける。
傘天井(かさてんじょう)
形が傘を広げたような形状をした天井。
山家(やまが)
山の中にある家のこと。

宝形造(ほうぎょうづくり)
四方に傾斜をもち、棟が1点に集まる屋根。
簾障子(すだれしょうじ)
建具の面に簾をはめ込んだ障子。
higashi_amado     higashi_sudaredo

東外観(雨戸)(撮影:森崎輝行)         北・東外観(簾戸)(撮影:森崎輝行)

2.橋乃家本館(はしのやほんかん)1棟

所在地:神戸市北区有馬町字有馬792
建設年代等:大正後期
登録基準:一、国土の歴史的景観に寄与しているもの
特徴・評価:
有馬温泉街の入口でかつての太古橋の袂に所在する木造三階建て旅館。入母屋造妻入鉄板葺、二・三階は川沿いを眺める高欄付の入側を巡らす。客室は階段室を中心に配置し、個別に床構えを備える。格天井で舞良戸を構えた広い玄関は温泉街の歴史的景観を形成する。
備考:建築年代は、建築前の大正5年写真と大正11年改築許可証による。
用語:
入母屋造(いりもやづくり)
寄棟と切妻の結合した屋根型式。
高欄(こうらん)
建物の縁、須弥壇などの端にある手すり、欄干。
入側(いりかわ)
縁側と座敷の間にある通路のことを指し、外部と内部を緩衝するための空間。
格天井(ごうてんじょう)
縁と格間よりなる天井。格縁を十字に組み、格間は普通正方形。
舞良戸(まいらど)
框の間に舞良子という細い桟を一定の間隔で平行に取り付け、片面から板を張り付けてつくられた戸。舞良子の取り付け方によって、いくつかの種類に分けられる。
gaikan_minami   gaikan_nanto

南面外観(撮影:森崎輝行)         南東面外観(撮影:森崎輝行)

3.文化財登録制度の概要

近年の国土開発、土地開発の進展、生活様式の変化等により、社会的評価を受ける間もなく、消滅の危機にさらされている多種多様かつ大量の近代の建造物を中心とする文化財建造物を後世に幅広く継承していくため、届出制と指導・助言・勧告を基本とする緩やかな保護措置を講じる制度で、従来の指定制度(重要なものを厳選し、許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完する制度です。登録有形文化財(建造物)は、50年を経過した歴史的建造物のうち、一定の評価を得たものを文化財として登録し、届出制という緩やかな規制を通じて保存が図られ、活用が促進されています。