現在位置

ホーム > 市政情報 > 記者発表2021年11月 > 垂水区 垂水日向遺跡にて都とのつながりを示す有力者の大型屋敷跡を発見

更新日:2021年11月11日

垂水区 垂水日向遺跡にて都とのつながりを示す有力者の大型屋敷跡を発見

ここから本文です。

かわらけ土坑

記者資料提供(令和3年11月11日)

1.所在地

神戸市垂水区日向2丁目(神戸市立垂水小学校内)

2.垂水日向遺跡の概要

JR神戸線垂水駅前に広がる垂水日向遺跡近辺に古代から中世にかけて、奈良東大寺の荘園の「垂水荘(たるみのしょう)」が存在しました。今回垂水小学校校舎建て替えに伴う発掘調査を実施したところ、平安時代後期におけるこの地域の有力者の大型建物跡などが発見され、当時の景観や都との交流の様子が明らかになりました。

3.今回の調査について

今回発見された主な遺構は、大型の掘立柱建物、大型の井戸、かわらけ土坑等です。このうち掘立柱建物は最大で東西14m、南北15mほどの建物が4棟程度あります。柱穴の配置から、鎌倉時代の武家屋敷のルーツとなる構造や間取りと推測されます。

大型井戸については直径2.5mで、周辺に柱跡があり「井戸屋形」と呼ばれる覆屋が掛かっていたと思われます。南正面には玉砂利を敷きつめた幅1m長さ5mほどの排水路があります。また大型井戸の南正面には排水路を壊すように土坑が掘られています。「かわらけ」と呼ばれる素焼き小皿が大量に棄てられており、屋敷で行われた儀礼に使った皿をまとめて埋めたものと思われます。

今回発見された掘立柱建物群は、平安時代に垂水を治めた在地豪族の屋敷跡と推定されます。また大型井戸については、造りの立派さなどから賓客のための儀礼や宴席用の水をくむ特別な用途が考えられます。

さらに特徴的な遺物として「C字唐草紋軒平瓦」が1点出土しています。これは12世紀中葉から後葉に造られた瓦で、京都の平安京や鳥羽離宮、神戸の祇園遺跡でも出土しており、平氏との関係をうかがわせる瓦です。

屋敷の主であった人物が都の権力者と交流したことを明らかにさせる発見です。

4.現地説明会の開催

日時 令和3年11月13日(土曜日)午後1時30分から3時まで(雨天中止)

場所 垂水区日向2丁目 垂水日向遺跡発掘調査現場

 JR神戸線 垂水駅下車 北へ徒歩5分

参加費無料 当日受付

5.学識経験者のコメント

神戸市文化財保護審議会委員 神戸大学名誉教授(日本建築史) 

黒田 龍二 (くろだ りゅうじ)氏

垂水日向遺跡の遺構は、大型建物の柱穴とみられる。柱穴の配置は、総柱型の大型建物とみられ、平安時代の寝殿造の基本形である身舎(もや)・庇の構成ではない。建築形態は復元できないが、鎌倉時代の武家住宅の先駆となる建物遺構と推定される。

 

神戸市文化財保護審議会副会長 京都府立大学文学部教授(日本考古学)

菱田 哲郎 (ひしだ てつお)氏

垂水日向遺跡の「かわらけ土坑」は京都に類例が多く、貴族社会の中で培われた儀礼もしくは饗宴を示すものであることは間違いない。それが垂水日向遺跡でも見つかったということは、この土地が貴族社会と密接なかかわりをもつことを示すと言ってよい。同様の土坑が福原京に比定される神戸市の祇園遺跡にも存在することから、平氏の進出に伴ってひろまった儀礼・饗宴と言えるだろう。

 

神戸市文化財保護審議会委員 神戸大学大学院人文学研究科教授(日本中世史)

市澤 哲 (いちざわ てつ)氏

垂水は交通の要衝として、地域を統括する有力者の支配拠点が置かれるにふさわしい地である。本遺跡の主はこの地域を統括する立場にあった有力者であったと考えられる。この有力者は複数の横顔を持っていたとすべきであろう。

一つは名望と実力を持ち、地域に君臨する「長者」的な、地域に根ざした支配者としての横顔である。

二つ目は、地域行政の担い手としての横顔である。当該地域は、東大寺領垂水荘が停廃された後、国衙領であったと想定される。その際は、主は垂水郷司のような立場にあったと考えられる。

三つ目は、「かわらけ土坑」が示すように、地域に埋没せず京都と交流を持つ横顔である。垂水郷は平氏領に挟まれる位置にあり、主も平家と接点を持っていた可能性がある。京都との交流は、平家関係者との繋がりを示すものであろう。

主は、垂水郷郷司として国衙に仕えながら、 平家領の経営の一端を担い、その関係で京都とも繋がりを持つような人物だったと推測される。


 

お問い合わせ先

市政、くらし、各種申請手続でわからないことは神戸市総合コールセンターにお電話ください

電話 078-333-3330 Fax 078-333-3314

このページの作成者

文化スポーツ局文化財課 

〒650-8570 神戸市中央区加納町6-5-1 神戸市役所1号館 19階西