失火した場合の責任について

ここから本文です。

はじめに

「火事と喧嘩は江戸の華」といわれたように、昔から木造家屋の多い我が国においては、火災は天災との考えが強く、失火に対する民事的責任の追求は寛容でした。
一方「ぼやで身を焼く八百屋お七」の逸話があるように、江戸時代は「失火者斬罪令」により、放火はもちろん失火の場合も死刑になっていました。

ところで、自宅から出火して隣の家に類焼した場合、処罰されるのでしょうか。また「失火責任法」という法律により損害賠償の責任を問われないと考えている人が多いと思いますが、どんな場合に責任がないのでしょうか。今回は火災に関する法律問題について考えてみたいと思います。

刑法上の責任

恋人との別れがつらいあまりに放火に及んだ八百屋お七は市中引き回しの後、火あぶりの刑に処せられましたが現在でも放火は凶悪犯とされており「現住建造物等に放火した場合、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役に処す」と刑法で定められています。
それでは、自分の過失で出火した場合はどうなるのでしょうか。刑法116条は「失火により建造物等を焼損した者は、五十万円以下の罰金に処する」と定めています。

たばこの火の不始末による出火

神戸市内でマージャン店を営んでいたAは、当日客が最後に帰った午後11時40分頃、客らが喫煙したたばこの吸い殻が入っている灰皿11個を集めてポリバケツの中に捨てベニヤ板をふた代わりに上にのせ、翌午前0時10分頃帰宅しました。
その直後の午前1時頃、同建物の1階炊事場付近から出火、同建物を全焼しさらに隣接する新聞販売店に延焼しました。この火災事件において、Aはたばこの吸い殻の残り火について、水をかけて消火の措置をするなどの注意義務を怠ったとして罰金15万円の略式命令を受けています。

天ぷら鍋からの出火

Bは神戸市内の共同住宅を賃借し居住していましたが、午後4時頃、台所において油入り鍋をガスコンロにかけ点火したまま外出し、4時15分頃、天ぷら鍋から出火し、10名が居住する木造共同住宅を半焼させました。
この火災事件においてBは、そのまま放置すれば過熱により油が発火して燃え上がり、台所の天井等に引火するおそれがあったから、鍋の油に注意するとともに同所を離れる場合にはガスの火を消して、火災の発生を未然に防止すべき注意義務があるのに、これを怠り不注意にも出火させたとして罰金5万円の略式命令を受けています。

民事上の責任

不注意により他人に損害を与えた場合、その損害を賠償する責任があると民法709条に定められています。
ところが火災の場合はこの規定が適用されると補償が莫大になることから、明治32年「失火の責任に関する法律」が制定され「民法709条は失火の場合にはこれを適用せず、但し失火者に重大なる過失ありたるときはこの限りにあらず」としています。

責任が免除された事例

  • 屋根工事をしていた職人がたばこを火のついたまま投げ捨てて起こった火災
  • 浴槽の排水口の栓が不完全であったため水がなくなったが、それを確認せずガスを点火し空焚き状態から発生した火災
  • ベッドからずり落ちた布団にガスストーブの火が着火して発生した火災

責任が肯定された事例

  • 電熱器を布団に入れこたつとして使用し火災が発生した例
  • 寝煙草で火災が発生した例
  • 主婦が台所のガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけ、中火程度にして台所をはなれたため、過熱された天ぷら油に引火し火災が発生した例
  • 電気コンロを点火したまま就寝したところ、ベッドからずり落ちた毛布が電気コンロにたれさがり毛布に引火し火災になった例

おわりに

重大なる過失とは、注意義務の懈怠が重大である場合、わずかな注意さえすれば火災の発生を防止できたにもかかわらず、それを怠った場合です。
天ぷら料理をしているときに、その場を離れてんぷら油が発火し火災になった場合や、寝煙草で出火した場合は処罰されたり、損害賠償の責任を負うことがありますので十分注意してください。

 

生活あんぜん情報 コンテンツ

タバコ

電気

火災事例

生活用品等

その他

お問い合わせ先

市政、くらし、各種申請手続でわからないことは神戸市総合コールセンターにお電話ください

電話 078-333-3330 Fax 078-333-3314

このページの作成者

消防局予防部予防課 

〒650-8570 神戸市中央区加納町6-5-1 神戸市役所4号館〔危機管理センター〕3階