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更新日:2020年10月29日
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最近、夜間走行している車両のヘッドライトで、輪っか状の光を発するのを見かけたことはありませんか?
これは、冷陰極管ライト(中にはLEDのものもありますが)、別名CCFLやその形状からイカリングと言われ、主に海外製車両のポジションランプ(車幅灯)として普及が始まりました。
最近では、装飾のための後付け部品としてネットで容易に購入できることから、さまざまな車種にも取付け出されました。
いきなり冷陰極管やCCFLと言われても耳慣れない言葉と思いますが、簡単に言いますと蛍光灯の一種で、一般的な蛍光灯とは熱陰極管のことで、電極を加熱することで電子放出を促しますが、冷陰極管はインバータを用い、高電圧を発生させて電極から電子を放出させています。この電極を加熱せずに電子の放出を促すことから、熱を用いない「冷陰極管」と言われています。
神戸市内でこの後付けされた冷陰極管が起因する車両火災が平成22年から4件発生しています。これらすべて、ヘッドライト周辺のみの焼損で、雨天時の夜間に走行している車両から発生しています。
さらにこのCCFLには、1灯用、2灯用と二種類ありますが、当該事案の多くは、CCFLを1灯しか取付けていないにもかかわらず、2灯用のインバータを使用し、片側は接続しない状態でエンジンルーム内に収納されていました。中には接続されていないコネクタ部に絶縁テープで防水加工を施されていたものもありましたが、熱や雨水等の影響を受け易い場所のため、経年的な使用でコネクタ部やインバータ内部に雨水等が浸入することは十分に考えられました。
これらの事案を受け、CCFLの性状及び危険性を確認するため再現実験を行いました。
その結果、車両のバッテリーDC12vがインバータを介すとAC1000v以上にまでに昇圧され、これらの高圧配線同士を近づけると、放電火花が発生し、絶縁テープ等に着火することが分かりました。
さらに、CCFLが接続されていないコネクタ部に水滴を垂らすとシンチレーション(微小な火花)と共に白煙が発生、最終的にはトラッキング現象により出火することが確認できました。
また、これらを設置したのは整備士の有資格者もおり、高電圧になるという認識を持たずに施工していたということも分かりました。
焼損していない反対側のヘッドライトを見分すると、CCFL側のコネクタ内でトラッキング痕が確認でき、同様に水滴を垂らすと白煙が上がり、シンチレーションも確認できたことから、CCFLがインバータに接続されていても配線、コネクタ部がきちんと防水加工等がなされていなければ出火危険があるということも分かりました。
もし、CCFLを設置されている方がいましたら、直ちに下記のとおり点検・整備をお願いしたいと思います。
※ここでいう絶縁加工とは、高電圧に耐えうる絶縁加工のことをいい、単なるビニールテープ等を貼り付けたことではありません
本件事案、実験結果を基に、各種業界、団体に類似火災の防止に努めていただくよう改善要望、整備士への研修をお願いしておりますが、個人ユーザーにあっても安易にネット等で安価なものを購入、施工することができることから、幅広く広報していく必要があると考えております。
現在は、ネット等でさまざまな電飾装備品が販売されていますが、十分な知識や整備士の下、適正に設置し、快適なドライビングライフを楽しんでいただきたいと思います。
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