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更新日:2020年11月9日

阪神・淡路大震災 消防職員手記(「雪」編集部) (1995年5月号掲載・坊池 道昭)

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兵庫県南部地震と火災―続発火災、そして大火―(1995年5月号掲載・坊池 道昭)

はじめに

兵庫県南部地震から3ヵ月、あの悪夢の1月17日午前5時46分、突然「ドン」と突き上げる揺れ。続いて横揺れとも縦揺れともわからない凄まじい揺れ。木造建物の多くが形もなく倒壊し、耐火建物や高速道路が座屈・倒壊、さらに、市内各地で火災が多発した。結果、神戸市においては、8万余棟の家屋が全半壊し、7千余棟の家屋が火災により焼失、犠牲者3千8百余名、負傷者1万4千人以上、り災者数23万余人のほか、多大な損害を出す大惨事となった。

この度の地震は、わずか20秒前後で平穏な都市『港町神戸』が破壊し、多くの尊い人命を奪ってしまった。われわれ消防人にとって、この阪神・淡路大震災から学ぶものは余りにも多い。

地震と火災

兵庫県南部地震に伴う神戸市における火災発生件数は、地震が発生した平成7年1月17日午前5時46分から1月27日5時45分までの10日間に、175件が発生し、中には1件の火災で10万平方メートルを超える規模となったものもある。その発生状況は、表1から表3のとおりである。

表1 発生日別・署別火災発生状況
所属 合計 17日 18日 19日 20日 21日 22日 23日 24日 25日 26日 棟数 焼損面積(敷地)
~6時00分
(累計)
~7時00分
(累計)
~8時00分
(累計)
~9時00分
(累計)
17日合計
合計 175 60 70 77 95 109 14 15 8 5 3 6 3 9 3 7,392 642,215平方メートル
東灘 28 10 11 13 14 17 2 4 1     2   2   380 32,886平方メートル
22 13 13 14 15 17 2   1 1         1 564 65,318平方メートル
葺合 19 5 7 9 9 12 2 1   1 2     1   87 9,202平方メートル
生田 11 3 4 4 4 6   1 3 1           23 1,655平方メートル
水上 5   1 1 2 2 1 1       1       5 3,685平方メートル
兵庫 28 11 11 13 14 17 4 3     1 1 1 1   1,097 127,055平方メートル
2         1             1     3 54平方メートル
長田 27 13 14 14 14 17 1 4 2     1   1 1 4,073 303,558平方メートル
須磨 20 4 8 8 12 13 2 1       1 1 2   1,149 98,552平方メートル
垂水 11         6       2       2 1 9 173平方メートル
西 2 1 1 1 1 1     1             2 77平方メートル
表2 火災種別毎の発生状況
区分 17日6時 17日中 10日間
火災種別 総数 60 109 175
建物火災 57 104 158
車両火災     5
その他火災 3 5 12
表3 建物火災の規模別発生状況
区分 17日6時 17日中 10日間
火災種別 総数 57 104 158
小火 4 12 31
1,000平方メートル未満 24 47 76
1万平方メートル未満 19 33 39
1万平方メートル以上 10 12 12

多発火災と出火原因―それから学ぶもの―

この度の震災では、地震発生から僅か14分に60件、17日中に109件と火災が多発し、さらに、水道配管の被災で断水、消火栓が使用不能となり、消防活動に大きな障害となったために、火災の拡大を早期制圧することができず、過去に類を見ない大規模火災となってしまった。また、ガス・電気等のライフラインの被災と応急復旧が影響したことも否めない事実である。

特に、火災が大規模に拡大した要因を挙げると、

  • (1)同時に多数の火災が発生した
  • (2)建物倒壊による多数の生き埋めに対し、人命救助優先の活動を行わざるを得なかった。
  • (3)道路損壊や瓦礫による通行障害、交通渋滞により、円滑な活動ができなかった。
  • (4)被災程度の強い防火木造のほとんどが、瓦やモルタル等が脱落・倒壊し、裸木造となったため、輻射熱や飛び火等で延焼した。
  • (5)6~8m道路に木造家屋が瓦礫上に倒壊し、一面が可燃物の山になった。
  • (6)水道断水による消火栓使用不能、建物倒壊による防火水槽の使用障害などのため消火活動が困難を極めた。
  • (7)長田区の火災の特徴として、地場産業であるゴム工場が密集し、内部にはゴム類と危険物が多数存在していた。
  • (8)市内の大規模火災発生地には、大規模で古い市場や商店街が存在していた。

などである。

これらの地震に伴う火災の出火原因は次の表のとおりである。

表4 火災の発生日別・原因別状況
区分 合計 17日 18日 19日 20日 21日 22日 23日 24日 25日 26日 27日
合計 175 109 14 15 8 5 3 6 3 9 3 0
電気設備・器具 電気ストーブ 9 6     1 1   1        
熱帯魚用ヒーター 5 3     1         1    
オーブントースター 2 2                    
電気コンロ 2 1               1    
電子レンジ 1       1              
白熱スタンド 3 2 1                  
蛍光灯のスイッチ 1 1                    
テレビ 1 1                    
電源コード ビデオデッキ 1 1                    
冷蔵庫 1 1                    
熱帯魚用器具類 3   1       1 1        
印刷機 1         1            
コピー機 1 1                    
歯科技工用機器 1 1                    
その他の電気コード 2         1       1    
配線 屋内配線類 5 3 1           1      
配電盤等 4 3   1                
業務用電動ミシン 1     1                
燃焼器具類 ガスストーブ 2 2                    
ガスコンロ 3 3                    
石油ストーブ 5 4             1      
その他 漏洩ガスに引火 3 3                    
薬品の化学反応 3 3                    
放火 9   3 2           4    
その他 12 6   2 2   1     1    
不明 94 62 8 9 3 2 1 4 1 1 3  

震災対策への提言

  • (1)電気に関係した事故事例と対策
    • ア 事故事例
      近年、家庭電化製品をはじめ、多種多様の電気機器が暮らしにとけこみ、毎日の生活の中で使用されているが、最近の多くの電気機器にはマイクロコンピューターが組み込まれており、メモリー回路やタイマー機能を保つため、電源プラグを常時コンセントに差し込んだままにされている。
      この度の地震においては、電気に関係する火災が多発した。その出火原因を見ると、
      • 電気製品の電源コードが物品の落下により損傷し、出火。
      • 建物倒壊によって配線損傷したところへ電気が回復し、出火。
    • イ 事故防止対策
      • 電気製品の転倒・落下に起因した出荷に対する防止対策として、電気製品(携帯用の製品を除く。)には『地震感知手動復帰型スイッチ』を設置する。
      • 送電復旧に伴う出火に対しては、事業所を除く一般需要家における安全対策として、電柱からの引き込み線取付点(責任分界点)直近の二次側(家屋側)に『地震感知手動復帰型NFB』を設置する。
  • (2)ガスに関係した事故事例と対策
    • ア 事故事例
      ガス事故の防止について、従来からガス関係事業者において、「ガスを漏らさない対策」「万一ガスが漏れた場合の対策」として、各種の安全対策が施されてきたが、このたびの阪神・淡路大震災では、これらの安全対策では対処しきれない大被害を受けたためガス漏洩事故となり、火災等に与えた影響は大きかったと推測できる。
      その事故例を挙げると、
      • 建物倒壊に伴うガス管の折損であり、倒壊家屋の下敷きになった生き埋め現場での救出活動の際、救助隊員や市民の多くの者がガスの臭気と爆発の不安を感じており、多数のガス漏れがあったことが推測される。
      • 道路損壊に伴うガス管の折損であり、火災現場内道路においてガスが噴出し、炎を吹き上げているのが多く確認されている。
        などがある。
    • イ 事故防止対策
      • ガス機器の異常使用状態などを検知してガスを遮断する『マイコンメーター』の設置促進が図られているが、このメーターが地上式(地上高0.5~1.5メートル)であったため、このたびの地震による建物倒壊に伴ってメーター配管等が折損し、ガス漏れが多発したものと推察される。
        この種の事故を防止するためには、マイコンメーターの構造変更(防水性及び地震感知性能の改善等)を行うとともに、設置方法を地上式から地下式に変更することが必要である。
      • ガス供給配管に一定の需要家数(できるだけ小ブロックが良く、概ねメーター取り付け戸数2千戸)を単位とした緊急遮断弁(地震感知型自動閉鎖バルブ)を設置することによって漏洩ガス量を抑制することができ、さらに、災害復旧を早期に行うことにも役立つと考える。

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