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更新日:2020年11月9日

阪神・淡路大震災 消防職員手記(「雪」編集部) (1995年5月号掲載・倉岡 和彦)

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地震発生!そのとき市民は・・・<阪神・淡路大震災における市民行動調査の結果>(1995年5月号掲載・倉岡 和彦)

はじめに

平成7年1月17日午前5時46分、私たちの愛する街神戸を襲った兵庫県南部地震は、一瞬のうちにこの街で共に生きた3千8百余名の生命を、家を、仕事を多くの市民から奪い去るなど、市民の心と暮らしを破壊した。

今、神戸はこの苦難を乗り越え、市民・事業者・市が「協動のまちづくり」によって、21世紀に向けての豊かで快適な新しい神戸の復興を目指そうとしている。

この調査は、得られたデータから市民防災意識の啓発活動、防災訓練の充実、コミュニティの防災活動の活性化など、神戸が取り組もうとする「災害に強い都市」づくりに生かそうとするものである。

一方調査は、余震の恐怖に怯えながらも懸命に生きる市民や、親族や友人等、かけがえのない人たちを失った悲しみに耐え生きる市民に震災時の辛く、悲しい体験を思い起こしていただくことでもあった。ご協力いただいた皆さんに心から感謝申しあげたい。

調査結果の概要

  • (1)調査期間
    平成7年2月20日~2月28日
  • (2)調査区域
    神戸市内全域にわたり調査
  • (3)調査対象者
    神戸市内に居住する男女840人
  • (4)調査項目
    1. 地震発生の予想
    2. 地震を想定した訓練への参加の有無
    3. 地震発生時の感想
    4. 日常の地震への備えの有無
    5. 地震への備えの内容
    6. 実際に役立った備えの内容
    7. 避難場所を知っていたか
    8. 地震発生時どうしていたか
    9. 地震発生時の初期行動
    10. けがをした家族の有無
    11. けがをした原因
    12. 近所での生き埋め者の有無
    13. 生き埋め者の救出活動の有無
    14. だれが救出にあたったか
    15. 近所での火災発生の有無
    16. 消火活動の有無
    17. だれが消火にあたったか
    18. 地域の防災訓練への参加意向
    19. 地域の防災活動のリーダーには?
    20. 震災後必要だった情報
    21. 用意しておけばよかったと思うもの(こと)
  • (5)調査員
    京都産業大学『新社会ボランティアサークル』のボランティア(延べ49人)
  • (6)調査方法
    調査員が避難所等を訪問し、面接聴取
調査対象者の構成【単位:人,%】
  合計/平均 居住区
東灘 中央 兵庫 長田 須磨 垂水 西
母数 840 141 61 127 77 33 217 127 41 16
性別 男性 33.9 30.5 32.8 30.7 42.9 12.1 35.9 32.3 53.7 31.3
女性 66.1 69.5 67.2 69.3 57.1 87.9 64.1 67.7 46.3 68.7
年代 10代 10.6 5.0 21.3 17.3 10.4 0.0 7.4 11.0 12.2 12.5
20代 7.4 9.2 6.6 6.3 11.7 0.0 5.1 5.5 19.5 12.5
30代 9.6 9.9 8.2 9.4 7.8 3.0 10.6 9.4 14.6 12.5
40代 13.8 19.1 8.2 11.0 10.4 24.2 11.5 16.5 7.3 31.3
50代 20.4 17.0 14.8 21.3 26.0 45.5 20.3 21.3 9.8 6.2
60~64歳 12.0 14.9 8.2 11.8 11.7 12.1 14.3 7.9 12.2 6.3
65~69歳 8.7 9.9 1.6 6.3 7.8 15.2 10.1 8.7 9.8 12.4
70代 14.4 12.1 27.9 11.8 14.2 0.0 16.1 18.1 9.8 6.3
80歳以上 3.1 2.9 3.2 4.8 0.0 0.0 4.6 1.6 4.8 0.0
世帯構成 単身 17.3 14.2 23.0 18.9 15.6 6.1 22.1 11.8 17.1 18.8
夫婦 22.6 18.4 14.8 18.9 26.0 27.3 26.3 29.9 9.8 18.8
子と同居・親と同居 57.4 61.0 62.2 61.4 55.8 63.6 49.3 55.9 70.7 56.3
その他 2.7 6.4 0.0 0.8 2.6 3.0 2.3 2.4 2.4 6.1
身体障害 肢体障害(上肢) 2.6 3.5 1.6 1.6 1.3 0.0 4.1 3.1 0.0 0.0
肢体障害(下肢) 3.6 2.1 3.3 2.4 1.3 3.0 6.5 2.4 7.3 0.0
視覚障害 0.5 0.0 0.0 0.8 2.6 0.0 0.0 0.8 0.0 0.0
聴覚障害 0.5 0.0 0.0 0.8 0.0 0.0 1.4 0.0 0.0 0.0
言語障害 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 2.4 0.0
内部障害 0.6 0.0 0.0 0.8 1.3 0.0 1.4 0.0 0.0 0.0
重複の障害 0.3 0.0 0.0 0.8 1.3 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0
障害なし 91.8 94.4 95.1 92.8 92.2 97.0 86.1 93.7 90.3 0.0
家屋被災 家屋倒壊等 45.4 75.9 59.0 31.5 24.7 0.0 65.4 28.3 2.4 0.0
家屋焼失 5.8 1.4 1.6 0.8 13.0 0.0 15.7 9.4 0.0 0.0
瓦、壁に相当の損傷 22.1 14.2 21.3 26.8 44.2 21.2 13.4 24.4 39.0 12.5
さほど損害を受けず 26.7 83.5 18.1 40.9 18.1 78.8 5.5 37.9 58.6 87.5

問1 神戸で地震が起こると思っていたか(単一回答)
ほとんど(94.3%)の人が神戸で地震が起こると思っていなかったと応えており、地震が起こるかも知れないと考えていた人はわずか5.7%であった。年代別に見ても、すべての年代にわたって地震が起こると思っていた人は10%に達していない。(表-1)

(表-1)地震発生の予想【単位:人、%】
  合計/平均 年代
10代 20代 30代 40代 50代 60~64歳 65~69歳 70代 80歳以上
母数 840 89 62 81 116 171 101 73 121 26
地震予想 思っていた 5.7 4.5 4.8 3.7 7.8 7.0 9.9 2.7 3.3 3.8
思わなかった 94.3 95.5 95.2 96.3 92.2 93.0 90.1 97.3 96.7 96.2

問2 地震を想定した訓練への参加経験は(単一回答)
訓練への参加経験のある人は7.9%にすぎなかった。男女別では、男性の10.5%に対して女性の6.5%とかなり男女差があった。参加経験者の比率が最も高かったのは、30歳代の男性(22.2%)で、逆に最も低かったのは65~69歳の女性で調査対象者43人中、参加経験者は1人もいなかった。(表-2)

(表-2)地震を想定した訓練への参加経験【単位:人、%】
  合計/平均 性別・年代
10代 20代 30代 40代 50代 60~64歳 65~69歳 70代 80歳以上 合計
母数 840 31 58 19 43 18 63 37 79 52 119 40 61 30 43 46 75 12 14 285 555
訓練参加経験 ある 7.9 19.4 13.8 5.3 9.3 22.2 7.9 5.4 8.9 9.6 4.2 12.5 1.6 10.0 0.0 6.5 6.7 8.3 7.1 10.5 6.5
ない 89.6 80.6 86.2 94.7 88.4 77.8 87.3 91.9 88.6 90.4 93.3 82.5 93.4 90.0 95.3 93.5 89.3 83.3 92.9 88.1 90.5
無回答 2.5 0.0 0.0 0.0 2.3 0.0 4.8 2.7 2.5 0.0 2.5 5.0 5.0 0.0 4.7 0.0 4.0 8.4 0.0 1.4 3.0

問3 地震発生時どう感じたか(単一回答)
「生命の危機を感じた」人が全愛の約3割(29.4%)にのぼっており、「かなり不安で恐ろしかった」を加えると56.5%と、過半数の人が相当の恐怖に陥れられたことが分かる。(図-1)

(図-1)地震発生時どう感じたか

問4 地震への備えをしていたか(単一回答)
備えをしていた人は約2割(19.8%)と少なく、20歳代では9.7%と1割にも満たなかった。

問5 万一のために準備していたもの(こと)(複数回答)
地震への備えをしていた人の74.7%が「懐中電灯」を用意しており、以下「ラジオ」42.8%、「非常食」15.7%、「医薬品」10.8%、「飲料水」10.2%などとなっている。
なお、この震災で多くの市民が転倒した家具でけがをしたり、死亡したりしているが、「家具など倒れないよう固定」していた人は、わずか9人で全体の1.1%であった。

問6 準備していたもの(こと)のうち役立ったもの(こと)(複数回答)
「ラジオ」を準備していた人の67.6%が役に立ったと考え、比率では最も高くなっており、以下「飲料水」58.8%、「懐中電灯」58.1%、「医薬品」及び「棚等の上に重い物を置かない」がいずれも50.0%で続いている。(図-2)

(図-2)実際に役立った備え

問7 近くの避難所を知っていたか(単一回答)
全体の63.0%の人が近くの避難場所を知っていたと答えている。しかし、年代別に見ると、60~64歳で71.3%であったものが、65~69歳では57.5%、70歳代では55.3%、80歳以上では53.8%と、高齢になるにしたがい知っていた人の割合が低くなっている。(表-3)

(表-3)近くの避難所を知っていたか【単位:人、%】
  合計/平均 年代
10代 20代 30代 40代 50代 60~64歳 65~69歳 70代 80歳以上
母数 840 89 62 81 116 171 101 73 121 26
はい 63.0 68.5 64.5 65.4 61.2 63.7 71.3 57.5 55.3 53.8
いいえ 37.0 31.5 35.5 34.6 38.8 36.3 28.7 42.5 44.6 46.2

問8 地震発生まで眠っていたか(単一回答)
約7割(71.0%)の人が、地震発生まで眠っていたと答えている。

問9 地震発生時どのような行動をとったか(単一回答)
「何もできなかった」32.1%にものぼっており、以下「衣類や布団をかぶった」26.4%、「あわてて外へ逃げた」15.0%、そして「ガスの元栓をしめた」11.0%と続いている。(図-3)

(図-3)地震発生時の初期行動

問10 けがをした家族はいるか(単一回答)
全体の約2割(20.4%)の171人がけがをしている。

問11 けがをした原因は(単一回答)
家具等の転倒が原因でけがをした人が最も多く、けがの原因の約半数(48.5%)を占めており、以下「棚等からの落下物が当たった」(15.8%)、「落下したガラスが当たった」(10.5%)、「逃げようとしたとき転倒した」(8.8%)の順になっている。

問12 近所で倒壊家屋の下敷きになった者はいるか(単一回答)
全体の45.6%もの人が、近所で生き埋めになった人がいたと答えている。

問13 救出活動に当たった者はいるか(単一回答)
設問12で「はい」と答えた人の76.5%が救出活動を確認している。

問14 救出活動に当たったのは誰か(複数回答)
設問13で救出活動に当たった者を確認できたとした人の60.5%が「近所の者」の活躍を見ている。次いで「家族」(18.9%)が続いている。

問15 近所で火災が発生したか(単一回答)
全体の27.6%が、近所で火災が発生したと答えている。

問16 消火活動に当たった者はいるか(単一回答)
設問15で「はい」と答えた人の30.6%が消火活動を確認している。

問17 消火活動に当たったのは誰か(複数回答)
設問16で消火活動に当たった者を確認できたとした人の53.5%が「近所の者」が消火活動を行っているのを確認しており、次に、「消防隊」18.3%、「家族」(5.6%)が続いている。

問18 地域の防災訓練に積極的に参加するか(単一回答)
積極的に参加すると答えた人が全体の約7割(68.1%)に達している。特に、20歳代から50歳代にかけては参加意識が高く、30歳代で84.0%となっている。男女の意識差を見ると、女性の参加意識が少し高く、男性64.6%に対し女性は69.9%であった。(表-4)

(表-4)地域の防災訓練への参加意志【単位:人、%】
  合計/平均 性別・年代
10代 20代 30代 40代 50代 60~64歳 65~69歳 70代 80歳以上 合計
母数 840 31 58 19 43 18 63 37 79 52 119 40 61 30 43 46 75 12 14 285 555
ある 68.1 45.2 65.5 57.9 81.4 72.2 87.3 81.1 77.2 69.2 79.8 70.0 55.7 60.0 58.1 63.0 50.7 41.7 50.0 64.6 69.9
ない 24.5 45.2 32.8 36.8 18.6 16.7 7.9 13.5 19.0 15.4 10.9 22.5 36.1 23.3 34.9 34.8 37.3 50.0 42.9 26.3 23.6
無回答 7.4 9.6 1.7 5.3 0.0 11.1 4.8 5.4 3.8 15.4 9.3 7.5 8.2 16.7 7.0 2.2 12.0 8.3 7.1 9.1 6.5

問19 誰に地域の防災リーダーになってほしいか(複数回答)
「自治会役員」が最も多く、全体の34.8%の人がリーダーとして期待している。以下「消防団員」が26.4%、神戸市職員が2.5%などとなっている。(図-4)

(図-4)地域防災リーダーとして期待する

問20 地震発生後どのような情報が必要だったか(複数回答)
「余震情報」39.5%、「ライフライン」34.3%、「安否情報」28.6%、「交通情報」24.6%、「火災情報」23.8%と続いている。(図-5)

(図-5)地震発生後に必要な情報

問21 こうしておけばよかった、これを用意しておけばよかったと思うもの(こと)(複数回答)
「飲料水」を確保しておけばよかったとする人が全体の16.7%と最も多く、以下「懐中電灯」14.4%、「非常食」12.7%、「ラジオ」8.0%などが続いている。(表-5)

(表-5)用意しておけばよかったと思うもの(こと)
ラジオ 8.0
懐中電灯 14.4
非常食 12.7
飲料水 16.7
医薬品 1.0
家具など倒れないよう固定 4.2
棚等の上に重たい物を置かない 2.5
ヘルメット 0.5
貴重品などをひとまとめにしておく 6.3
その他 21.4
用意などしても約立たない規模の地震 5.0
無回答 38.0

おわりに

この調査結果は多くのことを教えてくれている。これらは市民だけでなく、市民への防災の働きかけを行う行政にとっても貴重な教訓でもある。また、今後地域の防災訓練に積極的に参加すると答えた人が約7割(68.1%)にものぼっている。より多くの市民が参加できる防災訓練の実施、市民と事業者が主体となった災害に強いコミュニティづくりの支援など、市民の熱意に応えていかなければならない。

最後になりましたが、公共交通機関が途絶するなど、厳しい条件の中、調査に回ってくれたボランティア諸君にお礼申し上げる。

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