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/インタビュー/地域住民との連携体制によって、あらゆる災害へ対しての迅速な対応を考えています。

地域住民との連携体制によって、あらゆる災害へ対しての迅速な対応を考えています。

令和元年9月13日現在

土砂災害や豪雨被害、地震、津波など自然災害への不安も大きいですね。火災も心配です。どういう状況で、どういう対策を取っているのでしょうか。神戸市須磨消防署消防防災課課長の前川和男さんにお聞きしました。

須磨区の特徴は?

須磨は、古い歴史を持ち、阪神・淡路大震災による壊滅的な被害から復興した既成市街地と、住宅や公園・公共施設などが計画的に配置され、調和のとれたまちとして昭和40年代から入居が始まったニュータウン、都市近郊に今も田園風景を残す農業地域、これらの地域を森・川・海が包み込むように構成されています。自然には恵まれていますが、鉢伏山や横尾山、高取山と六甲山系の山が連なる独特の地形から土砂災害が発生することが考えられます。
幸い、平成になってからは、人的被害が出るような大きな土砂災害は起きていませんが、妙法寺の方に聞いた話では、昔、大雨のときに妙法寺川の上流から牛や馬が流されて来たことがあり、これからも大雨が続けば土砂災害が発生する可能性があります。

火災・救急発生状況は?

須磨区は、須磨消防署、板宿消防出張所、北須磨消防出張所の3つの消防署所で管轄しています。
昨年須磨区内では、火災が28件ありました。
また火災による死者は2人、負傷者が3人となっています。
消防隊が火災以外の災害等に出動したのは1,034件で、最近では救急隊と連携して心肺蘇生が必要な事案や鍵のかかった建物内に倒れて動けない人を救助する事案などに出動するケースが増えています。 昨年須磨区内で発生した救急件数は9,053件で、一日あたり約24件発生したことになります。神戸市では、増加する救急需要への対策と市民の不安解消を目的とし、ダイヤル「♯7119」(シャープ・なな・いち・いち・きゅう)による救急電話相談事業を開始しました。「♯7119」とは、「子どもが急に熱を出した」「めまいがしてうまく立てない」「おなかが痛い」など、救急車を呼ぼうか悩んだ時や、受診できる医療機関がわからない時など、24時間365日いつでも相談を受け付けるダイヤルです。
また神戸市独自の取り組みとして、小児科の初期急病医療の拠点である神戸こども初期急病センターと連携し、小児内科系の相談については、当センターの小児科専門の相談員(看護師)が対応することで、子育て世帯の方も安心してご利用いただけます。

自然災害に対する備えは?

土砂災害などの警戒区域内で、特に危険と思われる地域については、消防署で避難計画を作成し、避難勧告等が発令された場合には、対象となる住民の方に電話回線を使用した情報伝達システムで情報を伝達しています。
毎年配布している「くらしの防災ガイド」等で、お住まいの地域周辺の状況や土砂災害が発生する恐れのある区域を確認していただき、避難するルートをあらかじめ決めておくことが重要です。また、土砂災害や洪水は、台風の通過や前線の停滞による大雨や暴風等の影響で発生しているので、普段から気象情報に関心を持つことも重要です。
いざという時には、テレビ、ラジオ、スマートフォンや携帯電話、防災行政無線等の色々な広報媒体を活用して情報伝達が行われていますが、気象情報を始め、降雨レーダー情報や河川の状況、避難情報、災害情報を自ら入手できる方法や手段も「くらしの防災ガイド」で紹介していますので、ぜひ活用してください。

火災発生への対応は?

須磨区は、須磨消防署と北須磨消防出張所及び板宿消防出張所を合わせて、課長級の指揮隊長が乗車する指揮隊1隊、救助隊1隊、ポンプ隊3隊、救急隊3隊が24時間体制で待機しています。
須磨区で火災や災害が発生した場合、須磨消防署だけでなく、その災害状況に応じて、現場に近い順に神戸市内の消防署または消防出張所から必要な消防車を自動的に選出して出動指令がかけられます。また、火災が拡大したり、特殊な消防車が必要になれば、さらに必要な消防車等が選出され出動します。
さらに須磨海岸等の沿岸には消防艇が、鉢伏山や横尾山等の林野火災にはヘリコプターも出動して活動を行います。
また、消防署では、効率の良い、効果的な消防活動が行えるよう道路が狭い木造密集地域や病院、社会福祉施設や工場、倉庫などの対象物ごとに防御計画を作成しており、迅速な消防活動ができるように備えています。

地震によって発生する火災への対応は?

阪神・淡路大震災のときは、多数の火災が同時に発生したため、その火災件数に消防隊数が全く追いつかず、どんどん燃え広がってしまいました。
あの様な大災害では、消防力にも限界があるので、自分の命は自分で守る、また地域で協力して災害に対応していくことが重要です。
神戸市では震災を教訓に立ち上げた防災福祉コミュニティが地域防災の要になっています。
この防災福祉コミュニティは、須磨区で21地区結成されており、それぞれの地区の安心・安全を目指して定期的に初期消火訓練や避難訓練、担架搬送訓練、応急処置訓練を行っています。
同時多発する地震火災に対応するため、耐震性防火水槽に備え付けられている小型動力ポンプを始め、バケツリレーが組織的に行えるように布バケツを配布し、大地震が発生した場合に地域の方だけで消火活動ができるよう訓練に励んでいます。 いざという時に地域の方が協力しあって防災活動を行っていただこうというものです。

海辺での津波発生時の対応は?

最近、危惧されている南海トラフ巨大地震は、地震によって発生する津波への備えが重要になります。南海トラフ巨大地震が発生すると、須磨区の沿岸地域には、約85分後に到達するといわれています。予想津波高から津波浸水想定区域が示されていますが、これは、あくまでもある条件の基で想定した浸水想定区域ですので、もし想定を越える津波であれば、より広範囲に浸水が及びますので、浸水想定区域外といっても安心はできません。
幸いなことに、須磨は山や高台が近く、高齢者の方でも安全な場所へ逃げる時間は十分にあると考えられますので、正しい情報の収集に努めるとともに、まず避難をお願いします。
須磨海岸周辺では、津波発生時、防災行政無線連動のスピーカーにより緊急に避難を呼びかける音声がアナウンスされます。
昨年から、海水浴場開催期間中は、ライフセーバーや海の家を運営する皆さんに協力をお願いし、周囲の海水浴客に避難を呼びかけながら率先して逃げてもらうことにより海水浴客をより安全確実に避難していただくようにしています。
ライフセーバーや海の家の皆さんには、ご理解、ご協力をいただき本当に感謝しております。

地震発生時には、まずどうすればいいのでしょうか。

いざ、地震が起きたときどうすれば良いのか、基本は自分の身は自分で守ることです。
自分の身を守ることが出来れば、家族、そして近所や地域の人達と助け合い、協力して地域を守っていくことが大切です。
大地震の場合、消防や警察、自衛隊等の活動にも限界があります。
地域の方々が協力して組織的に活動することが大切です。
そこで大地震や風水害等の自然災害が発生した場合、地域の方が組織的な防災活動ができるよう、予め必要な初期対応すべき事項を記載した地域初動対応マニュアルである「地域おたすけガイド」の作成を、各地域の防災福祉コミュニティや自治会等の方々と協力し進めています。
この地域おたすけガイドは、須磨区内の21カ所の全防災福祉コミュニティで作成が完了するよう目指しています。
「地域おたすけガイド」の作成に参加していただいた皆さんは熱心にお住まいの地域に関する防災情報の議論を行っています。

次世代の防災リーダー育成については?

防災福祉コミュニティは、小学校と連携し小学5年生または6年生の児童を対象に防災教育「ジュニア防災」を授業として行っています。
地域の方から防災活動について直接指導を受けるので、子供達も地域のことは自分たちで守っていくという意識が育まれています。
消火器の使い方や煙体験、119番通報の仕方、応急担架搬送の方法、津波避難訓練などを、地域の方が中心になって指導し、消防署員が立ち会って実施しています。
特に119番通報模擬体験訓練は、生徒全員が1人ずつ電話を使い訓練をしますので、強く印象に残るようです。
また毎年5月に開催される須磨区のこうべまつり「須磨音楽の森」や秋の防災福祉コミュニティ大会では、小さな子どもたちを対象に楽しいイベントを実施し、親子で防災に興味をもっていただけるよう工夫しています。他には、現在、須磨区では125人の消防団員が活動していますが、神戸女子大学に在学している学生さんが13人、学生団員として入団しています。須磨消防団員として活動するのは、在学中だけになりますが、消防団活動の経験がきっかけとなり、将来地域活動に関心を持っていただけたらと期待しています。

防コミ大会とは?

須磨区21地区の防災福祉コミュニティが集まって実行委員会を立ち上げ、年に1回神戸総合運動公園で開催しています。
防コミ大会は、須磨区の防災訓練も兼ねているので須磨警察署をはじめ、建設局、水道局、医師会、神戸総合運動公園、日本公衆電話会など多くの機関が協力して防災に関するブースを出展します。
ブースを回りながら、楽しく防災を学ぼうというイベントです。
ブースを回った後は、地震発生を想定したシェイクアウト訓練や、防災福祉コミュニティが相互に協力する地域連携訓練として、小型動力ポンプを使う放水訓練や救出訓練等を実施しています。
昨年は、防災福祉コミュニティの地域を越えてお互いが協力し小型動力ポンプを使う放水訓練や救出訓練を実施しました。
今後は、このような地域間の協力体制を構築する訓練を広げていこうと思っています。
区内全防災福祉コミュニティが集まって防災訓練を実施するのは須磨区の特徴といえます。

他にも、楽しく防災を学ぶための工夫はありますか。

毎年9月9日の救急の日にちなんで、須磨水族園で「救急フェア」を開催しています。兵庫大学付属須磨ノ浦高等学校によるダンスと演奏、いるかライブと救急活動、健康相談、スタンプラリー、消防車からの放水体験、心肺蘇生法訓練や消防車両展示などを行っています。
この日は、須磨海浜水族園のイルカたちもライブショーが終わった後、救命の大切さを訴える寸劇にも参加してくれていますので、イルカライブショーを楽しんだお客さんも、そのまま見学できるイベントになっています。
イルカに協力していただけるイベントは、須磨海浜水族園ならではですね。
「救急フェア」では、須磨救急ボランティア、新須磨病院、須磨ノ浦高校や須磨消防団のご協力をいただいています。

須磨の暮らしの良さは?

須磨区は海と山がすぐ近くで、豊かな自然や多くの史跡があり、またJRや神戸市営地下鉄、山陽電車など交通の便も良く、温暖で住み良い街だと思います。
そして、あの阪神淡路大震災を経験したことにより、「自分たちの地域の安全・安心は自分たちの手で守ろう」という高い防災意識を持っている地域の方が多く、安全に安心して生活ができるよう様々な取組みや活動が行われています。
私達、消防職員も地域の方と共に須磨区の安全・安心を守って行きますので、これからもよろしくお願いします。

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